糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について
おはようございます。

過去、糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について、以下の(1)(2)(3)(4)と記事にしてきました。

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(1)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2715.html
2013年10月22日 (火)
全身倦怠、筋力低下、無気力、体重減りすぎなど→摂取エネルギー不足が主たる要因

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(2)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2716.html
2013年10月23日 (火)
腓返り

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(3)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2733.html
2013年11月1日 (金)
高尿酸血症→摂取エネルギー不足が主たる要因

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(4)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2734.html
2013年11月2日 (土)
高LDL血症


結局、こむら返りと高LDL血症以外は、好ましくない症状・変化のほとんどにおいて、摂取エネルギー不足が、主たる要因と考えられます。

糖質制限食開始時に、おそらく長年の習慣で脂質まで制限してしまう方々がおられます。

この場合「糖質制限+脂質制限」となりますので、食べるものは、白身魚、ササミ、豆腐などのたんぱく質と葉野菜や海藻・茸の類いです。

こうなると、本人は気がつかないまま、摂取エネルギーはかなり少なくなり、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を大幅に下回り、様々な症状と検査データの変化が生じます。

摂取エネルギー不足により生じる様々な症状を以下にまとめてみました。


<摂取エネルギー不足によって生じうる症状>
 
全身倦怠、筋力低下、ふらつき、めまい、ふるえ、無気力、髪がぬける、生理不順、生理が止まる、体重減りすぎ、低体温、冷え、肌がカサカサ、色素性痒疹・・・、

これらの症状のいくつかは、甲状腺機能低下症でも見られるので、区別がつきにくいかもしれませんね。

ただ甲状腺機能低下症では、体重が増加することが多い(約6割)ので参考になると思います。

また、甲状腺機能低下症は橋本病(慢性甲状腺炎)など原疾患が無い限り、そんなに簡単に発症することはありません。

気になれば、甲状腺機能検査をすれば明白になります。

遊離T3(FT3)基準値:2.1 - 3.8 pg/mL
遊離T4(FT4)基準値:0.82 - 1.63 ng/dL
甲状腺刺激ホルモン(TSH)基準値:0.38 - 4.31 μU/mL
FT4、TSHが正常なら、甲状腺機能は正常と考えていいです。

FT3が低値で、FT4、TSHとも正常な病態を「Low T3 syndrome」といい、摂取エネルギー不足や低栄養のとき見られます。



<摂取エネルギー不足によって生じうる検査データの変化。>

1)低T3症候群
FT3が低値で、FT4、TSHとも正常な病態を「Low T3 syndrome」と言います。
コントロール不良の糖尿病など慢性消耗性の疾患で低栄養のとき、時々見かけます。
例えば神経性食思不振症などでの摂取エネルギー不足でも見られます。
これらは、見かけ上T3が低値なだけで、本当の甲状腺機能低下症では、ありません。
しっかりエネルギー摂取すれば、低T3は改善します。

2)高尿酸血症

3)低ChE(コリンエステラーゼ)血症
肝機能検査の一つですが、摂取エネルギー不足で低下します。

4)血清アルブミン値の低下
人体の大事なたんぱく質です。
摂取エネルギー不足で血清アルブミン値が低下します。
基準値は「3.8~5.3g/dL」ですが、4.3g/dl以上は確保しないと健康度が維持できません。

