HOMA-β、Cペプチドインデックス(CPI)、HOMA-R、糖尿病改善。

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【16/09/07 ひぃ

インスリン追加分泌能について

江部先生

先日、8月21日中之島での講演会で食後2時間値について質問させていただきました、ひぃと申します。
その節はわかりやすい回答と説明をありがとうございました。
(お礼が遅くなり、申し訳ありません)

先生の過去ブログでインスリン分泌能については何度も読んではいるのですが、自分のデータではどうなるのか不安になり、こちらで質問させていただくことにしました。

昨年9月、検診にて2型糖尿病と脂肪肝を診断されました。
(空腹時血糖200mg/dl、HbA1c11,2)
幼少時より肥満ぎみでした。
診断後3日後よりスーパー糖質制限食を開始しました。
身長 154cm
体重 74kg→60,4kg(半年後、今年2月)→57kg(現在)
血糖値 200→89→87
HbA1c 11.2→5.5→5.1

8月の血液検査でインスリンも測定してもらいました。
結果IRI前2.8  CPR(前)1.2

このデータから計算すると、HOMA-βは42となり正常値(低値)となるので、インスリン抵抗性による糖尿病発症ではないかと考え、一度普通に糖質をとってみようと実験しました。

9月6日朝食ごはん100g、みそ汁、目玉焼き、サラダ等
全糖質量51,3g程度
血糖値 食前91 食後1時間165 1.5時間168 2時間124

9月昼食パスタ100g、サラダ
全糖質量81,3g程度
血糖値 食前106 食後1時間212 1.5時間195 2時間195

もしインスリン抵抗性による糖尿病だったのなら、2日目の血糖値は上がりすぎで、この場合β細胞が多少壊れていると解釈するのがよいでしょうか? (ちなみに9月5日夜から生理がきましたが、今までの測定経験からあまり変動がありません)

お忙しいところ申し訳ありませんが、回答よろしくお願いします。】



おはようございます。

ひぃ さん から、スーパー糖質制限食実践で、糖尿病と肥満が劇的に改善というとても嬉しいコメントをいただきました。

興味深いデータをコメントいただきましたので、考察してみます。

身長 154cm
体重 74kg→60,4kg(半年後、今年2月)→57kg(1年後、現在)
BMI  31.2 →   25.5   → 24.0
血糖値 200→  89   → 87mg/dl
HbA1c 11.2→  5.5→  5.1%


見事な改善です。
良かったです。

朝食:ごはん100g、みそ汁、目玉焼き、サラダ等
全糖質量51,3g程度
血糖値 食前91 食後1時間165 1.5時間168 2時間124

朝食で、1gの糖質が、ピークで1.5mg血糖値を上昇させています。

昼食:パスタ100g、サラダ
全糖質量81,3g程度
血糖値 食前106 食後1時間212 1.5時間195 2時間195

昼食で、1gの糖質が、ピークで1.3mg上昇させています。

一般に糖尿病型だと、体重64kgの人で、通常、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させます。

体重が、32kgの人なら、「64kg/32kg」×3mgで6mg上昇という計算です。

ひぃ さんは、57kgなので、糖尿病型とすれば、1gの糖質が「64kg/57kg」×3mgで、3.37mg上昇という計算になります。

ひぃ さんの現状は、1gの糖質が、<1.3~1.5mg>しか血糖を上昇させていないので境界型レベルに改善していて、糖尿病型からは、脱却しています。


ひぃ さんは、スーパー糖質制限1年後の2016年8月時点で、
HOMA-β:42 で正常。
Cペプチドインデックス(CPI):1.38 で正常。
HOMA-R:0.6 で正常。インスリン抵抗性もなし。

インスイリン分泌能が正常で、インスリン抵抗性も正常なので発覚時のHbA1cが11.2%と重症だったことを思うと、1年間のスーパー糖質制限食実践で、劇的改善です。

糖尿病発覚時は、「身長154cm、体重74kg、BMI31.2」と著明な肥満があるので、インスリン抵抗性はかなり強くあったと思います。

それが、標準体重にまで減量成功して、インスリン抵抗性が正常になったのでしょう。

ご指摘通り、インスリン抵抗性が主たる要因で、インスリン分泌能は保たれていたタイプの糖尿病発症と考えられます。
いわゆる欧米人タイプの糖尿病ですね。

現時点で境界型レベルですが、糖質50gくらいの摂取なら、血糖値 食前91 食後1時間165 1.5時間168 2時間124 と、全く正常型なので、ごく緩やかな糖質制限食(1回の糖質量が30~50g)でも、経過良好と思います。

糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食食ですので、このままスーパー糖質制限食を続けられてもOKです。


☆☆☆
インスリン分泌指標
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、
よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。

Cペプチドインデックス(CPI)
空腹時CPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl)
1.2以上は正常。0.8以下でインスリン分泌低下。


インスリン抵抗性指標
HOMA-R
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。




江部康二

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