糖質制限食実践とインスリンとグルカゴンの動向
【16/04/20 サワ
糖質制限の安全性についての質問
こんにちは。私自身糖質制限を実施し、2年近くになります。
母も最近血糖値に問題が出て、糖質制限を勧めました。体重も減り血糖値も改善傾向です。先生と同世代の母も慣れないスマホで、先生のブログを読んでいます笑
先生が若々しいと言い、糖質制限で元気になれるのではと期待しているようです。
今回、初めて人に糖質制限を教えてあげるにあたり、
安全性について少し質問させて下さい。
一つはブログ内でも良く登場する耐糖能についてです。
糖質制限にて耐糖能は改善する場合と、低下する場合がある事は勉強済みです。
私自身、最近糖質15g程度で食後の尿が甘い匂いがするようになりました。
今までは20gを越えなければしなかったのです。
それは糖質制限をしている限り問題ないとブログ内で紹介されていますが、
糖質20g以下を目標にしていたら食後高血糖が生じるようになれば、15g以下に。
更に耐糖能が落ちればそれ以下に。
と、どんどん食べられる糖質量は減っていくような気がします。
いかがでしょうか?
体重50キロなので、糖質1gで4血糖値が上がるとして、
15gの糖質を食べれば60血糖値が上がりますね。
空腹時血糖値が120あれば180です。
耐糖能の低下には限りがあるのでしょうか?
15gの糖質なら何とか制限出来ます。ただこれが10g5gと下がれば厳しくなるので。
そのあたり、ブログ内を拝見しましても分からなかったのでご回答頂ければ助かります。

あともう一つはインスリンと逆のホルモン、グルカゴンについて。
糖質制限をするとβ細胞からのインスリン分泌は少なくすみ、膵臓は休息できる。
これは分かります。
ではα細胞のグルカゴンはどうですか?糖質制限を実施すると糖質が少ない分脂肪を分解しケトン体をエネルギーに切り替え、最低限必要な糖質は肝臓で作られるんでしたよね。
健康体でも同じですよね。ただ糖質制限をしていれば、その頻度は増えるのでしょうか?
つまりグルカゴン量が増えるのではないでしょうか?
飢餓状態だと高値になりますから、同じような結果になるのではないでしょうか?
するとβ細胞は休息できるが、α細胞は今までより働く。
膵臓はどちらにせよ休息出来ない、という事にはならないでしょうか?
α細胞は疲労してもグルカゴンは枯渇しないのでしょうか。

糖質制限は私自身の血糖値を改善してくれました。もはや習慣づいています。
今後も安心して続けたいと思いますので、以上ご回答頂ければ幸いです。】


おはようございます。
さわさんから、糖質制限食実践とインスリンとグルカゴンの動向、
そして安全性について、コメント・質問を頂きました。

さわさん。
スーパー糖質制限食で耐糖能が改善する人、不変の人、低下する人がいるようです。

例えば、75g経口ブドウ糖負荷試験の前3日間は
150g/日以上の糖質摂取が推奨されています。

ただ、75gの液体のブドウ糖というのはかなり強力な負荷です。
スーパー糖質制限食で、通常一回の食事の糖質量10~20g以下の人が
たまに30~40g食べてもそれほど害はないと思います。

私の場合は、2002年~2016年、ほぼ不変で、1gの糖質が3mg血糖値を上げます。
HbA1cもずっと、5.6~5.9%くらいで14年間です。

それからスーパー糖質制限食を続けたからといって、
耐糖能がどんどん低下し続けるということはないと思います。

例えば、HbA1cが9%とかあった糖尿人が、
一回の食事の糖質量を10~20g以下にするスーパー糖質制限食を続けて、3~4ヶ月後には5.8%になり、
その後数年間、5.6~5.9%とかで維持できているのならば、
その人の耐糖能は数年間低下していない証拠といえます。

