【糖質制限食を実践される時のご注意】
こんにちは。

糖質制限食を自己流で実践する人が増えています。
糖質制限食実践時に注意しなくてはいけないことを記事にします。

【糖質制限食を実践される時のご注意】

糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。

このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、減薬しないと低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。

内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。

血糖値が正常範囲である程度下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖を作るからです。

これを糖新生といいます。

診断基準を満たす膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、診断基準を満たしている膵炎の患者さんには適応とならないのです。

進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。

長鎖脂肪酸代謝異常症では、肉や魚などに含まれる長鎖脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。

腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2013」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、制限という記載はなしです。

従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。

また、米国糖尿病学会(ADA)は

Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版

において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。

根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。

今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、個別に対応することとなります。


なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。

糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。

なお
2016年4月7日、J・SPA!というサイトで、
http://joshi-spa.jp/492166
“糖質制限ダイエット”って結局、効果あるの?試した315人の結果は…

という記事が掲載されました。

以下要約です。

全国の20~50代の女性1880名を対象に
「食事制限ダイエットに関する調査」

「どのようなダイエットに取り組んできたか」について。
全体の16.3%(315人)、約6人に1人が最近話題の糖質オフ(制限)ダイエットをしたことがあると回答。
8.5%がプチ、4.8%がスタンダード、3.0%がスーパーを体験。

・短期的に効果があったが、リバウンドした(47.3%)
・効果はなく、体重の増減はなかった(25.7%)
・効果があり、リバウンドもしなかった(19.4%)
・効果がなく、かえって体重が増えた(5.1%)

糖質オフ(制限)ダイエットの実践者315人のうち、159人(50.5%)が「ダイエットが原因で体調不良になった経験がある」と回答。

体調不良になった159人の回答、複数回答

・集中力がなくなった(32.1%)
・頭がぼーっとするなど、無気力になった(30.2%)
・イライラしやすくなった(26.4%)
・肌がぼろぼろになった(15.7%) 

など


このアンケート記事を見ると、

効果に関して
・リバウンドしたというのは、再び糖質を摂取したのでしょう。
・効果がなかったのはプチやスタンダードで短期では効果がなかった可能性があります。
・効果があり、リバウンドもしなかったのはスーパーをきっちり実践した人達でしょう。
・かえって体重が増えた人は摂取エネルギーの増加でしょう。

体調不良に関して
「集中力がなくなった、頭がぼーとするなど、無気力になった、イライラしやすくなった、肌がぼろぼろになった・・・」
これらの症状は、ほぼ摂取エネルギー不足によるものです。
糖質制限ダイエットをしたと回答している女性の約半数が、実際にはカロリー制限もしていた可能性が高いです。
「糖質制限+カロリー制限」群は、短期的にダイエット効果はあったが体調不良になり、糖質を摂取してリバウンドしたと思われます。

このように考察してみると、自己流で糖質制限食を実践した場合、約半数の人が無意識にカロリー制限もしていて体調不良になるという構図が見えてきます。

糖質制限食を実践する場合は、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を目安とするのが安全と思います。



江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
4/14放送バイキングご覧になりましたでしょうか?
糖質制限の討論ありましたよね。夏井先生の。
反対派の女性医師のお話で・・・
昼に、コンビニ弁当+おにぎりですって。
ご飯を食べるようにと熱く語っていました。

坂上さんの一日の食生活を見て、炭水化物はお昼のおにぎり1個。
どうみても糖質制限してる感じなのですがあえて言わない。
おそらくタレントさんは今後の活動、CM等のお仕事が
入らなくなったら困るので公表できないのかもしれません。
昼の番組であそこまで、「ご飯は大事」みたいな
事をやっているのを見ると、糖質制限を悪にして
ご飯を推奨しているようにしか見えませんでした。
例の桐谷氏の件でも、番組自体でかなり糖質制限を批判していましたよね。

先生がおっしゃるように、きちんとしたスーパー糖質制限を実行していたら
きっと体調不良にはならなかったと思います。
以前もコメントしましたが、私、そして両親が健康になりました。
糖尿病の薬、高血圧の薬も止めることができました。
あれから約3年目に突入しますが、特に問題はありません。
食事は気をつけるようになったので、次は筋肉をつけようと思っています。

