第20回日本病態栄養学会年次学術集会にてディベート。2017/1/15。
日時: 2017年1月15日(日)10:10~11:30
会場: 国立京都国際会館 Main Hall
テーマ: コントラバシー3 『低炭水化物の食事療法の是非』
座長: 稲垣暢也 先生 
    京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学講座 教授
演者
是側: 江部康二 財団法人高雄病院 理事長 
非側: 武田純先生 岐阜大学大学院医学系研究科 内分泌代謝病態学 教授

是側: 江部康二   25分
非側: 武田 純先生 25分
総合討論         30分


こんにちは。

第20回日本病態栄養学会年次学術集会にて、5年ぶりに、『低炭水化物の食事療法の是非』と題してディベートが開催されることとなりました。

今回は、Main Hallですから、とても楽しみです。

しっかり勉強して、最善を尽くしたいと思います。

5年の間に、大きな変化がありました。
ディベートでも言及したいと思います。

何といっても一番インパクトが大きかったのは、2013年10月、米国糖尿病学会が正式に糖質制限食を容認したことです。

「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明
(Nutrition Therapy Recommendations for the Management of Adults With Diabetes)2013」
1)全ての糖尿病患者に適した唯一無二の食事パターンは存在しない。 
2)患者ごとに個別に様々な食事パターン
  〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食, DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕
  が受容可能。
3)炭水化物、蛋白質、脂質における理想的な比率を示唆するエビデンスはない。
4)炭水化物摂取をモニタリングは、依然として血糖管理の改善における重要な戦略。


そして日本においては、門脇孝日本糖尿病学会理事長が
2016/7/1(金)東洋経済オンライン 
http://toyokeizai.net/articles/-/125237 
において

「東大病院では、2015年4月から、糖質40%の糖質制限食を供給している。」

と述べられ、門脇孝東大糖尿病・代謝内科教授ご自身も、

「緩やかな糖質制限食を実践している。」

と言及されたのも、びっくりでしたね。

江部康二


☆☆☆
以下、前回のディベートのご報告です。

2012年1月15日(日)、第15回日本病態栄養学会年次学術集会で

「糖尿病治療に糖質制限食は是か?非か?」ディベートが、京都国際会館開催され大きな反響を巻き起こしました。

日本糖尿病学会会員の医師から多数、学会にディベート開催の要望あって実現した企画でした。

糖質制限食が医学界の表舞台に初登場したという大きな意味があったと思います

通常3000人規模の学会に約4000人の医師・栄養士が参加して大盛況でした。

ディベートを境に江部康二のブログのアクセス数は1000件ほど急増し、全国の医師会、保険医協会、病院などからの講演依頼が増加しました。

糖質制限食に興味を抱き、自分で始める医師も目に見えて増加しました。

ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」には、一日に8000~10000件のアクセスがあるようになりました。




テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
第20回日本病態栄養学会年次学術集会
残念です。救急の日直で、参加できません。
非側の岐阜大学 内分泌代謝病態学 武田 純教授のタイトルは、「生活習慣病における適度な炭水化物の勧め」となっていました。
炭水化物摂取60%を止めて、40%くらいでもいいかという歩み寄り??
ご活躍を!
2017/01/04(Wed) 21:53 | URL | 中年サムライ | 【編集
J-CLEAR より
飽和脂肪酸の不飽和脂肪酸による置換は冠動脈疾患リスクを低下させる!
~糖質制限食の弱点強化に一筋の光明をもたらすかもしれない
https://www.carenet.com/news/clear/journal/43196

島田俊夫( しまだとしお ) 氏
地方独立行政法人静岡県立病院機構 静岡県立総合病院 臨床医学研究センター(臨床研究部)部長
J-CLEAR評議員

私たちは、炭水化物、脂肪、タンパク質と少量のミネラル、ビタミンを摂取することによりエネルギーを獲得している。しかしながら、炭水化物の過剰摂取と運動不足が糖尿病・肥満の主要因になっている。糖質制限は治療上重要だが、適切な供給カロリーを維持するためには炭水化物以外の栄養素からエネルギーを獲得することが必要となる。1g当たりの産生カロリーは、炭水化物4kcal、脂肪9kcal、タンパク質4kcalのエネルギーを産生する。単純計算から、糖質制限食は代替エネルギーを脂肪またはタンパク質から取らざるを得ない。

◇飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸置換することは冠動脈疾患死を減らす
 今回取り上げた、BMJ誌2016年11月23日号に掲載された米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のGeng Zong氏らが、米国男女大規模コホート2試験で1984~2012年の看護師健康調査に参加した女性7万3,147例と、1986~2010年の医療従事者追跡調査に参加した4万2,635例の2つのコホートによる前向き縦断コホート試験により、飽和脂肪酸の冠動脈疾患への関与に対して解析を行った。本研究の被験者はベースラインでは主たる慢性疾患を認めない人のみを対象とした。

 被験者のうち、冠動脈疾患の発生(n=7,035)は自己申告により、関連死は全米死亡記録や親戚縁者、郵便局からの報告により裏付けられた。冠動脈疾患症例については診療記録により確認が行われた。

 その結果、追跡期間中の総エネルギー摂取量に占める飽和脂肪酸の割合は9.0~11.3%で、ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(16:0)とステアリン酸(18:0、8.8~10.7%エネルギー)が主な構成脂肪酸であった。これら4種の脂肪酸は、冠動脈疾患発症と強い相関を示し、スペアマンの順位相関係数は0.38~0.93(すべてのp<0.001)であった。