しっかりエネルギー摂取すれば、1)2)3)4)のデータは改善します。


結論です。

糖質制限食開始後にみられる好ましくない症状(全身倦怠、筋力低下、無気力・・・)のほとんどが、摂取エネルギー不足からきています。

甲状腺機能低下症といきなり飛躍したりせずに、普通に摂取エネルギー不足を考慮してみてくださいね。


江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
こんにちは。
こんにちは。中谷美紀さんが注文したというケーキ、私もお祝いの時に注文してみようと思います。
先生、糖負荷試験のデータはあっても、なかなか健康な人の食後血糖値のデータを記したものがなく教えていただきたいです。
先生の本を購入してスーパー糖質制限食を始めたばかりの初心者です。血糖測定器も自己購入しました。糖尿病とは診断がまだついていませんが、片足を入れた32歳です。身長158cm体重43キロです。
糖質を摂らないとほぼ1時間値105以下、2時間値100以下です。
試しに玄米50グラム位摂ると、1時間値160台、2時間値140台、3時間値は100以下になります。どんなに糖質をとっても食後3時間には毎度80-90台に下がっています。
しかし、この32歳という年齢でやはり糖質をとってこの上がりようだと、やはり立派な糖尿病人でしょうか?
2016/08/27(Sat) 15:12 | URL | さえ | 【編集
排卵日〜生理前の炭水化物への異常な欲求について
江部先生

とても勉強になるブログ内容、いつも楽しみに拝読させていただいております。今回、初めてコメントさせていただきます。

35歳女性、減量目的で糖質制限をして3か月目になります。
身長157cm/糖質制限開始前の体重 51.5kg → 現在 49.5kg です。
もともとBMIは標準の範囲なので体重の減りは大きくありませんが、糖質制限後は顔のむくみがとれてすっきりしたような感じがあり、この食事方法に好感触を得ています。

糖質制限を実践するにあたり、先生のご著書(『主食をやめると健康になる』、『食品別糖質量ハンドブック』、『人類最強の「糖質制限」論』、『腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」』と、その他の監修ムック)を購入し拝読させていただきました。

最初の数日〜1週間ほどは主食や甘いものが恋しかったのですが、だんだん慣れてきて、スーパー糖質制限も難なく続けられるようになりました。

ただ、、ここからが本題なのですが、、、
排卵日〜生理前の1週間〜10日ほどの間、炭水化物への欲求がものすごいことになるのです。

上記以外の期間はこんな欲求にさいなまれることはなく、ほぼノーストレスで(食費はかかるようになりましたが…)糖質制限食を続けています。

なのに、上記の期間は本当にコントロールが効かず、つい主食や甘い物をドカ食いしてしまったりして、せっかく漸減している体重も「三歩進んで二歩下がる」状態……。

医師監修による「ヘルスケア大学」というサイトの記事( http://www.skincare-univ.com/article/004710 )では、

排卵以降から生理までの時期は、黄体ホルモンの分泌によって血糖値が下がり、血糖値を安定させようとアドレナリンが分泌される
  ↓↓↓
アドレナリンは失われた栄養を補おうとして作用するため、それに伴い食欲も増進する

……という記述を見かけました。

もともと、糖質制限を始める前から排卵日〜生理前には毎回、異常な食欲に見舞われていました。10代の頃からずっとです。

わたしの場合、この時期は仕方ないと諦めるしかないのでしょうか。それとも、実はこれも炭水化物依存症の症状のひとつだったりするのでしょうか。

以下、2つ質問させていただければ幸いです。

(1)排卵日後〜生理前に現れる主食・甘い物への強い渇望も、先生がおっしゃる「炭水化物依存症」「糖質中毒」の症状のひとつなのでしょうか?

(2)上記の時期に仮にドカ食いをしてしまっても、それ以外の時期にきちんと糖質制限をできていれば、減量をはじめとする健康効果は得られますか? それとも、「振り出しに戻る」というか……水の泡になってしまいますか?

(3)女性ホルモンと血糖値、あるいは糖質制限との関係について、なにかご助言がありましたらぜひお願いしたく存じます。

もし、過去に同様の質問がありましたら無視してくださいませ。お忙しいところ長々と、大変失礼いたしました。
2016/08/27(Sat) 16:48 | URL | YOU | 【編集
News
神戸北野ホテルの朝食を時代に合わせて進化させた「ロカボ(低糖質)朝食」
https://www.value-press.com/pressrelease/168544

糖質は体に必要な栄養素 血糖値の急上昇抑えることが重要
http://www.sankei.com/life/news/160826/lif1608260023-n1.html
2016/08/27(Sat) 18:24 | URL | 精神科医師A | 【編集
低脂肪はよくない
10歳代のざ瘡に低脂肪スキムミルクが関係
https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0826504507/

