第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 in 高松 のご報告。
第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会
2017年5月14日(日)

シンポジウム10  9:15~10:45 
第2会場(サンポートホール高松 4階 第1小ホール)

「糖質制限とカロリー制限」 
~ PC 医の知識と対応:栄養、ケトン、出生前、メタボ~(実行委員会企画)
   座長:板東  浩(きたじま田岡病院/徳島大学)
企画責任者:板東  浩(きたじま田岡病院/徳島大学)


糖質制限食の有効性と安全性
江部 康二(一般財団法人高雄病院)

ケトン体の新知見
宗田 哲男(宗田マタニティクリニック)

糖質制限とエネルギー制限
〜食事療法はエビデンスの得難い領域である〜
津田 謹輔(帝塚山学院大学)

妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の効果
松本 桃代(永井マザーズホスピタル)

プライマリ・ケア医による指導の工夫〜 CR vs LCD
板東  浩(きたじま田岡病院/徳島大学)


こんにちは。
先ほど高松から帰京しました。

第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会の
シンポジウム10
「糖質制限とカロリー制限」 
~ PC 医の知識と対応:栄養、ケトン、出生前、メタボ~
に、シンポジストの一人として参加しました。
満員御礼の盛況でした。
シンポジウム終了後は、本の販売エリアに移動し
サイン会や写真撮影で、各講師は大忙しでした。
質問もたくさんいただき、嬉しい限りでした。

それでは内容をご報告いたします。

まずは私の講演の抄録です。
抄録
従来の糖尿病治療の有効性・安全性は信頼度の高いRCTおよびRCTメタ解析において否定的である。
即ち糖質を普通に摂取して薬物治療で厳格に血糖コントロールを目指しても利益はごくわずかで、
低血糖リスクに相殺されるていどである。
これは糖質を摂取すると食後高血糖と平均血糖変動幅増大という酸化ストレスが必ず生じ合併症のリスクとなるからであり、
厳格な薬物治療を行えば低血糖リスクも生じる。
糖質制限食ならそれらが生じない。
米国糖尿病学会は、2007年までは糖質制限食を推奨しないとしていたが
2013年10月「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」において正式に容認した。
「飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は関係がない」
「低炭水化物・高脂肪・高タンパク食に冠動脈疾患のリスクなし」
「低脂質食に心血管疾患改善効果なし」
という結論の信頼度の高い論文が報告されており、
糖質制限食の長期安全性が一定担保された。
さらに、糖質制限食実践により、血糖値、HbA1c、中性脂肪値、HDLコレステロール値が改善する。
LDLコレステロール値も長期的には基準値となることが多い。
即ち動脈硬化のリスク要因が全て改善するので、糖質制限食の長期的予後は良好の可能性が高い。



宗田哲男先生は
ケトン体のスペシャリストとして、
胎児、新生児、胎盤、臍帯に高濃度のケトン体があることを
研究発表してこられました。
つまり胎児、新生児、胎盤、臍帯においては、
現行の基準値よりはるかに高値のケトン体が存在し、
それが正常であることが確認されたわけです。
2016年9月にはこのことに関する英文論文も出されました。
また1型糖尿病でインスリンなしで無事、出産された例など豊富な症例を紹介されました。
「ケトン体は、いつも人体を支える縁の下の力持ちであり、
糖質制限とは、糖質代謝をケトン代謝に戻すという、大転換事業である」
「それは、人体の代謝の基本に戻るということに他ならない。」
と喝破され、糖質制限食の本質について論じられました。


津田謹輔先生は
ニュートラルな立場から、
糖質制限とエネルギー制限について、発表されました。
1)エネルギー制限の役割は、肥満是正によりインスリン抵抗性を軽減すること。
  糖質制限の役割は低下しているインスリン分泌に過剰の負担をかけないこと。
2)栄養疫学と栄養実験。毎日食べるものが異なるヒトの食事については、
エビデンスの得難い領域である。
とされ、DIRECT試験と2017年米穀糖尿病学会のステートメントについても
意見を述べられました。


