2016年03月09日 (水)
【16/03/08 コアラ
飲酒と血糖値
江部先生、
いつも楽しく拝見させて頂いております。美味しく楽しく糖質制限実施中です。
さて私は赤ワイン、辛口白ワインを週末のみ楽しんで居るのですが少し飲みすぎたなー(ワイン250ML程)って思う翌日は血糖値が乱れます。空腹で126を超えたり、野菜しか食べてないのに145近くまで行ったり。普段は糖質制限をしているので空腹時は高くても100です。血糖値の乱れは翌々日くらいには落ち着きます。
これはやっぱり飲酒の影響でしょうか。お酒は血糖値を下げると思っていましたが。
禁酒すべきなのはわかって居るのですがお酒が好きなので。。。。。苦笑
まだ糖尿病と診断されていませんが空腹時や食後自己測定で既に予備軍若しくは本軍と自覚しています。】
こんにちは。
コアラさんから、飲酒と血糖値について、コメント・質問をいただきました。
まずは、アルコールの適量とはどのくらいなのでしょう?
欧米では、「適量」を守れば糖尿人でも、飲酒OKとしています。
例えば、米国糖尿病学会では、アルコール24g/日を食事と共に摂る程度なら適量としています。
30mlの液体のアルコールが、重さとしては24gです。
アルコール24g(30ml)というのは、おおよそ
糖質ゼロ発泡酒350ml缶を2本
辛口ワイン150ml×2杯
ウイスキー30ml(シングル)×3杯
25%の焼酎なら、120ml
です。
コアラさんが辛口白ワイン250mlなら、「適量」に入ってますので、禁酒はしなくてもよいと思いますよ。
まして、週末のみなら、全く心配ないです。
通常は、血中アルコールがある場合は、肝臓の糖新生が阻害されて、翌朝の血糖値が下がることの方が多いので、コアラさんはやや例外的ですね。
他の読者の皆さんの中で、アルコールを飲んだ翌朝は、起床時血糖値が上昇する方はおられるでしょうか?
飲酒翌朝の血糖値上昇の理由はよくわかりませんが、血糖値には以下の要素も関与します。
血糖調節には食事とインスリン以外に、肝臓のグリコーゲン分解・糖新生、運動、睡眠不足、怒り、ストレス、内服薬などいろいろな要素が絡みます。
これらの中で、空腹時には勿論肝臓のグリコーゲン分解・糖新生が関係していますが、糖尿人では摂食時にも、グリコーゲン分解・糖新生が関わってきます。
1) 夜間就寝時以外に、日中でも空腹時には
肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が血糖の供給源となります。
2) 摂食時には消化管から吸収されたブドウ糖はまず肝臓に約50% 取り込まれて、
それ以外が血液の大循環に回ります。
摂食時には肝臓のグリコーゲン分解・糖新生は抑制されます。
正常人では上記1)と2)がうまく機能していますが、糖尿人では「肝臓のグリコーゲン分解と糖新生」が摂食時にも抑制されにくいので、食後高血糖となります。
また糖尿人は、肝臓のブドウ糖取り込みも低下しているので、この面でも食後高血糖を起こしやすいのです。
つまり糖尿人では、2)がうまく機能していないのです。
1)に関しても、糖尿人では夜間から明け方の糖新生が制御困難となり、就寝時より翌朝起床時の血糖値の方が髙値となることがあり「暁現象」と呼ばれています。
次に、糖尿人がアルコールを摂取した場合を考えてみます。
アルコールそのものはカロリーはありますが、摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させません。
アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされます。
従ってアルコールを摂取していると、糖尿人においても肝臓の糖新生がブロックされるので、その分、糖質を少々摂取しても食後高血糖を起こしにくい理屈になります。
インスリン注射やSU剤を内服している糖尿人が、空腹時にアルコールを飲んだりすると、糖新生がブロックされて低血糖になりやすいので、注意が必要です。
「アルコール+糖質摂取で血糖値が上がらない」というケースは個人差があると思いますし、全て説明できるわけではありませんが、
「糖新生のブロック」が関与していると考えられます。
同じ理由で、正常人で糖尿病の薬なしでも、空腹時にお酒を大量に飲んだら低血糖を起こす可能性がありますので要注意です。
江部康二
飲酒と血糖値
江部先生、
いつも楽しく拝見させて頂いております。美味しく楽しく糖質制限実施中です。
さて私は赤ワイン、辛口白ワインを週末のみ楽しんで居るのですが少し飲みすぎたなー(ワイン250ML程)って思う翌日は血糖値が乱れます。空腹で126を超えたり、野菜しか食べてないのに145近くまで行ったり。普段は糖質制限をしているので空腹時は高くても100です。血糖値の乱れは翌々日くらいには落ち着きます。
これはやっぱり飲酒の影響でしょうか。お酒は血糖値を下げると思っていましたが。
禁酒すべきなのはわかって居るのですがお酒が好きなので。。。。。苦笑
まだ糖尿病と診断されていませんが空腹時や食後自己測定で既に予備軍若しくは本軍と自覚しています。】
こんにちは。
コアラさんから、飲酒と血糖値について、コメント・質問をいただきました。
まずは、アルコールの適量とはどのくらいなのでしょう?
