中鎖脂肪酸油を含むケトン食による高齢者の認知機能向上
【17/02/21 精神科医師A

Re: 糖質制限と痴呆症
世界初の研究成果
中鎖脂肪酸油を含むケトン食による高齢者の認知機能向上
~国際科学雑誌Psychopharmacologyで発表~

国立精神・神経医療研究センター神経研究所(所長:武田伸一)の疾病研究第三部太田深秀室長、功刀浩部長らと株式会社 明治(代表取締役社長:川村 和夫)の共同研究グループは、中鎖脂肪酸油※1(MCT)を含むケトン食の摂取により、認知症でない 高齢者の認知機能が向上することを世界で初めて明らかにしました。

本研究成果は、2016年8月30日に国際科学雑誌Psychopharmacologyのオンライン版で公開されました。

http://www.ncnp.go.jp/press/release.html?no=116



こんにちは。

精神科医師Aさんから、大変興味深くかつ嬉しい情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。

国立精神・神経医療研究センター神経研究所の共同研究グループの発表で、中鎖脂肪酸油を含むケトン食により高齢者の認知機能向上が明らかとなり公開されました。

世界初の研究成果だそうです。

ケトン食摂取により、血中ケトン体濃度が高まりそれにより認知症でない 高齢者の認知機能が改善したと考えられます。

近年、ケトン体の腎保護作用を示唆する論文も発表されており、ケトン体に対する評価がどんどん良い方に高まっているのは嬉しい限りです。



江部康二



『プレスリリース詳細
平成28年9月15日

世界初の研究成果
中鎖脂肪酸油を含むケトン食による高齢者の認知機能向上
~国際科学雑誌Psychopharmacologyで発表~

 国立精神・神経医療研究センター神経研究所(所長:武田 伸一)の疾病研究第三部太田深秀室長、功刀浩部長らと株式会社 明治(代表取締役社長:川村 和夫)の共同研究グループは、中鎖脂肪酸油※1(MCT)を含むケトン食の摂取により、認知症でない 高齢者の認知機能が向上することを世界で初めて明らかにしました。
 本研究成果は、2016年8月30日に国際科学雑誌Psychopharmacologyのオンライン版で公開されました。

 【内容】
■論文タイトル:
Effect of a ketogenic meal on cognitive function in elderly adults : potential for cognitive enhancement
(高齢者の認知機能に対するケトン食の効果:認知機能向上の可能性)

■概要:
 脳は通常、糖をエネルギー源として利用しますが、加齢により糖を利用する機能が低下することが報告されています。脳は糖に代わるエネルギー源として、生体内で主に脂肪酸から生成されるケトン体※2を利用することができます。本研究では、このケトン体の生成が高まるように中鎖脂肪酸油(MCT)を配合した特別な粉ミルク(明治ケトンフォーミュラ®※3、以下ケトン食)を用いて高齢者の認知機能を高めることができるか否かについて検討しました。認知症でない高齢者にケトン食と対照食(ケトン食のMCTを同カロリーの長鎖脂肪酸油に置き換えたミルク)をそれぞれ別の日に摂取していただき、血中のケトン体濃度の変化と複数の認知機能テストの成績を比較しました。対照食を摂取した時に比べ、ケトン食を摂取した時に血中ケトン体濃度が高く推移し、さらに作業記憶※4や遂行機能※5に関するテストの成績および一連の認知機能テストの総合成績※6が高いという結果が得られました(添付図参照)。試験参加者を、対照食を摂取した時の認知機能テストの総合成績が低かった群と高かった群に分けたところ、成績の低かった群でケトン食による総合成績の向上がより顕著に見られました。今回の結果から中鎖脂肪酸油(MCT)を含むケトン食は高齢者の認知機能を 改善する可能性が示されました。


図1
図1 MCTを含むケトン食、または対照食を摂取した後の
血中ケトン体濃度の変化

図2
図2 MCTを含むケトン食、または対照食を摂取した後に行った
認知機能テストの成績

【ご参考】
(※1)中鎖脂肪酸油(MCT)
炭素の数が6個から12個までの脂肪酸(中鎖脂肪酸)で構成される油脂の総称です。中鎖脂肪酸はココナッツオイルや牛乳にも含まれています(ただし、ココナッツオイルの中鎖脂肪酸では炭素数が12個のラウリン酸が主成分)。今回のケトン食には炭素数が8個の脂肪酸であるカプリル酸を多く含む油脂を使用しました。一般に、中鎖脂肪酸の中でも炭素数が少ないものの方が、ケトン体が産生され易いとされています。一方で炭素の数が14個以上の脂肪酸から構成される油脂が長鎖脂肪酸油(LCT)で、食品や調理に一般的に使用されている油です。LCTに比べMCTは摂取後に速やかに消化、吸収され、その一部が肝臓でケトン体に変換されます。