松本桃代管理栄養士は
妊娠糖尿病(GDM)について、
永井マザーズホスピタルの糖質制限食の豊富な臨床例を提示されました。
ほぼ全てのGDM妊婦において、母子ともに健康で安全な出産であることを
述べられました。
そして現行のガイドラインにおいて、
科学的根拠のある治療方法が見いだせたわけではないことを指摘されました。
妊娠糖尿病(GDM)の本態はインスリン抵抗性であり、
インスリンは多く分泌されているにも関わらず、高血糖を呈することを説明されました。
即ち、インスリンが沢山分泌されている妊娠糖尿病(GDM)の妊婦に、
さらに外部からインスリン注射をするという現行のガイドラインの矛盾点を
強調されました。
インスリンが大量に注射されれば、妊婦は肥満し、出産も難産となります。
理論的に考えて妊娠糖尿病の唯一の有効な治療法は「糖質制限食」です。


板東浩先生は
まずは海外や日本の糖質制限食の歴史を俯瞰されました。
そして、最近は糖尿病専門医においても「糖質制限食」を導入する場合も増えていることを述べられました。
板東先生は日本プライマリ・ケア連合学会において、
メタボ・ロコモワーキンググループを主催され「糖質制限食」の啓蒙活動を
精力的に展開しておられます。
第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会の大会長もつとめられました。


板東先生、この度はお招き頂きありがとうございました。 m(_ _)m
そして、第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会の大成功も
おめでとうございます。


江部康二
コメント
糖質制限に関してはお医者さんの間でもずいぶん考え方が違うんだな、
と感じましたので、投稿させてください。
3年前の健康診断で空腹時血糖115。「念のために」と病院で勧められて
負荷試験を受け、耐糖能異常(境界型糖尿病)です、と言われました。
慌ててネットで調べまくり、江部先生のブログを見つけてご著書を数冊購入。
お勧めサイトから調味料も一式注文して、糖尿病にならないよう、
ワラにも縋る思いで一生懸命に糖質制限を始めました。

その甲斐あって、その後はHba1c 5.8で安定しています。食後高血糖が
心配でしたが、GA値は13で「18くらいかな?」と言うドクターの
予想を下回っていました。これも江部先生がご指導くださった糖質制限食の
おかげです。本当にありがとうございます。

かかりつけのドクターは糖尿病専門医で、学会で江部先生のお話を何度か
聞いておられますが、先日「あなたは糖尿病ではないから、これからは
1年に一度の健診でいいですよ。糖質も制限すると5年後が心配ですから、
あまり糖質を気にせず、通常の食生活を続けてください。」と
おっしゃいました。あまりにも意外な話でしたので「ご飯を食べても
良いんですか?」と再度ドクターに質問したので、決して聞き間違えた
のではありません。それで試しにご飯を軽く1杯食べて自己測定した所、
血糖値が急上昇して200近くになり、びっくりしました。
やっぱり、絶対にもう二度とこんなことはしないと固く心に誓いました。
また、糖尿病専門医でもこういう食事指導をするんだ、と落胆しました。

数日後、湿疹で皮膚科に行きました。食生活を聞かれたので恐る恐る
「糖質制限をしています。」と答えたら「糖質制限、すばらしいですね、
ぜひ、生涯続けてください。」と言われてびっくりしました。ドクターは
アトピーをはじめ、皮膚トラブルの多くは糖質制限だけ治ります、とはっきり
おっしゃいました。そういえば私も毎年冬になると背中の酷いかゆみに
悩まされていたのに今年は塗り薬をつけませんでした。これが糖質制限の
結果だとはドクターに言われるまでまったく気付きませんでした。

