2008年04月02日 (水)
おはようございます。
今朝は鶯の鳴き声で目が覚めました。とても風流な朝です。相変わらず霞がかかっていますが、とても良い天気です。
さて、糖質制限食により減量できるメカニズムを2007.8.14のブログで書きました。あれからさらに新しい知見が加わったので、もう一回整理してみようと思います。アメリカの佐藤さん、本ブログをご参照いただけば幸いです。
「同一カロリーの摂取であれば、何を食べても減量効果は変わらない」というカロリー神話、大多数の医師・栄養士において現在も根強い信仰のようになってます。
私もかつてはカロリー神話を信じていましたが、人体の生理・代謝を系統的に理論的に考察してみると、はっきり間違いということがわかりました。
カロリー制限食と糖質制限食では、痩せる効果に大きな差があるのですが、「糖質制限食」でやせるメカニズムに関しては、以下の四つの要素が重要です。
糖質を摂取しないので
1 肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がほとんどでない。
2 体脂肪が常に燃えている。
3 血中のケトン体が高まり、尿中にカロリーと共に生理的に排泄される。
4 肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われそれに高エネルギーが消費される。*1
一方、従来の「カロリー制限食」では、糖質を摂取するので
インスリン・スイッチが入って
A 血糖値が上昇して肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がたっぷり分泌される。
B 体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C ケトン体は出なくなる。
D 糖新生はストップする。
この<1、2、3、4>と<A、B、C、D>の比較をしてみれば、糖質制限食のほうがカロリー制限食より、ダイエット効果があることがお解りいただけると思います。
<1、2、3、4>に関しては、摂取カロリーとは全く無関係の生理学的な事実であり、あくまでも糖質を摂取するか否かが鍵となります。
このように、少なくとも同一カロリーである限りは、糖質制限食が脂肪制限食よりダイエット効果が高いことは、理論的に証明できたと思います。
基本的には、特に運動しなくても日常生活の中で減量できますが、勿論運動はしても構いません。
尿中ケトン体に関しては、 糖質制限食実践により、その人における調度良い体重まで減量できたころ、血中ケトン体が少々高値であっても出なくなります。
これは、体内でケトン体を日常的に効率よく利用できるようになっていき(農耕以前の人類の本来のエネルギーシステムになる)体内でエネルギー源として沢山消費するので、尿中に排泄されなくなるようです。
私は、スーパー糖質制限食実践中で、血中ケトン体は393mol/l(26~122)とかで、所謂標準値の三倍ありますが、尿中ケトン体は陰性です。スーパー糖質制限食実践中の人や農耕以前の人類の血中ケトン体は200~500mol/lくらいが正常値かと思われます。
私の場合、身長は167cm、糖質制限食により66kg→56kgに約半年で減量して、その後体重は不変です。
なお、もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、「 糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)」が必要となることがあります。
本ブログのカテゴリー「肥満と糖質制限食」や「ピマインディアンと糖尿病」の項に倹約遺伝子(肥満遺伝子)のことや肥満のことなども載っていますので、参考にしていただけば幸いです。
*1
ハーパー・生化学(原書27版)2007年日本語訳発行、194ページ
糖新生の高いエネルギーコストは、非常に低い糖質の食事がなぜ体重減少を引き起こすかを説明する。アミノ酸からの糖新生に必要な高いエネルギーコスト(多量のATP)は脂肪酸の酸化によって埋め合わされている。
江部康二
今朝は鶯の鳴き声で目が覚めました。とても風流な朝です。相変わらず霞がかかっていますが、とても良い天気です。
さて、糖質制限食により減量できるメカニズムを2007.8.14のブログで書きました。あれからさらに新しい知見が加わったので、もう一回整理してみようと思います。アメリカの佐藤さん、本ブログをご参照いただけば幸いです。
「同一カロリーの摂取であれば、何を食べても減量効果は変わらない」というカロリー神話、大多数の医師・栄養士において現在も根強い信仰のようになってます。
私もかつてはカロリー神話を信じていましたが、人体の生理・代謝を系統的に理論的に考察してみると、はっきり間違いということがわかりました。
カロリー制限食と糖質制限食では、痩せる効果に大きな差があるのですが、「糖質制限食」でやせるメカニズムに関しては、以下の四つの要素が重要です。
糖質を摂取しないので
1 肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がほとんどでない。
2 体脂肪が常に燃えている。
3 血中のケトン体が高まり、尿中にカロリーと共に生理的に排泄される。
4 肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われそれに高エネルギーが消費される。*1
一方、従来の「カロリー制限食」では、糖質を摂取するので
インスリン・スイッチが入って