※夏井先生・・・もっと強く言ってほしかったです。
次は江部先生が出演してバシっと言ってほしいです。
2016/04/15(Fri) 15:27 | URL | 美月 | 【編集
Re: 4/14放送バイキングご覧になりましたでしょうか?
美月 さん

テレビ番組は、急な依頼が多いので
なかなか、「京都→東京」移動して出演が困難なのです。
2016/04/15(Fri) 20:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
被災中
いま現在
H28年熊本地震の余震の恐怖と戦っている真っ最中!震源に近いこともあり、倒壊は、していないが余震の揺れが、ひどく家の中では、危険な為、庭で車内生活ですが、食に関し、災害時は、おにぎり 乾パンなど簡易的なものを食べている状態です。
災害時なので命が助かっただけでも、有難いことですね。
糖質制限者にとっては、かなり酷な食生活ですが、がんばります!
2016/04/15(Fri) 21:10 | URL | ひごまる | 【編集
Re: Re: 4/14放送バイキングご覧になりましたでしょうか?
厚労省推奨の食事で糖尿人になりかけたN夫 52才です。夏井先生の 3/19 のブログに「2年前から糖質制限の討論番組を企画しても対戦相手のカロリー制限派の先生が拒否して討論が成立しない」という記述があります。江部先生が仰られるように「既に勝負あった」というのが真実なのですね。それにしても討論相手に栄養士しか見つけられないとはフジテレビも情けないですね。せめて厚労省、あるいは農水省の官僚でも責任を取って出演すべきだと思うのですが・・・

2016/04/15(Fri) 22:28 | URL | N夫 | 【編集
Re: 被災中
ひごまる さん

熊本、大変な状況です。
ひごまるさんも庭で車内生活とは不自由でしょうが、無事で何よりです。
食事は現時点では糖質制限食は困難でしょうが、何とかしのいで頂けば幸いです。

熊本地震で被災された皆様に、お見舞い申し上げます。

2016/04/16(Sat) 08:40 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: Re: Re: 4/14放送バイキングご覧になりましたでしょうか?
N夫 さん

何と言っても、米国糖尿病学会が、2013年10月の「栄養療法に関する声明」において
糖質制限食を地中海食やベジタリアン食と共に正式に受容したことが大きいと思います。

ここで「勝負あった」ということです。
2016/04/16(Sat) 08:42 | URL | ドクター江部 | 【編集
テレビなんて今も昔も知的じゃない
テレビでわざわざ討論することに意味はないと思います。
テレビでの討論は、プロレスショーみたいなものでしょう?それにしても、夏井先生がなぜわざわざテレビしかも、バラエティくんだりで討論するのかがよく分からないんですよ。
2016/04/16(Sat) 08:55 | URL | 制限二スト | 【編集
糖質制限と膵臓
江部先生、いつもブログを楽しみにして読んでいます。

まずは熊本や大分の方々は大地震で大変だと思います。私も大阪では阪神淡路、東京では先の東北の大地震を経験しましたが、地震は本当に怖いです。みなさんが無事であることを祈っています。

私は自分の出来る範囲で糖質制限を続けています。会社での付き合いもあるので、完全とはいきませんが、出来る範囲で頑張っています。

最近テレビを見ていて思ったことです。
糖質制限は、どうしても脂肪の割合が多くなると思います。脂肪が多くなると膵臓への負担が増える、また胆汁の負担や胆汁酸による大東への影響は大丈夫なのだろうか?と思いました。

膵臓は糖質だけでなく、脂肪の消化にも関係しているとすれば、脂肪の取りすぎにも気をつけたほうがいいのでしょうか?脂肪により膵臓が疲弊してしまうことはないのでしょうか?

