糖質制限食の過去・現在・未来
【17/04/02 クワトロ 
おはようございます
糖質制限、ロカボ、地中海食など・・健康食と呼ばれるものに身近に接することが多くなりました。 
世間では、どのようにその構図が作られているのか、何をもって判断するのか、
メディアは大きな影響を与え、国をも動かす力があるようです。 
私自身、糖質制限モドキ5年目ですが、本当に快調な日々を過ごさせてもらっています。 
始めた当初は変人扱い。 
自身も低血糖になったらどうしよう、倒れたら病院へ運んでくれ、
といいながら始めたのが懐かしいです。 
結果は病院どころか、体重が大幅に減り、細マッチョを自負していますが、
健康体になってきております。 
このコメントに参加されてる糖尿病サバイバーの方々の草の根情報が、
今のブームというとおかしいのですが、
力となって良いものが残ってきてるように感じます。 
サバイバーの人体実験があり、その効果も絶大なものがあるのが事実でしょう。 

私たちは、気が付いたら生まれていて、常にその世界の内側の空しか見ていません。 
江部先生のおかげで、外側から世界を見ることができました。 
すると、なんとえげつない情報に振り回され、未だに正直者が本当にバカを見る現状に、心ある人はいないのか?と思ってしまいたくなります。 

自分の身体に変調があれば、人は本気になります。 
でも、それでは遅いのです。 
そして、そうならないとわからないのも事実です。 
長くなりました、申し訳ありません。 
ただ、フッとたまに感謝の念が込み上げてくるので投稿させてもらいました。 
江部先生を始め、サバイバーの皆様のコメントを毎日楽しみさせていただいています。 
これからもよろしくお願いします。】


こんにちは。

クワトロさんから、糖質制限食の過去・現在に関するコメントを頂きました。
ありがとうございます。
糖質制限食で体調良好、良かったですね。


<糖質制限食の過去・現在>
たしかに私が、一般向けの初の糖質制限の本
主食を抜けば糖尿病は良くなる!、2005年(東洋経済新報社)
を上梓したころは、はっきり言って、四面楚歌の状態でした。
糖質制限食賛成派の医師は、高雄病院グループ以外は皆無であり、
本を読んで入院してきた糖尿病患者さんも、
「主治医には黙ってこっそり来た」
「主治医に言ったら、怒られた」
といった状況でした。
私も、勿論、他の医師には、奇人・変人扱いされていたと思います。

本ブログを立ち上げたのが、2007/2/27(火)です。
その後、理論面の本やレシピ本などを各社から多数出版してきました。
クワトロさんが仰るように
ブログを見たり、本を購入した糖尿病サバイバーの皆さんや
減量に成功したダイエッターの方々が、ご自分のブログ、フェイスブックなどで
糖質制限食のことを草の根的に広めて頂いたのも
今日の隆盛の大きな力となったと思います。
この間、私自身も、ブログで毎日情報発信し、本を上梓するなど、
糖質制限食を日本に広める役目を確実に果たしてきたかなと自負しています。

2010年頃からは、テレビ・新聞・雑誌などのマスコミが、
こぞって糖質制限食を取り上げるようになり、
世間一般の認知度は格段に上がりました。

さらに流れが、はっきり変わったのは、2012/1/15(日)
第15回日本病態栄養学会年次学術集会(国立京都国際会館)において
「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」
というディベートセッションが開催されてからです。

通常は3000人規模の学会に4000人の医師・栄養士が参加し
大きな反響を巻き起こしました。
このことは糖質制限食が医学界の表舞台に初登場したという意味で、
大きな一歩といえます。
私のブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」のアクセス件数もこの日を境に
1000件以上増えて、現在1日に数千件のアクセスがある人気ブログとなりました。
このセッション以降、日本全国の医師会や病院から講演依頼が相次ぐようになり、
医学界にも爆発的に糖質制限食が広がり始めました。
2012年は、糖質制限食普及において、飛躍の年となりました。

このように、医学界ではなく、
在野の糖質セイゲニスト達(医師、糖尿人、ダイエッターなど)が
今日の日本の糖質制限食の歴史を切り開いてきたと言えます。

さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において
地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、大変大きな追い風となりました。

近年、外食産業やコンビニでも糖質制限食OK食材が販売されるようになりました。
NHKクローズアップ現代によれば2016年7月時点で、
糖質制限食の社会への浸透による市場規模は既に3000億円を超えているそうです。


<糖質制限食の未来>
このような現状において、
糖質制限食は様々な生活習慣病の予防と治療に顕著な効果を発揮し、
医療費削減の切り札となると思います。

さらに糖質制限食により社会が大きく変わり、
様々な経済効果をもたらし、健康寿命をのばす可能性があります。

糖質制限食に内在する大きなポテンシャルにより、
日本において、栄養学や医学における意識革命、
産業界における経済革命が起こる可能性が高いと考えています。


<間違った常識に囚われるのは危険>
そして最後に、クワトロさんがご指摘のように
従来の常識に囚われていたら、生命の危険があるのが、糖尿病食の世界です。
『血糖値を直接上昇させるのは糖質だけであり、タンパク質・脂質は上げない』
という生理学的事実に基づき、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を予防できるのは糖質制限食だけです。

糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は酸化ストレスを生じ、
合併症のリスクとなります。

従って、従来の糖尿病食(高糖質食)実践では、
純粋理論的に合併症予防は不可能です。
従来の糖尿病食は、『合併症製造食』としか言いようがないのが現実なのです。

糖尿人の皆さんは、まだ間に合ううちに、
是非、自分の頭でしっかり考えて、常識の殻を打ち破り
真実を理解されて、身を守って欲しいと思います。


☆☆☆参考
<戦後の日本の糖質制限食の歴史>
戦後日本の糖質制限食の臨床実践は、
1999年から釜池医師が宇和島で開始し、
同時に京都の高雄病院でも筆者の兄江部洋一郎医師が開始し有効例を重ねました。
その経験を踏まえ医学文献では、
2004年に筆者が本邦初の糖質制限食有効例の報告を行いました1)。
2005年には上述の如く、筆者が本邦初の一般向けの本を出版しました2)。

その後、2012年に山田悟医師、2013年に夏井睦医師、2014年に渡辺信幸医師、
2015年に宗田哲男医師が一般向け糖質制限食の本を出版しました3)4)5)6)。

糖質制限食の広がり、いよいよ加速がついてきました。

2015年4月から、東大病院でも糖質摂取比率40%の糖尿病食が導入されました。
2017年2月7日、東大病院の教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で
90分間ほど鼎談を行いました。渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授です。


1)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
      京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
2)江部康二:主食を抜けば糖尿病は良くなる!、2005年(東洋経済新報社)
3)山田悟:糖質制限食のススメ、2012年(東洋経済新報社)
4)夏井睦:「炭水化物が人類を滅ぼす」2013年(光文社新書)
5)渡辺信幸:日本人だからこそ「ご飯」を食べるな  、2014年(講談社)
6)宗田哲男:「ケトン体が人類を救う」、2015年(光文社新書)


江部康二

コメント
突然失礼します。
医学部に通う学生です。
内分泌・糖尿病を専攻したいと考えており、先生のブログ遡って読ませて頂いてます。
お恥ずかしいんですが、そこで1つお聞きしたいことがありまして…。
糖尿病になりやすい体質でもなく、何も異常がない全くの正常人が妊娠糖尿病になることもあるんでしょうか?
『妊娠糖尿病になった人は将来糖尿病になる可能性が7倍高い』と思っていましたが、妊娠糖尿病になった人が糖尿病になりやすいのではなく、元々糖尿病になりやすい体質の人が妊娠糖尿病になったのではないかなと思いまして。
先生のお考えを伺いたいです。
2017/04/02(Sun) 19:17 | URL | 医者の卵 | 【編集
回復を心から祈っているのですが…
今日知人から、お友達の糖尿病の事を初めて聞きました。
10年前に糖尿病と診断され、合併症を恐れて三年かかって減量し、体重も数値も正常値まで下がったそうですが、何度か低血糖で助けてと電話があり知人が駆けつけたそうです。投薬とカロリー制限で頑張ったのですね。
なのに最近主治医から、そろそろ透析の必要があると宣告されたそうです。
その話を聞いて、気の毒で泣きそうになりました。
10年間どんなに苦労して減量に励んだ事でしょう。
主治医の指示を一生懸命守って必死に頑張って来たのに、透析だなんてあんまりです。
すぐに、江部先生の御本とブログの事、高雄病院の事を伝えました。知人はたまたまアレルギーで高雄病院のお世話になって治して貰った事があり、今日にも友人に伝えると言ってくれました。
呉々も、マスコミの反対意見を信じないで、私の結果を信じて欲しいと頼みましたが、どこまで通じるか分かりません。
実はこんな事が、あちらでもこちらでもあるのです。江部先生の仰ることを信じて貰えれば助かるのに、皆が皆半信半疑で結局マスコミの言う事を信じ、合併症まっしぐらなのです。
目の前の私を見れば分かるはずなのに、もう歯痒くて堪りません。
自業自得と言えばそれ迄ですが、マスコミの在り方が何とかならんのかと腹立たしいです。
2017/04/02(Sun) 21:15 | URL | まちこ | 【編集
ブランデーは糖質制限食NG? OK?
ウィスキーが糖質制限食OKは理解できました。
ブランデーはいかがなのでしょうか?
ご教示頂ければ幸いです。
2017/04/02(Sun) 22:45 | URL | らこ | 【編集
Re: タイトルなし
医者の卵 さん

妊娠して胎盤が成長していくに従って、インスリン抵抗性が増大して、
妊娠糖尿病を発症します。

正常妊婦はインスリン抵抗性に対して、しっかり対応ができるので、血糖コントロールができます。
妊娠糖尿病の妊婦は、インスリン抵抗性に対して、対応できないので血糖値が上昇するということです。

すなわち、ご指摘通り、妊娠糖尿病になる人は、そうでない女性に比べると
耐糖能に何らかの問題があるということです。
2017/04/03(Mon) 07:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 回復を心から祈っているのですが…
まちこ さん

基本的に、自分で考えて自分で判断し、自己責任で治療法を選択するというスタンスが必要です。

そうでないと、糖質制限食も継続できないと思います。
2017/04/03(Mon) 07:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ブランデーは糖質制限食NG? OK?
スコッチはごく微量のカラメルがあり
バーボンはカラメルなしということで、これらのウィスキーは糖質制限OKです。

コニャック・アルマニャックにおいては4つの添加物が認められています。
「蒸留水」「オークチップス」「糖」「カラメル」です。
糖はアルコールの刺激を和らげるために使用されます(全体の2%まで添加可能)。
カラメルは色味調整のために使用されます。
これらの添加物はメーカーによって使うか使わないか委ねられています。

まあブランデーを大量に飲むことはないので、まず大丈夫と思います。
2017/04/03(Mon) 07:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
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