A 血糖値が上昇して肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がたっぷり分泌される。
B 体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C ケトン体は出なくなる。
D 糖新生はストップする。
この<1、2、3、4>と<A、B、C、D>の比較をしてみれば、糖質制限食のほうがカロリー制限食より、ダイエット効果があることがお解りいただけると思います。
<1、2、3、4>に関しては、摂取カロリーとは全く無関係の生理学的な事実であり、あくまでも糖質を摂取するか否かが鍵となります。
このように、少なくとも同一カロリーである限りは、糖質制限食が脂肪制限食よりダイエット効果が高いことは、理論的に証明できたと思います。
基本的には、特に運動しなくても日常生活の中で減量できますが、勿論運動はしても構いません。
尿中ケトン体に関しては、 糖質制限食実践により、その人における調度良い体重まで減量できたころ、血中ケトン体が少々高値であっても出なくなります。
これは、体内でケトン体を日常的に効率よく利用できるようになっていき(農耕以前の人類の本来のエネルギーシステムになる)体内でエネルギー源として沢山消費するので、尿中に排泄されなくなるようです。
私は、スーパー糖質制限食実践中で、血中ケトン体は393mol/l(26~122)とかで、所謂標準値の三倍ありますが、尿中ケトン体は陰性です。スーパー糖質制限食実践中の人や農耕以前の人類の血中ケトン体は200~500mol/lくらいが正常値かと思われます。
私の場合、身長は167cm、糖質制限食により66kg→56kgに約半年で減量して、その後体重は不変です。
なお、もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、「 糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)」が必要となることがあります。
本ブログのカテゴリー「肥満と糖質制限食」や「ピマインディアンと糖尿病」の項に倹約遺伝子(肥満遺伝子)のことや肥満のことなども載っていますので、参考にしていただけば幸いです。
*1
ハーパー・生化学(原書27版)2007年日本語訳発行、194ページ
糖新生の高いエネルギーコストは、非常に低い糖質の食事がなぜ体重減少を引き起こすかを説明する。アミノ酸からの糖新生に必要な高いエネルギーコスト(多量のATP)は脂肪酸の酸化によって埋め合わされている。
江部康二
おはようございます。
以前、先生の、機能性低血糖症の記事で、私の5時間糖負荷検査、のグラフをリンクさせていただいた、nichinichisoです。
私は、糖尿病ではないのですが、機能性低血糖症の治療過程で糖質制限を行っています。
先生のおっしゃるとおり、糖質制限を開始してから、体重が減少していくという体験がありましたので、一データとして、報告させていただきたいと思いました。
----------
以下は私のブログから引用です。
ちょうど1月前から、市販のサプリメント(またはビタミン剤)と、プロテインを飲み、砂糖・炭水化物制限を行って、日々すごしてきました。(現在は、サプリメント、プロテインは、病院から購入したものを利用)具体的にはこちら→file 478 栄養摂取を工夫と経過http://nichinici.exblog.jp/6772294/
同時に、体重も計っていました。
その結果を列挙します。
日付 体重
10.26 66.0kg
11.02 65.0kg
11.07 64.6kg
11.12 63.8kg
11.19 63.6kg
11.22 63.2kg
11.26 62.8kg
08年
04.01 61.6kg
医師の見解:
→長年の体重が62キロ台であったことと、日々のカロリーは十分摂取していることから、栄養療法の治療による適正な推移と見られる。
--------------
江部先生のご指摘されている、尿中ケトン体は、私の場合は、糖質制限前は陰性でしたが、3ヵ月後の検査では陽性でした。これは、主治医によると、エネルギー産生の過程にまだ障害が生じていることを示すものだといわれました。
先生のブログを閲覧なさっている方の参考になればと思い、コメントさせていただきました。
リンク先は上記引用した、私の07.11.27のブログの記事です。
それでは、失礼いたします。
以前、先生の、機能性低血糖症の記事で、私の5時間糖負荷検査、のグラフをリンクさせていただいた、nichinichisoです。
私は、糖尿病ではないのですが、機能性低血糖症の治療過程で糖質制限を行っています。
先生のおっしゃるとおり、糖質制限を開始してから、体重が減少していくという体験がありましたので、一データとして、報告させていただきたいと思いました。
----------
以下は私のブログから引用です。
ちょうど1月前から、市販のサプリメント(またはビタミン剤)と、プロテインを飲み、砂糖・炭水化物制限を行って、日々すごしてきました。(現在は、サプリメント、プロテインは、病院から購入したものを利用)具体的にはこちら→file 478 栄養摂取を工夫と経過http://nichinici.exblog.jp/6772294/
同時に、体重も計っていました。
その結果を列挙します。
日付 体重
10.26 66.0kg
11.02 65.0kg
11.07 64.6kg
11.12 63.8kg
11.19 63.6kg
11.22 63.2kg
11.26 62.8kg
