2008年04月11日 (金)
こんばんは、江部康二です。
今回は、今までもちょこちょこと登場していた「糖毒」のお話です。
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
典型的な糖毒パターンの一つは「ペットボトル症候群」です。
ペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと糖尿病の素因を持っていたり、軽度の糖尿病の人が、このように吸収されやすい糖質を多量に摂取していると、飲む度に血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されるのですが、ついにはインスリンの供給が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。それが続けば、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して点滴で脱水を補正し、インスリン注射を一日3回して、血糖値をコントロールします。
コントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
糖毒の解除に関して、高雄病院に入院された1型の糖尿病患者さんで、何人か貴重な経験をさせていただきました。
1型糖尿病で、インスリン分泌ゼロの患者さんにも、糖質制限食を開始するときは低血糖防止のためインスリンの量をある程度減量します。
それで個人差はあるのですが、当初はなかなか血糖値が安定せず、300mgだったり、250mgだったり、100mgだったり結構ばらつきます。
しかし、糖質制限食を1~3週間続けていて、一日を通して、血糖値が200mg/dlを超えなくなる日が一日あると、翌日からいきなりインスリンの効きが倍ぐらいよくなります。
つまり、同じ量のインスリンを打ったら低血糖になってしまうので、例えば前日まで6単位打っていたのを、翌日には3~4単位に減量することが必要となります。
そして、一日を通しての血糖値も速やかに安定し、ばらつきがなくなります。
最初の一人のときは、あまりの急速な改善にびっくりしましたが、同様のケースを何人か経験しましたので、糖毒の解除は一夜にして起こることもありえるのだと確信しました。
そして、肝腎なことは、この急速な糖毒の解除は、1型でインスリン分泌ゼロなのですから、偏にインスリン抵抗性の改善によるということです。
1型ほど劇的ではありませんが、2型糖尿病でも、糖質制限食により一日を通して血糖値が200mgを超えなくなると、かなり急速に血糖コントロールがよくなることを経験しています。
2型の場合は、インスリン抵抗性の改善だけではなく、インスリン分泌能力の回復も一定関わっていると思います。
このように、糖毒恐るべしなのですが、糖質制限食で改善も速やかといきたいものですね。
今回は、今までもちょこちょこと登場していた「糖毒」のお話です。
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
典型的な糖毒パターンの一つは「ペットボトル症候群」です。
ペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと糖尿病の素因を持っていたり、軽度の糖尿病の人が、このように吸収されやすい糖質を多量に摂取していると、飲む度に血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されるのですが、ついにはインスリンの供給が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。それが続けば、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して点滴で脱水を補正し、インスリン注射を一日3回して、血糖値をコントロールします。
コントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
糖毒の解除に関して、高雄病院に入院された1型の糖尿病患者さんで、何人か貴重な経験をさせていただきました。
1型糖尿病で、インスリン分泌ゼロの患者さんにも、糖質制限食を開始するときは低血糖防止のためインスリンの量をある程度減量します。
それで個人差はあるのですが、当初はなかなか血糖値が安定せず、300mgだったり、250mgだったり、100mgだったり結構ばらつきます。
しかし、糖質制限食を1~3週間続けていて、一日を通して、血糖値が200mg/dlを超えなくなる日が一日あると、翌日からいきなりインスリンの効きが倍ぐらいよくなります。
つまり、同じ量のインスリンを打ったら低血糖になってしまうので、例えば前日まで6単位打っていたのを、翌日には3~4単位に減量することが必要となります。
そして、一日を通しての血糖値も速やかに安定し、ばらつきがなくなります。
最初の一人のときは、あまりの急速な改善にびっくりしましたが、同様のケースを何人か経験しましたので、糖毒の解除は一夜にして起こることもありえるのだと確信しました。
そして、肝腎なことは、この急速な糖毒の解除は、1型でインスリン分泌ゼロなのですから、偏にインスリン抵抗性の改善によるということです。
1型ほど劇的ではありませんが、2型糖尿病でも、糖質制限食により一日を通して血糖値が200mgを超えなくなると、かなり急速に血糖コントロールがよくなることを経験しています。
2型の場合は、インスリン抵抗性の改善だけではなく、インスリン分泌能力の回復も一定関わっていると思います。
このように、糖毒恐るべしなのですが、糖質制限食で改善も速やかといきたいものですね。
毎日 ブログ 楽しみにしています,
ブログが無いと,今後とも続きません ( 糖質制限 間違いない )
現在 可もなく不可も無く糖質制限を実行しているつもりです
今日は,ラーメンを食べてしまいました
(たまにには我慢するよりも良いと思い?)
