2016年09月11日 (日)
こんにちは。
糖質、たんぱく質、脂質のうち、食べて直接血糖に変わるのは糖質だけです。
1型糖尿病で、内因性インスリンがゼロの場合は、たんぱく質摂取で、間接的に血糖値が上昇します。
脂質は間接的にも血糖値は上昇させません。
すなわち、たんぱく質摂取で、インスリンとグルカゴンが同時に分泌されるので、2型糖尿病や健常人では、血糖値の変化は通常ほとんどありません。
しかし、インスリン分泌能力がゼロの1型糖尿病では、グルカゴンだけが分泌されて、糖新生により間接的に血糖値が上昇します。
高雄病院の内因性インスリンゼロの1型の患者さん数人の検査で、個人差がありますが、1gのたんぱく質で、1.0~3.6mg/dl上昇しました。
4時間まで計測した1型症例では、
ササミ210g(たんぱく質51.7g)
前70 1時間:119 2時間:201 3時間:251 4時間:256mg/dl
と、糖新生が結構長く続いています。
2型糖尿病でも、内因性インスリン分泌能がかなり不足している場合は、たんぱく質摂取で『グルカゴン分泌量 > インスリン分泌量』 となり、血糖値が上昇することがあると思います。
それでは、インスリン分泌能がしっかりあって、血糖コントロール良好の2型糖尿病では、どうなのでしょう。
2型糖尿病において、たんぱく質摂取時に
1)グルカゴン分泌=インスリン分泌・・・血糖値不変
2)グルカゴン分泌>インスリン分泌・・・血糖値上昇
3)グルカゴン分泌<インスリン分泌・・・血糖値低下
理論的には、1)2)3)のパターンがありえます。
ほとんどが1)のパターンなのですが、臨床的に診ていて、2)のパターンがあり得るのではないかと思っていました。
16/08/04にサワさんからササミ実験(200g摂取)の結果をコメント頂いてます。
サワさんはHbA1c:4.9%で、コントロール良好であり、インスリン分泌能はしっかりあります。
空腹時 84
1時間 123
2時間 133
3時間 124
4時間 102
5時間 92
6時間 89
ササミ200g摂取(たんぱく質46g)で、2時間後がピークで49mg/dl血糖値上昇です。
1gのたんぱく質が、ピーク1.065mg、血糖値を間接的に上昇させています。
サワさんは、インスリン分泌能はしっかりあるけれど、2)のパターンと思われます。
HbA1c:4.9%なら、平均血糖値は94mg/dlなので、たんぱく質が間接的に血糖値を上げるとしても、糖質制限食で血糖コントロール極めて良好で、問題なしです。
今回、コントロール良好の2型糖尿病患者さんにお願いして実験して頂いたところ、しっかり血糖値が上昇して、仮説が一定証明されました。
50代女性。
2型糖尿病。
コントロール良好。.
HbA1c:6.1%
GA:14.3%
空腹時血糖値:107mg/dl・・・午前7:50
ささみ200g(210kcal)摂取
たんぱく質:46g
脂質:1.6g
糖質:0g
30分後:138mg/dl
60分後:139mg/dl
2時間後:112mg/dl
3時間後:106mg/dl
1gのたんぱく質が約0.7mgほど、糖新生により間接的に血糖値を上昇させています。
幸い60分値がピークで、その後は下がっています。
GA:14.3%と良好で、食後血糖値もOKですので、たんぱく質が間接的に血糖値を上昇させても、糖質制限食で問題なしです。
このように考えると
2)のパターン、思ったより多く存在している可能性がありますね。
今度、自分でも実験してみようと思います。
なお、
3)のパターンで、たんぱく質を食べて、血糖値が低下したという事例は、今まで経験したことがありません。
江部康二
糖質、たんぱく質、脂質のうち、食べて直接血糖に変わるのは糖質だけです。
1型糖尿病で、内因性インスリンがゼロの場合は、たんぱく質摂取で、間接的に血糖値が上昇します。
脂質は間接的にも血糖値は上昇させません。
すなわち、たんぱく質摂取で、インスリンとグルカゴンが同時に分泌されるので、2型糖尿病や健常人では、血糖値の変化は通常ほとんどありません。
しかし、インスリン分泌能力がゼロの1型糖尿病では、グルカゴンだけが分泌されて、糖新生により間接的に血糖値が上昇します。
高雄病院の内因性インスリンゼロの1型の患者さん数人の検査で、個人差がありますが、1gのたんぱく質で、1.0~3.6mg/dl上昇しました。
4時間まで計測した1型症例では、
ササミ210g(たんぱく質51.7g)
前70 1時間:119 2時間:201 3時間:251 4時間:256mg/dl
