妊娠糖尿病、糖質制限で元気な赤ちゃん。糖尿病発症予防は?
【16/05/14 あかね

糖質制限食と糖尿病進行

江部先生
はじめまして、アメリカ在住39歳女性です。

2人目の妊娠中に妊娠糖尿病にかかりましたが、先生のブログとご著書を参考にさせていただき、糖質制限で妊娠をのりきり、超健康な赤ちゃんを産むことができました。

さて、産後3ヶ月が経ちますが、まだ食後高血糖が続いているため、糖質制限を続けており(薬は飲んでいません)、血糖値は完璧にコントロールしています。先日、こちらの糖尿病専門医に今後の治療方針について相談したところ、健康上、糖質制限を続けるのには問題ない、ただし、糖質制限食は、短期的に食後高血糖を上げるのを防げるが、将来的に糖尿病になるのを防ぐわけではない。糖尿病進行の予防方法は運動だけだ。だからそんなに一生懸命炭水化物をカットしなくていいよ、との説明でした。

江部先生のブログで、糖質制限によって膵臓をやすませてあげれるから糖尿病への進行も防げるという説明を何度か見かけたため、今後も糖質制限を頑張れば糖尿病は予防でき、さらにはもしかしたら正常人に戻れるのではないかと思っていたところ、かなりショックを受けました。

いくら糖質制限をしても、膵臓がインスリンをつくることを辞めてしまうことはあるのでしょうか?

(ちなみに私は160センチ、49キロです。妊娠前よりも2〰3キロ痩せています。授乳中だからか、糖質制限のおかげか、いくらお腹いっぱい食べてもここ1か月この体重を維持しています。また、産後2ヶ月での75gグルコースチャレンジテストでは、空腹時78、1時間122、2時間142で、2時間値が境界型でした。)

お忙しいところ本当に恐縮ですが、ご意見お聞かせいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。】


こんにちは。
アメリカ在住のあかねさんから、妊娠糖尿病を糖質制限食で乗り切り、元気な赤ちゃんを出産という嬉しいコメントを頂きました。

あかねさん、拙著のご購入、ありがとうございます。

結論ですが、境界型からの糖尿病発症は、糖質制限食で予防できる可能性が高いです。

理論的には、食後180mg/dlを超える血糖値があると膵臓のβ細胞が障害されます。

それを毎日繰り返していると、β細胞のインスリン分泌能が低下して糖尿病を発症します。

日本人では、食後高血糖が数年間続いて、糖尿病発症というパターンが一番多いです。

糖質制限食なら、食後高血糖が生じないのでβ細胞が障害されることがありません。

従って、境界型から糖尿病を発症するのを予防できる可能性が高いのです。

研究論文もあります。

新潟労災病院消化器内科部長、前川智先生が、

『糖質制限食が境界型糖尿病において、血糖コントロール及び2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。』

という内容の英文論文を書いておられます。(☆)

前川先生のご研究は、一日の糖質摂取量が120gの緩やかな糖質制限食です。

なお、逆に言えば、糖質を普通に食べて食後高血糖を生じている場合は、境界型から将来の糖尿病発症を予防することは困難と言えます。


江部康二



(☆)
Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3

「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」

要約

背景
近年では、耐糖能障害(IGT)を有する人の数は世界中で着実に増加している。糖尿病の予防は、公衆衛生、医療、経済学の観点から重要であることは明らかである。近年、低炭水化物食(LCD)は、体重​​減少及び血糖コントロール​​に有用であることが報告されたが、LCDのIGTへの効果についての情報は存在しない。私たちは、IGTに対するLCDに焦点を当てた7日間の院内教育プログラムを計画した。

方法
被験者は2007年4月から2012年3月までに登録され、12カ月間追跡したIGTの72人の患者(LCD群が36、対照群が36)であった。我々は、LCD群と対照群を後ろ向き調査により比較した。

