HbA1cと空腹時血糖値による評価では食後高血糖を見逃す。GAは?
こんばんは。

日本糖尿病学会は血糖コントロールの指標としてHbA1cを選択しています。

2013年の熊本宣言後血糖コントロール目標として
合併症予防のために、血糖管理目標値をHbA1c7%未満とし、
対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dl未満食後2時間血糖値180mg/dl未満をおおよその目安としました。

現在、ほとんどの病院で血糖コントロールの評価に用いられているのは、「HbA1c」と「早朝空腹時血糖値」の2つです。

しかし、「HbA1c」と「早朝空腹時血糖値」の2つを検査しても、
食後高血糖があるかどうかは、全くわかりません。


例えば、HbA1cが6.8~6.9%であれば、7.0%未満で一応目標達成です。

しかし、従来の糖尿病食(高糖質食)を摂取しながら、
SU剤(アマリールなど)やインスリン注射で、HbA1c6.8~6.9%を達成していても、
食後高血糖と空腹時低血糖を日常的に生じている可能性が極めて高いのです。

食後血糖値が250mg/dl前後あり、
一方で夜間空腹時血糖値が薬物のせいで50mg/dl前後とかになっていると、
平均血糖値を反映するHbA1cは6.8~6.9%くらいになり、
糖尿病学会の目標では、見かけ上はコントロール良好となります。
例えば、HbA1c6.8%なら、平均血糖値は148mg/dlです。
HbA1c6.9%なら、平均血糖値は151.3mg/dlです。
あくまでもHbA1cは平均血糖値の指標ですから
その実態は
「250mg+50mg」÷2=150mg/dl
である可能性があるのです。

そもそも
HbA1cは短時間の食後高血糖は、反映しないのです。

この場合、HbA1c6.8~6.9%といっても、食後高血糖と平均血糖変動幅増大のある酸化ストレスリスクの高い、
極めて質の悪いHbA1c
であり、合併症の予防は困難です。

現実に、人工透析16000人/年、失明3000人/年、足切断3000人/年と、
HbA1cがコントロール良好にも関わらず、合併症を起こす糖尿人が後を絶たないのは、
従来の糖尿病食(高糖質食)と薬物療法のコンビによる「質の悪いHbA1c」であるからに他なりません。

CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システムで、24時間ブドウ糖を測定すれば、
質の悪いHbA1cのもとである「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」の存在は一目瞭然です。

しかし、CGMはインスリンポンプを実施している病院でないと
健康保険では検査できないのです。
高雄病院でもやっと去年から、CGMが保険で検査可能となりました。

簡便にチェックするなら、グリコアルブミン(GA)が便利です。

GAは食後高血糖があると短時間でもそれを反映する優れた指標なのです。

グリコアルブミンの基準値は、11.8~16.0%で、コントロール良好は、20.0%未満です。

私は最近の採血で

HbA1c(NGSP):5.8%(基準値4.6~6.2%)
グリコアルブミン(GA):13.4%(基準値11.8~16.0%)

というデータでした。

GAは基準値内の低めですので食後高血糖がほとんどないことを示しています。

従ってHbA1cも極めて質のいいHbA1cです。

ある50代男性糖尿人Aさんの検査では
HbA1c:5.8% 
グリコアルブミン:18.0%
でした。

江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。

一方AさんのGAもコントロール良好ではあるのですが、私のデータと比べるとかなり高値です。

つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あることとなります。

よくよくAさんに聞いてみると

「麺類が好きで時々食べていました」

ということでした。

麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。

このように考えて見ると本当は、月1回の健康保険の検査は、HbA1cよりもグリコアルブミン(GA)のほうが好ましいと言えます。

GAと空腹時血糖値あるいは随時血糖値の検査をしておけば、短時間の食後高血糖も見落とすことがなくなり、
一日を通して、HbA1cより正確な血糖値の変化を反映していることとなります。