少し心配になりました。
2016/04/16(Sat) 14:42 | URL | じょん | 【編集
糖質が恋しいけどアステルパームが問題
こんばんは。
お世話になります。

ご飯を食べない、おかずだけの食生活なので、無性に甘いものがほしくなり、ラカント飴など食べてましたが、いかんせん、安くない。

エンゲル係数とてもたかいです。
とくにラカントsが割高に思えます。

甘味料を食費に加えて、調味料としてでなく砂糖代わりに買っていると。
一月に3万円超えて食費でかかるのはざら。

手軽に甘いものがほしいということで、ダイエットコーラ、いわゆるゼロコーラを飲み始めました。これ安くて、甘くていい。

そしたら、こんなニュースを知りました。

<アスパルテーム不使用のペプシ発売>
ウオールストリートジャーナルhttp://jp.wsj.com/articles/SB10685294686418064255204581157731878537592

<ペプシ、北米でアスパルテームの使用中止を決定>
http://www.zaikei.co.jp/article/20150429/247454.html

ダイエットコーラ、パルスイートはアステルパームが主成分。

日本は遅れてるんですね、海外のほうがこういうことに敏感、

もう、ダイエットコーラ、ゼロ・コーラは飲むことをやめます。パルスイートも。

やはり、割高だけど、ラカントしかないのかな。
2016/04/17(Sun) 00:39 | URL | 無菜 | 【編集
Re: 糖質制限と膵臓
じょん さん

診断基準を満たす膵炎でなければ、高脂肪食でも問題ないと思います。

ただ、古典的ケトン食<脂肪:非脂肪(たんぱく質+炭水化物)重量比が、3:1か4:1>では
まれではありますが、肝機能障害と急性膵炎が報告されています。
3:1の場合は脂肪の摂取比率は87%
4:1の場合は脂肪の摂取比率は90%

従って、ケトン食はスーパー糖質制限食(脂肪摂取比率56%)をはるかに上まわる高脂肪食ですね。

伝統的食生活(1855年の調査)を保っていたころのイヌイットの3大栄養素摂取比率は、
「たんぱく質:47.1%、炭水化物:7.4%、脂質:45.5%」でした。

2012年04月09日 (月)の本ブログ記事
「飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は関係がない」
もご参照いただけば幸いです。
2016/04/17(Sun) 08:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質が恋しいけどアステルパームが問題
無菜 さん

血糖を上げない甘味料としては、エリスリトールが、一番のお奨めです。

人工甘味料に関しては
以下の私のブログ記事もご参照いただけば、幸いです。


人工甘味料の定期摂取は糖質セイゲニストにはリスクにならない可能性大。
2015年08月27日 (木)

人工甘味料は、血糖値を上げず、インスリンも分泌させない。定期摂取は?
2015年08月27日 (木)

人工甘味料は、血糖値を上げず、インスリンも分泌させない。
2015年07月22日 (水)

人工甘味料は、血糖値を上げず、インスリンも分泌させない。
2015年07月22日 (水)
2016/04/17(Sun) 09:09 | URL | ドクター江部 | 【編集
「食事制限ダイエットに関する調査」について
ミーハーです。お久しぶりです。
熊本地震で被災された皆様に、お見舞い申し上げます。
糖尿病や境界型の方は避難先でのお食事は糖質が多くなり、お薬が途切れると体調が心配ですね。糖質制限の災害食の準備が大切ですね。
さて、夏井先生のバイキングご出演から、話題が広がっていますね。江部先生も書かれている、株式会社ネオマーケティングの「食事制限ダイエットに関する調査」を読んでみました。感想は2つ。
まず、「ダイエット目的」の場合はリバウンドしやすいのではないか、ということです。リバウンドしていない2割の方は、「糖質オフは健康に良い」ということに気づいた人たちではないかと思います。もうひとつは、「糖質オフダイエット」と銘打ちながら内容を見ると、『ダイエットがうまくいかなかった理由』に、「空腹に耐えられなかった」「体重が減らなかった」とかが半分、『ダイエット中につい手が伸びたもの』に「肉」「乳製品」「野菜」「フライなどの油もの」を挙げる人が多い(複数回答の3割)など、糖質制限を理解していないと思われる方が半数近くいることです。ここから推察すると、ちゃんと糖質制限を理解して取り組んだ人の4割はリバウンドしないということになり、すごい成功率ということになります。もちろん、夏井先生が言われたように、2割でもすごい成功率ですよね。
やはり、糖質制限・糖質オフの本来の目的は健康」で、ダイエットはその一部でしかないですよね。

