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1型糖尿病と内因性インスリン、インスリン注射。
【16/12/07 リコ

先日コメント欄で質問させていただきましたリコと申します。
返信ありがとうございました。

今日1型糖尿病か検査してもらった結果を聞きに行ってきました。

結果、抗GAD抗体の数値が2000以上となっていて1型糖尿病と診断されてしまいました…

なりたてで発見できたんじゃないかとの事です。

1週間前に空腹時血糖値135という結果を見て1週間、三食糖質制限をして空腹時は90台に下がりました。

まだ空腹時が低い状態なので超即効型インスリン毎食前2単位で様子を見る事になりました。

ちなみに食後血糖値は糖質制限をして140〜170台になり、一度上がると3〜4時間後に下がりだす感じです。

主治医には食事の取り方や内容は特に指示されておらず糖質制限は続けていくつもりなのですが、それでもいずれは抗体が膵臓を破壊して空腹時血糖値や食後血糖値も上がっていくのでしょうか?

治らないにしても高血糖にならないようにコントロールしていきたいです。

糖質制限によって1型糖尿病の進行を遅らせる事は可能でしょうか? 】




おはようございます。

1型糖尿病のリコさんから、コメント・質問を頂きました。

リコさん、抗GAD抗体が、2000U/ml以上という数値なので、1型糖尿病の診断は間違いないと思います。

一方、抗GAD抗体陽性なら、必ず膵臓のβ細胞をリアルタイムにどんどん壊すということではありません。
抗体が陽性でも活動してないパターンもあります。

従って抗GAD抗体の数字が高いほど、β細胞がたくさん破壊されるということではありません。

実は、1型糖尿病でインスリン分泌がゼロとなるのは、高血糖によるβ細胞の破壊の方が主と思います。

小学校低学年で発症の1型糖尿病などは、現実には診断が遅れることがほとんどです。

痩せてきたり、水をガブガブ飲むなどの症状は、発症からかなり経過してから出現します。

従って、知らないうちに高血糖が半年、1年持続して、そのためにβ細胞が壊れるというケースが多いのです。

リコさんの場合、早く発見できたので、ラッキーと思います。

まずは、自分自身のインスリン分泌能がどのくらいなのかを知りましょう。

10時間以上絶食で、早朝空腹時のインスリンを検査します。

1型糖尿病でインスリン注射なしの方は、私が直接知る限りでも数名はおられます。

リコさんも、内因性インスリンがあるていど分泌されていれば、スーパー糖質制限食なら、インスリンフリーが可能かもしれません。

『緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2012) 日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/modules/study/index.php?content_id=17

において、

「GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、
発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。」


という記載があります。

食後高血糖を必ず生じる従来の糖尿病食でも、まれに10年以上インスリンフリーな緩徐進行1型糖尿人がおられるということですので、食後高血糖を生じないスーパー糖質制限食なら、もっと長期にわたり、インスリンフリーを達成できる可能性があります。

美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、血糖コントロール良好を保ち、できるだけ長くインスリンフリーを目指しましょう。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
糖質制限ダイエット大丈夫?
糖質制限ダイエット大丈夫? 極端過ぎると脂肪肝に

沖縄県医師会編「命ぐすい耳ぐすい」

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/74938
2016/12/09(Fri) 13:24 | URL | 精神科医師A | 【編集
はじめまして、妊活をきっかけに糖質制限
を鍼灸師に勧められ、
江部先生の本やブログを読み今年の3月から糖質制限を続けているものです。
糖質制限をしていく中で体調がよくない方向に動き出したので原因は何か?
調べても聞いてもわからずじまいで
江部先生に相談したくコメントに質問させて頂きますのでよろしくお願いいたします。