でも28000歩を歩き
4時間後ですが 血糖値 132 でした
本日 東京新聞に 2008/4/11(芸能ワイド)
炭水化物中心の食生活を
という記事があり (桂 小米朝 記)
インスリン,ブドウ糖 等を 説明し
最後に
「お勧め。人は炭水化物部はでは決して太りません。」
と までありました。
すいません
糖質制限をしている小生は
信じられない内容です
本当の意味で
血糖値の高い意味をご存じなのか
本記事に確認できるのでしょうか
(記事は長いので 記入致しませんが 小生で保存しています)
ps
毎日,楽しみにブログ拝見しています
1年前 a1c 7.9 ~ 今回 5.4
江部先生のご助言
糖質制限のみ(本,ブログ等)が無ければ
(アルコール有り すいません かなり)
現在は,薬(su),インシュリン等に 移行いると思います
この記事は
糖尿病の気持ちを理解していないと思い
無理のあるような記事と思いまして
投稿させていただきした
ブログが無いと,今後とも続きません ( 糖質制限 間違いない )
現在 可もなく不可も無く糖質制限を実行しているつもりです
今日は,ラーメンを食べてしまいました
(たまにには我慢するよりも良いと思い?)
でも28000歩を歩き
4時間後ですが 血糖値 132 でした
本日 東京新聞に 2008/4/11(芸能ワイド)
炭水化物中心の食生活を
という記事があり (桂 小米朝 記)
インスリン,ブドウ糖 等を 説明し
最後に
「お勧め。人は炭水化物部はでは決して太りません。」
と までありました。
すいません
糖質制限をしている小生は
信じられない内容です
本当の意味で
血糖値の高い意味をご存じなのか
本記事に確認できるのでしょうか
(記事は長いので 記入致しませんが 小生で保存しています)
ps
毎日,楽しみにブログ拝見しています
1年前 a1c 7.9 ~ 今回 5.4
江部先生のご助言
糖質制限のみ(本,ブログ等)が無ければ
(アルコール有り すいません かなり)
現在は,薬(su),インシュリン等に 移行いると思います
この記事は
糖尿病の気持ちを理解していないと思い
無理のあるような記事と思いまして
投稿させていただきした
2008/04/11(Fri) 20:53 | URL | hit | 【編集】
hit さん。
糖質制限食でHbA1c改善おめでとうございます。
桂小米朝さんの、コメント・記事
ある意味興味深い記事(常識派代表)なので
是非お知らせください。
本ブログで検討して、可能な範囲で
反論・正論を書きたいと思います。
糖質制限食でHbA1c改善おめでとうございます。
桂小米朝さんの、コメント・記事
ある意味興味深い記事(常識派代表)なので
是非お知らせください。
本ブログで検討して、可能な範囲で
反論・正論を書きたいと思います。
2008/04/11(Fri) 21:28 | URL | 江部康二 | 【編集】
はじめまして、糖尿病と診断されて6ヶ月になるものですが質問よろしいでしょうか。最近先生の著書〔主食を抜けば糖尿病は良くなる!〕を購入し、読み、少しずつ実践しているところです。でも、気になる症状が出てきました。足先がしびれるというかじんじんしているような気がします。
昨年9月の検査では空腹時血糖値 122 30分後 216 60分後 245 120分後 131 hbA1cは5.4でした。
インスリンの働きが悪いということで、アクトス15mg 1Tのんでいます。その後、昨年12月の検査は随時血糖値(朝食後130分後) 100
hbA1cは5.5でした。
食事、間食(ほぼなし)と気をつけ、1回に5000歩ほど1週間に最低5日は歩くようにしていますが、今年になってから足の症状が出てきてしまいました。痛くはありません。気にしすぎるのでしょうか。
今は朝は50g(パン)と昼食にご飯を150gの炭水化物をとっています。このままの状態で大丈夫でしょうか? 甘味はラカントSを使っています。よろしくおねがいいたします。
昨年9月の検査では空腹時血糖値 122 30分後 216 60分後 245 120分後 131 hbA1cは5.4でした。
インスリンの働きが悪いということで、アクトス15mg 1Tのんでいます。その後、昨年12月の検査は随時血糖値(朝食後130分後) 100
