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コレステロールの真実
こんばんは。
だいぶ暑くなってきましたね。そろそろ半袖に衣替えでしょうか?

さて今回は、前日に続いて、コメント・質問も多いので、コレステロールの知識のおさらいです。

コレステロールは、とかく悪者にされがちですが、実は、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料として人体に必要不可欠な大切な物質です。一般にLDLコレステロールは悪玉でHDLコレステロールは善玉という言い方をしますが、これも正確ではありません。

正常サイズのLDLは、中に約40%のコレステロールを含んでおり、それを末梢組織に運ぶ真っ当な役割を果たしています。

HDLは末梢組織の細胞で余ったコレステロールを回収して肝臓に運んでいます。 即ち、LDLもHDLも人体に必要なものであり、日々良い仕事をしており逆に少なすぎたら困るわけです。**

実際、2005年に日本動脈硬化学会で報告された、青森県立保健大の嵯峨井勝教授の調査や日本循環器学会で報告された北海道大学の佐久間一郎氏の分析では、「総コレステロール高値と心筋梗塞は無関係」という結果がでています。

これらの成果により、2007年4月の日本動脈硬化学会のガイドラインで、総コレステロールは遂に「脂質異常症」の診断基準から外れました。

コレステロールに関して、動脈硬化のリスク要因として問題となるのは、HDLコレステロールが低値の人とLDLコレステロールが高値の人です。

そしてLDLコレステロールの中で、本当に問題となるのは小粒子LDLコレステロール(小さくて高密度のLDL)と酸化LDLコレステロールです。

小粒子LDLは、真の悪玉である酸化LDLに変化しやすく危険な存在です。酸化LDLは血液中で異物と見なされて大食細胞という免疫系の細胞に取り込まれていき、血管内皮細胞内でコレステロールを蓄積させ動脈硬化を起こし心筋梗塞のリスクとなります。酸化していない普通のLDLは、異物ではないので血管内皮に障害を起こしません。
 
中性脂肪が多くて、HDLコレステロールが少ない人は小粒子LDLがたくさんある可能性が高いので要注意です。 (*_*)

HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ない人は小粒子LDLコレステロールと酸化LDLコレステロールは少ないので安全です。

糖質制限食実践中の人は、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ないですね。 (^_^)


日本のガイドラインでは、<高血圧、糖尿病、喫煙、心筋梗塞家族歴、加齢、HDL-C低値>の
6項目の危険因子がゼロ(低リスク群)、危険因子1~2(中リスク群)、危険因子3以上(高リスク群)、そして心筋梗塞や狭心症の既往歴のある群の4群が設定されています。

低リスク群はLDLコレステロール160mg/dl未満、
中リスク群は140mg/dl未満、
高リスク群は120mg/dl未満
が目標とされています。

しかし、2004年の米国(日本より心筋梗塞が3倍多い)の基準では、低リスクの人の薬物療法開始は190mg/dl、中程度リスク者で160mg/dl、高リスク者で130mg/dlとなってますので、参考にしてくださいね。

江部康二

**
LDLとかHDLはリポタンパク質と呼ばれています。コレステロールや中性脂肪は、脂質で水に溶けません。それで、脂質の周りをタンパク質で覆って、血液中に溶け込みやすいようにします。このタンパク質のことをアポタンパクといいます。アポタンパクで覆われた脂質がリポタンパク質です。リポタンパク質は、脂質を載せて血液中を移動する乗り物といえます。

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
今朝のワイドショーで
江部先生

今朝のテレビのワイドショーの糖尿病の話題の中で頭髪がお坊さんに近いコメンテーターが自らも糖尿病であるお医者さんとレストランで食事をしたときにその方は赤ワインを飲みステーキを食べていらっしゃった、そのかわり穀類を一切とらないとお話しになっていました。炭水化物をとらないような新しい食事療法が広まるといい、というようなお話でした。赤ワインとステーキでこれは江部先生のことでは?と思いましたがいかがでしょう。徐々に糖質制限食の認知度が上がって行くようで少しうれしい朝でした。
2008/05/01(Thu) 09:00 | URL | tetug3 | 【編集
江部先生
先ほどコメントを投稿した直後にちぃさんという方からぼくのブログにあれは釜池先生のことではないかとのコメントをいただきました。ぼくは台所で食事をしながら妻の見ているテレビを遠目に眺めていたのでとんでもない間違いをしてしまいました。申し訳ありませんでした。

最近会食が続いていました。
そのようなときぼくはご飯ものや麺類にはほとんど手を付けずメインの料理ばかりを食べているので周りの人からかなり訝られています。炭水化物をとると血糖値があがるので・・・、と毎回毎回言い訳をしています。早く言い訳をしなくてもいい日が来ることを願います。糖質制限食が広くひろまればそのようなこともなくなると思うのですが・・・。
2008/05/01(Thu) 11:19 | URL | tetug3 | 【編集
tetug3さん。

そうですね。おそらく釜池先生のことと思います。
4.27(日)に東京、なかのサンプラザでお会いしたとき
「前の晩、赤ワイン飲み過ぎたよ」と仰ってましたので。
ともあれ、 tetug3さん、糖質制限食の認知度は確実に上昇してますので、言い訳せずに宴会に出席できる日もそう遠くはないと
思いますよ。
2008/05/01(Thu) 17:36 | URL | 江部康二 | 【編集
keyeyeさん。

一度、高雄病院のホームぺージの
右上の「お問い合わせ」まで質問・メール
いただけますでしょうか?
2008/06/06(Fri) 17:26 | URL | 江部康二 | 【編集
江部先生


コレステロールの件過去ブログ・本ともに熟読し理解したつもりです!が、昨日人間ドックの書類が届きました。
先日の人間ドック後は先生からの話だけで詳しいコレステロールの内訳はわからなかったのですが届いた書類は詳しく書いてありました。

総コレステロール:292
HDL:99
LDL:180
中性脂肪:31

とあり初めて自分のLDL数値を知りあまりの高い数値でビックリしました。(先日は江部先生に総コレと中性脂肪を先生に相談しました)

でもこの糖質制限を行っていれば当然の数値でよいのですよね?(HDLが高く中性脂肪が低いので)

ただ個人差があるとはいえこの数値だったので高コレステロール血しょうの疑いで再検査とかかれてしまっていて両親や主人もかなり心配しています。

できれば先生の様に血糖も管理できてコレステロールも下げたいのですが。(問題ない!とは理解してもなかなか周りには理解できない食事の取り方らしいので周りから見ると私の行動は病気をきにするあまり偏りすぎてると思われてるようです。しかもこの数値だったので・・・)
糖質制限をしつつコレステロール数値が下がるにはどうしたらよいか?なにかよい案がありましたら是非ご伝授願います。

(人間ドックの先生にも糖質制限してるから!とは言ったのですがやはり「あなたの体は飢餓状態でよいとはいえないですよ」と言われてしまいました。もう少し理解してくれる先生が周りにいればいいのだけど身内・友達含め圧倒的に人数の多いほうのやり方が安心!っていう空気がありまだつらい状況です。)

あと3月にした負荷試験のインシュリンの量なのですが
前3・7
30分 10.7
60分 13・6
90分 19.6
120分 27・0

だったのですがこの数字は糖質制限で体を休めれば回復してくるのでしょうか?それともこの数値は増えることは無理なのでしょうか?

勉強と同じで糖質を知れば知るほど疑問が出てきています。
先生も忙しいとは気にしつつも頼る先生も今時点でいなくついここで相談させてもらいましたがお時間あるとき是非アドバイス願います。
2008/07/01(Tue) 08:17 | URL | まるまるまる | 【編集
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