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糖質制限食実践時の検査データの推移。江部康二のデータ。2016年。
こんにちは。

糖質制限食実践により、血液・尿検査のデータが変化します。

例えば、血糖値や中性脂肪やHDLコレステロール値など、さまざまな数値が改善します。

ただ、これらの検査データは、はっきり一定の傾向が出るものと、そうでないものがありますので、まずはその変化を示します。

最後に、私自身の検査データを示します。


<スーパー糖質制限食実践時の血液・尿検査データの推移>

①血糖値は糖質制限食実践時にリアルタイムに改善します。
②スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に1~2%改善します。
③中性脂肪も速やかに改善します。
④HDLコレステロールは増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
⑤LDLコレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した人も半年〜1年~2年、3年くらいで落ち着くことが多いですが、
 個人差があります。
⑥総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した人も半年〜1年~2年、3年くらいで落ち着くことが多いですが、
個人差があります。
⑦尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した場合は、ほとんどが摂取エネルギー不足が原因です。
⑧尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことが多いです。
⑨クレアチニンは不変です。
⑩血清シスタチンCも不変です。
⑪血清カリウムも不変です。
⑫血中ケトン体は基準値より高値となりますが、生理的なもので心配ありません。
⑬尿中ケトン体は当初3カ月〜半年は陽性になりますが、その後陰性になることが多いです。
⑭脂肪肝に付随するGPTやγGTP値も改善します。
⑮TSH、FT4、FT3も不変です。


上記に記載していない血液検査や尿検査については、糖質制限食開始前後で差はありません。

TSH、FT4が正常でFT3だけ低下している場合「低T3症候群」といい、ほとんどの場合は摂取エネルギー不足が原因です。
これは甲状腺機能低下症ではありませんので注意が必要です。
例えば「神経性食欲不振症」などでも「低T3症候群」を呈します。

LDLコレステロール・総コレステロールに関して「低下・不変・上昇」と個人差があるのですが、糖質制限食開始前に菜食中心で食材のコレステロールが少ない場合、肝臓でコレステロールをつくる能力が高まっています。

そういう場合糖質制限食で肉や卵などコレステロールの多い食材を摂取すると、一過性にLDL-コレステロール値が高くなりますが、半年~1年~2年~3年くらいで落ち着くことが多いです。

私自身は、HDLコレステロールはかなり増加し、LDLコレステロールは少し低下しました。

尿酸値が上昇した場合、摂取エネルギー不足のことが多いので注意が必要です。

私は2002年発覚の糖尿人で、その数年前から、早朝の空腹時血糖値109~111~112mg/dlとか、ギリギリ境界型でした。

2002年に糖尿病が発覚していらい、スーパー糖質制限食を実践しています。

食事は朝食抜きで、1984年34才から昼と夕の2回です。

身長:167cm 体重:67kg 
からスーパー糖質制限食を開始して半年で56~57kgとなりました。

現在57~58kgくらいです。2016年1月8日で66才となりました。


以下は2016年3月11日、朝9時、空腹時の検査結果です。

<江部康二の検査データ>
空腹時血糖値:110mg  
HbA1c:5.9%(6.2未満、NGSP)
GA:13.2%(11.8~16.0)
CRP:0.06mg/dl
ケトン体:447μM/L(26~122) 糖質制限食中は生理的で正常値
アセト酢酸:98M/L(13~69)
3ヒドロキシ酪酸:349μM/L(76以下)
尿酸:3.4mg/dl(3.4~7.0)
TC:233mg/dl(150~219)
TG:68mg/dl(50~149)
HDL-C:102mg/dl(40~98)
LDL-C:117mg/dl(140未満)
BUN:19.88mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.61mg/dl(0.6~1.1)   eGFR:100.1
シスタチンC:0.61/L   (0.61~1.00)eGFR:124.1ml/min./1.73m2
IRI:2.7(3~15μU/ml)

γGTP:39IU/L(48以下)
GOT:21IU/L(9~38)
GPT:19IU/L(5~39)
アルブミン:4.7g/dl(3.8~5.3)

尿中アルブミン:6.6mg/g・c(30.0未満)
尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性

IRI:2.7(3~15μU/ml)
空腹時採血血糖値110mg 
<HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン値÷405>

<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)÷(空腹時血糖値mg/dl-63)>

HOMA-R:0.65     1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があり。
HOMA-β:17.0     正常値:40-60