しかし日本も世界もHbA1c一辺倒なので、他の病院や今までの検査との比較という意味では、
HbA1cを検査せざるを得ないのが現状です。

HbA1cとGAに関して、糖尿病専門医の先生方、そして日本糖尿病学会の見解を聞きたいところですね。

現在、日本の病院のほとんどがHbA1c単独です。
1型糖尿病の人は、HbA1cとGAを健康保険で同時に検査できます。
しかし2型糖尿人の場合は、HbA1cとGAとどちらか一つしか、
健康保険で検査できません。

高雄病院では、HbA1cとGAの意義をよく説明して、片方は保険外で同一月に測定とか、いろいろ工夫しています。


江部康二

☆☆☆
なお、たまさんにコメント頂きましたように
グルコアルブミンは献血すると無料で検査してもらえます。
献血時に検査してもらえる項目は、
ALT、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、A/G比、総コレステロール、グルコアルブミン、および血球計数検査です。
コメント
はじめまして。
ダイエットと将来の糖尿病予防のため、糖質制限食しています。
しかし、先日まで旅行だったので、旅行中は特に気にせず食事しており、夜中に食べることもありました。
旅行も終わり、また糖質制限食頑張るつもりでいますが、耐糖能など悪くなっていないか心配になっています。悪化していないか自宅で調べる方法はあるんでしょうか?
早朝空腹時血糖値を測定してみようかなと思っているんですが、それで分かるんでしょうか?

色々調べていたら、ここにたどり着いたのでご質問させてください。
2017/05/30(Tue) 03:21 | URL | たなか | 【編集
グルコアルブミンは献血すると無料で検査してもらえますよ。
ちなみに、献血時に検査してもらえる項目は、
ALT、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、A/G比、総コレステロール、グルコアルブミン、および血球計数検査です。

私はときどき献血するので、簡易検査として利用しています。

ただ、献血ルームにある食べ放題の高糖質のお菓子やアイスクリームはなんとかならないでしょうかねえ・・・(笑)
2017/05/30(Tue) 06:32 | URL | たま | 【編集
Re: タイトルなし
たなか さん

早朝空腹時血糖値が、正常なら、インスリン基礎分泌の作用が確保されていることがわかります。

あとは、あえて、ご飯や食パンなどで糖質50g~75gくらいを食べて
「食前血糖値→食後1時間血糖値→食後2時間血糖値」
を測定してみましょう。
それで追加分泌インスリンの作用が確認できます。
2017/05/30(Tue) 09:05 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
たま さん

そうですね。
情報をありがとうございます。
2017/05/30(Tue) 09:11 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生、こんにちわ。
今週の木曜日、高雄病院で先生に診察して頂く予定です。
空腹時のインスリンも測定して頂きますが、
現在処方されているSGLT2(朝)とDPP4阻害薬(夜)はいつも通り飲んで行ってよいのでしょうか?
空腹時なので朝のSGLT2は飲まずに行きますが、
前日の夜のDPP4阻害薬は飲んで、翌日のインスリン測定に影響出ないでしょうか?

2017/05/30(Tue) 09:48 | URL | 久堀 | 【編集
先生、こんにちは
いつもお世話になっています。
第一子で妊娠糖尿病になり、その後境界型、妊娠中から糖質制限を続け、産後も糖質制限をしてきました。
今回、第二子を授かることができました!
そこでご質問なのですが、私が通院している糖質制限を指導してくれるクリニックでは、糖質制限をしている人は塩分をしっかり取った方がいいということでした。
ですので調味料をあまり使わない代わりに塩分を気にしないで塩を使ってきました。
ですが、妊娠した今、妊婦は塩分に気をつけるようにと指導があります。
妊娠高血圧症候群の心配があるからだと思います。
糖質制限をしている妊婦も同じように塩分に気をつけるべきなのでしょうか。
どうぞよろしくお願いします。
2017/05/30(Tue) 10:07 | URL | ひーちゃんまま | 【編集
Re: タイトルなし
久堀 さん

SGLT2(朝)とDPP4阻害薬(夜)はいつも通りの時間で内服して頂いて大丈夫です。

SGLT2(朝)も、空腹時でも、いつもと同じ時間で内服して頂いて大丈夫です。
SGLT2阻害薬は、一日1回、朝食前でも朝食後でもOKです。

内因性インスリン測定への影響は、気にしなくてもよいと思います。
2017/05/30(Tue) 14:29 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
ひーちゃんまま さん

