2016年12月19日 (月)
こんばんは。
スーパー糖質制限食開始後は、食後血糖値はリアルタイムに改善します。
一方、尿素窒素(BUN)が上昇することがあります。
尿素窒素(BUN)の一般的な正常値は8~20gm/dlくらいですが、スーパー糖質制限食中は、21~30mg/dl程度に上昇することがあります。
腎機能検査の一つである、BUNが基準値より高値であれば、誰でも気になりますよね。
でも、血清クレアチニン値や血清シスタチンC値が基準値内なら、BUNが高値でも生理的なものであり、腎機能障害ではないので心配ないです。
それでは、尿素窒素(BUN)がスーパー糖質制限食実践で、何故生理的高値になるのかを考えてみます。
細胞内の蛋白質が限度まで満たされると、体液中のアミノ酸は分解され、エネルギーとして使われたり、主に脂質あるいは、わずかながらグリコーゲンとして貯蔵されます。この大部分は、肝臓で行われます。
アミノ酸分解産物であるアンモニアが、そのままでは神経毒性を有するため、肝で尿素サイクルの代謝をうけて無害な尿素が産生されます。
尿素のほとんどは、腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されますが、その一部は再吸収され、血中に戻されます。
一部再吸収されるので、高タンパク食(糖質制限食)により血中尿素窒素(BUN)が高値となることがありますが、これは生理的な現象で、腎機能障害ではありません。
また、高タンパク食(糖質制限食)で、正常な腎臓に負担がかかるということもありません。
従いまして糖質制限食実践中の方において、BUN軽度高値でも、血中クレアチニン値や血中シスタチンCの値が正常であれば問題ありませんのでご安心ください。
血清シスタチンCは、血清クレアチニンよりは、かなり鋭敏な腎機能検査の指標で、初期の腎機能障害を拾い上げることができます。
つまりクレアチンが異常値になった段階はすでに、腎障害はあるていど進んでいる段階なので要注意なのです。
血清クレアチニン値は、GFRが30ml/min前後に低下する時期から上昇するのに対し、血清シスタチンC値はGFR 70ml/min前後に低下したころから上昇します。
したがって、シスタチンCはクレアチニンより初期の段階から腎機能障害をチェックできる利点があります。
シスタチンCを用いた、eGFR (eGFRcys) は、食事や筋肉量、運動の影響を受けずに、糸球体濾過量を反映するので、実際の腎機能を示す最もよい指標と考えられます。
『CKD診療ガイド2012』において、 「るいそうまたは下肢切断者などの筋肉量の少ない場合には、eGFRcysがより適切である」と、クレアチニンを用いた場合よりもシスタチンCを用いたeGFRが望ましいとされています。
なお血清クレアチニンは、尿素窒素よりは腎機能以外の要素の影響は受けにくいのですが、筋トレとかで筋肉量が多い人は、やや高値となります。また検査前に運動で筋肉を酷使した後などにもクレアチニンは高値となります。
この場合は、血清クレアチニンが高値でも腎機能傷害ではありません。
このようなとき、血清シスタチンCを検査すれば本当の腎機能がわかります。
血液による腎機能検査の基準値
尿素窒素(BUN):8~20mg/dl
クレアチニン:0.6~1.1mg/dl
血清シスタチンC:0.53~0.95mg/dl
上記数値は、検査機関により差がありますが、およその基準値です。
血清シスタチンCは、男女で基準値が違う検査機関もあります。
eGFRの計算式は「シスタチンC eGFR」で、グーグルで検索すればすぐ表示されます。
年齢、性別、血清シスタチンC値を記入すれば計算できます。
江部康二
スーパー糖質制限食開始後は、食後血糖値はリアルタイムに改善します。
一方、尿素窒素(BUN)が上昇することがあります。
尿素窒素(BUN)の一般的な正常値は8~20gm/dlくらいですが、スーパー糖質制限食中は、21~30mg/dl程度に上昇することがあります。
腎機能検査の一つである、BUNが基準値より高値であれば、誰でも気になりますよね。
でも、血清クレアチニン値や血清シスタチンC値が基準値内なら、BUNが高値でも生理的なものであり、腎機能障害ではないので心配ないです。
それでは、尿素窒素(BUN)がスーパー糖質制限食実践で、何故生理的高値になるのかを考えてみます。
細胞内の蛋白質が限度まで満たされると、体液中のアミノ酸は分解され、エネルギーとして使われたり、主に脂質あるいは、わずかながらグリコーゲンとして貯蔵されます。この大部分は、肝臓で行われます。
アミノ酸分解産物であるアンモニアが、そのままでは神経毒性を有するため、肝で尿素サイクルの代謝をうけて無害な尿素が産生されます。
尿素のほとんどは、腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されますが、その一部は再吸収され、血中に戻されます。
一部再吸収されるので、高タンパク食(糖質制限食)により血中尿素窒素(BUN)が高値となることがありますが、これは生理的な現象で、腎機能障害ではありません。
また、高タンパク食(糖質制限食)で、正常な腎臓に負担がかかるということもありません。
従いまして糖質制限食実践中の方において、BUN軽度高値でも、血中クレアチニン値や血中シスタチンCの値が正常であれば問題ありませんのでご安心ください。
血清シスタチンCは、血清クレアチニンよりは、かなり鋭敏な腎機能検査の指標で、初期の腎機能障害を拾い上げることができます。
つまりクレアチンが異常値になった段階はすでに、腎障害はあるていど進んでいる段階なので要注意なのです。
血清クレアチニン値は、GFRが30ml/min前後に低下する時期から上昇するのに対し、血清シスタチンC値はGFR 70ml/min前後に低下したころから上昇します。
したがって、シスタチンCはクレアチニンより初期の段階から腎機能障害をチェックできる利点があります。
シスタチンCを用いた、eGFR (eGFRcys) は、食事や筋肉量、運動の影響を受けずに、糸球体濾過量を反映するので、実際の腎機能を示す最もよい指標と考えられます。
『CKD診療ガイド2012』において、 「るいそうまたは下肢切断者などの筋肉量の少ない場合には、eGFRcysがより適切である」と、クレアチニンを用いた場合よりもシスタチンCを用いたeGFRが望ましいとされています。
なお血清クレアチニンは、尿素窒素よりは腎機能以外の要素の影響は受けにくいのですが、筋トレとかで筋肉量が多い人は、やや高値となります。また検査前に運動で筋肉を酷使した後などにもクレアチニンは高値となります。
この場合は、血清クレアチニンが高値でも腎機能傷害ではありません。
このようなとき、血清シスタチンCを検査すれば本当の腎機能がわかります。
血液による腎機能検査の基準値
尿素窒素(BUN):8~20mg/dl
クレアチニン:0.6~1.1mg/dl
血清シスタチンC:0.53~0.95mg/dl
上記数値は、検査機関により差がありますが、およその基準値です。
血清シスタチンCは、男女で基準値が違う検査機関もあります。
eGFRの計算式は「シスタチンC eGFR」で、グーグルで検索すればすぐ表示されます。
年齢、性別、血清シスタチンC値を記入すれば計算できます。
江部康二
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