08年
04.01 61.6kg
医師の見解:
→長年の体重が62キロ台であったことと、日々のカロリーは十分摂取していることから、栄養療法の治療による適正な推移と見られる。
--------------
江部先生のご指摘されている、尿中ケトン体は、私の場合は、糖質制限前は陰性でしたが、3ヵ月後の検査では陽性でした。これは、主治医によると、エネルギー産生の過程にまだ障害が生じていることを示すものだといわれました。
先生のブログを閲覧なさっている方の参考になればと思い、コメントさせていただきました。
リンク先は上記引用した、私の07.11.27のブログの記事です。
それでは、失礼いたします。
先生の本とブログ、あとカステーラさんのブログ、とても参考になります。ありがとうございます。
42歳女性です。
血縁者に糖尿病が多く、30過ぎくらいからは太らないように気をつけてきましたが、とうとう糖尿病の診断を受けました。
ぶどう糖負荷検査の結果、
空腹時血糖値 105 1時間後 224 2時間後 246 HbA1C 6.2
という結果でした。
インターネット等から江部先生の食事療法を見つけ、さっそく本を買いゆるめながら実践しています。(この前の検査で HbA1C 6.0でした)
「朝食抜き」というのも昨日からやっていますが、とても快適です。
1つ悩みがあります・・・
もともとやせていて、BMIは19程度なのですが
今は18をきりました。
夫がやたら心配するのと、周りから「どこか悪いの?」などと聞かれるのが、ちょっとストレスです。。
42歳女性です。
血縁者に糖尿病が多く、30過ぎくらいからは太らないように気をつけてきましたが、とうとう糖尿病の診断を受けました。
ぶどう糖負荷検査の結果、
空腹時血糖値 105 1時間後 224 2時間後 246 HbA1C 6.2
という結果でした。
インターネット等から江部先生の食事療法を見つけ、さっそく本を買いゆるめながら実践しています。(この前の検査で HbA1C 6.0でした)
「朝食抜き」というのも昨日からやっていますが、とても快適です。
1つ悩みがあります・・・
もともとやせていて、BMIは19程度なのですが
今は18をきりました。
夫がやたら心配するのと、周りから「どこか悪いの?」などと聞かれるのが、ちょっとストレスです。。
2008/04/02(Wed) 08:41 | URL | エイプリル | 【編集】
nichinichisoさん。
コメントありがとうございます。
長年の体重が62kgていどであったとのことですので、
そろそろ体重も減りどまって安定すると思います。
個人差はありますが
尿中ケトン体もそろそろ陰性化すると思います。
糖質制限食の初期は血中ケトン体が急上昇して、尿中ケトン体も陽性となりますが、勿論生理的な反応ですので異常ではありません。
コメントありがとうございます。
長年の体重が62kgていどであったとのことですので、
そろそろ体重も減りどまって安定すると思います。
個人差はありますが
尿中ケトン体もそろそろ陰性化すると思います。
糖質制限食の初期は血中ケトン体が急上昇して、尿中ケトン体も陽性となりますが、勿論生理的な反応ですので異常ではありません。
2008/04/02(Wed) 14:37 | URL | 江部康二 | 【編集】
エイプリル さん。
本のご購入ありがとうございます。
空腹時血糖値は正常で、インスリン基礎分泌は確保されていますね。
食後の高血糖タイプですが、糖質制限食でコントロール可能ですよ。
体重に関しては、
糖質は制限しても、脂質やたんぱく質はしっかり摂取して、
1400~1600キロカロリーを確保してくださいね。
本のご購入ありがとうございます。
空腹時血糖値は正常で、インスリン基礎分泌は確保されていますね。
食後の高血糖タイプですが、糖質制限食でコントロール可能ですよ。
体重に関しては、
糖質は制限しても、脂質やたんぱく質はしっかり摂取して、
1400~1600キロカロリーを確保してくださいね。
2008/04/02(Wed) 14:43 | URL | 江部康二 | 【編集】
佐藤さん。
お誉めの言葉、ありがとうございます。
臨床心理学も臨床心理士の先生について教えて頂き少しだけですが勉強しました。
「主食を・・・」の英訳も検討しました。
米国にはアトキンス・ダイエットがあり、少し違うところもありますが
糖質を制限するという基本の考えは同じなので、英訳は棚上げとなっています。
アトキンス博士の本は参考になりますよ。
お誉めの言葉、ありがとうございます。
臨床心理学も臨床心理士の先生について教えて頂き少しだけですが勉強しました。
「主食を・・・」の英訳も検討しました。
米国にはアトキンス・ダイエットがあり、少し違うところもありますが
糖質を制限するという基本の考えは同じなので、英訳は棚上げとなっています。
アトキンス博士の本は参考になりますよ。
2008/04/04(Fri) 19:51 | URL | 江部康二 | 【編集】
出版の運びとなりましたら、
是非一読してみたいです
(0_0ヘ)フムフム
是非一読してみたいです


2008/04/05(Sat) 14:43 | URL | ラオ子 | 【編集】
ラオ子さん。
ありがとうございます。
もう一回、英訳すこーし、考えてみます。
ありがとうございます。
もう一回、英訳すこーし、考えてみます。
2008/04/05(Sat) 18:02 | URL | 江部康二 | 【編集】
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