2月9日TSH2.690
妊活をきっかけに婦人科で血液検査をして
もらった所、妊娠する為にはちょっとTSHが高いと言われました。

3月上旬鍼灸師から糖質制限を進められ開始。

7月5日時点では 
TSH4.300 血糖95 HbA1c 5.1

9月頭に 鬱っぽく甲状腺機能低下の症状が出たので甲状腺の外来を受診し、
以降チラージン50μgを9月8日から飲み続けています。

9月10日 血糖87 、 1.5AG 8.5

9月28日TSH 1.050、血糖122
チラージンの効果検査の際に、一緒に調べた血糖がこの頃から上がりました。

11月24日 血糖117 、 1.5AG 9.1

1.5AGも上がっています。

糖質は一日100g~140gの範囲。

糖質制限をしているのに、なぜ制限前よりも
血糖、1.5AGが 上がっているのか、不安で仕方がありません。

どうか対処法等を教えて頂ければと思います。
よろしくお願いいたします。

※糖質制限前
2015年12月27日
血糖 86mg HbA1c 5.2%
2016/12/09(Fri) 13:31 | URL | 妊活女子 | 【編集
補足:
9月~漢方を飲み始めています。
当帰芍薬散、補中益気湯
2016/12/09(Fri) 15:54 | URL | 妊活女子 | 【編集
Re: タイトルなし
妊活女子 さん

1.5AGの基準値は、12~43μg/mlです。
糖質制限食実践で低値となりますが、これは穀物を食べないためで、異常値ではありません。
穀物には1.5AGが多く含まれていますので、食べないと低値になりますが、これは糖質制限中は正常ということです。

糖質制限中は、HbA1cあるいはグリコアルブミンを検査するのが良いです。
糖質制限中は、1.5AGは、調べる意味がありません。

血糖値の上昇が気になれば、1回の食事の糖質量が「10~20g以下」のスーパー糖質制限食がお薦めです。
2016/12/09(Fri) 15:55 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生

ありがとうございました。
HbA1cを調べつつスーパー糖質制限
やってみたいと思います。
2016/12/09(Fri) 16:17 | URL | 妊活女子 | 【編集
SPIDDMから回復??
江部先生、お久しぶりです。
2回目の投稿です。
以前の投稿にも書きましたが、3年前の春にバンコク出張後に体調不良により糖尿病が発覚しました。
血糖値が300を超え、HbA1c(JDS)は8.6でした。
GAD抗体3.8でした。
それからはスーパー糖質制限を行いました。
その後、1年半後にはHbA1cは5.2まで下がり安定してますが、GAD抗体8まであがりました。
そして、本日最新の血液検査ではHbA1cは相変わらずの5.2ですが、なんとGAD抗体(ELISA)<5
ほとんど検出されないと言う事です。
正直びっくりしています。こんな事があるのですね。
スーパー糖質制限に出会ったおかげです。
江部先生、ありがとうございます。
2016/12/09(Fri) 18:51 | URL | ひろ | 【編集
Re: 糖質制限ダイエット大丈夫?
精神科医師A さん

情報をありがとうございます。
スーパー糖質制限食で、脂肪肝は改善します。

町田医院の町田宗正先生、脂肪肝とケトン体のことを誤解しておられるようですね。
2016/12/09(Fri) 19:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: SPIDDMから回復??
ひろ さん

素晴らしい改善ですね。
良かったです。

抗GAD抗体ですが、2015年11月頃に基準値が変更になったようです。

1)
1.5未満が基準値(旧抗GAD抗体)・・・・・日本ローカルのガラパゴス検査であった。


2)
5.0未満が基準値(新抗GAD抗体)・・・・世界標準の検査に切り替わった。


1)の検査で抗GAD抗体陽性でも、2)の検査で陰性なら、
1型ではなかった可能性もあるようです。
2016/12/09(Fri) 19:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
妊婦の食事と母乳への影響
こんばんは!

糖質制限をしている妊婦です!
いくつか心配な事があり、
コメントさせて頂きました。

妊婦でも糖質制限しても
問題ないですか?
それから、産後も継続しても
大丈夫でしょうか?
母乳に影響が出たりしないか不安で…

返答頂けたら幸いです。
2016/12/09(Fri) 19:44 | URL | あやぱん | 【編集
炭水化物抜きダイエット実践の愛子さま「摂食障害」の指摘も
炭水化物抜きダイエット実践の愛子さま「摂食障害」の指摘も 検索ワードです。

