「人類の歴史と運動」、「糖質セイゲニストと運動」
こんにちは。
今回は「人類の歴史と運動」、「糖質セイゲニストと運動」について考察してみます。

人類は700万年の歴史のほとんどを狩猟採集生活で過ごしてきました。
狩猟採集時代は穀物はないので、基本は糖質制限食です。
そのころは「糖質制限食」をベースにかなりの運動量があったと考えられます。

従いまして、現代の糖質セイゲニストにおいても、一定の運動はした方がいいと思います。

農耕開始前の人類の食生活とライフスタイルならば、結果として

「糖質制限食」+「一定量の運動」+「一定量の筋肉量」

が確保されていたと思われます。

運動は、基本的には歩行が主体だったと考えられます。

激しい運動(全力疾走)は、肉食動物に追いかけられた時などに限られたと思います。

初期の段階の人類は、石器などの道具も、まだあまり発達していないので、狩猟といっても、肉食動物の獲物の残り物にありついていたレベルでしょう。

ヨーロッパのオーリニャック文化以降は、道具も洗練されて、人類の狩猟も飛躍的に上手になり、狩りで追いかけて走ったりも始まったと思います。

女性は狩りには参加しなかったので、狩りで走ることはなかったでしょうが、採集で森の中などを結構歩いていたと思います。

筋肉量に関しては、野生動物の体型が参考になります。

ライオン、チータ、虎などの肉食動物の筋肉はしなやかな筋肉で、ボディビルダーのようなムキムキではありません。
鹿や馬などの多くの草食動物も同様です。

狩猟・採集が生業だったころの人類の筋肉も、しなやかな筋肉と思われます。

従いまして、現代人においても、基本的に「よく歩く、時々走る」ことでOKかなと思います。

運動量に関しては、明治のころの日本人は、お米たっぷりで糖質70~80%も摂取していましたが、糖尿病や肥満は、ほとんどありませんでした。

日々の肉体労働、歩く、掃除する、井戸に水くみなど、日常生活における中等度以上の運動量が現代人の約10倍と言われていますが、一般人は、日常的に走ったり鍛えたりはしていないと思います。

運動量に関しては、明治の日本人が参考になると思います。

東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利氏によると、

男性で8000歩/日、そのうち20分間の速歩(中等度の活動)。
女性で7000歩/日、そのうち15分間の速歩。

くらいの、ぼちぼちの運動で、筋力を保ち、体力低下を抑えることができるそうです。

そして、うつ病、認知症、心疾患、脳卒中、がん、動脈硬化、骨粗鬆症、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームの予防効果が期待できるとのことです。(*)

年齢不相応の激しい運動は、活性酸素も多く発生するので、逆効果ということです。

私は、1回/1~2週、テニスをしていますが、日常的に運動するのは時間的に無理なので、病院内でよく歩いています。

電話は自分からかけることはありません。

用事があれば、理事長室から本院の給食(地下)、外来(1階)、病棟(2階、3階)までいったりきたり歩きます。

高雄病院の理事長室は、ちょっとした丘の上にあります。

取材にこられた記者さんなど、正面玄関から理事長室までたどり着いた時には、ほとんどの方が息切れしてます。( ̄_ ̄|||)
私は理事長室と本院を、一日に数往復はしています。

高雄病院京都駅前診療所はビルの4階ですが、階段を早足で歩いて上がるようにしています。
まあ、ほとんど軽く走っている感じですね。

講演などの時も駅の階段を歩きます。
ビルも7階くらいまでは階段を歩きます。

それやこれやで、仕事と日常生活で、だいたい5000~6000~7000歩/日くらいは歩いていて、速歩は軽く20分は超えています。

帰宅後、コンビニへの往復を歩けば、8000歩/日くらいになります。

雨の日などは、家で足踏みして、2000歩くらいを稼ぎます。

それで目標をクリアです。

腹筋運動は、一番楽な、倒れるだけでOKという、剛力彩芽さんが宣伝している器具で、150~300回/日しています。
講演や外食などで、腹筋運動ができない日も、ぼちぼちあります。

