深作秀春先生から ケトン体と糖尿病網膜症についてのコメントを頂きました。
【17/01/21 深作秀春

糖質制限への糖尿病学会の無理解

今日、1月21日での横浜パシフィコ開催の日本糖尿病学会で、「過度な糖質制限食で起こしたケトアシドーシス」なる表題の発表がありました。

演者はケトン体値が高いというだけで、とんでもない悪さで重体と結論つけているのです。

アシドーシスの方の検査値は出ていません。

私は眼科外科医ですが、糖尿病性網膜症を多く診ることもあり、糖尿病学会の会員でもあります。

今までの経験から、糖尿病専門医による治療が開始すると、糖尿病性網膜症が悪化することが多くて困り果てていました。

この経験をもって、江部先生の糖質制限食を患者に進めることができるようになってから、非常に安定した糖尿病性網膜症の治療ができるようになっています。

さらに、宗田先生のケトン体の安全性とエネルギーとしての有効性は、患者だけでなく、自分自身を被験者にして実感してきています。

このような状況ですのに、地元横浜で行われた糖尿病学会では相変わらず、極端な糖質制限はケトアシドーシスを起こすので危険だ、と決めつけているのです。

しかも、ケトン体値が高い事がイコールでケトアシドーシスと言っているのです。

つまり、医学の基本を捻じ曲げているのです。

高ケトン値はケトアシドーシスとは別物ですが、医学部時代に刷りこまれたケトン体悪玉説に何の疑問も持たないで、科学としての医学の面を無視しているのです。

糖質制限を勧める眼科医の立場ですが、最近はますます従来の糖尿病治療で悪化して、糖尿病性網膜症が末期となり、網膜剥離を合併する患者の来院が、日本中から増えました。

手術には難渋しますが、網膜復位手術後の網膜の安定化には、糖質制限が非常に有効であることを実感しております。】



こんにちは。

眼科外科医の深作秀春先生から、ケトン体と糖尿病網膜症についてのコメントを頂きました。

深作先生、ありがとうございます。

1月21日の横浜パシフィコ開催の日本糖尿病学会での発表、血液ガスなど、アシドーシスの検査なしで、ケトン体高値だけで「ケトアシドーシス」と決めつけるとは 、その発表者は、科学的な態度とはほど遠いです。

「インスリン作用が確保されている生理的なケトーシス」と 「インスリン作用が欠落していることが前提の糖尿病ケトアシドーシス」を
混同しているのでしょう。

勉強不足のひと言に尽きます。

生理的ケトーシスは、ケトン食、絶食療法、スーパー糖質制限食で、日常的に観察されます。

この場合、インスリン作用が確保されているので、人体の緩衝作用により、アシドーシスは速やかに是正され、生理的で安全です。

宗田医師らは、2016年9月、胎盤・臍帯・新生児のケトン体値に関する研究を英文で発表しました。(*)
胎盤・臍帯のケトン体値論文は、世界初と思われます。
私も共著者の一人です。

以下の太字が、宗田論文の要約です。

胎盤のケトン体値(βヒドロキシ酪酸値)は基準値の20~30倍、
平均2235.0μmol/L(60検体)

臍帯のケトン体値は基準値の数倍~10倍、平均779.2μmol/L(60検体)

新生児のケトン体値は、基準値の3倍~数倍、平均240.4μmol/L(312例、生後4日)  

βヒドロキシ酪酸の基準値は85 μmol/L以下。


この研究により、胎盤と臍帯と新生児では、ケトン体高値が当たり前であることが示されました。

このことは、そのままケトン体の安全性の担保と言えます。

胎盤と臍帯と新生児のケトン体高値も、もちろんインスリン作用は確保されている生理的ケトーシスです。


『今までの経験から、糖尿病専門医による治療が開始すると、糖尿病性網膜症が悪化することが多くて困り果てていました。

この経験をもって、江部先生の糖質制限食を患者に進めることができるようになってから、非常に安定した糖尿病性網膜症の治療ができるようになっています。』

『糖質制限を勧める眼科医の立場ですが、最近はますます従来の糖尿病治療で悪化して、糖尿病性網膜症が末期となり、網膜剥離を合併する患者の来院が、日本中から増えました。

手術には難渋しますが、網膜復位手術後の網膜の安定化には、糖質制限が非常に有効であることを実感しております』


糖尿病眼科合併症に関して、深作先生の説得力あるコメントがわれわれ糖質セイゲニストに勇気を与えてくれます。
重ねてありがとうございます。

日本糖尿病学会は、従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)では、糖尿病合併症の予防が困難である現実を真摯に受けとめるべきだと思います。

その上で、米国糖尿病学会のように正式に、糖質制限食を容認する時期がきていると思います。


(*)Ketone body elevation in placenta, umbilical cord,newborn and mother in normal delivery  
Glycative Stress Research 2016; 3 (3): 133-140
Tetsuo Muneta 1), Eri Kawaguchi 1), Yasushi Nagai 2), Momoyo Matsumoto 2), Koji Ebe 3),Hiroko Watanabe 4), Hiroshi Bando 5)