厚生労働省発表の「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」によると
日本人の成人女性に推奨される1日の食塩摂取量は「7.0g未満」とされています。
色付きの文字

糖質制限食の場合は、普通の調味料を使わないので、その分の塩分は減っています。
またそのため自然に薄味になるので、塩もそんなには使わないと思います。
また、糖質制限OK食材のマヨネーズは塩分は少ないです。
つまり、内食で糖質制限なら自然に塩分も7g未満くらいになりそうです。

大さじ1あたりの塩分量(五訂食品成分表ほか)

濃い口醤油・・・ 2.6g
ぽん酢・・・1.5g
ウスターソース・・・1.5g
中濃ソース・・・1.0g
ケチャップ・・・0.5g
マヨネーズ・・・0.3g
お酢・・・0g
(すし酢などの調味酢を除く)


外食はどうしても塩分が多いですね。

糖質制限妊婦と塩分について、
一度宗田哲男先生や松本桃代管理栄養士に質問してみます。
2017/05/30(Tue) 15:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
いつもブログ読ませてもらってます。
細かいことを質問するようで本当に申し訳ないんですが、教えて頂けないでしょうか。

今日の昼食後のことなんですが、糖質制限食できなかったので、食後高血糖を覚悟していました。
バタバタしていたので、食後2時間15分の値ですが、132でした。
高血糖じゃないことに驚いたんですが、食後2時間より15分過ぎてしまっているので、食後2時間値とするのは正確ではないでしょうか?
以前に病院で負荷試験した際も、採血が正確な時間ではなかったようなんですが、10~15分ずれるのは問題ないんでしょうか?
2017/05/30(Tue) 18:14 | URL | だるま | 【編集
夜間の低血糖
いつも情報ありがとうございます。

今回フリースタイルリブレを自費で購入し24時間血糖値を測定しています。

今まではテルモのメディセーフを使い、1週間に1~2回空腹時に測ったり飲み会・食事会の後に測ったりしていました。

一昨日、焼酎(34度)を60~80ml飲んで寝た後翌日PCに繋いだ所、0時から6時の間完全に低血糖を起こしていました。低いところでは50を切っておりびっくり。
次の日何も飲まずに寝たところ低血糖はありませんでした。通常服薬はしておりません。
アルコールにより糖新生がされていなかったのは理解できますが、暁現象で起床時には80に回復しているので今まで全く気付きませんでした。
そう言えば朝起きた時身体がきついなあと感じることはありましたが、低血糖による障害などないものか心配になりました。

先生もそれなりにアルコールを摂取されておられるようですが、このような御経験はおありですか?

よろしくご指導お願いします。
2017/05/30(Tue) 23:34 | URL | rikko | 【編集
Re: タイトルなし
だるま さん

およそ食後2時間のデータということで、よいと思います。
2017/05/31(Wed) 08:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 夜間の低血糖
rikko さん

私自身は、糖尿人ですが、CGMを装着したときも、血糖変動幅がほとんどなくて、
メーカーさんがびっくりしていました。
勿論、アルコールは毎日飲んでいました。
もともと、私は朝の7時半頃の血糖値が、正常高値くらいではあります。

入院患者さんで、薬なしで、
従来の糖尿病食を食べて、食後の高血糖と夜間の低血糖(50mgていど)がCGMで確認できた人がいます。
午前7時半には、90mgとなっていましたので、CGMでなければわからないところでした。。
このかたも、スーパー糖質制限食になってからは、高血糖も低血糖もなく、血糖変動幅が極めて小さくなりました。
2017/05/31(Wed) 08:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
お返事有難うございました。
通常ほぼスーパー糖質制限食ですごしていますので、日中は目標値80〜140の間で推移しており夕食後デザートを食べた時位に180を越す程度です。なので今回に関してはアルコールしか原因が無く、今後は焼酎も飲めないのかとショックを受けた次第です。
2週間の測定期間がありますので、もうしばらく様子を見てみます。
有難うございました。
2017/05/31(Wed) 09:09 | URL | rikko | 【編集
ご返答頂きありがとうございます。