ブログ読者の皆さんも、ちょっとした日常生活の工夫で8000歩/日と20分間の速歩が、クリアできると思いますので、是非、試してみましょう。


なお、拙著の中で、

「3食主食なしのスーパー糖質制限なら運動は必要ない」

との記載があるのは、「血糖コントロール」「減量」ということに関しては、ほとんどの人においてスーパー糖質制限食なら運動しなくても上手くいくという意味です。

骨粗鬆症予防など含めた長期にわたる健康度の確保には、軽度の運動が有用なことはいうまでもありません。

一方、何らかの障害があり運動が困難な方でも、スーパー糖質制限食なら減量可能というメッセージであり、同様に、糖尿病があるけれど何らかの障害があって運動できない場合でも、スーパー糖質制限食なら血糖コントロールが可能ということでもあります。


(*)なぜ、健康な人は「運動」をしないのか?青柳幸利著、あさ出版、2014年


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
ケトアシドーシス
緊急です、一昨日から知人が口が乾き倦怠感があり、ジュースを欲しがるので総合病院に連れて行きました、どうも血糖値が高いようです。何か効果的な治療はあるのでしょうか?
2017/03/20(Mon) 18:43 | URL | 甘いミカン | 【編集
Re: ケトアシドーシス
甘いミカン さん

意識があり、総合病院をすでに受診しておられるなら、大丈夫です。

生理的食塩水の点滴とインスリン注射で、
たとえ「糖尿病ケトアシドーシス」になりかけでも、治療が可能です。
2017/03/20(Mon) 20:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
山田悟先生の主張(1)
2017/3/2 のblog書き込みの続きです

https://www.m3.com/clinical/news/506968

「糖質の推奨量」定義はこう考えよ【時流◆糖質制限】

山田悟・北里大学北里研究所病院糖尿病センター長に聞く◆Vol.1

時流2017年3月2日 (木)


定義にとらわれる必要はないと話す山田氏

 食事療法の中で、健康人の間にも広まっているのが「糖質制限」だが、手軽にできるイメージを危惧する医療者は少なくない。m3.com意識調査「糖質制限、あなたは支持する?」では、医師の6割が肯定的な意見を示したが、一方で4人に1人は慎重な姿勢だった(『糖質制限、医師の6割が「支持」』を参照)。北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟氏に、適切な摂取量など糖質制限の留意点について尋ねた。(聞き手・まとめ:m3.com編集部 森圭吾)

大事なのは定義よりも結果

――糖尿病治療における1日の糖質摂取推奨量について、どうお考えですか。

 1食につき20-40gを1日3食、これとは別に嗜好品で1日10gほど摂取すると考えれば、70-130g/日になるような食べ方が良いと思います。ただし、決して70-130g/日さえ守っていれば良い訳ではなく、1食20-40gを優先した考えから算出している数値です。食事のたびに食後高血糖が起きているので、当然のことながら毎回、食後高血糖が起きないように糖質量をコントロールする考えです。

 世界的にさまざまな論文で使われている糖質制限食の定義では、ある国の研究グループでは糖質の摂取量が120g以下、別の研究者の考え方では130g以下、あるいは150g以下などとありますが、こうした数値にとらわれる必要はありません。

 われわれが実施したランダム化比較試験(RCT)では、参加者の1日当たりの摂取量が平均で130gになりました(Intern Med 2014, 53, 13-19)。RCTに登録するということは、少なくとも糖尿病治療における食事療法への意識が高いであろうと思われる人たちですが、それでも平均が130gということは、半分の人は130g/日を守れていなかったということです。

 にもかかわらず、参加者全員のHbA1cは低下していたのです。糖尿病治療における糖質制限の目的は、あくまでも血糖改善なのだから、70-130g/日であれ、150g以下/日であれ、どのような定義を用いて指導するにせよ結果が得られればいいのです。たとえ指導内容と乖離した摂取量であっても、治療目的が達成できていればそれでいい。だから、定義にはそれほどとらわれる必要はないと考えています。

――糖質摂取の推奨量に下限は設けるべきなのでしょうか。

 他の糖質制限食の研究者とわれわれが大きく異なるのは、糖質摂取の推奨量に下限を設けている点です。極端な糖質制限食、いわゆる「ケトジェニックダイエット(ケトン産生食)」への考え方については、2015年に発表されたEMPA-REGアウトカム試験で総死亡率の低減が認められる結果が出て、2016年にその機序として「ケトンの産生こそがSGLT2阻害薬における臓器保護、生命予後の改善を生む」という仮説が提唱されており、取り巻く状況はかなり大きく変化していると思います。ただし、この点について現時点では議論があるところなので、われわれはケトジェニックダイエットをまだ避けています。