このことは、私自身を含めて、スーパー糖質制限食実践中の多くの糖尿人で
言えることです。
すなわちスーパー糖質制限食をキッチリ継続している糖尿人は、
ほとんどの場合、コントロール良好を長期にわたり維持しています。

尿の臭いはあまりあてにならないと思います。
ご心配なら、血糖自己測定器がかなり安価になったので
購入して実験されるのもいいと思います。


インスリンは、唯一の血糖を下げるホルモンで、バックアップがありません。
それは、農耕開始前の700万年間の狩猟・採集時代の食生活ならば、
バックアップがいらないくらいインスリンの出番が少なかったからと思われます。

逆に、血糖を上げるホルモンは
グルカゴン、成長ホルモン、副腎皮質ホルモン、アドレナリンなど沢山あります。
人体で唯一、赤血球はミトコンドリアを持っていないので、ブドウ糖だけをエネルギー源とします。
肝臓や腎臓の糖新生は、もっぱら赤血球のために行われていると考えられます。
ケトン食で明らかなように、脳はケトン体だけでも生きていけます。

そして、狩猟・採集時代の700万年間は、飢餓との戦いの繰り返しでした。
ですから、700万年間はグルカゴンなどの血糖を上げるホルモンは
日常的に活発に働いていたと考えられます。

スーパー糖質制限食で糖新生が活発になるので
確かにグルカゴンは活躍してくれていると思いますが、
ご先祖の飢餓時代に比べれば、余裕で楽勝だと思います。


インスリンは、農耕開始後、精製炭水化物誕生後、
さらに第二次大戦後食糧事情がよくなり大量の炭水化物摂取が可能となり
未だかってないほど過剰に働かされているので、インスリン過剰分泌による肥満が増えています。

β細胞が疲れ果てて、障害され、とうとうインスリン分泌能が低下すれば糖尿病です。

グルカゴンのほうは上述のごとく余裕が充分あるのです。


江部康二
コメント
3分診療でけっこうです。
一昨年の心筋梗塞以来多くの医師に診察を受けてきましたが、時間が限られてるからか、知識不足のせいか、しっかりとした説明をしてくれた医師が多くなかったと思いました。
しかし、帰宅してネット検索すると大手の医療機関などがいろんな情報を提供してくれており、疑問がすっと解決することが多かったです。だから、3分診療でけっこうと思います。しっかり研究してしっかり診察してはっきり説明してくれる医師がいなくても、ネット検索で足りない部分が補えます。
私の場合も心筋梗塞の後遺症の診断書に書かれた病名について主治医が説明してくれなかったけれど、ある大学病院のネット記事で誤診ではないかと疑いました。主治医の後遺症は不治の病との宣告を真に受けて一時絶望してましたが、その疑念を基に別の医師に相談して誤診がはっきりしました。
よく3分診療なんて言われますが、下手な誤診をされるぐらいなら背伸びしてウソの説明をしてもらわないほうがええと思います。
もちろん、HPや著書で糖尿病をその原理から詳しく説明してくださる江部先生のような名医もいらっしゃいます。それに引き換え糖尿病学会長のでたらめな旧来療法の説明なんか聞くだけ害悪だから、診療を受けるだけ損です。
長くなりますが、ノンフィクション作家の桐山秀樹さんが急死されて、糖質制限は危険との風評が出回り、我が弟も糖質制限を止めたほうがよいなどと猛烈に批判してきます。間違ったことを流布する糖尿病学会と、それを鵜呑みにする患者や一般人。嘆かわしいことです。
2016/04/21(Thu) 14:24 | URL | コバタケ | 【編集
たまには・・
今日、「たまに30~40g食べてもそれほど害はないと思います。」とあるので、糖質35gのホットケーキを食べちゃいました。食べてしまった後ですが、『たまに』というのは、どのくらいなのか気になりました。いつもはスーパー糖質制限をしていますが、一週間に一日くらいなら、一食分で糖質量が40gくらいまでOKだといいのに・・・と思っています。あと糖質量が40gのホットケーキでも一度に食べるのでなく、同じ日であっても2回に分けて食べればよいのでしょうか。この場合は何時間くらい、間があけばよいのでしょうか。細かいことで恐縮ですが、教えていただければと存じます。
2016/04/21(Thu) 16:40 | URL | にゃんこまま | 【編集
痩せの大食いの方の糖代謝について
江部先生
ブログや著書を通して学ばせて頂いております。
その中でどうしても解決できないのですが、痩せの大食いと言われている方の糖代謝経路はどうなっているのでしょうか。