(※2)ケトン体
アセト酢酸、ベータヒドロキシ酪酸、アセトンの総称です。長時間の絶食や極端な高脂肪低糖質な食事を続けた時など、エネルギー源としての糖が不足する場合に、脂肪酸や一部のアミノ酸が肝臓でケトン体に変えられます。このケトン体のうちアセト酢酸、ベータヒドロキシ酪酸が糖に代わるエネルギー源として脳をはじめとする様々な体の器官で使われます。そのため今回の試験では血中ケトン体濃度としてアセト酢酸とベータヒドロキシ酪酸を測定しました。

(※3)明治ケトンフォーミュラ®
生まれつき糖質をエネルギーとして利用できない先天代謝異常や、薬で治療が困難な難治性てんかんなど、お子さまのケトン食療法のために使用される粉ミルクです。㈱明治で製造を行い、特殊ミルク事務局を通じて医療機関に提供しています。

(※4)作業記憶
今回の試験では作業記憶と呼ばれる認知機能を評価するために3種類のテストを行いました。このうち日本語版ウェクスラー記憶検査法改訂版(WMS-R)の下位検査である数唱課題(Digit span)において、試験食による成績の違いが認められました。数唱課題は検査者が読み上げた数字の並びをどれだけ正確に、同じ順序で復唱(順唱)したり、逆の順序で復唱(逆唱)したりできるかを検査し、点数化しています。作業記憶は、作動記憶、ワーキングメモリーともいわれ、必要な情報を一時的に保持しておく役割を果たし、日常のあらゆる作業を進める上で、必須の機能です。

(※5)遂行機能
今回の試験では遂行機能と呼ばれる認知機能を評価するためにトレイルメイキングテストAおよびBという2つの検査を行いました。このうちトレイルメイキングテストBにおいて試験食による成績の違いが認められました。このテストはテスト用紙に無作為に配置された数字と平仮名を1→あ→2→い→3→う・・・という順に線で結び終えるまでの時間を測定し、点数化しています。遂行機能は実行機能ともいわれ、物事の段取りをつけたり、計画を見直す上で重要であり、目的をもった活動を成し遂げるのに必須機能です。

(※6)認知機能テストの総合成績
異なる認知機能を統合して評価するために考案した評価指標です。今回の試験で実施した3種類の作業記憶テストと2種類の遂行機能テストの各点数を使って算出しています。

本リリースは、厚生労働記者会、厚生日比谷クラブ、東商記者クラブ、農政記者クラブに配布しております。


【研究詳細のお問い合わせ】
国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第三部
部長:功刀 浩(くぬぎ ひろし)
E-mail:
TEL/FAX: 042-346-1714

【報道に関するお問い合わせ先】
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 広報係
〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1
TEL: 042-341-2711 FAX:042-344-6745

株式会社 明治 広報部
〒136-8908 東京都江東区新砂1-2-10
TEL:03-5653-0300 FAX:03-5653-0400』
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
インスリノーマ(悪性)になりました
お世話になります。

悪性のインスリノーマになってしまいました。
インスリノーマにもケトン食は有効でしょうか?

かかりつけの先生から、
膵臓には脂質が良くないと聞いたのと、
インスリンはケトン体の合成を抑制するので、
インスリンが過剰に分泌されていると、
ケトン体を上げることは困難だと言われた為、
試すかどうか迷っています。

また、ケトン体は周りを酸化させるから、
癌が広がりやすいと聞いたのですが、
ケトン体は良くないのでしょうか?

私としては、インスリノーマの場合、
ブドウ糖がエネルギーとして利用できない為、
その代わりのエネルギーとしてケトン体が
利用できると思うので、良いものだと思うのですが、どうでしょうか?

上手く使えば長く生きられると思うのですが、









2017/02/21(Tue) 20:32 | URL | 50歳主婦です | 【編集
Re: インスリノーマ(悪性)になりました
50歳主婦です さん

基本的には、インスリノーマの経験がないので、良くわかりません。

ただ、ケトン体は近年、臓器保護作用など、良い側面が沢山証明されてきています。
ケトン体リッチで悪いことは何もないと思います。
2017/02/21(Tue) 21:35 | URL | ドクター江部 | 【編集
母のことで相談させてください。
母が糖尿病の疑いと言われ、親子で主食抜きの食事にしています。
ですが、間食や甘いものがやめられないようで…
今日の食事から間食後までの流れです。
夕食後2時間血糖値が108で、甘いもの摂取。その1時間後血糖値116、2時間後106でした。
母なりに気をつけているようで糖質30g程度にしているみたいなんです。でも実際に血糖値が140未満といえ、食後2時間に間食というのは、血糖値の上昇する回数が増え、悪影響になりますよね?
それとも母が言うように、糖質30g程度であれば、食後の血糖値も100前後なので大丈夫なんでしょうか?