2016/04/17(Sun) 11:09 | URL | ミーハー | 【編集
摂取エネルギー不足
ミーハーです。続きです。
私の経験から思うのは、糖質制限を継続するうえで気をつけるべきは、「20歳の時の体重」または「その人の適正体重」になったときの食事の切り替えです。つまり、余剰の体脂肪を費消したら食事を増やさないと摂取エネルギー不足になって色々弊害がでてしまう、ということです。
私の場合は、糖質制限をして逆流性食道炎がたちまちにして完治(これは想定内でした)、1ヶ月で4キロ減(20歳の体重)・運動後の筋肉痛がなくなったことに感動して、ついついそのままの食事量にしていました。4ヶ月で地下鉄の階段がちょっとつらくなり、エネルギー不足に気づいて食事量を増やし復調しました。エネルギー不足の時に受けた定期検診のALT値も高値でしたが、再検査は正常値でした。
糖質制限1年ですが「食事量が少なくてもOK」の境地には至りません。
現在気になるのは脂肪の摂取量です。胆石持ちなので、「摂り過ぎると胆石が動くのではないか」と心配になります。今のところ、オリーブオイルタップリの黒豆シチューやポテト代用のオカラで作る、バターたっぷりのマッシュポテト風、オリーブオイルマヨネーズたっぷりのポテトサラダ風を食べていますが大丈夫です。
自分の「体の声」を聞きながら、自分に合った食べ方をしていくことが大切ですよね。

大切なのは「信者になること」ではなくて、「糖質制限を理解して、自分や家族に合った方法で健康になる」ですよね。そののためには、江部先生や夏井先生の最新情報が支えです。毎日のブログ更新と毎年の本の刊行、ありがとうございます。
2016/04/17(Sun) 11:14 | URL | ミーハー | 【編集
主食
最近、糖質制限について知り、実行しようとしていますが、現在私は,脳梗塞の後遺症で、左半身麻痺があり、散歩もままなりません。血糖降下剤、ジャヌビアを朝食後、毎食前にセイブル錠25mg、毎食後にメトグルコ錠250mgを、服用しています。主食の摂取は朝がいいのでしょうか。
 
2016/04/17(Sun) 15:03 | URL | miya7889 | 【編集
Re: 糖質制限と膵臓
江部先生、ありがとうございます。
ますます安心して糖質制限に取り組めます。
2016/04/17(Sun) 18:01 | URL | じょん | 【編集
Re: 「食事制限ダイエットに関する調査」について
ミーハー さん

『糖質制限・糖質オフの本来の目的は健康で、ダイエットはその一部』

仰有る通りです。
2016/04/18(Mon) 17:43 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 摂取エネルギー不足
ミーハー さん

逆流性食道炎が改善して良かったです。

摂取エネルギー不足の経験のご報告、ありがとうございます。

大変参考になります。


自分の頭で考えて

「糖質制限を理解して、自分や家族に合った方法で健康になる」

ということですね。

夏井先生や私の情報はあくまでも参考ということです。
2016/04/18(Mon) 17:50 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 主食
miya7889 さん

スタンダード糖質制限食なら、主食の摂取は3食のうち1回です。

1回は朝でも昼でもいいですが、少量のほうがいいです。

つらくなければ、スーパー糖質制限食で3食とも主食なしでもいいです。

『毎食前にセイブル錠25mg、毎食後にメトグルコ錠250mg』
なら、スーパー糖質制限食を実践しても、低血糖のおそれはありません。
2016/04/18(Mon) 18:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限ダイエットについて。
mec食も糖質制限ダイエットだと聞きました。ただ肉、卵、チーズをかなりの量を
取るので心配です。納豆や豆乳もいけないのでしょうか?是非江部先生の意見をお聞かせください。
2016/04/23(Sat) 16:20 | URL | マアヤ | 【編集
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