他の方のSNSで、痩せの大食いと言われている方は「インスリン分泌はダラダラと少量ずつ出ているから糖を中性脂肪として溜め込まない=太らない。ただし、臓器の上皮細胞の解糖系に糖処理をさせている」との説明がありました。

インスリン量が少量なら血糖値は上がるのか?
でも、上がってない人もいますよね…
そうすると、上皮細胞に取り込ませるような指示を出しているものがあるのか。

その点の理解ができないため、教えて頂けると幸いです。
2016/04/21(Thu) 18:01 | URL | TK | 【編集
Re: たまには・・
にゃんこまま さん

糖尿病か否かで違います。

1)糖尿病の場合
食後1時間値が180mg/dl未満、
食後2時間値が140mg/dl未満、
を超えない範囲を目指します。
それが達成できていればいいです。

2)糖尿病でない場合
週に1回や2回、糖質40gの食事でも問題はないと思います。
2016/04/21(Thu) 18:09 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 痩せの大食いの方の糖代謝について
TK さん

食後の嘔吐とかがないのに、痩せの大食いならば
基礎代謝が高いのだと思います。

私も30代までは痩せの大食いでしたが、
40代になって、基礎代謝が落ちてきて、太り始めました。
2016/04/21(Thu) 18:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
明るい未来に
今回も詳しいご解説を頂きありがとうございました!
耐糖能、そしてグルカゴンとインスリンについて、よく分かりました。
安心出来ました。
将来、遺伝リスクがある娘達にも、日々糖質の摂り方を教えています。
もちろん娘は糖質は取らせていますが、小5にして、糖質の節約を覚えております!どーせ食べるなら糖質の低い物を。と、自分で選択出来ています。食品の成分表示をみて、炭水化物の少ないものを選んで買ってきます。
糖質制限は私、そして母の合併症予防だけでなく、
次世代の糖尿病予防すらしてくれています!
若くして糖尿病と言われ暗い未来ばかり想像していましたが、現在では、先生と糖質制限のおかげさまで、明るい未来ばかり妄想中です!ヽ(*⌒▽⌒*)ノ
これからも貴重な情報、よろしくお願い申し上げます。

2016/04/21(Thu) 21:48 | URL | サワ | 【編集
痩せの大食いの方の糖代謝について
江部先生

ご回答頂き、ありがとうございます。

糖質を大量にとってインスリンの追加分泌が多いとしても、細胞での糖の取り込みが多い(エネルギーとして利用できる)ので太らないという解釈で大丈夫でしょうか。
2016/04/22(Fri) 00:19 | URL | TK | 【編集
Re: 痩せの大食いの方の糖代謝について

TK さん

『糖質を大量にとってインスリンの追加分泌が多いとしても、細胞での糖の取り込みが多い(エネルギーとして利用できる)ので太らない』

基礎代謝が高いということは、筋肉の消費するエネルギーがあるていど多いと考えられますので、それでいいと思います。
私の場合、医学部の6年間は野球部だったので、細いけれどそれなりに筋肉はあったのだと思います。
それで痩の大食いでした。