また、そのときの血糖値が大丈夫でも長期的にみたときに、糖尿病悪化につながりませんか?
2017/02/21(Tue) 23:17 | URL | かなえ | 【編集
中鎖脂肪酸・・・ココナッツオイル
3年ぐらい前になると思います。
まだ糖質制限をやってなかった、知らなかった時です。

還暦に到達してしまい、認知症の予防にココナッツオイルが良いと聞きました。
ココナッツオイルは中鎖脂肪酸だからとのこと。
その後、今に至ってココナッツオイルのサプリを適当に摂っています。

糖質制限、頭の回転など速く、記憶力も確かで、これから地獄の沙汰の仕事にも効果大です。
佐々木栄子先生の『置きかえ』料理本、今はまっています。
2017/02/22(Wed) 08:14 | URL | 今井 | 【編集
ケトン食による認知機能の改善というニュースを聞いてさっそく取り組もうと思います。貴重な記事の掲載ありがとうございます。
この研究内容ですが、一体どれくらいmctオイルを摂取し、糖質をどこまで制限しているのでしょうか?教えて頂けますと、今後ケトン食に取り組むうえで助かります。
また、mctオイルは胃腸に刺激が強く、バターやナッツ、オリーブオイルなどの油でもある程度のケトン体は作られますでしょうか?
恐れ入りますが宜しくおねがいいたします。
2017/02/22(Wed) 10:02 | URL | クルミ | 【編集
Re: タイトルなし
かなえ さん

糖質摂取30gで、今のデータなら、大丈夫です。

普通の人は、一回の食事の糖質量が『60~100g』で、それを一日に3回ですね。

万一、将来、今のパターンで、血糖値が140mgを超えるようなら、考慮されては如何でしょう。
2017/02/22(Wed) 10:54 | URL | ドクター江部 | 【編集
精神科A医師先生、まさに知恵袋的存在です!
ご無沙汰しております。
認知症も改善とは、本当にケトン食凄いですね!

精神科医師A先生、江部先生の知恵袋的存在ですね!

精神科A医師先生、4月の豚皮揚げを食べる会in京都(懲りずに)お越し頂きたいです!

豚皮揚げを食べる会in京都、来週から募集が始まる様です。
江部先生と夏井先生のセッションも好評ですので、今回もよろしくお願い致します。m(_ _)m
2017/02/22(Wed) 11:06 | URL | 岸和田のセイゲニスト | 【編集
倹約遺伝子について
先生、こんにちは。

先生がブログや著書でも書かれている倹約遺伝子について教えてください。
先生が仰る倹約遺伝子とは、
ダイエットの遺伝子検査の項目になっている
β3AR、UCP1、β2AR に変異があることであってますでしょうか。

私は、UCP1は両鎖とも、β3AR とβ2AR は片鎖に変異があり、
脂質代謝が一番苦手、糖も苦手、筋肉はつきにくい・・・・と悲しい結果でした。

糖質制限はダイエットだけでなく、健康のために続けていきたいのですが、
このような場合、脂質摂取も制限するべきなのでしょうか?
それとも、摂取カロリーを減らせば、脂質の割合は56%ほど摂っても大丈夫でしょうか?

ぜひご教示いただければ幸いです。
2017/02/22(Wed) 12:52 | URL | 2525 | 【編集
Re: 中鎖脂肪酸・・・ココナッツオイル
今井 さん

ココナッツオイルは中鎖脂肪酸が主成分で、ケトン体が上昇し易いので、とてもいいです。

佐々木栄子先生の、糖質オフのやせる「おきかえ」レシピ、とてもいいですね。

江部康二「監修」です。
2017/02/22(Wed) 13:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
クルミ さん

論文によると、
「 a ketogenic meal (Ketonformula®) containing 20 g of MCTs」

20gのMCTオイルを含むケトンフォーミュラと記載してあります。
ケトンフォーミュラは、100g 中に、71.8gの脂肪、8.8gの糖質、15.0gのたんぱく質です。
ケトンフォーミュラ何gの摂取かは記載してありません。