欧米では、「適量」を守れば糖尿人でも、飲酒OKとしています。
例えば、米国糖尿病学会では、アルコール24g/日を食事と共に摂る程度なら適量としています。
30mlの液体のアルコールが、重さとしては24gです。
アルコール24g(30ml)というのは、おおよそ
糖質ゼロ発泡酒350ml缶を2本
辛口ワイン150ml×2杯
ウイスキー30ml(シングル)×3杯
25%の焼酎なら、120ml
です。
コアラさんが辛口白ワイン250mlなら、「適量」に入ってますので、禁酒はしなくてもよいと思いますよ。
まして、週末のみなら、全く心配ないです。
通常は、血中アルコールがある場合は、肝臓の糖新生が阻害されて、翌朝の血糖値が下がることの方が多いので、コアラさんはやや例外的ですね。
他の読者の皆さんの中で、アルコールを飲んだ翌朝は、起床時血糖値が上昇する方はおられるでしょうか?
飲酒翌朝の血糖値上昇の理由はよくわかりませんが、血糖値には以下の要素も関与します。
血糖調節には食事とインスリン以外に、肝臓のグリコーゲン分解・糖新生、運動、睡眠不足、怒り、ストレス、内服薬などいろいろな要素が絡みます。
これらの中で、空腹時には勿論肝臓のグリコーゲン分解・糖新生が関係していますが、糖尿人では摂食時にも、グリコーゲン分解・糖新生が関わってきます。
1) 夜間就寝時以外に、日中でも空腹時には
肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が血糖の供給源となります。
2) 摂食時には消化管から吸収されたブドウ糖はまず肝臓に約50% 取り込まれて、
それ以外が血液の大循環に回ります。
摂食時には肝臓のグリコーゲン分解・糖新生は抑制されます。
正常人では上記1)と2)がうまく機能していますが、糖尿人では「肝臓のグリコーゲン分解と糖新生」が摂食時にも抑制されにくいので、食後高血糖となります。
また糖尿人は、肝臓のブドウ糖取り込みも低下しているので、この面でも食後高血糖を起こしやすいのです。
つまり糖尿人では、2)がうまく機能していないのです。
1)に関しても、糖尿人では夜間から明け方の糖新生が制御困難となり、就寝時より翌朝起床時の血糖値の方が髙値となることがあり「暁現象」と呼ばれています。
次に、糖尿人がアルコールを摂取した場合を考えてみます。
アルコールそのものはカロリーはありますが、摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させません。
アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされます。
従ってアルコールを摂取していると、糖尿人においても肝臓の糖新生がブロックされるので、その分、糖質を少々摂取しても食後高血糖を起こしにくい理屈になります。
インスリン注射やSU剤を内服している糖尿人が、空腹時にアルコールを飲んだりすると、糖新生がブロックされて低血糖になりやすいので、注意が必要です。
「アルコール+糖質摂取で血糖値が上がらない」というケースは個人差があると思いますし、全て説明できるわけではありませんが、
「糖新生のブロック」が関与していると考えられます。
同じ理由で、正常人で糖尿病の薬なしでも、空腹時にお酒を大量に飲んだら低血糖を起こす可能性がありますので要注意です。
江部康二
こんにちは。いつも勉強させて頂いております。
32歳、1型糖尿病発症2年目の女です。半年程前から、糖質制限をはじめました。スーパー糖質制限とまでは行きませんが、1日の糖質量は50〜80g程度だと思います。1型なのでインスリンはベーサル、ボーラス共に欠かせませんが、糖質OFFメニューのお陰で両方のインスリンとも少量で済み、血糖コントロールはかなり良好、a1cは毎月5%前半、低血糖もほぼないです。体調も良く、コレステロール、中性脂肪共に標準低値なのですが、クレアチニンのみ0.74と女性にしては高い値が出てしまいました。またそのときの検診で尿蛋白も±が出てしまい、怖くなって自身で検査シートを買い朝一の尿で尿検査してみたところ、明らかに+寄りの±が出てしまい、心配しています...。
1月の時点でのクレアチニンは0.57、尿蛋白も−なので、急激に腎機能が悪化したのかとも思いましたが、一つ思い当たる節といえばここ2.3ヶ月はかなりガチガチの糖質制限をしていたことです。肉、魚中心、パン等も全て小麦たんぱくかふすま粉、大豆粉を使用しています。この生活に満足しているだけに、もしもこの高たんぱく食が影響しているとしたらとてもショックです...。高たんぱく食によって尿蛋白が出たりクレアチニンが上がるということはありえるのでしょうか。ご教授いただければ嬉しいです。
32歳、1型糖尿病発症2年目の女です。半年程前から、糖質制限をはじめました。スーパー糖質制限とまでは行きませんが、1日の糖質量は50〜80g程度だと思います。1型なのでインスリンはベーサル、ボーラス共に欠かせませんが、糖質OFFメニューのお陰で両方のインスリンとも少量で済み、血糖コントロールはかなり良好、a1cは毎月5%前半、低血糖もほぼないです。体調も良く、コレステロール、中性脂肪共に標準低値なのですが、クレアチニンのみ0.74と女性にしては高い値が出てしまいました。またそのときの検診で尿蛋白も±が出てしまい、怖くなって自身で検査シートを買い朝一の尿で尿検査してみたところ、明らかに+寄りの±が出てしまい、心配しています...。