その貯金の筋肉が(体重は不変でも)卒業後10数年で徐々に減って脂肪に置き換わり、
40歳ごろからは(基礎代謝が減って)同じような食事で同じような仕事をしているのに、徐々に太りはじめ
52歳で、とうとう糖尿病とメタボになってしまいました。

私の経験を踏まえれば、卒業後定期的運動をしなくなって以後
少なくとも「緩やかな糖質制限」くらいを心がけていれば、
40歳頃から徐々に太り始めることもなかったと思います。
そして52歳 で糖尿病とメタボになることもなかったでしょう。
2016/04/22(Fri) 07:49 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生

疑問だったところが解決できました。お忙しいところご回答頂き、ありがとうございました。
2016/04/22(Fri) 08:40 | URL | TK | 【編集
Re:痩せの大食いの方の糖代謝について
TKさん

答えを出そうにもまだ全て解明されている訳ではありませんので、その解釈が全てとは思はないでください。

そもそも全ての人が、食べたものを全て等しくエネルギーとして吸収しているという前提を捨てないといけないのだと思います。
胃や腸での消化が不十分なのかも知れませんし、小腸での栄養素の吸収率が低いのかも知れません。
また腸内フローラの違いで短鎖脂肪酸の発生率が低いのかもしれません。
2016/04/22(Fri) 10:06 | URL | 福助 | 【編集
Re: Re:痩せの大食いの方の糖代謝について
福助 さん

「痩せの大食い」の逆で、
少食なのに痩せない人がいます。

これらの人の中に、基礎代謝が低いタイプと
腸内細菌が食物繊維からかなりの量の短鎖脂肪酸を作る能力がある人と
少なくとも2タイプあると思います。
2016/04/22(Fri) 17:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: Re:Re:痩せの大食いの方の糖代謝について
江部先生、福助様

コメント頂きましてありがとうございます。
人間の身体は解明されてないことが多いということですね。
吸収率や腸内細菌、酵素の関係など様々なものが絡んでおり、単純ではないということなのですね。
皆が同じなわけではないですから、ケースとして捉えておくことにします。
このようにコメントを頂けて大変嬉しく思います。ありがとうございました(^^)
2016/04/22(Fri) 18:50 | URL | TK | 【編集
インスリンが出ているのに,糖尿病。抵抗性がない場合。
江部先生,はじめまして。先生の本を愛読させており,糖質制限を3か月前から実施しております。
自分で調べてもどうしても分からない点があり,教えていただきたく思っております。

38歳 BMI22 体脂肪27% 女性です。

限りなく境界型糖尿病に近い値(確か,糖負荷検査の結果,1時間値が200以上,2時間値138位)で,検査直後妊娠したため,妊娠初期から妊娠糖尿病としてインスリン注射をしておりました。無事出産し,産後5か月たった昨日糖負荷検査を受けてきました。
結果,糖尿病型と診断されました。

空腹時血糖値  89 インスリン 2.4
30分後   225 インスリン40.6
60分後   225 インスリン36.0
120分後  226 インスリン62.3
HbA1c 5.5
インスリン分泌指数0.3
HOMA-IR  0.5

担当医からは,「インスリンは十分出ているのに,血糖値が下がらない。インスリン抵抗性もないので,珍しい。膵臓の●●(聞き取れず。恐らくグルコガン?)の働きがうまくいっていないのかもしれない。」と言われました。
そして,医師からはメトグルコともう1種類の薬から,好きな方を選んでと言われ,よく分からないまま,メトグルコを選び,服用することになりました。

①インスリンが出ているのに,高血糖なのは,インスリン抵抗性があるからだと思っていたのですが,そうでない場合があるのでしょうか。

②私のような場合(インスリン抵抗性がなく,インスリンが出ているのに高血糖)は,糖尿病のレベルとして重度になるのでしょうか。

③BMI22 体脂肪27%あるので,同世代の方と比べるとややぽっちゃりと言える体型なのですが,これを落とすことによって,インスリンの効きがよくなることがあるのでしょうか。