 全脂肪ミルクではなく低脂肪スキムミルクの高摂取がティーンエージャーのざ瘡と関係していると、米・Pennsylvania State UniversityのグループがJ Am Acad Dermatol(2016;75:318-322)に発表した。

◇225例の症例対象研究で確認

 最近の文献で、乳製品によるざ瘡誘発の可能性が示されている。同グループは、中等度のざ瘡がある、またはざ瘡がない14〜19歳の225例を対象に症例対照研究を実施し、乳製品の摂取とざ瘡との関係を検討した。

 その結果、ざ瘡群は非ざ瘡群と比べ低脂肪スキムミルクの摂取量が有意に多かった(P=0.01)。両群の乳製品総摂取量、飽和脂肪酸またはトランス脂肪酸の摂取量、あるいはグリセミック負荷に有意差はなかった。また、総エネルギー摂取量とBMIにも有意差は認められなかった。
2016/08/27(Sat) 23:41 | URL | 精神科医師A | 【編集
私も、悩んでいました
素晴らしい情報をありがとうございます!私も、寝ている時に。ふくらはぎがつって、困っていました。痛くて痛くて。早速サプリメントを買いに行きます!
糖質制限でハードな毎日を元気にすごすことができ、感謝感謝です。

糖質制限を続けて1年2ヶ月、夢は、歯茎の肉が太ってくれたらいいなぁーと期待しています。年を取ると、歯茎が痩せますよね。江部先生の歯茎は元気なんでしょうか。
2016/08/28(Sun) 07:08 | URL | パクパク | 【編集
Re: 排卵日〜生理前の炭水化物への異常な欲求について
YOU さん

エストロゲンはインスリンの効きをよくして、黄体ホルモンは効きを悪くします。
従って、生理前2週間の血糖値はやや上昇します。
現在、糖質制限OKのスイーツがネットでもお店でも数多く販売されていますので
それを食べればよいと思います。

1)生理前に限られるので「炭水化物依存症」ではないと思います。

2)糖質制限はやればやっただけましです。

3)
糖尿病と女性のライフサポートネットワーク
http://www.dm-net.co.jp/dlsnw/information/001/001/02.php
が参考になります。

2016/08/28(Sun) 10:52 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 低脂肪はよくない
精神科医師A さん

情報をありがとうございます。

糖質制限食で「痤瘡」は速やかに改善することが多いです。

低脂肪ということは、ほぼ高糖質をいうことになりますね。
2016/08/28(Sun) 11:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 私も、悩んでいました
パクパク さん

私は現在66歳です。
歯は全て残っていますし、歯周症もありません。
背も縮んでいません。
聴力低下もありません。
排尿も全く問題ないです。
目は裸眼で広辞苑が読めます。
2016/08/28(Sun) 11:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございました。
江部先生

ご丁寧なご回答ありがとうございました!
とても参考になりました。

「糖質制限はやればやっただけまし」とのお言葉を励みに、めげずに続けていきたいと思います。

不調期は江部先生の監修されたスイーツで乗り切ります。
ご教示いただいたサイトも大変勉強になりました。

これからもブログ更新とますますのご活躍を期待しております。
2016/08/28(Sun) 14:10 | URL | YOU | 【編集
月経前の高血糖
江部先生、はじめまして
私も月経前の状態について悩んでいます。

10年前に糖尿病と診断されました。
HbA1c 13.2 空腹時血糖 282、糖負荷2h 489
当時鬱病を患っており、体の不快感が鬱の症状と重なり、発覚も遅れたと思います。
治療開始時にアマリールを処方されましたが食後4時間後の気分の悪さがあり、主治医にも何度も訴えましたが、それなら食事が足りないから、おにぎりでも何でも食べなさいと言われ、医師の言葉に不信感が募っていきました。
それからすぐにいろいろと調べ、糖質制限をサイトで知り、スーパー制限食で
5ヶ月後 HbA1c6.3、8ヶ月後には5.8へと回復させて頂きました。