ケトンフォーミュラは
㈱明治で製造を行い、特殊ミルク事務局を通じて医療機関に提供しています。
2017/02/22(Wed) 14:01 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 倹約遺伝子について
2525 さん

あくまでも仮説ですが、
基礎代謝と倹約遺伝子は大きく関係しているといわれています。
50種類近くの倹約遺伝子が報告されています。
一般のひとの一日当たりの基礎代謝量は、男性・1500kcal、女性・1200kcalですが、一
種類の倹約遺伝子を持つひとは、一日の基礎代謝量が200kcal減少し、2種類の
倹約遺伝子を持つひとは、300kcalも減少するとされています。

じつは日本人の3人に1人は倹約遺伝子保有者とされています。
しかし、日本人のほとんどの人が、糖質制限食で減量に成功しますので、
あまり気にしなくてもいいと思います。

通常の糖質制限食で、減量が上手くいかない時に、倹約遺伝子を考慮しましょう。

2017/02/22(Wed) 14:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
教えて頂きありがとうございました。
そのように考えてみます。

そして、糖尿病や糖質制限について勉強しようと思い、先生の今までのブログやコメント読ませてもらってます。
そこで、血糖値の誤差のことを知りました。
その旨母に伝えたところ今日の昼食後に数回測定したみたいなんです。
付き合いでソバを食べたので、高血糖は覚悟してたみたいなんですが…
7~10分の時間の間に、4回測定し、200、167、175、140となったそうなんです。
あまりに誤差ありすぎて驚いたんですが…
実際の血糖値はどれくらいだったんでしょうか?

病院にかかっていないため相談できる医師がおらず…教えて頂けると助かります。
2017/02/22(Wed) 17:25 | URL | かなえ | 【編集
追記ですが…
4回の血糖値は食後2時間になります。4回の測定には、7~10分ほどの時間差があります。
2017/02/22(Wed) 22:04 | URL | かなえ | 【編集
Re: タイトルなし
かなえ さん

血糖自己測定器には、プラスマイナス20%程度の誤差がありますので
そんなものかもしれません。

どれが、真実に近いかは、良くわかりません。
ともあれ最高値と最低値を省けば、
167、175・・・そんなものでしょうか。
2017/02/22(Wed) 22:26 | URL | ドクター江部 | 【編集
早いご返答ありがとうございます。
20%誤差があるとすれば、確かに誤差範囲内になりますね…。
血糖パターン把握のため、色々測定してみているんですが、200だと糖尿病になりますし、140だとギリギリセーフなので、判断が難しいですね。
その約1時間後(食後3時間)に測定してみると、135だったらしいので、167、175ぐらいが真実に近いと考えるのが妥当なんでしょうか。
しかし少し前に1時間弱で70近く血糖値下がるってことがありました。そのときは深くは考えていなかったんですが…一度それくらい変動があったんだから、毎回1時間でそれぐらい血糖値下がると考えるべきなんでしょうか。

お忙しいなかご返答頂き本当にありがとうございます。
2017/02/23(Thu) 03:48 | URL | かなえ | 【編集
Re: タイトルなし
かなえ さん

糖質を多く含む食材によっては、1時間で、「60~70mg」上昇したり、下がったりすることは
あり得ると思います。
2017/02/23(Thu) 07:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
くどいように何度も申し訳ありません。

そうなんですね…。
どれだけの糖質量で血糖値どれだけ上昇するかなど、データとして把握しておきたいと思ってます(当然なことですが…)。
昨日の4回は、ハッキリと真実に近い値は分からないと思いますが…
3時間値の135をふまえて考え、中間値ぐらいの160~170ぐらいだったと思ってよいでしょうか?
憶測でしかないと思いますが…

何度も本当に申し訳ありません。
2017/02/23(Thu) 09:54 | URL | かなえ | 【編集
Re: タイトルなし
かなえ さん

推定ですが、そんなものと思います。
2017/02/23(Thu) 18:25 | URL | ドクター江部 | 【編集
長々と申し訳ありませんでした。
何度もお答え頂き本当にありがとうございました。
2017/02/23(Thu) 20:19 | URL | かなえ | 【編集
コウノメソッド
 2/26の認知症治療研究会で、河野和彦先生が、ココナッツオイルとMCTについて短く解説した。

 糖質制限とコウノメソッドとの融合の始まりでしょうか
2017/02/27(Mon) 21:28 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: コウノメソッド
精神科医師A さん

情報をありがとうございます。
河野和彦先生は、糖質制限食賛成派ですね。
2017/02/28(Tue) 08:05 | URL | ドクター江部 | 【編集
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