愛子さまの食生活を読むとわかるんですが、全く糖質制限できてないですよね…
2016/12/09(Fri) 23:16 | URL |  | 【編集
インスリンフリーの1型?
糖質制限も含め、頑張っている糖尿病専門医です。
GAD旧基準でのスタディですが、GAD10以上では、早期にインスリン療法を導入した方が、内因性インスリン分泌能が保たれたとの結果を得ていたと思います。(TOKYO STUDY、緩徐進行性1型糖尿病の症例群で行われたもの)
江部先生がご経験になった、インスリンフリーの1型糖尿病症例は、GAD抗体価いかほどでしたでしょうか。GAD抗体価に関わらず、糖質制限によりインスリンフリーが可能になる場合があるのか、とても興味があります。確かに、高血糖そのものが膵ラ氏島をいためつけますよね。GADは疾患の結果であり、原因ではないようですし。ご教示下さい。
2016/12/10(Sat) 05:21 | URL | H.P. | 【編集
江部先生こんにちは。

私も妊活の検査でたまたま早めに緩徐型一型糖尿病が発覚して、五年目になります。
すぐ江部先生のブログや本で勉強させていただいて、それから糖質制限をずっとさせていただいます。

A1cは発覚時7.7ありましたが、すぐ下がり今はだいたい5.6程度です。
寝る前の基礎インスリンを2単位と食前に2か3入れるだけで血糖値もほぼ基準値内です。

先日、主人の転勤で大阪の大きい大学病院に転院したのですが、初診の時先生が一型でこんないい血糖値がずっと保ててる人は初めて見たとびっくりされていました。
前の病院では糖質制限を反対されてたのですが、今回糖質制限をしているとその時話したら、一型でもこんな効果があるとは思わなかったと感心しておられました。
これからもっとその病院でも広まればいいなぁと嬉しい気持ちになりました。

もうすぐ私のβ細胞が完全に壊れたら、今のような血糖値は保てないんだろうと不安な毎日を送っていましたが、
今日のブログを読ませていただいてすごく希望が湧きました!

このまま糖質制限を続けて、内因インスリンが少しでも長く保てれるようにがんばります。

江部先生いつもブログで情報をいただきありがとうございます!
2016/12/10(Sat) 06:38 | URL | あや | 【編集
はじめまして
12月5から糖質制限からMEC食よりの糖質制限に移行しました。

MEC食を始めてからラードやバターや動物性脂肪が大切だと学びましたが気になった事があります。

最近炭酸にはまっており、糖質ゼロや特保飲料を飲んだとしても1日500mlには抑えているのですが、特保の飲料には脂肪の吸収を抑え、排出を増加させるとあります。これでは脂肪を摂取しても、飲んだ事により無意味になってしまうのでしょうか?

人工甘味料を摂取することで食欲増加などはありません。ちなみに糖質が高いと言われる麺、パン、米なども全く摂取していません。
2016/12/10(Sat) 08:07 | URL | まい | 【編集
Re: 妊婦の食事と母乳への影響
あやぱん さん

「妊婦でも糖質制限しても
問題ないですか?
それから、産後も継続しても
大丈夫でしょうか? 」


大丈夫です。
すでに、宗田マタニティクリニックと永井マザーズホスピタルで
多くの糖質制限食で妊娠・出産・母乳育児の実績があります。

詳しくは
「ケトン体が人類を救う」宗田哲男著、光文社新書
をお読みいただけば幸いです。
2016/12/10(Sat) 08:08 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: インスリンフリーの1型?
H.P. さん

コメントありがとうございます。
私の経験した2例は、いずれも、抗GAD抗体10未満です。
2名とも3年間経過しています。

宗田哲男先生のご経験では、抗GAD抗体は10以上です。
期間はまだ、1年と短いです。
以下、宗田先生のコメントです。

【16/06/20 muneta

千葉の産科医です。がっこうさんのお子さんの1型糖尿病のことで意見をのべます。

学校検診で尿糖が3+で発見されて、1型と判定されてインスリンをすすめられた方が、昨年2人来院されました。

抗GAD抗体は70前後と、20前後でしたが、HbA1cも同じくらいの15歳の女性です。

糖尿病の専門施設からは、強くインスリンをすすめられたのですが、お母さんが糖質制限を知っていたり、当院で生まれたお子さんだったので、糖質制限で何とかできないかという相談でした。