3年前に子宮内膜症性の右卵巣嚢腫を手術で切除し、それから生理14日〜10日前の空腹時血糖が高くなりました。
通常100〜115。生理前は120〜145になることもあります。
4月のHbA1c6.1、6月のグリコアルブミン14.9でした。

寝る前にメトグルコ250mgを3錠飲んでいますが、通常では飲んでも飲まなくても値は変わりませんし、高くなる時も飲んでも飲まなくても高いままです。

現在47歳です。女性の患者さんに、どのような指導をされていらっしゃいますでしょうか。
いろいろ調べたりもしていますが具体的な対応に辿り着けません。
一人で子供たちを育てています。まだ倒れるわけにいきません。







2016/08/29(Mon) 21:54 | URL | ruby | 【編集
Re: 月経前の高血糖
ruby さん

エストロゲン:インスリンの効きを良くする
黄体ホルモン:インスリンの効きを悪くする


ということで、生理前の血糖値はた高めとなります。

通常100〜115。生理前は120〜145になることもあります。
4月のHbA1c6.1、6月のグリコアルブミン14.9でした


このデータなら合併症の心配はまずないと思います。
生理前だけ、DPP-4阻害剤を追加内服して、空腹時血糖値を下げるという選択肢もあります。

糖尿病と女性のライフサポートネットワーク
http://www.dm-net.co.jp/dlsnw/information/001/001/02.php
このサイトが参考になると思います。
2016/08/30(Tue) 08:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生、こんにちは。先日卵の一日の摂取量のことについてお伺いしたオーストラリア在住のまゆみです。
今日肝機能と血糖値の血液検査の結果を聞きに行ってきました。
まず、わたしは生まれつき腎性糖尿だと医者に説明しました。すると今回は空腹時の血糖値を図るようにと言われました。結果は正常(84mg/dL)ですが、ときどき腎性糖尿のため尿に糖やたんぱくが検出されます。

肝機能はすべて正常といわれましたが、ひとつだけアルブミンだけ気になりました。というのも、私の値は3.6g/dLだったのです。でもこちらの基準値は3.3から4.8ですので、正常となっています。日本の基準値をネットで調べたら、この値は栄養不足らしいのですが。

糖質制限を始める前は、確かにあまりたんぱく質はとらずに炭水化物中心の食生活だったと思います。このアルブミン値もコレステロール値のように糖質制限後、落ち着くまで時間がかかるのでしょうか?2016年4月から糖質制限を始め、身長164㎝、体重は63キロから現在は55キロに落ち着いてます。55歳になりました。半年前から閉経になりましたが、関係があるのでしょうか?また腎性糖尿ですので、たんぱくが漏れているのも関係しているのでしょうか?
ちなみにコレスレロール値は以下のように変化しています。

2016年1月(糖質制限前) 2017年5月(糖質制限開始1年後) 
総コレステロール 243                 355
HDL       104                  127
LDL       119                  212
中性脂肪     38                  30

アルブミン値に関しては、こちらの基準値内に収まっているので、医者からは何も言われませんでしたが、ぜひ先生のご意見をお聞きしたいと思います。お願いします。

2017/07/21(Fri) 19:30 | URL | まゆみ | 【編集
Re: タイトルなし
まゆみ さん

そうですね。
日本では
アルブミン:3.8~5.3 g/dL
くらいが基準値です。

腎性糖尿では、正常血糖で尿糖陽性となります。
腎性糖尿は良性疾患で、治療の必要はありません。

腎性糖尿で蛋白尿がでることは、ないと思います。
蛋白尿が、どの程度の量でているのでしょう?

かなりの量の蛋白尿がでていない限り、血清アルブミンが低下することはありません。

動物性蛋白質をしっかり摂取して、アルブミン:3.8g/dl 以上を目指しましょう。
2017/07/22(Sat) 15:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
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