2型糖尿病でも、たんぱく質が間接的に血糖を上げることがある。
こんにちは。
糖質、たんぱく質、脂質のうち、食べて直接血糖に変わるのは糖質だけです。
1型糖尿病で、内因性インスリンがゼロの場合は、たんぱく質摂取で、間接的に血糖値が上昇します。
脂質は間接的にも血糖値は上昇させません。
すなわち、たんぱく質摂取で、インスリンとグルカゴンが同時に分泌されるので、2型糖尿病や健常人では、血糖値の変化は通常ほとんどありません。
しかし、インスリン分泌能力がゼロの1型糖尿病では、グルカゴンだけが分泌されて、糖新生により間接的に血糖値が上昇します。
高雄病院の内因性インスリンゼロの1型の患者さん数人の検査で、個人差がありますが、1gのたんぱく質で、1.0~3.6mg/dl上昇しました。
4時間まで計測した1型症例では、
ササミ210g(たんぱく質51.7g)
前70 1時間:119 2時間:201 3時間:251 4時間:256mg/dl
と、糖新生が結構長く続いています。
2型糖尿病でも、内因性インスリン分泌能がかなり不足している場合は、たんぱく質摂取で『グルカゴン分泌量 > インスリン分泌量』 となり、血糖値が上昇することがあると思います。
それでは、インスリン分泌能がしっかりあって、血糖コントロール良好の2型糖尿病では、どうなのでしょう。
2型糖尿病において、たんぱく質摂取時に
1)グルカゴン分泌=インスリン分泌・・・血糖値不変
2)グルカゴン分泌>インスリン分泌・・・血糖値上昇
3)グルカゴン分泌<インスリン分泌・・・血糖値低下
理論的には、1)2)3)のパターンがありえます。
ほとんどが1)のパターンなのですが、臨床的に診ていて、2)のパターンがあり得るのではないかと思っていました。
16/08/04にサワさんからササミ実験(200g摂取)の結果をコメント頂いてます。
サワさんはHbA1c:4.9%で、コントロール良好であり、インスリン分泌能はしっかりあります。
空腹時 84
1時間 123
2時間 133
3時間 124
4時間 102
5時間 92
6時間 89
ササミ200g摂取(たんぱく質46g)で、2時間後がピークで49mg/dl血糖値上昇です。
1gのたんぱく質が、ピーク1.065mg、血糖値を間接的に上昇させています。
サワさんは、インスリン分泌能はしっかりあるけれど、2)のパターンと思われます。
HbA1c:4.9%なら、平均血糖値は94mg/dlなので、たんぱく質が間接的に血糖値を上げるとしても、糖質制限食で血糖コントロール極めて良好で、問題なしです。
今回、コントロール良好の2型糖尿病患者さんにお願いして実験して頂いたところ、しっかり血糖値が上昇して、仮説が一定証明されました。
50代女性。
2型糖尿病。
コントロール良好。.
HbA1c:6.1%
GA:14.3%
空腹時血糖値:107mg/dl・・・午前7:50
ささみ200g(210kcal)摂取
たんぱく質:46g
脂質:1.6g
糖質:0g
30分後:138mg/dl
60分後:139mg/dl
2時間後:112mg/dl
3時間後:106mg/dl
1gのたんぱく質が約0.7mgほど、糖新生により間接的に血糖値を上昇させています。
幸い60分値がピークで、その後は下がっています。
GA:14.3%と良好で、食後血糖値もOKですので、たんぱく質が間接的に血糖値を上昇させても、糖質制限食で問題なしです。
このように考えると
2)のパターン、思ったより多く存在している可能性がありますね。
今度、自分でも実験してみようと思います。
なお、
3)のパターンで、たんぱく質を食べて、血糖値が低下したという事例は、今まで経験したことがありません。
江部康二
糖質、たんぱく質、脂質のうち、食べて直接血糖に変わるのは糖質だけです。
1型糖尿病で、内因性インスリンがゼロの場合は、たんぱく質摂取で、間接的に血糖値が上昇します。
脂質は間接的にも血糖値は上昇させません。
すなわち、たんぱく質摂取で、インスリンとグルカゴンが同時に分泌されるので、2型糖尿病や健常人では、血糖値の変化は通常ほとんどありません。
しかし、インスリン分泌能力がゼロの1型糖尿病では、グルカゴンだけが分泌されて、糖新生により間接的に血糖値が上昇します。
高雄病院の内因性インスリンゼロの1型の患者さん数人の検査で、個人差がありますが、1gのたんぱく質で、1.0~3.6mg/dl上昇しました。
4時間まで計測した1型症例では、
ササミ210g(たんぱく質51.7g)
前70 1時間:119 2時間:201 3時間:251 4時間:256mg/dl
と、糖新生が結構長く続いています。
2型糖尿病でも、内因性インスリン分泌能がかなり不足している場合は、たんぱく質摂取で『グルカゴン分泌量 > インスリン分泌量』 となり、血糖値が上昇することがあると思います。
それでは、インスリン分泌能がしっかりあって、血糖コントロール良好の2型糖尿病では、どうなのでしょう。
2型糖尿病において、たんぱく質摂取時に
1)グルカゴン分泌=インスリン分泌・・・血糖値不変
2)グルカゴン分泌>インスリン分泌・・・血糖値上昇
3)グルカゴン分泌<インスリン分泌・・・血糖値低下
理論的には、1)2)3)のパターンがありえます。
ほとんどが1)のパターンなのですが、臨床的に診ていて、2)のパターンがあり得るのではないかと思っていました。
16/08/04にサワさんからササミ実験(200g摂取)の結果をコメント頂いてます。
サワさんはHbA1c:4.9%で、コントロール良好であり、インスリン分泌能はしっかりあります。
空腹時 84
1時間 123
2時間 133
3時間 124
4時間 102
5時間 92
6時間 89
ササミ200g摂取(たんぱく質46g)で、2時間後がピークで49mg/dl血糖値上昇です。
1gのたんぱく質が、ピーク1.065mg、血糖値を間接的に上昇させています。
サワさんは、インスリン分泌能はしっかりあるけれど、2)のパターンと思われます。
HbA1c:4.9%なら、平均血糖値は94mg/dlなので、たんぱく質が間接的に血糖値を上げるとしても、糖質制限食で血糖コントロール極めて良好で、問題なしです。
今回、コントロール良好の2型糖尿病患者さんにお願いして実験して頂いたところ、しっかり血糖値が上昇して、仮説が一定証明されました。
50代女性。
2型糖尿病。
コントロール良好。.
HbA1c:6.1%
GA:14.3%
空腹時血糖値:107mg/dl・・・午前7:50
ささみ200g(210kcal)摂取
たんぱく質:46g
脂質:1.6g
糖質:0g
30分後:138mg/dl
60分後:139mg/dl
2時間後:112mg/dl
3時間後:106mg/dl
1gのたんぱく質が約0.7mgほど、糖新生により間接的に血糖値を上昇させています。
幸い60分値がピークで、その後は下がっています。
GA:14.3%と良好で、食後血糖値もOKですので、たんぱく質が間接的に血糖値を上昇させても、糖質制限食で問題なしです。
このように考えると
2)のパターン、思ったより多く存在している可能性がありますね。
今度、自分でも実験してみようと思います。
なお、
3)のパターンで、たんぱく質を食べて、血糖値が低下したという事例は、今まで経験したことがありません。
江部康二