以前に同じ時間、同じ糖質量で食後血糖値を2~3回測定機したところ、160前後でした。
自己測定器が高く出やすいことなどを考慮すると、ギリギリ基準内ぐらいかなぁと勝手に想像してました。今回は同じような糖質量で130台でした。
①測定したのが2時間15分後だったので、その15分のズレで130台までさがった。
②以前160前後となった時も、自己測定器の誤差や高く出やすいため、160前後だったが本当は今回のように130台ぐらいだった。
①と②どちらで考えるのが自然でしょうか?
2017/05/31(Wed) 14:09 | URL | だるま | 【編集
Re: タイトルなし
だるま さん

どちらもあり得ると思います。
2017/05/31(Wed) 14:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
10~15分で40以上も値が変化するということですね。ならば、やはり食後の血糖値を測定する際は10分前後のズレもなく、正確に2時間後に測定しないとダメということなんですね。
(病院では正確にというのは難しく以前負荷試験した際にはそれくらいのズレはあったように感じましたが…)
分かりました。
2017/05/31(Wed) 16:30 | URL | だるま | 【編集
まな
献血でグルコアルブミン調べてもらえるとのことでしたが、
妊娠糖尿病で産後境界型と言われました。その状況で献血はできるんでしょうか?
2017/05/31(Wed) 16:37 | URL |  | 【編集
Re: タイトルなし
だるま さん

どちらも仮定としてあり得るといいました。
どちらか一方が正しいとは断定しておりません。
2017/06/01(Thu) 07:22 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: まな
まな さん

妊娠中の人は、通常は献血の対象となりません。
2017/06/01(Thu) 07:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
産後境界型と言われたので、今は妊娠中ではないんですが…
2017/06/01(Thu) 09:03 | URL | まな | 【編集
Re: タイトルなし
まな さん

「糖尿病の方でもインシュリンや薬物投与を受けておらず、食事療法のみ行っておられ、合併症(網膜症、腎症、神経症)がなければ、献血にご協力いただけます。」


以上、日赤の記述です。
2017/06/01(Thu) 17:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
先生、ありがとうございます。
調味料を使わないぶん、塩分が減っているのですね。
ですが、糖質をとらないことで塩分が排出されるからむしろ積極的に塩分をとった方がいいと指導された(妊娠していない時)のですがそれは間違いということでしょうか?
妊娠中の事を特に聞きたいのですが出産後の参考にもしたいのでどうぞよろしくお願いします。
2017/06/03(Sat) 02:53 | URL | ひーちゃんまま | 【編集
Re: タイトルなし
ひーちゃんまま さん

宗田先生にメールで相談しましたが、以下のご回答をいただきました。
私も、糖質制限しながら、妊娠中も出産後も、あまり気にせずに普通に塩分摂取で良いと思います。

『妊婦への塩分制限は、糖質制限を進めて以来あまりしていません。
体重増や、むくみなどの多い方も糖質制限で緩和することや、
実際上糖質制限をしっかりやってもらうと、
お米がないとおかずも塩分が下がりますから
あまり言わなくても実現できているような気がします。そのせいかどうかはわかりませんが、
妊娠高血圧症候群は減っている印象があります。

たまにひどい高血圧、肥満妊婦には入院して糖質制限と塩分制限をしますと
改善は早いです。1週間で2-3キロは減量する方がいます。
基本的には、糖質制限でよくなる気がしています。』
2017/06/03(Sat) 07:44 | URL | ドクター江部 | 【編集
先生、ご丁寧にありがとうございました。
塩分について心配していましたので安心しました。
近くに糖質制限の産院があったらどれだけいいか…宗田先生のところに通える方が羨ましい限りです!!
糖質制限を続けて元気な赤ちゃんを産みたいと思います。
2017/06/10(Sat) 00:24 | URL | ひーちゃんママ | 【編集
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