その翌週、今度は子宮がん検診で婦人科に行きました。
ここでも糖質制限について聞いてみたところ、冷え症が改善するので、
続けてくださいと言われました。私はかなり酷い冷え症でしたが、
この冬は漢方薬を飲まずに過ごせました。ウォーキングを続けたからかな?と
思っていましたが、婦人科の先生によれば、糖質制限の成果が出ていると
いう話でした。江部先生が教えてくださったおかげで、自分でも気付かない
うちに健康を維持できているようで感謝しています。ありがとうございました。長文すみませんでした。
2017/05/14(Sun) 18:05 | URL | ぽっきん | 【編集
いつもブログ読んで勉強させてもらってます。
他の方のコメントを見て、疑問点がありましたので書かせてもらってます。
突然でしかも横から申し訳ありません。

握り寿司は糖質のかたまりですよね。
寿司を食べて食後血糖値が300超えていたのが、食後ピークで190台だったというのは、耐糖能改善していてすごいなと単純に思ったのですが。
もちろん同じ糖質量でも同じ血糖値にならないのは分かりますが、300超えていたのが190だったのも、バラツキだったということになるんですか??
2017/05/14(Sun) 18:36 | URL | 通りすがり | 【編集
Re: タイトルなし
ぽっきん さん

拙著のご購入、ありがとうございます。

「Hba1c 5.8で安定しています。食後高血糖が
心配でしたが、GA値は13」


これは素晴らしいデータです。GAが13%なら食後高血糖はほぼなしで、糖質制限食が上手くできています。

糖尿病専門医にも、いろいろおられますので、個人差がありますね。
皮膚科と婦人科の医師は、good job です。
2017/05/14(Sun) 19:59 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
通りすがり さん

「寿司を食べて食後血糖値が300超えていたのが、食後ピークで190台だったというのは、耐糖能改善」

で良いと思いますが、厳密には、一回だけのデータで、断定はできないということです。
2017/05/14(Sun) 20:01 | URL | ドクター江部 | 【編集
4月、高雄ではお世話様でした。退院してから血糖値は順調来ていました。インスリンも8単位、9単位でしたが、5月に入って、早朝 血糖値が152、134、148、161、166、154、とかに上がってしまっております。今朝も161でした。この下がらない血糖値はどうしたらよいのでしょうか。夜のインスリンを11単位まで上げています。食事にも注意をしております。2週間滅入っております。アドバイスをお願いします。
2017/05/15(Mon) 08:37 | URL | 関口瑞穂 | 【編集
C-ペプチドを検査するにあたって。
いつも拝読させていただいております。
境界型と言われ2年半近くにりなりスーパー糖質制限と自分では思っている食事をしていて、
A1Cや血糖値も安定しております。
コレステロールはここで書かれているように
結構高めですが読んでいると納得できます。
さて、次回の検査でCーペプチドを久しぶりに見てもらうのですが、日頃、糖質制限しているとインスリン分泌は当然少ないですよね?
前回・・・1年くらい前は確か、0.9ぐらいでした。
負荷検査するときは3日前くらいから糖質を150グラムくらい摂って検査するように事だったと思いますが、C-ペプチドも2~3日前くらいはある程度糖質を摂っていた方が正確な?数値が出るのでしょうか?主治空腹よりは食事をしてきた方がいいよ!と言いましたが。
どんなものなのでしょうか?
負荷検査をお願いしたところ、C-ペプチドでだいたいの状況わかるからと言われました。
2017/05/15(Mon) 16:07 | URL | タカ | 【編集
懲りない行政糖尿病教室!!
都内河北 鈴木です。

江部先生「糖質制限理論」は本ブログでも理解できる様に、国指導なくても世界が受容している事からも私の後遺症残す患者私に於いても
「効果絶大」であり日々認知度は一般にも浸透して来ていることは実感できます。
ありがとうございます!!

私としては、面識無い、利害関係無い、
江部先生理論で改善以上生還できた事は自身デ~タ裏付けあり紛れもない事実です!!