④メトグルコで,インスリン抵抗性がない場合の高血糖も改善されるのでしょうか。

産後2か月から糖質制限をしていますし,これからも続けていく予定です(糖質制限していても,母乳は十分でています!)。
個別性の高い質問で申し訳ありませんが,「珍しいケース」と言われて心配になったので,コメントさせて頂きました。
ぜひ,宜しくお願い致します。
2016/04/24(Sun) 05:23 | URL | あき | 【編集
インスリン抵抗性の原因と改善方法。
江部先生

いつもブログや著作を愛読しています。この記事に関連して、インスリン抵抗性についてご質問させて頂きます。

スーパー糖質制限食によって、耐糖能が改善、不変、低下する人がいるということは、インスリン抵抗性も、糖質制限によって、改善、不変、低下する人がいるということですよね。

しかし、3つの合い矛盾する結果がでるということは、糖質制限は、インスリン抵抗性に何の影響も与えない、という解釈もできるのではないでしょうか。

つまりそれぞれの変化は、個人差による、他の要因によるもので、極論を言えば、糖質制限は、血糖値を安定させる対症療法にすぎず、二次糖尿病の根本原因であるインスリン抵抗性を治癒させる根本治療ではない、とはいえないでしょうか。

そして、もし糖質制限がインスリン抵抗性を根本的に治癒させるものでないなら、インスリン抵抗性を改善、治癒させる方法というのはあるのでしょうか。

糖質制限により、脂肪の摂取が過多になり、インスリン抵抗性がさらに悪化し、すこしずつ糖質を全く受け付けない体質になってしまうということはないのでしょうか。

とにかく、インシュリン抵抗性の根本原因と、それを根本治癒させる方法が知りたいです。

二年ほど糖質制限を続けていますが、果たしてこのまま糖質制限を続けていいものか、菜食主義の方が良いのではないかなど、正直のところ不安を感じています。先生のご意見を是非お聞かせ下さい。
2016/04/24(Sun) 06:12 | URL | ジョー | 【編集
Re: インスリンが出ているのに,糖尿病。抵抗性がない場合。
あき さん

拙著のご購入ありがとうございます。

75gブドウ糖負荷試験の前3日間は、150g/日の糖質を摂取することが推奨されています。


空腹時血糖値  89 インスリン 2.4
30分後   225 インスリン40.6
60分後   225 インスリン36.0
120分後  226 インスリン62.3
HbA1c 5.5
インスリン分泌指数0.3
HOMA-IR  0.5


このデータは、糖質制限したまま、75gブドウ糖負荷試験を実施した影響の可能性があります。

HbA1cが5.5%なので、糖質制限食をしている限りは血糖コントロールは良好と考えられます。
このまま、糖質制限食を続けられて、良いと思います。
糖質制限食なら食後の高血糖はありませんので合併症の心配もありません。
2016/04/24(Sun) 10:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
早速のお返事ありがとうございました。
検査3日前は、一日150グラム以上の糖質を摂取しました。
糖質制限したような何か異常な値なのでしょうか。
2016/04/24(Sun) 10:58 | URL | あき | 【編集
Re: インスリン抵抗性の原因と改善方法。
ジョー さん

肥満によるインスリン抵抗性なら、糖質制限食で肥満が解消されたら、インスリン抵抗性も改善します。
高血糖そのものによるインスリン抵抗性は、糖質制限食で高血糖が改善されると、インスリン抵抗性も改善します。
インスリン抵抗性に関して、まだよくわからないことも多いのですが、肥満とインスリン抵抗性に関しては、
上述の如く言われています。
HOMA-Rで見る限りは、糖質制限食でインスリン抵抗性が悪化することはありません。