と、糖新生が結構長く続いています。
2型糖尿病でも、内因性インスリン分泌能がかなり不足している場合は、たんぱく質摂取で『グルカゴン分泌量 > インスリン分泌量』 となり、血糖値が上昇することがあると思います。
それでは、インスリン分泌能がしっかりあって、血糖コントロール良好の2型糖尿病では、どうなのでしょう。
2型糖尿病において、たんぱく質摂取時に
1)グルカゴン分泌=インスリン分泌・・・血糖値不変
2)グルカゴン分泌>インスリン分泌・・・血糖値上昇
3)グルカゴン分泌<インスリン分泌・・・血糖値低下
理論的には、1)2)3)のパターンがありえます。
ほとんどが1)のパターンなのですが、臨床的に診ていて、2)のパターンがあり得るのではないかと思っていました。
16/08/04にサワさんからササミ実験(200g摂取)の結果をコメント頂いてます。
サワさんはHbA1c:4.9%で、コントロール良好であり、インスリン分泌能はしっかりあります。
空腹時 84
1時間 123
2時間 133
3時間 124
4時間 102
5時間 92
6時間 89
ササミ200g摂取(たんぱく質46g)で、2時間後がピークで49mg/dl血糖値上昇です。
1gのたんぱく質が、ピーク1.065mg、血糖値を間接的に上昇させています。
サワさんは、インスリン分泌能はしっかりあるけれど、2)のパターンと思われます。
HbA1c:4.9%なら、平均血糖値は94mg/dlなので、たんぱく質が間接的に血糖値を上げるとしても、糖質制限食で血糖コントロール極めて良好で、問題なしです。
今回、コントロール良好の2型糖尿病患者さんにお願いして実験して頂いたところ、しっかり血糖値が上昇して、仮説が一定証明されました。
50代女性。
2型糖尿病。
コントロール良好。.
HbA1c:6.1%
GA:14.3%
空腹時血糖値:107mg/dl・・・午前7:50
ささみ200g(210kcal)摂取
たんぱく質:46g
脂質:1.6g
糖質:0g
30分後:138mg/dl
60分後:139mg/dl
2時間後:112mg/dl
3時間後:106mg/dl
1gのたんぱく質が約0.7mgほど、糖新生により間接的に血糖値を上昇させています。
幸い60分値がピークで、その後は下がっています。
GA:14.3%と良好で、食後血糖値もOKですので、たんぱく質が間接的に血糖値を上昇させても、糖質制限食で問題なしです。
このように考えると
2)のパターン、思ったより多く存在している可能性がありますね。
今度、自分でも実験してみようと思います。
なお、
3)のパターンで、たんぱく質を食べて、血糖値が低下したという事例は、今まで経験したことがありません。
江部康二
こんばんは
つい最近、BCAA(分岐鎖アミノ酸)が膵臓を刺激してインスリンを分泌させるという説を実証する実験結果をみました。
BCAAを含むアミノ酸飲料を飲んで血糖値が下がり3時間後には0.2mMだけケトン値が上昇しています。
Interesting|ハリ ちゃんブログ
http://ameblo.jp/vitosha/entry-12198088492.html?frm_src=thumb_module
つい最近、BCAA(分岐鎖アミノ酸)が膵臓を刺激してインスリンを分泌させるという説を実証する実験結果をみました。
BCAAを含むアミノ酸飲料を飲んで血糖値が下がり3時間後には0.2mMだけケトン値が上昇しています。
Interesting|ハリ ちゃんブログ
http://ameblo.jp/vitosha/entry-12198088492.html?frm_src=thumb_module
2016/09/11(Sun) 19:43 | URL | OgTomo | 【編集】
日本内科学会雑誌 104巻9号(2015)
日本人のための糖尿病食事療法
石田 均
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/9/104_1993/_pdf
あいかわらず動物実験に執着している。KKAy マウスを使った動物実験で自己満足をしている。
2016年5月の糖尿病学会で石田氏の教室員がKKAy マウスを使った実験結果を発表した。「糖質制限食は、肥満2型糖尿病モデルマウスで体重増加、血糖悪化、脂質代謝以上をきたす」という内容だ。それに対し山田悟先生が、私の教室でもKKAy マウスを使った実験を検討してみたが、食性がヒトと合わないので実施しなかった」と言っていた。