自力「糖質制限理論」実践による改善生還医療デ~タは、
現在東京都病院協会会長K・H経営病院のデ~タです。
「杉並区内では最大規模の病院」だと杉並区医師会より知りました。

しかしこの病院の医療知識は、私のデ~タから理解できる様に、
改善目指す1患者より医療知識欠落していた事は明らかです!!

昨年来2016,2、より数箇所、後遺症あり更なる改善の為に公共機関行政主催杉並区「血糖改善教室」参加してみましたが、
日本糖尿病学会公認医者達は、時代進化解明した世界医療知識を「故意の無知」としか言いがたい説明しかしません。

ある会場では、余りの専門医として無知に自身の「糖質制限理論」による改善生還デ~タ提示し質問した事へ一切返答できず、
以降行政は以前コメントしましたが、参加募集1文に「初めての方優先」を追記記載し明らかな私の参加拒否対策。

私が本ブログ等で以前「疑惑の1文」として指摘してからは、杉並区K某保健センタ~は、その指摘ホ~ムペ~ジを削除しています。

本日も杉並区内「血糖改善教室」検索しますと高円寺保健センタ~「血糖改善教室」
平成29年6月14日(水)の、
募集参加項目に、
定員(申し込み順、初回優先)とあります。

更なる疑問は、糖尿病専門医講師と理学理療法士が別病院である事!!

専門医講師の所属病院も組織的に巨大組織で有るにもかかわらづ共同構成したのか不思議です。

理学療法士の東京都病院協会会長経営病院には、
昨年私が論破した内科吉田勢津子以外に、
東大・門脇孝さんの直弟子が内科副部長O・Tが在籍しているのに不思議です??

内科副部長O・Tの東大論文に題名だけで売名疑惑ありと以前直接本人に指摘した時には、返答不可でした。

もしや、私の参加で私の自力「糖質制限理論」実践での改善生還事実を提示されたら、
福部長自身の病院での事実デ~タであるにもかかわらず解明できないからかもですね??
(出来ない事は数々の改善生還後の病院対応から明らか!!
「故意の無知医療」を証明したから!!)

私が本コメントで伝えたいのは、
医療理念無い病院と行政も病態苦しみ救い求める患者には、
低俗な隠蔽行動に労力費やすなら、
「専門医として、患者よりは世界解明した知識を持って医療従事して欲しいですね!!」

当然ながらですが!!

江部先生の日々の行動には、
生還できて、感謝!感謝!の日々です。
敬具




2017/05/15(Mon) 17:05 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
Re: タイトルなし
関口瑞穂 様

トレシーバは入院時に決めたスケールに従って
増やしてください。
まずは11単位としましょう。

【処方】トレシーバを午後22時~23時 
スケール
1)早朝空腹時血糖値89mg以下・・・1単位減らす
2)早朝空腹時血糖値90~125mg・・・同単位
3)早朝空腹時血糖値126mg以上・・・1単位増やす


詳しくは
樹のはなクリニック  奈良岡 美惠子先生 
とご相談いただけば幸いです。
2017/05/15(Mon) 17:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: C-ペプチドを検査するにあたって。
タカ さん

75g経口ブドウ糖負荷テストでないなら、
早朝空腹時C-ペプチドがいいと思います。

早朝空腹時血中CPRを測定することで、
インスリンの基礎分泌能力などがわかります。

【SUIT指数】
空腹時CPR(ng/ml)×1485/<空腹時血糖値(mg/dl)-61.8>
50%以下は軽度、20%以下は顕著なインスリン分泌低下。
20~23%以下だとインスリン治療が必要。

【Cペプチドインデックス(CPI)】
空腹時CPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl)
1.2以上は正常。0.8以下でインスリン分泌低下。
1.2以上の場合は食事や経口薬治療、0.8未満の場合はインスリン療法を選択。
2017/05/15(Mon) 22:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
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