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
微量アルブミン
こんにちは。
境界型糖尿病歴8年目の40代女性です。
⚫︎BMIは18%で痩せ型
⚫︎健康診断で食後高血糖が分かってから8年間、Hba1cは4.8〜5.2の間で推移。それ以上になったことは一度もありません。
⚫︎炭水化物を取る時のみセイブルを服用し、基本的には緩めの糖質制限をしています。

1年ほど前より、微量アルブミンが30mを超えるようになりました。
とりあえず経過観察中です。
基準値を少し超えたくらいではありますが、健常人は10以下と聞いています。

自分としては、血糖もいい状態で管理できており優秀な患者だと思っていたのでショックです。

タンパク質をとりすぎているかもしれません。
豆乳を1リットル飲んだりして100g以上取っている日もあります。

でもやはり納得がいきません。
糖質制限を止めたらA1cは絶対上がります。
どうしたらよいのでしょうか。
2017/01/22(Sun) 17:58 | URL | akko | 【編集
Re: 微量アルブミン
akko さん

尿中微量アルブミンは、30未満が正常という検査機関が多いです。

基本的には、早朝尿で検査するのが正確です。

2017/01/22(Sun) 21:03 | URL | ドクター江部 | 【編集
眼病つながりで正常眼圧緑内障の原因
初めてコメントさせて頂きます。
糖尿病持ちではありませんが、糖質に弱い家系で糖質制限一年、現在は1日20g以下で人体実験中の者です。

30歳の健康診断で視神経乳頭陥凹拡大を指摘され、緑内障ではないものの経過観察で怯えておりました。

原因不明とされる正常眼圧緑内障にどう対処すれば良いのか途方に暮れていましたが、糖質制限を実行、勉強していくにつれこの病気もやはり糖質の所為だと気づくことができました。
事実経過観察で進行どころか回復しているみたいだと言われました。

糖尿病でなくとも弱い血管からやられて健康でも若い人の突然死や気付いたら手遅れ、ということを考えると寧ろ糖尿病が先に発覚した人の方がラッキーかもしれません(糖質制限に出会えれば)。

自らは持病もほぼ消失し、肉体も病弱肥満だった10代の頃より健康になり、緑内障および癌老化等への恐怖心がなくなりました。

今回眼科医の方も糖質制限をされていると知り、正常眼圧緑内障の原因として糖質過多という事実が広く認識されるようになるかもしれないという希望が沸いて嬉しくなりついコメントしてしまいました。

今後も勉強させて頂きます。
2017/01/22(Sun) 21:09 | URL | ぷろていん | 【編集
糖質制限をしたら筋肉はへっていくのでしょうか?
2017/01/22(Sun) 23:07 | URL |  | 【編集
Re: 眼病つながりで正常眼圧緑内障の原因
ぷろていん さん

正常眼圧緑内障が、糖質制限食で、改善傾向とは素晴らしいです。
美味し楽しく末長く糖質制限食をお続けください。
2017/01/23(Mon) 07:47 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
糖質制限食では、しっかりたんぱく質を摂取するので、
筋肉が減ることはありません。

カロリー制限食で、たんぱく質不足になると、筋肉が減るおそれがあります。
2017/01/23(Mon) 07:53 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re ドクター江部先生
筋肉は減らないのですか!安心しました!ただ、太っていたときよりも最近やたらと寒く感じるので気になって聞いてみました。痩せてると太ってるときより寒く感じるのでしょうか?また、あまり筋肉を使うことをしていないのも原因でしょうか?
2017/01/23(Mon) 08:17 | URL |  | 【編集
ケトーシス
江部先生、おはようございます。
医者って(8年前の私を含む…)ケトーシスを知りませんよね。
先日ご著書を読ませていただいた深作先生の記事で、嬉しくなって投稿しました。
私が白内障の治療が必要になる前に、深作先生の手術が一般的になるのを祈っております。
2017/01/23(Mon) 08:17 | URL | ヘルミ | 【編集
自己流の糖質制限
ただ詳細は分かりませんが、間違った自己流の糖質制限には注意が必要とも思います。
2017/01/23(Mon) 08:23 | URL | HK | 【編集
正常眼圧緑内障
江部先生のブログをいつも参考にさせて頂いています。
ところで、正常眼圧緑内障発見から9年経ちます。正常眼圧緑内障は境界程度で、今のところ目薬で進行はありません。正常眼圧緑内障に糖尿病、糖質過多は関係あるのでしょうか。
眼科医には関係ないと言われたのですが。ちなみに祖母が緑内障でした。
2017/01/23(Mon) 13:20 | URL | ゆな | 【編集
葛根湯で血糖値が上がる?
先生こんにちは!咽頭炎で微熱が出たので耳鼻科を受診しましたら、
グレースピッド、ロキソニン、葛根湯を出して下さいました。
グレースピッドは朝晩との事で、昼食後ロキソニンと葛根湯を飲みました。
すると、何故かいつもより血糖値が上がったので調べてみたら葛根湯には乳糖が含まれている事と、麻黄という成分が血糖値を上げると書いてありました。
このまま出された葛根湯を飲んで大丈夫でしょうか?調剤に問い合わせましたが、葛根湯添付書には血糖値上昇の副作用は書かれていない。との事で、メーカーに問い合わせて下さった結果、確かに麻黄には血糖値を上げる作用があるとの報告もある?という曖昧なお返事でした。
2017/01/23(Mon) 17:13 | URL | サワ | 【編集
Re: Re ドクター江部先生
ダルビッシュ選手は、現在、筋肉量を維持して脂肪を落とすために
糖質制限~ケトジェニックダイエットを実践中です。
2017/01/23(Mon) 18:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ケトーシス
ヘルミさん