 実は、ケトジェニックダイエットを実施する際には、マルチビタミンやミネラル、カルシウムなどのサプリメントを摂取するようにとてんかんの国際的な治療グループが推奨しています。われわれはサプリメントを摂取しないと微量元素が不足するような食べ方は推奨しないという考えから、下限をなくしていないのです。これが、先ほど示した推奨量となります。

グリセミック指数だけで判断は「早計」

――糖質の「質」に着目した低Glycemic Index(GI、グリセミック指数)食はどうでしょうか。

 糖質の「量」に主眼を置く糖質制限に対し、糖質の「質」に着目した低GI食に関する研究も盛んに行われていますが、OmniCarb試験では、糖質の量と質のどちらが糖代謝への影響がより強いのか、ということについて検討がなされました。それによると、低糖質であれば高GI、低GIに関わらず血糖の改善につながるとの結果でした。一方で、低GI時の高糖質摂取は、低糖質摂取下での高GIより血液中の糖とタンパクが結合してできるフルクトサミン(FA)や、血中タンパク質のアルブミンとブドウ糖が結合したグリコアルブミン(GA)の成績が悪いのです(BMJ Open Diabetes Research and Care 2016, 4, e000276)。GIは高糖質の状態では効くのでしょうが、低糖質の状態であれば、あまり関係しないだろうと思います。

 もう一点、GIで気を付けたいのは、果糖に対する判断が甘くなることです。果糖はブドウ糖に変換しにくいので、GIは20(低GI=55以下)となりますが、これをもって果糖が低GIの良い食品と言えるかといえば、懐疑的です。というのも、UCDのグループがまとめた論文(J Clin Invest 2009, 119, 1322-1334)によると、果糖摂取群とブドウ糖摂取群で糖代謝能を比較したところ、果糖群の方が3カ月後の糖代謝能が悪くなっていたのです。

 中性脂肪(TG)に転換しやすい果糖では、内臓脂肪が付いてインスリン抵抗性が高くなっているのです。GIとは、単回投与における食後血糖に対する影響を見た結果ですが、果糖では中長期的な影響がある。そう考えると、やはりGIだけで判断するのは早計だろうと思います。(続く)


【訂正】2017/03/03、以下の点を修正しました。記事中で言及のある論文のうち、J Clin Invest 2009, 119, 1322-1334の研究グループがUCLAとなっていましたが、責任研究者の所属はUCD(米カリフォルニア大学デイビス校)でした。お詫びして訂正します。
2017/03/20(Mon) 20:28 | URL | 精神科医師A | 【編集
安心しました。
素早いお返事ありがとうございました。m(__)m
2017/03/20(Mon) 20:41 | URL | 甘いミカン | 【編集
ビタミンCについて
禁止キーワードにひっかかってしまって、きちんとコメントできないのですが、
バーンスタイン医師の本に書かれていますビタミンCについて、先生はどういったご見解でしょうか?今飲んでいるサプリに500入っていて、やめたほうがいいでしょうか?
2017/03/20(Mon) 22:49 | URL | もら | 【編集
初めまして
場違いかもしれませんが、色々調べていたらこちらを見つけましたので、投稿させてもらってます。よければ教えて頂けないでしょうか。
糖尿病家系ですが、特に気にせず食事していました。ですが、ふと気になり、父が測定器持っているので測定してみました。
ケーキなど甘いものを摂取して、1時間後128でした。その直後に夕食摂取(主食抜き)して、1時間後144で、2時間後122でした。
30代女性です。この数値はどうなんでしょうか?健康人は血糖値が140越えることはないと読みましたので、糖尿病とまではいかなくても異常があるということでしょうか?
また、甘いものを食べて1時間後に食事摂取というのは、体への負担は大きいですよね…。やはり間食と食事の間隔は2時間はあけるべきでしょうか?
2017/03/20(Mon) 23:36 | URL | あい | 【編集
「糖質制限食」+「一定量の運動」+「一定量の筋肉量」
という言葉で思い起こすのは釜池先生です。
農耕開始以前と同じように、なんでも自分でなされるからこそあれだけの筋肉を維持できるのでしょうね。ああいう風になりたいものです・・・。