hbA1cは5.5でした。
食事、間食(ほぼなし)と気をつけ、1回に5000歩ほど1週間に最低5日は歩くようにしていますが、今年になってから足の症状が出てきてしまいました。痛くはありません。気にしすぎるのでしょうか。
今は朝は50g(パン)と昼食にご飯を150gの炭水化物をとっています。このままの状態で大丈夫でしょうか? 甘味はラカントSを使っています。よろしくおねがいいたします。
私は軽度の2型糖尿病で、先生のスーパー糖質制限食を実行したおかげでこの2年間、空腹時血糖値はほぼ90~110(高くても120以下)、Hba1cは4.7~5.2です。ところが先日1.5AGを検査して、10.8と低値でした。尿糖が出るような高血糖を起こしていると言われましたが、自己血糖測定器で空腹時、食前、食中、食後他含めて、この2~3日1時間おきに測定(睡眠時の6時間は計測不可)した結果、すべて120以下でした。これは高血糖の為でなく、スーパー糖質制限食の為、糖分が低く、一種の飢餓状態が原因ではないかと思いますが、先生のご教示をお願い致します。
hitさん。
桂小米朝さんの、言いたい放談見ました。
「魚や乳製品などを摂りすぎて膵臓にタンパク質やカルシウムが詰まり、インスリンがでにくくなっている」
事実無根、荒唐無稽です。あまりのことにびっくりしました。
糖尿病に対する完全な誤解ですね。
小米朝さん、糖尿病のことをほとんど理解されていないようです。
血糖値を急激に上昇させるのは、糖質、タンパク質、脂質のうち、
糖質(炭水化物)だけです。これが生理学的事実です。
炭水化物の摂取が血糖値を上昇させ、肥満ホルモンであるインスリンが分泌されることも生理学的事実です。
hitさん、安心して 糖質制限食をお続けくださいね。
桂小米朝さんの、言いたい放談見ました。
「魚や乳製品などを摂りすぎて膵臓にタンパク質やカルシウムが詰まり、インスリンがでにくくなっている」
事実無根、荒唐無稽です。あまりのことにびっくりしました。
糖尿病に対する完全な誤解ですね。
小米朝さん、糖尿病のことをほとんど理解されていないようです。
血糖値を急激に上昇させるのは、糖質、タンパク質、脂質のうち、
糖質(炭水化物)だけです。これが生理学的事実です。
炭水化物の摂取が血糖値を上昇させ、肥満ホルモンであるインスリンが分泌されることも生理学的事実です。
hitさん、安心して 糖質制限食をお続けくださいね。
2008/04/13(Sun) 07:43 | URL | 江部康二 | 【編集】
またまた、カステーラさんのブログより・・・
http://castela.blog104.fc2.com/
少し長いですが、是非読んでください。
糖尿病食の歴史
糖尿病というのは消化吸収されたブドウ糖の処理がうまくいかなくなる病気です。ブドウ糖の元になるのは炭水化物ですから、その炭水化物の摂取に慎重になるのは当然のことなのですが、日本のお医者さんの多くはカロリー制限一辺倒で、炭水化物についてはほとんど言及しません。
日本の糖尿病患者の食事療法は「食品交換表」を基準にしているため、糖尿病患者は基本的にカロリーの60%を炭水化物から摂取することになります。これは、今の日本人の食生活においては、むしろ高炭水化物食といっていいレベルです。
なぜこのような理不尽がまかり通っているのか、その謎を解き明かしてくれる文章を見つけたのでここに引用したいと思います。
出典は『糖尿病・最初の一年』(グレッチェン・ベッカー 著、 太田 喜義 訳))です。翻訳独特のわかりにくい文章表現だったので私なりに推敲してあります。
糖尿病患者はインスリンが十分作れないために、血糖値を正常に保つことができません。とくに炭水化物を摂ったときにその傾向は顕著です。にもかかわらず、なぜ多くの医師や栄養士は「たくさんの炭水化物を摂れ」と指示するのでしょうか。なぜアメリカ糖尿病協会(ADA)は「炭水化物は最高の栄養素」と言うのでしょうか。
この疑問に答えるためには、糖尿病食の歴史について学ばなければなりません。
まだ誰も糖尿病の原因が何なのかが解らなかった時代、糖尿病患者には大量の炭水化物が与えられました。大量の糖が尿から失われるのだから、大量の糖を補給する必要があると考えたのです。