2014年12月27日 (土)の本ブログ記事
「糖尿病が治った!?インスリン抵抗性改善。」
をご参照いただけば幸いです。


なお糖尿病は「インスリン分泌不足」と「インスリン抵抗性」が合わさって発症します。
日本人の糖尿病はインスリン分泌不足が主とされています。

私は玄米魚菜食を34歳から開始して、52歳の時、糖尿病・高血圧・メタボとなりました。
167cm。67kg。

そこでスーパー糖質制限食を開始し、血糖は正常化し、
半年後には10kgの減量に成功し57kg、血圧も正常となりました。

その後66歳の現在まで、足かけ15年スーパー糖質制限食を続けていて、
検査データは全て正常です。

2016/04/24(Sun) 11:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
あきさん

空腹時血糖値  89 インスリン 2.4
30分後   225 インスリン40.6
60分後   225 インスリン36.0
120分後  226 インスリン62.3
HbA1c 5.5
インスリン分泌指数0.3
HOMA-IR  0.5


そうすると、異常というよりも、
普通に75g経口ブドウ糖負荷試験で、糖尿病型ですね。
2016/04/24(Sun) 11:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
不躾な質問に答えていただいて、本当にありがとうございました。先生の存在は糖尿病患者にとっては励みです。希望の光です。いつまでもお元気でご活躍されるのを楽しみにしています。
先生の様に信頼できる医師を近くに見つけられるように、他の病院にもあたってみようと思います。
2016/04/24(Sun) 11:53 | URL | あき | 【編集
インスリン抵抗性の原因と改善方法。
江部先生

貴重なお時間を頂き、早速ご返事くださりどうもありがとうございます。

>糖尿病は「インスリン分泌不足」と「イン
>スリン抵抗性」が合わさって発症します。

この先生のご助言を読ませて頂いて、はっとして、参照くださった過去記事も参考にしながらまた考えてみました。

肥満型の場合
インスリンの分泌が元々多い(肥満の原因)→肥満によるインスリン抵抗性の悪化→膵臓のβ細胞の疲弊→糖尿病の発症 →糖質制限→体重減量→インスリン抵抗性の改善→インスリン分泌が元に戻る→糖尿病治癒

痩せ型の場合
インスリンの分泌が元々少ない(痩せの原因)→何らかの原因によるインスリン抵抗性の悪化→膵臓のβ細胞の疲弊→糖尿病の発症 →糖質制限→インスリン抵抗性不変→インスリン分泌が元に戻る→糖尿病が治らない

以上のように考えてみたのも、私の場合、中年になってもBMIが17で、若い時から全く体型が変わらない痩せ形です。

数年前から週末30時間のプチ断食をしているのですが、断食後は特に食後高血糖を起こすことに気づき、糖質制限を始めるようになりました。

特に痩せ形体質の人の糖尿病に関する注意点がありましたらお教え下さい。

また、インスリン抵抗性の原因について自分なりに調べたところ、Intramyocellular lipid という脂質が細胞に付着し、インスリンシグナルの伝達を妨げているとのことで、脂肪が原因であり、糖質はインスリン抵抗性の原因ではないというものでした。

またインスリン抵抗性の改善についても調べたところ、繊維や難消化性でんぷんをとることによって、腸内細菌がそれをえさにして、短鎖脂肪酸である酪酸を生成し、それが、上述の脂肪によるインスリン抵抗性の悪化を改善するとの報告がありました。

糖質そのものが原因となる以外に、インスリン抵抗性を起こす要因、またその対処法について先生のご意見を頂ければありがたいです。
2016/04/25(Mon) 06:19 | URL | ジョー | 【編集
Re: インスリン抵抗性の原因と改善方法。
ジョー さん

インスリン分泌不足は、ある意味定量的にわかりやすい現象です。

一方、インスリン抵抗性は、概念としては「組織におけるインスリン感受性が低下してインスリンの効きが悪い状態」でいいのですが、何故そういうことが生じるのか、いろんな要素が絡んできてわからないことも多く、クリアカットな説明は困難なのが現状です。