空腹時血糖値110mgで、今回は境界型でした。
90mg台とか100mg台のこともありますし、不摂生だと120mg台もあります。
若干、暁現象もあります。

IRI2.7μUと、今回はやや低値でしたが、HOMA-R:0.65 で正常です。

HOMA-βは、2002年以降ずっと、40未満でインスリン分泌能が減少でしたが、2014年4月初めて、40と基準値下限に達しました。

その後は波がありましたが、2015年9月は68と過去最高値でした。

今回はまた17と低下ですが、計算式による推定ですので、いきなり、インスリン分泌能が低下したとは考えていません。

HbA1cは5.6~5.9%(NGSP値)くらいを行ったり来たりしています。

グリコアルブミン(GA)は、過去ずっと13.4%(11.8~16.0)、13.1%、13.2%ですので、極めて良好なデータです。

HbA1cの値に対して、GAが相対的にさらに良い値なのは、食後高血糖がほとんどないことを示していて大変好ましいのです。

ケトン体は447μM と基準値よりはるかに高値ですが、心筋・骨格筋をはじめ全身の細胞がケトン体をしっかり効率よく利用していて、腎臓の再吸収も良好なので、尿中アセトン体は陰性です。

尿酸は3.4mgと低いくらいですが、これは体質と思います。

一日のタンパク質摂取量は130~140gくらいと、普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。

14年間、体重1kgあたり2.4gのタンパク質摂取ですね。

それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。

BUN:19.88mg/dl(8~20)と基準値内で、クレアチニンもシスタチンCも正常です。

高タンパク食を14年間続けてますが、eGFRはとても良いです。
クレアチニン:0.61mg/dl(0.6~1.1)   eGFR:100.1
シスタチンC:0.61/L   (0.61~1.00)eGFR:124.1


脂質もかなりの量(110g/日)食べていますが中性脂肪は68mgです。

糖質は1日に40g足らずです。

TCは233mg、HDL-Cは102mg、LDL-Cは117mg、TGは68mg。

コレステロールに関しては、HDL-コレステロールが多いのが目立ちます。

中性脂肪が少なくて、HDL-Cが多いので、真の悪玉の小粒子LDL-Cや酸化LDL-Cは少ないと考えられ安心です。

糖質制限食でHDL-Cが増加しますが、程度には個人差があります。

総コレステロール値は、2007年ガイドライン以降では、評価基準から外されています。

なお、お酒は、糖質ゼロ発泡酒、焼酎の水割り、赤ワイン、辛口白ワインなどを、雨の日も風の日も雪の日も嵐の日も雷が鳴っても・・・。

毎日毎日、適宜、適量??飲んでいます。( ̄_ ̄|||)

肝機能は幸い、過去から現在まで常に正常です。 (^^)

患者さんには、「もし肝機能に異常がでたら、必ずお酒は減らします。」と言っておりますが・・・。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
連載③
日刊ゲンダイ3月30日より抜粋。【糖尿病に追いやる抗うつ薬】 ①国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所が「糖尿病とうつ病の併発」について39の研究結果をメタ分析したところ、糖尿病の人でうつ病を併発しているのは11.4%、その疑いがある人は31%もいる。 ②逆にうつ病の人は糖尿病にかかりやすいのか?しんクリニックの辛浩基院長が言う。「うつ病があると、糖尿病になりやすいというのも国内外のさまざまな論文から明らかで、・・・その理由には、うつ病による身体活動の低下とストレス解消のための過食が挙げられます。・・・抗うつ薬にもさまざまな副作用がある。特に気をつけなければならないのは食欲増進作用による糖尿病の発症です。」 ③「米国医師会雑誌精神医学」(2016年1月20日)電子版は、「若年者への抗精神病薬の長期処方は糖尿病リスクを有意に高める」という論文を掲載して話題となった。 ④首都圏の薬剤師は、「抗うつ薬の中でも・・・抗ヒスタミン作用薬は・・・食べる行動を抑えるヒスタミンを抑制することで過食となり、肥満に至る。セロトニン受容体遮断作用薬は、満腹中枢への刺激を失うことで食欲を高進する上、脂肪を燃焼されにくくするホルモンが分泌されることで太ります。」 
2016/03/29(Tue) 20:52 | URL | デュピュイ取る | 【編集
いやはや
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100031/032400299/?ST=m_food&P=1
基本、能登論文、ハーバード伝々の記事はスルーしているのですが、なんだか愚痴りたくなる記事です。
江部先生には申し訳ありませんが、糖質制限が完全に安全だと私は思っていませんが、情報を正しく伝えないジャーナリストにイラッとしました。
糖質を制限する分をたんぱく質と脂質で補うだけで、肉やマヨネーズ、バターを食べろは、言ってませんよね?
なんだかな~
2016/03/29(Tue) 22:55 | URL | Otter | 【編集
食品成分表と炭水化物成分表の違いを教えてください
江部先生こんにちは、初めて投稿します。