インスリンが発見される直前の1900年代初頭は、超低炭水化物食が糖尿病患者の標準食でした。この食事で2型糖尿病患者の血糖値は低く保たれ、1型糖尿病患者の命を多少は長引かせることができました。
1920年代になってインスリンが発見されると、多くの糖尿病患者は正常に近い生活ができるようになったものの、彼らの標準食は依然として低炭水化物・高脂肪食でした。
インスリンのおかげで1型糖尿病の子供たちは大人まで成長することが可能になりましたが、彼らの多くは比較的若い年齢で心臓病により亡くなっていました。
1950年代、心臓病の発症は飽和脂肪を多く摂る人に顕著だという研究結果が発表されると、糖尿病患者に心臓死が多いのは、脂肪の多い食事のせいだと考えられるようになりました。
1979年、アメリカでは1型糖尿病患者の食事から脂肪を減らし、炭水化物を55~60%にまで増やすことが決定されました。増えた炭水化物による血糖値の上昇は、インスリンを増やすことで対応しました。
1988年、2型糖尿病患者に対しても同じような勧告がなされました。この時期、繊維質に富んだ高炭水化物食はインスリン抵抗性を下げ、食後の血糖値を安定させる効果が高いという研究結果が出されたからです。
インスリンを使わない2型患者にとって、炭水化物の増加は血糖値の増加を意味しますが、その当時、食後の一時的な高血糖は無害だと考えられていました。
しかし1994年、アメリカ糖尿病協会は高炭水化物食がすべての2型糖尿病患者に対してベストなものではなかったことを認め、炭水化物の一部を1価不飽和脂肪で置き換える食事療法を導入しました。炭水化物をどのくらい減らすかは個々の状況によるとし、適切な炭水化物量を探る方法として、カーボカウンティングが取り入れられました。
このような変化にも関わらず、今なお患者に大量の炭水化物摂取を勧める医師や栄養士は数多くいます。
高炭水化物食に移行するきっかけとなった研究は、本来、多くの繊維質をとるための炭水化物食であったはずなのに、いつの間にかパンや米やシリアルが糖尿病にいいものという誤解を与えてしまいました。
また、大量の脂肪摂取が心臓死を招くとする研究も、厳密にいえば大量の飽和脂肪なのです。オリーブ油(1価不飽和脂肪)をたっぷり摂るギリシャでの心臓死は決して多くありません。また、大量の飽和脂肪を摂る集団は、大量の炭水化物を摂る集団であることも忘れてはいけません。
このように、本来は「高繊維&低飽和脂肪」がベストな食事だったはずが、いつのまにか「高炭水化物&低脂肪」がいいというように勘違いされてしまったのです。
最近の研究では、食後2時間の血糖値が、将来起こる様々な問題の最も正しい指標であることが明らかになっています。血糖値の低い人たちの心臓死のリスクは低いのです。食後高血糖は問題ではないと言われた時代は終わりました。
もしあなたがインスリンを打っているなら、どんなに炭水化物を摂ってもそれに見合うインスリンを打てば問題ないと思うかもしれません。しかし、健康なすい臓が行う微妙な血糖コントロールを、インスリン注射で真似することは非常に困難です。炭水化物の量が増えれば増えるほど血糖値の上下は激しくなりますが、炭水化物を控えれば山と谷は平らになります。
糖尿病食の流行は振り子のように揺れ動いています。ちょっと前まで、多くの医師は60%から、場合によっては70%もの炭水化物を推奨しました。しかし今、振り子は反対側へ揺り戻しています。ボストンのジョスリン糖尿病センターは最近、炭水化物の推奨量を40%に下げました。さらに多くの医師や栄養士は、より低い炭水化物を処方する傾向にあります。
私たちはすべて、それぞれ固有の生理学を持っています。2型糖尿病患者の多くは、炭水化物を減らすことで血糖をうまくコントロールしていますが、中にはどんな脂肪もだめで、高繊維&低脂肪食が一番いいという人もいます。
重要なのは、何があなたに効くのかを発見することです。ある食事法がどういう結果をもたらすのか、血糖値はもちろん、血中脂質や血圧などを測定しながら検証することです。
食事を楽しみ、健康に生きましょう。
現在の日本の糖尿病食は今から20年前のアメリカのやり方を真似た物だったのです。そのアメリカでは14年前に、それがベストなやり方ではなかったことを認めています。