江部先生の御本を読んでスーパー糖質制限食を始めてから二ヶ月たちます。
肥満や糖尿病では今のところありませんが、体力がないので健康食として始めました。
鉄欠乏性貧血があるため脂質の代謝がうまく回ってないみたいで、ときどき低血糖っぽくなったりしてますが・・・鉄剤と食事で体を立て直しつつゆっくりぼちぼち進めています。
運動はするなと医師に言われているので、今は部屋でできる筋トレを息があがらない程度にやる程度です。もっと動きたい・・・。
でもこれからもっと体力が付いて来るのかと思うと今から楽しみです(^^)/

江部先生のブログでは楽しく勉強させてもらっています。
人類の進化と食生活カテゴリの記事やビタミンCに関する考察が好きだったりします。
毎日更新楽しみにしてますよ~♪
2017/03/21(Tue) 02:30 | URL | ぺこら | 【編集
どうも有り難うございましたm(__)m
素早いご返事、ありがとうございました、今は落ち着いてきているようです。
2017/03/21(Tue) 08:14 | URL | 甘いミカン | 【編集
Re: 山田悟先生の主張(1)
精神科医師A さん

情報をありがとうございます。

山田悟氏の推奨する糖質量
 「1食につき20-40gを1日3食、これとは別に嗜好品で1日10gほど摂取すると考えれば、
70-130g/日になるような食べ方が良いと思います。」


日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)なら、糖質摂取比率60%として、
男性なら1400~2000kcal/日なので
「1食につき70-100gを1日3食」となります。

これに比べたら山田流でも、かなりましなので、従来の糖尿病食に比し、HbA1cもあるていど改善します。

しかし、40gの糖質摂取なら、血糖値の上昇は120mgあるので
糖尿人なら、食後血糖値が180~200mg/dlを超える可能性が高いです。
これでは、合併症予防には黄色~赤信号になりますね。
2017/03/21(Tue) 08:31 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ビタミンCについて
もら さん

1日500mg以上のビタミンC摂取に対して、バーンスタイン医師は、否定的見解ですね。
「バーンスタイン医師の糖尿病の解決、第4版、2016年、149ページ」


大量のビタミンCを摂取すると、見かけの血糖値が上がることがありますが、
これはビタミンCとブドウ糖の構造式が類似しているためと思います。
しかし本当に血糖が上昇しているわけではありません。


そのことを知っていれば、ビタミンCそのものに害はないと思います。
2017/03/21(Tue) 09:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 初めまして
あい さん

「健康人は血糖値が140越えることはない」

というのは、10代や20代の、家族歴に糖尿病のない健常者における話です。
30代や40代以降は、健常者でも、糖質1人前摂取で、140mg/dlを超えることはよくあります。

あいさんのデータは、正常型であり、問題はないです。

「間食と食事の間隔は2時間はあけるべきでしょうか?」

その方が良いと思います。
2017/03/21(Tue) 09:05 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
ぺこら さん

拙著のご購入、ありがとうございます。

鉄欠乏性貧血ならば、鉄剤で速やかに改善すると思います。
脂質とたんぱく質はしっかり摂取して、体力をつけましょう。

糖質制限食では、肉や魚貝や卵がお薦めで、勿論野菜や大豆製品なども良いです。
カロリー不足にならないようにしっかり食べましょう。

「人類の進化と食生活」とか、興味があります。
また新たな情報をみつけたり、整理整頓したいときは記事にしようと思います。
2017/03/21(Tue) 09:11 | URL | ドクター江部 | 【編集
そうなんですね。
安心しました、ありがとうございます。
ちなみに、さきほどのデータのときは、主食抜きだったので、糖質1人前もなかったかもしれませんが、大丈夫なんでしょうか(>_<)
何度もすみません。
2017/03/21(Tue) 11:07 | URL | あい | 【編集
Re: タイトルなし
あいさん

太字の文ケーキなど甘いものを摂取して、1時間後128でした。その直後に夕食摂取(主食抜き)して、1時間後144」

主食抜きでも野菜などには糖質が含まれています。
144-128= 16mg
16mgの血糖上昇ですので、3mgで割ると、5.3gの糖質が含まれている計算です。
野菜分などの糖質で調度と思われます。
2017/03/21(Tue) 12:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
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