毎日先生のブログを頼りに糖質制限を1年続けている女性46歳です。

おかげさまで、空腹時血糖値227mg・hba1c8.2%から
現在、空腹時血糖値110mg・hba1c5.5%まで回復しました。

しかし、油断すると血糖値が180mgを超えることが良くあります。

ここで、教えてほしいことが有ります。

実は、主人も私も和食好きで、調味料として醤油と味噌が欠かせません。
そこで、先生のブログを頼りに文部科学省のサイトを訪問してみました。

すると、今までの食品成分表と、新たに炭水化物成分表があり、どちらを
参考にしたらいいのか困っています。

たとえば、こいくち醤油の場合糖質が、食品成分表ですと10.1g/100gですが、炭水化物成分表ですと1.6g/100gです。
淡色味噌の場合糖質が食品成分表ですと17g/100gですが、炭水化物成分表ですと11.9g/100gです。
またほかの食品についても、今までとは違う数値が沢山あります。

数日前にもコーヒーの糖質の投稿について、食品成分表と炭水化物成分表の違いについて読者の方の投稿(解説)がありましたが、専門的でよく理解出来ません(ごめんなさい)でした。

本を購入して解説を読めばいいのでしょうが、現在家計が苦しくホームページ
がたよりです。

お忙しいところ大変申し訳ありません、先生のご都合のいい時で構いませんので
教えて頂けると嬉しいです。
これからパートに出かけるので早朝の投稿となりました。
2016/03/30(Wed) 04:30 | URL | 竹田聖子 | 【編集
Re: 連載③
デュピュイ取る さん

貴重な情報をありがとうございます。
2016/03/30(Wed) 07:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: いやはや
Otter さん

そうでうすね。

肉、マヨネーズ、バターもOKですが、

魚貝類、豆腐など大豆製品、葉野菜、ブロッコリ、ゴーヤ、海草、茸・・・

いろいろ万遍なく食べて
必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維を確保するのが
高雄病院のスーパー糖質制限食です。
2016/03/30(Wed) 13:02 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 食品成分表と炭水化物成分表の違いを教えてください
竹田聖子 さん

「空腹時血糖値110mg・hba1c5.5%まで回復」

素晴らしい改善ですね。
良かったです。

「食品成分表と炭水化物成分表の違い」
これ、私もよくわかりません。
一度、管理栄養士に聞いてみます。
2016/03/30(Wed) 17:39 | URL | ドクター江部 | 【編集
炭水化物と利用可能炭水化物(単糖当量)
病院で管理栄養士をしているものです。

私の母校の渡邊先生が食品成分表2015年版改正のポイントを下記書籍で解説しています。
なお、単糖当量への換算係数(FAO推奨方式)についてや、英国成分表からの推計などは以前の投稿(オスティナートさん)が参考になります。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3740.html#comment

【日本食品成分表2015年版(七訂)本表編 2016/2/15
医歯薬出版 (編集) 】

日本食品標準成分表2015年版(七訂)改正のポイント

渡邊智子先生(千葉県保健医療大学健康科学栄養学科教授)

2:炭水化物の成分項目が追加されました

炭水化物と利用可能炭水化物(単糖当量)

新しい栄養成分の項目として、本表では「炭水化物と利用可能炭水化物(単糖当量)」が追加され、炭水化物付加情報として提示されています。
これは、2003年に国際連合食料農業機関(FAO)が公表した技術ワークショップ報告書において、炭水化物の成分量の算出に当たっては、利用可能炭水化物と食物繊維とを直接分析して求めることが推奨されていることを受けてのことです。


差し引き法とFAO推奨方式

これまで、炭水化物の成分値は、「差し引き法」(水分、たんぱく質、脂質、灰分等の合計重量を100gから差し引く)で計算されていましたが、この方法では他の成分誤差などがすべて炭水化物にしわ寄せされてしまいます。また、炭水化物を構成するでん粉、糖類、食物繊維など、異なる栄養価値をもつものが一緒に評価されてしまうと問題があります。
以上の点や、国際的な情報交換なども踏まえて、炭水化物を構成するでん粉、糖類を直接分析または推計し、単糖換算するFAO推奨方式が採用されました。
これに伴い、利用可能炭水化物、糖アルコール、有機酸の成分をまとめた「炭水化物成分表編2015年版」が別表として新たに発売されています。

炭水化物と利用可能炭水化物(単糖当量)

炭水化物と利用可能炭水化物(単糖当量)が収載されている食品はまだ限られており、本表では原則として「差し引き法」で求められた成分値「炭水化物」の値としていますので、実務ではこちらを利用することになります。
2016/03/30(Wed) 20:17 | URL | yuuko | 【編集
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