Intramyocellular lipid のことも、あくまでも仮説としてそういうものがあるという段階です。

そして、高脂肪食であるスーパー糖質制限食で、例えば肥満が改善すればインスリン抵抗性も改善します。

インスリン抵抗性に関しては、私も勉強して整理して、そのうち記事にしたいと思います
2016/04/25(Mon) 22:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
インスリン抵抗性の原因と改善方法。
江部先生

度々お時間を頂き、丁寧にご返事くださりどうもありがとうございます。

>インスリン抵抗性は、…いろんな要素が絡
>んできてわからないことも多く、クリア
>カットな説明は困難なのが現状です。

上のように先生が仰るのは全くその通りだと思います。もしインスリン抵抗性の原因と改善方法が明らかになれば、二次型糖尿病は激減するでしょう。

多種多様な薬が開発されているにも関わらず糖尿病患者が世界中で増える一方なのも、根本原因であるインスリン抵抗性について何も分かっていないからだと思います。

先生がインスリン抵抗性について記事を書いてくださるとのこと、これほど嬉しいことはありません。本当に楽しみにしています。

インスリン抵抗性について非常に興味を持ち私なりに、随分ネットとユーチューブなどで検索を続けています。

糖質制限はその一つの答えなのですが、それとは全く反対の説をとなえるお医者さんもおられます。

その一人は、先生もよくご存じかもしれませんが、The Starch Solution という著作で有名な、John McDougall というお医者さんです。

彼の提唱するダイエットは、アトキンズダイエットとは正反対で、菜食を基本とし、米、コーン、芋類などのでんぷんをどんどん摂りなさいというものです。そして、米やコーン、芋などを主食としてきた人種こそ健康を保ってきたと賞賛しています。

但し、彼のダイエットで禁忌すべきものは、脂質で、動物性の飽和脂肪はもちろんのこと、植物性の油も一切駄目とのことです。

オメガ3や中鎖脂肪酸が体に良いと、亜麻仁油やココナッツオイルがブームで、脳に良いと喧伝されていますが、McDougall によればこうした植物性の油は、自然には存在しないもので、体にとって害にしかならないと言います。こうした油は、それを含んでいる穀物のまま摂れば良いのだと言います。

そして、彼の主張によれば、脂質を排除したでんぷんダイエットをすれば、糖尿病などにならないどころか、インシュリン抵抗性さえなくなるとのことです。脂質こそインシュリン抵抗性を起こしている原因だと言います。

そして、日本人は戦前、炭水化物8割の食生活を送っていたにもかかわらず、糖尿病になる人はいなかった。ところが戦後、肉や牛乳をとるようになって糖尿病が増えたと言います。

確かに、考えてみれば、西洋的な食文化を受け入れたにもかかわらず、日本人は主食の米を捨てなかったわけです。そして牛丼やカツ丼、カレーライス、ラーメンなど、動物性脂質と糖質が互角にてんこ盛りになった食事が国民食になってしまったわけです。

こうした食事によって、動物性脂質によるインシュリン抵抗性の悪化と糖質による血糖値の上昇によって糖尿病が発症するというのはとてもわかりやすい説明だと思います。

ですから、結論的に思うことは、糖質と脂質は相容れない。エネルギーの代謝の点からも糖質と脂質が同時にあるのは、どちらかを選択的に消費せねばならず、体には負担になるような気がします。

つまり、高脂肪、高蛋白のダイエットでいくなら糖質を極力抑えたスーパー糖質制限で、中途半端に糖質を許容するのは良くないのではないかと思います。

もし炭水化物をやめられないならば、ベジタリアンを基本として、動物性及び植物性の油を一切排除するのが良いと思われます。

長い文章になってしまい、申し訳ありません。先生のインシュリン抵抗性についての記事を楽しみにしています。
2016/04/26(Tue) 14:34 | URL | ジョー | 【編集
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