確かに総カロリーも重要です。しかし、糖尿病患者にとって栄養素のバランスはそれ以上に重要で、どれがベストなバランスなのかは個人個人の体質や病状、生活習慣によって違ってくるということを、日本の医療はなぜ認めようとしないのでしょう。
食品交換表というお仕着せをすべての患者に一律に適用するのではなく、医師と栄養士と患者がチームを組んで、それぞれの患者にもっともふさわしい食事を探って行ける日が、一日も早く来ることを願ってやみません。
http://castela.blog104.fc2.com/
少し長いですが、是非読んでください。
糖尿病食の歴史
糖尿病というのは消化吸収されたブドウ糖の処理がうまくいかなくなる病気です。ブドウ糖の元になるのは炭水化物ですから、その炭水化物の摂取に慎重になるのは当然のことなのですが、日本のお医者さんの多くはカロリー制限一辺倒で、炭水化物についてはほとんど言及しません。
日本の糖尿病患者の食事療法は「食品交換表」を基準にしているため、糖尿病患者は基本的にカロリーの60%を炭水化物から摂取することになります。これは、今の日本人の食生活においては、むしろ高炭水化物食といっていいレベルです。
なぜこのような理不尽がまかり通っているのか、その謎を解き明かしてくれる文章を見つけたのでここに引用したいと思います。
出典は『糖尿病・最初の一年』(グレッチェン・ベッカー 著、 太田 喜義 訳))です。翻訳独特のわかりにくい文章表現だったので私なりに推敲してあります。
糖尿病患者はインスリンが十分作れないために、血糖値を正常に保つことができません。とくに炭水化物を摂ったときにその傾向は顕著です。にもかかわらず、なぜ多くの医師や栄養士は「たくさんの炭水化物を摂れ」と指示するのでしょうか。なぜアメリカ糖尿病協会(ADA)は「炭水化物は最高の栄養素」と言うのでしょうか。
この疑問に答えるためには、糖尿病食の歴史について学ばなければなりません。
まだ誰も糖尿病の原因が何なのかが解らなかった時代、糖尿病患者には大量の炭水化物が与えられました。大量の糖が尿から失われるのだから、大量の糖を補給する必要があると考えたのです。
インスリンが発見される直前の1900年代初頭は、超低炭水化物食が糖尿病患者の標準食でした。この食事で2型糖尿病患者の血糖値は低く保たれ、1型糖尿病患者の命を多少は長引かせることができました。
1920年代になってインスリンが発見されると、多くの糖尿病患者は正常に近い生活ができるようになったものの、彼らの標準食は依然として低炭水化物・高脂肪食でした。
インスリンのおかげで1型糖尿病の子供たちは大人まで成長することが可能になりましたが、彼らの多くは比較的若い年齢で心臓病により亡くなっていました。
1950年代、心臓病の発症は飽和脂肪を多く摂る人に顕著だという研究結果が発表されると、糖尿病患者に心臓死が多いのは、脂肪の多い食事のせいだと考えられるようになりました。
1979年、アメリカでは1型糖尿病患者の食事から脂肪を減らし、炭水化物を55~60%にまで増やすことが決定されました。増えた炭水化物による血糖値の上昇は、インスリンを増やすことで対応しました。
1988年、2型糖尿病患者に対しても同じような勧告がなされました。この時期、繊維質に富んだ高炭水化物食はインスリン抵抗性を下げ、食後の血糖値を安定させる効果が高いという研究結果が出されたからです。
インスリンを使わない2型患者にとって、炭水化物の増加は血糖値の増加を意味しますが、その当時、食後の一時的な高血糖は無害だと考えられていました。
しかし1994年、アメリカ糖尿病協会は高炭水化物食がすべての2型糖尿病患者に対してベストなものではなかったことを認め、炭水化物の一部を1価不飽和脂肪で置き換える食事療法を導入しました。炭水化物をどのくらい減らすかは個々の状況によるとし、適切な炭水化物量を探る方法として、カーボカウンティングが取り入れられました。
このような変化にも関わらず、今なお患者に大量の炭水化物摂取を勧める医師や栄養士は数多くいます。