二人とも糖質の多い食事をしていたのですが、ご飯やお菓子をやめて頑張るというので、糖質制限で、過ごしています。

1年になりますが、1人は、抗GAD抗体も陰性化していたり、もう一人もインスリン分泌は保たれています。食事も唐揚げを主食にして楽しく頑張っています。

検尿でわかった場合は、まだインスリン分泌が保たれている場合が多いと思いますし、糖質制限ですい臓を守っていけば、見通しは明るいと思います。

江部先生のおっしゃるように、ぜひ糖質制限で見守ってあげてくださることをお勧めします。】
2016/12/10(Sat) 15:49 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: インスリンフリーの1型?
H.P. さん

素晴らしい症例を思い出しました。

やはり宗田先生のご経験です。
抗GAD抗体は37.6です。

2014年、1型糖尿病妊娠で、大学病院受診したところ、HbA1cが11.5%で、
即中絶を奨められました。
ご本人が是非、生みたいということで、
私のブログのコメント欄で相談されたので、宗田先生を紹介しました。
宗田先生を受診するまでは、自力で糖質制限食を実践されて、
2~3ヶ月後の宗田マタニティクリニック初診時は
血糖値68 mg/dl、HbA1c6.0、抗GAD抗体37.6、インスリン2.6、ケトン体2626(ヒドロキシ酪酸2094)μmol/Lでした。
いつでもインスリン注射を打てる態勢は整えておられましたが
結局、インスリンフリーでスーパー糖質制限食で母子共に元気で無事出産でした。
2016年現在、インスリンフリーで母子共にお元気です。
2016/12/10(Sat) 16:03 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
あや さん

拙著のご購入、ありがとうございます。

「A1cは発覚時7.7ありましたが、すぐ下がり今はだいたい5.6程度です。
寝る前の基礎インスリンを2単位と食前に2か3入れるだけで血糖値もほぼ基準値内です。」


1型としては、大阪のドクターがびっくりされたように、素晴らしいデータです。
インスリンの単位数が少ないのも、極めて好ましいです。
インスリンを多く打つと、肥満、高血圧、がん、アルツハイマー病などのリスクとなります。

5年間、内因性インスリンが保てたのなら、当分行けそうですね。

ちなみに、「血清Cペプチド値」と「抗GAD抗体値」はどのくらいでしょう?
2016/12/10(Sat) 16:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: はじめまして
まい さん

特保の飲料には、ささいな効果しかありませんので、
摂取した脂肪は充分吸収されます。

2016/12/10(Sat) 16:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生、コメントの返信をいただきありがとうございました。

抗GAD抗体とCペプチド値ですが、今調べてみましたら、抗GADは5年前発覚した時は140で、今回転院先の病院では48.2となっています。
先生には何も指摘されなかったのですが、5年前より低くなっているということはやはり糖質制限で血糖値を保てているからでしょうか。

Cペプチドの方は前の病院では調べていただいたことはなくて、今回初めて検査していただいたのですが、0.9ng/mLという結果で、先生から「まだある程度インスリンが保てているね」とおっしゃっていただきました。(すいません。血清かどうかはわからなかったです。)

今までは、ご飯や小麦粉などの大きい炭水化物は食べずに2か3単位程度ヒューマログを打ってその他のおかずは割と自由に食していましたが、やはりインスリンを打てば少なからずいろんなリスクがあるということなので、これからはもう少し減らしていけたらなぁと思いました。

これだけ効果が見えるのだから、もっと頑張れそうです!

江部先生ありがとうございます。
2016/12/11(Sun) 00:47 | URL | あや | 【編集
ご教示ありがとうございました
江部先生 詳細な症例のご提示、ありがとうございました。旧基準でGAD>10に該当しながら、糖質制限のみでうまくコントロールできた症例数が増えれば、かなりインパクトのあるデータになりますね!
2016/12/11(Sun) 07:13 | URL | H.P. | 【編集
江部先生、お忙しいところご回答下さりまして本当に有難うございます(>_<)
2016/12/11(Sun) 15:42 | URL | まい | 【編集
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