ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトアシドーシス)と糖毒。
こんばんは。

今日は、とても暖かくて、テニス日和でした。
車が混み合うかもしれないので、自転車でテニスクラブに行きました。
行きはなだらかな下りで楽ですが、帰りは必然的に登りなので、汗もたっぷりかきました。

さて、暑くなってくるとペットボトルを持ち歩いたりして、
清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。

もともと2型糖尿病であったり境界型糖尿病レベルの人が、
液体の糖質(清涼飲料水)のような吸収されやすい糖質を、
多量に毎日のように摂取していると、飲む度に血糖値が急上昇するので、
高血糖にならないようにインスリンが大量に追加分泌されます。

このようなペットボトル生活を、1~2週間から1ヶ月近く続けていると、
ついには膵臓のβ細胞(インスリンを作る細胞)が疲弊してしまい、
インスリンの生産が追いつかなくなり血糖値が高くなり、
一日を通して、200mg/dlを超えるようになってしまいます。

一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。(*)

糖毒の悪循環が続けばインスリン作用は遂に欠落してしまい、
糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な病態になり、
血糖値は300~1000mg/dlにもなり、
ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
治療が遅れたら、死亡することもあり得ます。

この状態を俗にペットボトル症候群と呼びますが、正式名称は清涼飲料水ケトアシドーシスです。

この様なときは、緊急入院して生理的食塩水の点滴で脱水を補正し、
インスリン注射をして、血糖値をコントロールします。

血糖がコントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、
インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。

従って、退院後はもとの状態に戻るので、インスリン注射も勿論必要ありません。

清涼飲料水ケトアシドーシスの特徴

①清涼飲料水を大量に摂取する(一日平均約2リットル)
②青年期から中年にかけての男性に多い
③発症時に肥満があるが肥満歴を有する人が大半
④血縁者に糖尿病患者がいるケースが半分以上
⑤患者に病識がないか乏しい


大量の液体の糖質を摂取することが、ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)の元凶です。

液体糖質大量摂取以外には起こりえない病態ですが、
今でも時々見かけますので、注意が必要です。

2型糖尿病で、糖尿病ケトアシドーシスを発症する場合、ほとんどがペットボトル症候群です。


液体糖質摂取によるペットボトル症候群は、
日本人に多い病態で、欧米人にはほとんど見られません。
このことには、インスリン分泌能力の差が関係していると思われます。

日本人は、生来、インスリン分泌能力が、欧米人に比べると低いので、
β細胞が疲弊しやすく、ペットボトル症候群を生じやすいものと思われます。

これに対して欧米人は、、清涼飲料水を大量に飲んでも、
元々インスリン分泌能力が高いので、β細胞が疲弊することがなく、
200mg/dlを超える高血糖にもなりにくいにくいものと思われます。

そのかわり、肥満ホルモンであるインスリンを長期にわたり大量に分泌し続ける能力により、
欧米人においては、150kgを超える巨大な肥満患者が多数存在することになります。


いずれにせよ、ブドウ糖や砂糖入りの清涼飲料水は、危険な飲み物という認識が必要と思います。
コーラやファンタやスポーツ飲料など、糖質を含有しているものは、
全てペットボトル症候群の元凶となり得ます。

糖尿人や境界人の方々は、
水分補給はお水や麦茶やルイボスティーなど、糖質ゼロでカフェインゼロのものが好ましいです。

ちなみに米国飲料協会(ABA)は、
公立小中学校でのエネルギー量(糖質)の多い清涼飲料水の発売を2009年、全面停止しています。


(*)糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。
インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。

≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫

この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。

なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、
最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。




江部康二
コメント
初めまして。4月より糖質制限している「大阪のカモ(52歳 女性)」と申します。

3月にかかりつけの病院で「糖尿病予備軍」と言われ、いろいろ調べているうちに先生のブログを見つけました。

2016/10 空腹時血糖112 ヘモグロビンA1C(NGSP)6.9

2017/3 空腹時血糖101 ヘモグロビンA1C (NGSP)6.6


そして、体重の推移ですが
3月80㎏ 4月77㎏ 5月73㎏(毎月、月初めに自宅で測定)となっています。


ところで5月 15日に大阪市立大学 市民医学講座というのがあり、

演題「糖尿病といわれたら~病態から糖質管理食まで~」(福本 真也先生)



また、感想をメールさせていただきます。


 


2017/05/01(Mon) 06:59 | URL | 大阪のカモ | 【編集
Re: タイトルなし
大阪のカモ さん

体重、血糖、HbA1c、順調な経過ですね。
良かったです。

大阪市立大学 市民医学講座

是非、感想をお聞かせください。
2017/05/01(Mon) 14:17 | URL | ドクター江部 | 【編集
ドリンク
昨年末から糖質制限食を行っております。夏場にドリンク・・・考えておりました。今、外出先で何が起こるかわからないので(お付き合いの食事)ヤーコン茶を持参しております。熱中症の事を思うと麦茶の方がいいのかな?と悩んでおります。
2017/05/01(Mon) 14:35 | URL | ひまわり | 【編集
アスパルテームやアセスルファムKを含むカロリーゼロゼリー1個で下痢をします、遠藤製餡さんのゼロようかんは何個食べても下痢しません、やはり甘味料の種類によるのでしょうか、どうか御教授ください。
2017/05/01(Mon) 16:23 | URL | まめこ | 【編集
Re: ドリンク
ひまわり さん

調べてみましたが、ヤーコン茶の成分が不明でした。
水分補給は、お水や麦茶やルイボスティーなど、糖質ゼロでカフェインゼロのものが好ましいですね。


2017/05/01(Mon) 17:35 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
まめこ さん

個人差があると思います。
どうもない人もいると思います。

しかし、まめこさんが、下痢をするということなら、それを避けるということでいいのではないでしょうか?
アスパルテームやアセスルファムKがなくても別に困らないと思います。

2017/05/01(Mon) 17:40 | URL | ドクター江部 | 【編集
お返事
ありがとうございました
2017/05/02(Tue) 15:49 | URL | ひまわり | 【編集
糖毒は治りますか?治りませんか?
本文中に、ペットボトル症候群=糖毒状態となり適切な治療で改善すると書かれています。
一方で、糖尿病においては、糖毒状態から糖質制限にて血糖値コントロールを開始しますよね。
治るのでしょうか。治らないのでしょうか。。
自分は、コントロールではなく、改善して以前のように普通の食事を出来るようになりたいのですが、インスリン抵抗性を改善する方法をご教授ください。
2017/05/02(Tue) 18:48 | URL | 糖質制限始めました | 【編集
Re: 糖毒は治りますか?治りませんか?
糖質制限始めました さん

このご質問への具体的な回答は困難です。
以下の糖質制限賛成派の医療機関を受診され、ご相談下さい。


日本糖質制限医療推進協会
http://www.toushitsuseigen.or.jp/
提携医療機関
http://www.toushitsuseigen.or.jp/med-institution
2017/05/03(Wed) 08:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございました。
2017/05/03(Wed) 18:54 | URL | まめこ | 【編集
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