高炭水化物食に移行するきっかけとなった研究は、本来、多くの繊維質をとるための炭水化物食であったはずなのに、いつの間にかパンや米やシリアルが糖尿病にいいものという誤解を与えてしまいました。
また、大量の脂肪摂取が心臓死を招くとする研究も、厳密にいえば大量の飽和脂肪なのです。オリーブ油(1価不飽和脂肪)をたっぷり摂るギリシャでの心臓死は決して多くありません。また、大量の飽和脂肪を摂る集団は、大量の炭水化物を摂る集団であることも忘れてはいけません。
このように、本来は「高繊維&低飽和脂肪」がベストな食事だったはずが、いつのまにか「高炭水化物&低脂肪」がいいというように勘違いされてしまったのです。
最近の研究では、食後2時間の血糖値が、将来起こる様々な問題の最も正しい指標であることが明らかになっています。血糖値の低い人たちの心臓死のリスクは低いのです。食後高血糖は問題ではないと言われた時代は終わりました。
もしあなたがインスリンを打っているなら、どんなに炭水化物を摂ってもそれに見合うインスリンを打てば問題ないと思うかもしれません。しかし、健康なすい臓が行う微妙な血糖コントロールを、インスリン注射で真似することは非常に困難です。炭水化物の量が増えれば増えるほど血糖値の上下は激しくなりますが、炭水化物を控えれば山と谷は平らになります。
糖尿病食の流行は振り子のように揺れ動いています。ちょっと前まで、多くの医師は60%から、場合によっては70%もの炭水化物を推奨しました。しかし今、振り子は反対側へ揺り戻しています。ボストンのジョスリン糖尿病センターは最近、炭水化物の推奨量を40%に下げました。さらに多くの医師や栄養士は、より低い炭水化物を処方する傾向にあります。
私たちはすべて、それぞれ固有の生理学を持っています。2型糖尿病患者の多くは、炭水化物を減らすことで血糖をうまくコントロールしていますが、中にはどんな脂肪もだめで、高繊維&低脂肪食が一番いいという人もいます。
重要なのは、何があなたに効くのかを発見することです。ある食事法がどういう結果をもたらすのか、血糖値はもちろん、血中脂質や血圧などを測定しながら検証することです。
食事を楽しみ、健康に生きましょう。
現在の日本の糖尿病食は今から20年前のアメリカのやり方を真似た物だったのです。そのアメリカでは14年前に、それがベストなやり方ではなかったことを認めています。
確かに総カロリーも重要です。しかし、糖尿病患者にとって栄養素のバランスはそれ以上に重要で、どれがベストなバランスなのかは個人個人の体質や病状、生活習慣によって違ってくるということを、日本の医療はなぜ認めようとしないのでしょう。
食品交換表というお仕着せをすべての患者に一律に適用するのではなく、医師と栄養士と患者がチームを組んで、それぞれの患者にもっともふさわしい食事を探って行ける日が、一日も早く来ることを願ってやみません。
2008/04/13(Sun) 11:11 | URL | xiangdao | 【編集】
少しずつですが、糖質制限食の大切さがわかってきています。でもいざ実行の段階になると、、自分なりの判断で甘くなり、炭水化物を取りすぎているようです。今日からまた新たな気持ちで、食事を私なりに楽しみながら先生の本を供に進めたいとおもいます。いい結果を楽しみに!
2008/04/13(Sun) 13:23 | URL | key | 【編集】
hitさん。
表示OKの時は今まで通り本ブログに書き込んでいただけば結構です。
非表示で質問で、答えも必要な時は
高雄病院のホームページ
http://takao-hospital.jp/
のお問い合わせ先
にご連絡ください。
表示OKの時は今まで通り本ブログに書き込んでいただけば結構です。
非表示で質問で、答えも必要な時は
高雄病院のホームページ
http://takao-hospital.jp/
のお問い合わせ先
にご連絡ください。
2008/04/15(Tue) 10:47 | URL | 江部康二 | 【編集】
ご返事 ありがとう御座います
今後とも 宜しく御願いいたします
今後とも 宜しく御願いいたします
2008/04/15(Tue) 13:55 | URL | hit | 【編集】
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