ちなみに内科学会雑誌2015年4月号では、松浦先生が肥満の食事療法として低炭水化物食を選択肢にあげている
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/4/104_723/_pdf
日本人のための糖尿病食事療法
石田 均
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/9/104_1993/_pdf
あいかわらず動物実験に執着している。KKAy マウスを使った動物実験で自己満足をしている。
2016年5月の糖尿病学会で石田氏の教室員がKKAy マウスを使った実験結果を発表した。「糖質制限食は、肥満2型糖尿病モデルマウスで体重増加、血糖悪化、脂質代謝以上をきたす」という内容だ。それに対し山田悟先生が、私の教室でもKKAy マウスを使った実験を検討してみたが、食性がヒトと合わないので実施しなかった」と言っていた。
ちなみに内科学会雑誌2015年4月号では、松浦先生が肥満の食事療法として低炭水化物食を選択肢にあげている
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/4/104_723/_pdf
2016/09/11(Sun) 21:35 | URL | 精神科医師A | 【編集】
週刊現代 2016-10-1号(2016-9-12発売)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01J4ACAK4
医療界のタブーを打ち破る!/だから医者の出す糖尿病の薬は信用できない
◆ 門脇孝・東大教授、小室一成教授、アディポネクチン、ディオバン、降圧剤、科学ジャーナリスト・緑慎也
http://zasshi.jp/pc/action.php?qmode=5&qword=%E9%80%B1%E5%88%8A%E7%8F%BE%E4%BB%A3&qosdate=2016-09-12&qpage=6
日本の最高峰、東大医学部でいま起きていること――やっていることがあまりにみにくい
https://www.amazon.co.jp/dp/B01J4ACAK4
医療界のタブーを打ち破る!/だから医者の出す糖尿病の薬は信用できない
◆ 門脇孝・東大教授、小室一成教授、アディポネクチン、ディオバン、降圧剤、科学ジャーナリスト・緑慎也
http://zasshi.jp/pc/action.php?qmode=5&qword=%E9%80%B1%E5%88%8A%E7%8F%BE%E4%BB%A3&qosdate=2016-09-12&qpage=6
日本の最高峰、東大医学部でいま起きていること――やっていることがあまりにみにくい
2016/09/11(Sun) 21:51 | URL | 精神科医師A | 【編集】
OgTomo さん
興味深い情報をありがとうございます。
アミノプロテイン5袋(たんぱく質20g+炭水化物0.9g)を摂取後
86.4mg/dlから60分後に75.36mg/dlに
下降していますね。
興味深い情報をありがとうございます。
アミノプロテイン5袋(たんぱく質20g+炭水化物0.9g)を摂取後
86.4mg/dlから60分後に75.36mg/dlに
下降していますね。
2016/09/12(Mon) 07:37 | URL | ドクター江部 | 【編集】
精神科医師A さん
興味深い情報をありがとうございます。
興味深い情報をありがとうございます。
2016/09/12(Mon) 07:43 | URL | ドクター江部 | 【編集】
精神科医師A さん
興味深い情報をありがとうございます。
週刊現代、購入します。
興味深い情報をありがとうございます。
週刊現代、購入します。
2016/09/12(Mon) 07:44 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生はじめまして。著書を読んでから糖質制限を実践しております。
さて、私は今後ジムに通おうかと考えているところです。糖質制限は筋肉を減らすことはないとのことですが、逆に筋肉を増やすことに関しては通常の食事と比べて増えにくいなどの差はあるのでしょうか?
ジム後にバナナ等の糖質を摂取する光景がなんとなく筋肉を増やすためにいいのかなぁと思い質問させていただきました。
さて、私は今後ジムに通おうかと考えているところです。糖質制限は筋肉を減らすことはないとのことですが、逆に筋肉を増やすことに関しては通常の食事と比べて増えにくいなどの差はあるのでしょうか?