結果
LCD群の69.4%において、血糖値は12ヶ月で正常化し、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)において2時間の血漿グルコースレベルは、33mg/dl減少した。また、糖尿病の発生率は、12ヶ月目に対照群よりLCD群において有意に低かった(0%対13.9%、P = 0.02)。LCD群は12ヶ月後に、HbA1c、空腹時血糖値、HOMA-R、体重、血清トリグリセリド(TG)の有意な減少を示した。一方HDLコレステロール値は有意な増加を示した。

結論
LCDは、IGTを有する患者において、血糖値を正常化し、2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
健診結果 Good でした
厚労省推奨の食事で糖尿人になりかけたN夫 52才です。プチ+スタンダードで4ヵ月、スーパーに移行して10日で健診に行ってきました。昨年より大幅改善でした。(改善というより、記憶にある限りでは人生で最良値)

中性脂肪 115 -> 30
HDL 73 -> 104
LDL 102 -> 87
LH比 1.4 -> 0.8

空腹血糖 103 -> 79
HbA1c 5.8 -> 5.6

極端な事をやった方が参考になると思い、4ヵ月間は 週4回、スーパー 10日間は 週7回で天ぷらを食べまくりました (もちろん薄衣で、また、SMP比は 3:4:3、n3:n6=1:4、EPA+DHA は大体クリアしてます)。こんな無茶な事をしたら、さすがに脂質項目は悪化するのではとハラハラでしたが、糖質制限の威力に脱帽です。ただ、先生の教えを無視して、揚げ油には安売りのなたね油(キャノーラ油)を使用したので、4ヵ月間は連日、リノール酸 25-30g 摂取と、過剰とされる日本人平均さえも完全に超過してしまったので、食用油については今後の検討課題です。

HbA1c に関しては、スーパーに切替えたのが遅すぎたので、1食当たり糖質40gに抑えていた2ヵ月間が反映されたのでしょう。スタンダードでも、正常人 50代平均の 5.3 に到達できないということは、スーパーを継続するしかないということですね。1年後の健診を目標に頑張ります。
2016/05/14(Sat) 23:21 | URL | N夫 | 【編集
Re: 健診結果 Good でした
N夫 さん

糖質制限食で人生最良のデータ、良かったですね。
2016/05/15(Sun) 11:01 | URL | ドクター江部 | 【編集
どうもありがとうございます!
江部先生


お忙しい中、こんなにすぐにお返事を頂けると思っておらずウェブサイトをチェックをしていなかったためお礼の返事が遅れて大変申し訳ありません。

とてもためになる研究論文の結果もいただき、本当にありがとうございました。今後も元気に糖質制限食を続けます!!!!!


P.S. 因みに、妊娠中の糖質制限については、こちらの病院でも、炭水化物を取らないと赤ちゃんの脳に異常が出るから、最低でも1食につき45gの炭水化物をとりなさい、それで血糖値がコントロールできないようならインスリンです、と指導されました・・・。が、糖質カットで乗り切り、3000gの、低血糖も何も異常ない元気な赤ちゃんが産まれてきて、本当に江部先生には感謝しています。
2016/05/22(Sun) 07:05 | URL | あかね | 【編集
Re: どうもありがとうございます!
あかね さん

糖質制限で元気な赤ちゃんをご出産、おめでとうございます。
2016/05/22(Sun) 22:08 | URL | ドクター江部 | 【編集
こんにちわ。はじめまして
はじめまして。検索したらみつけたので書き込みしました。切迫早産で入院中です。妊娠糖尿病疑惑出てて、リトドリンをつけて検査をしたら2次で引っかかりました。+10でした。前回はマグセントつけてやりましたが薬が合わず張りに張りまくってしまい、3時間の空腹での検査をしたら陰性でした。空腹時の検査では無かったのでという病院の判断により検査をまたしました。そしたらひっかかりました。リトドリンをしてる以上は出てもおかしくはないと思うのですが。。。。どう思われますか?
2017/02/15(Wed) 11:37 | URL | まる | 【編集
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