糖質制限食の認知度も、ここ2~3年で劇的に上昇しましたね。

2016年は、2つの医学雑誌で「ケトン体」の特集が組まれました。
いずれも、国立国際医療研究センター研究所センター長の植木浩二郎先生が
登場しておられます。

植木浩二郎先生は、私が信頼する糖尿病専門医のお一人です。
2017/1/15(日)の日本病態栄養学会で、直接お会いすることができて、感激でした。

ケトン体がずっと悪者扱いされてきた冬の時代が過ぎ去り、
ケトン体はとても良い奴だという時代が近づいていると思います。



2017/01/23(Mon) 18:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 自己流の糖質制限
HK さん

そうですね。
間違った糖質制限は困ります。

特に糖質を減らして、その分を脂肪やタンパク質を増やすことで補充しないと
低カロリーでヘロヘロになるので注意が必要です。
2017/01/23(Mon) 18:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 正常眼圧緑内障
ゆな さん

眼科医が仰るのですから、糖尿病とは関係ないのだと思います。

しかし原因不明とは言いながら、以下の、ぷろていんさんの事例もありますので
糖質過多と関係があるのかもしれませんね。


『17/01/22 ぷろていん

原因不明とされる正常眼圧緑内障にどう対処すれば良いのか途方に暮れていましたが、
糖質制限を実行、勉強していくにつれこの病気もやはり糖質の所為だと気づくことができました。
事実経過観察で進行どころか回復しているみたいだと言われました。』
2017/01/23(Mon) 18:25 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 葛根湯で血糖値が上がる?
サワ さん

1)感冒などのシックデイでも血糖値上昇します。

2)漢方に含まれる乳糖でも血糖値は上昇します。
  漢方エキスのグラム数の<6~7割>が乳糖です。

3)麻黄はエフェドリンやプソイドエフェドリンなどを含有しているので、
 理論的には血糖を上昇させる可能性はありえますが、多量でないかぎり、無視できるていどと思います。
2017/01/23(Mon) 18:36 | URL | ドクター江部 | 【編集
緑内障酸化ストレス仮説
ゆなさん

どうやら最近「緑内障酸化ストレス仮説」というものが浮上してきているらしいです。
緑内障 ケトン体 で調べてみてください。

個人的に現在原因不明の病は大体糖質過多の所為だと思っています。
現在の糖尿病治療や浸潤療法の例にあるように自分の身を守るためには、既存の医療や科学を妄信してはいけないと思います。

あと、糖質制限で一部の人が寒がりになるのは筋肉ではなく体脂肪が減ったためだと思われます。
マッチョの人は意外と寒がりですぐ風邪引きますし、デブは冬でも汗かいてます。
女性は体脂肪18%以下にすると支障有りますし、ある程度脂肪で身を守っておくことも人体に必要なのかも知れません。

横レス失礼しました。
2017/01/23(Mon) 21:01 | URL | ぷろていん | 【編集
こんにちは。

糖質制限を取り入れたおかげで、ここ3か月間はHbA1C数値も6%を切っており、先日、眼科に検査に行ったところ、

『順調に治っていますね。だいぶ出血や血管の詰まりもなくなってきています』

とのことでした。眼科からはカルナクリンを引き続き服用するように言われていますが、春くらいにはその薬もなくなり、内科ではインスリンも止める話になっています。

血糖値だけなら、カロリー制限で抑えられたかもしれませんが、網膜症は確実に進んだように思います。2型糖尿病が発覚して半年程でここまで回復に向かうとは思いませんでした。これからも続けて行きたいと思います。
2017/02/08(Wed) 00:55 | URL | ゆっち | 【編集
Re: タイトルなし
ゆっち さん

『順調に治っていますね。だいぶ出血や血管の詰まりもなくなってきています』

これは、素晴らしいですね。
眼科の先生、おそらく、びっくりされていると思いますよ。

仰る通り、従来のカロリー制限食(高糖質低脂肪食)では、食後の高血糖は防げないので
罹病期間と一致して確実に糖尿病網膜症は進行します。
2017/02/08(Wed) 08:36 | URL | ドクター江部 | 【編集
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