ジム後にバナナ等の糖質を摂取する光景がなんとなく筋肉を増やすためにいいのかなぁと思い質問させていただきました。
2016/09/12(Mon) 09:54 | URL | たけし | 【編集】
糖質制限では高タンパクな食事にはなりますが、どのくらい摂取すればいいのか分かりにくいです。たとえば、食事に加えてソイプロテインなどで補うことはどうでしょうか?たんぱく質の摂り過ぎなどの弊害はあるのでしょうか?また、動物性や植物性に偏ることも良くないのでしょうか?
2016/09/12(Mon) 11:16 | URL | りんどう | 【編集】
たけし さん
糖質制限食で、たんぱく質を充分量摂取して
筋トレすれば、筋肉量は増えます。
糖質制限食で、たんぱく質を充分量摂取して
筋トレすれば、筋肉量は増えます。
2016/09/12(Mon) 19:57 | URL | ドクター江部 | 【編集】
りんどう さん
厚生労働省によれば、腎機能が正常な人においては、たんぱく質摂取の上限は決めていません。
動物性たんぱく質、植物性たんぱく質をしっかり摂取してOKです。
2015年02月18日 (水)の本ブログ記事
高タンパク食と腎機能と糖質制限食
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3288.html
をご参照頂けば幸いです。
厚生労働省によれば、腎機能が正常な人においては、たんぱく質摂取の上限は決めていません。
動物性たんぱく質、植物性たんぱく質をしっかり摂取してOKです。
2015年02月18日 (水)の本ブログ記事
高タンパク食と腎機能と糖質制限食
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3288.html
をご参照頂けば幸いです。
2016/09/12(Mon) 20:02 | URL | ドクター江部 | 【編集】
今朝発売号の記事は、この内容です
医学論文不正疑惑 4研究室対象、本部が予備調査
https://mainichi.jp/articles/20160901/ddm/041/100/110000c
門脇孝東大病院長の不正疑惑 責任著者の5論文で画像類似の指摘
http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-6315.html
小室一成グループ 論文疑惑
http://komuroissei.blogspot.jp/
医学論文不正疑惑 4研究室対象、本部が予備調査
https://mainichi.jp/articles/20160901/ddm/041/100/110000c
門脇孝東大病院長の不正疑惑 責任著者の5論文で画像類似の指摘
http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-6315.html
小室一成グループ 論文疑惑
http://komuroissei.blogspot.jp/
2016/09/12(Mon) 21:31 | URL | 精神科医師A | 【編集】
精神科医師A さん
門脇孝日本糖尿病学会理事長の論文疑惑、どうなのでしょうね?
門脇孝日本糖尿病学会理事長の論文疑惑、どうなのでしょうね?
2016/09/13(Tue) 09:05 | URL | ドクター江部 | 【編集】
コメントありがとうございます。
糖質制限は通常食と比べて筋肉量が増えにくいという事はありませんか?
糖質制限は通常食と比べて筋肉量が増えにくいという事はありませんか?
2016/09/13(Tue) 12:17 | URL | たけし | 【編集】
たけし さん
たんぱく質を充分量摂取して、筋トレをすれば、筋肉量は増えます。
私は、ボディビルとか詳しくないのですが、
本で得た知識では、タンパク質摂取が筋肉増強には一番大切と思います。
すなわち、糖質制限食で
『脂肪を落とす』と『運動能力を維持する』が両立する可能性が高いのです。
より具体的には
ボディビルダーの
小森 保信 さんのブログ Kom's倶楽部
http://blog.livedoor.jp/koms_club/archives/1998471.html
に大変興味深い記事が載っていますので
参考にしていただけば幸いです。
たんぱく質を充分量摂取して、筋トレをすれば、筋肉量は増えます。
私は、ボディビルとか詳しくないのですが、
本で得た知識では、タンパク質摂取が筋肉増強には一番大切と思います。
すなわち、糖質制限食で
『脂肪を落とす』と『運動能力を維持する』が両立する可能性が高いのです。
より具体的には
ボディビルダーの
小森 保信 さんのブログ Kom's倶楽部
http://blog.livedoor.jp/koms_club/archives/1998471.html
に大変興味深い記事が載っていますので
参考にしていただけば幸いです。
2016/09/13(Tue) 13:22 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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