 生活習慣要因と総エネルギー摂取量については多変量調整後、各々の飽和脂肪酸の摂取量の最高5分位数群 vs.最小5分位数群のハザード比は、タウリン酸が1.07(95%信頼区間[CI]:0.99~1.15、傾向p=0.05)、ミリスチン酸が1.13(1.05~1.22、傾向p<0.001)、パルミチン酸が1.18(1.09~1.27、傾向p<0.001)、ステアリン酸が1.18(1.09~1.28、傾向p<0.001)、4種複合飽和脂肪酸で1.18(同:1.09~1.28、傾向p<0.001)であった。

 4種の飽和脂肪酸から摂取するエネルギーの1%相当分を、多価不飽和脂肪酸で置換することにより同ハザード比は0.92(p<0.001)に、また1価不飽和脂肪酸で置換すると0.95(p=0.08)、全粒炭水化物で0.94(p<0.001)、植物性タンパク質で0.93(p=0.01)とリスクの減少がみられた。また、単体ではパルミチン酸での置換がリスクを最も低下させ、ハザード比は多価不飽和脂肪酸の置換で0.88(p=0.002)、1価不飽和脂肪酸で0.92(p=0.01)、植物性タンパク質で0.89(p=0.01)であった。

◇糖質制限食使用上の注意点
 糖質制限食の重要性がクローズアップされている今日、代替エネルギーを脂肪から取ることは一見理にかなっているが、本論文の結果から脂肪酸の質が重要となり、飽和脂肪酸の摂取を抑え、多価不飽和脂肪酸または1価不飽和脂肪酸、植物性タンパク質を糖質代替エネルギー源とすることは、糖質制限食の弱点強化につながる可能性を示唆する。
2017/01/04(Wed) 22:30 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 第20回日本病態栄養学会年次学術集会
中年サムライ さん

コメントありがとうございます。
何せ、門脇孝日本糖尿病学会理事長、ご本人が、40%の糖質制限食を実践しておられる時代です。
2017/01/05(Thu) 13:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: J-CLEAR より
精神科医師A さん

情報をありがとうございます。
2017/01/05(Thu) 13:01 | URL | ドクター江部 | 【編集
日本病態栄養学会(1日目)感想

20周年記念大会で,日程がゆったりしているので,本日は午後からの開催でした.

私は,江部診療所からの口演もあるので,栄養教育・指導のセッション24件を最初から最後までじっくりと聴いておりました.

以下,個別口演のメモから:

◇厳格なカロリー制限食を強制され,それを忠実に守ったら,透析に至ってしまった,実にお気の毒な例がありました.
◇病院の指示するカロリー制限食を忠実に実行しているのに,血糖値が下がらないから『指示した食事を守らず,間食をしているのだろう』と医師から罵倒され,食事・医療不信に陥った例も報告されていました.
◇「糖質制限食を行うと,ご飯をたべないから,塩分過剰になるのでは?」という質問に,糖質制限を実行している側からは「ご飯のおかずだから,味が濃くなる. 糖質制限食ではむしろ薄味になる.」という回答がありました.
◇「糖質制限食に耐え切れず,Drop Outする人が多いのでは?」という質問に,「糖尿病患者にはすぐに結果がよく出るので,むしろDrop Outは少ない」という回答.
◇患者はともかく,医師に対するアンケートでも,『糖質のみが血糖値を上げるとは知らなかった』とは! 病院に行くのが恐ろしくなりました.
◇複数の口演で,大多数の患者は「病院の指示する(カロリー制限食の)食事療法は守れない」と答えていました.
◇【糖尿病治療は,まず食事療法】とガイドラインにあるのに,実際には医師は栄養指導を依頼するのを面倒くさがって実行していない. また,栄養指導を依頼する/しない の基準もあいまいだという報告には愕然としました.
◇血糖コントロール不良で肺癌手術を行えない患者に,糖質制限をわずか1ヶ月行っただけで,血糖値が安定し,術後合併もなく手術が成功したという事例がありました.
◇糖質制限食とカロリー制限食とのクロスオーバー試験が報告されましたが,座長から「最初に糖質制限食を割り当てられたグループは,すぐにいい結果が出るので,来月からカロリー制限食をしてくださいと言われても,実際にはそうしないのではないか」というコメントがありました.
◇江部診療所の山本先生の発表はお見事でした. しかし,いい意味で先生の発表は目立ちませんでした. なぜなら,多くの病院でも糖質制限食が続々と実行されるようになり,こういう報告は珍しくなくなったからです.

全般感想から申しますと,医療最前線では,糖質制限食に対するあからさまな敵意・誹謗はすっかり影をひそめ,食事療法の選択枝としての糖質制限食は,すっかり定着したことが感じられました. もう数年すれば,糖尿病食事療法の第一選択肢になっていくという,この流れはもう誰にもとどめられないでしょう(「ケトン体」という言葉を聞いただけで,頭に血が上る,例の御仁はわかりませんが. 明後日のコントラバシー3,楽しみにしております).
2017/01/13(Fri) 20:07 | URL | しらねのぞるば | 【編集
Re: 日本病態栄養学会(1日目)感想
しらねのぞるば さん

興味深い情報をありがとうございます。
確かに、糖質制限食が、確実に医師・栄養士の間に広がっているのを実感します。
2017/01/14(Sat) 17:16 | URL | ドクター江部 | 【編集
明日参加させていただきます!
江部先生のディベート楽しみにしております!
しかし、京都は雪が積もってるんですね。
大阪も結構降ってます。
電車が大幅に遅れないかと心配しています(*´-`)
2017/01/14(Sat) 21:07 | URL | みるく | 【編集
Re: 明日参加させていただきます!
みるく さん

京都市内は雪が積もっていると思います。
我が家の周辺も積もっています。

私も明日どうやって宝ヶ池までいくか悩んでいます。
2017/01/14(Sat) 22:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
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