1月の時点でのクレアチニンは0.57、尿蛋白も−なので、急激に腎機能が悪化したのかとも思いましたが、一つ思い当たる節といえばここ2.3ヶ月はかなりガチガチの糖質制限をしていたことです。肉、魚中心、パン等も全て小麦たんぱくかふすま粉、大豆粉を使用しています。この生活に満足しているだけに、もしもこの高たんぱく食が影響しているとしたらとてもショックです...。高たんぱく食によって尿蛋白が出たりクレアチニンが上がるということはありえるのでしょうか。ご教授いただければ嬉しいです。
2016/03/09(Wed) 21:17 | URL | ハイジ | 【編集】
ハイジ さん
厚生労働省によれば、腎機能正常の人が
高たんぱく食を摂取して、腎機能が悪化するという研究はないとされています。
クレアチニン値は、脱水気味などで髙値になりやすいので
血清シスタチンCを調べて見ましょう。
高血糖がクレアチニン悪化の最大のリスクであることは間違いないので
血糖コントロール良好を保つことが、腎機能保護には一番大切と思います。
厚生労働省によれば、腎機能正常の人が
高たんぱく食を摂取して、腎機能が悪化するという研究はないとされています。
クレアチニン値は、脱水気味などで髙値になりやすいので
血清シスタチンCを調べて見ましょう。
高血糖がクレアチニン悪化の最大のリスクであることは間違いないので
血糖コントロール良好を保つことが、腎機能保護には一番大切と思います。
2016/03/10(Thu) 13:56 | URL | ドクター江部 | 【編集】
こんにちは
いつも大変興味深く拝見させて頂いております。
江部先生に質問させてください。
35歳 女性 BMI 17
・甲状腺機能低下症.橋本病(チラーヂンSでコントロール良好
・気管支喘息 (シムビコート吸入、キプレスでコントロール良好)
一年前
空腹時血糖値 99mg/dL
ヘモグロビンA1c(NGSP値)5.7%
で、甘いものを控えるように、と甲状腺の医師から指示され、そのように生活しました。
しかし、それから一年後の今年
空腹時血糖値 110mg/dL
ヘモグロビンA1c 5.5%
でした。ちなみにヘモグロビンは12.4g/dL
だからヘモグロビンA1cの値は信用できるだろう、といわれました。
ヘモグロビンA1cが下がっているから食事には気を付けていたはず、なのに空腹時血糖値が上がっている
甲状腺が悪いひとは、膵臓にも影響がでることがある、いまは大丈夫だけど、もしかすると将来 インスリン注射が必要になってくるかもしれない、といわれました。
自己免疫疾患があると、いろいろな臓器に対しても抗体がつくられる可能性が高いということなのでしょうか。私が予期されている糖尿病は1型なのでしょうか。
糖尿病になりたくはない、ので糖質制限食で生活していきたいと思います。
1型の場合だと、糖質制限食で生活していても発症するせざるをえない時期がきたら発症してしまうのでしょうか。
乱筆長々と失礼致しました。
いつも大変興味深く拝見させて頂いております。
江部先生に質問させてください。
35歳 女性 BMI 17
・甲状腺機能低下症.橋本病(チラーヂンSでコントロール良好
・気管支喘息 (シムビコート吸入、キプレスでコントロール良好)
一年前
空腹時血糖値 99mg/dL
ヘモグロビンA1c(NGSP値)5.7%
で、甘いものを控えるように、と甲状腺の医師から指示され、そのように生活しました。
しかし、それから一年後の今年
空腹時血糖値 110mg/dL
ヘモグロビンA1c 5.5%
でした。ちなみにヘモグロビンは12.4g/dL
だからヘモグロビンA1cの値は信用できるだろう、といわれました。
ヘモグロビンA1cが下がっているから食事には気を付けていたはず、なのに空腹時血糖値が上がっている
甲状腺が悪いひとは、膵臓にも影響がでることがある、いまは大丈夫だけど、もしかすると将来 インスリン注射が必要になってくるかもしれない、といわれました。
自己免疫疾患があると、いろいろな臓器に対しても抗体がつくられる可能性が高いということなのでしょうか。私が予期されている糖尿病は1型なのでしょうか。
糖尿病になりたくはない、ので糖質制限食で生活していきたいと思います。
1型の場合だと、糖質制限食で生活していても発症するせざるをえない時期がきたら発症してしまうのでしょうか。
乱筆長々と失礼致しました。
2016/03/10(Thu) 15:29 | URL | おさる | 【編集】
先生、昨日は油摂取についてお返事頂き、ありがとうございました。
なにぶん初心者で、他にもお聞きしたい事があるのですが、
パルスイートゼロは調味料として、料理や珈琲等に入れ、何かに[混ぜる]使い方をしています。
それを、たとえば、間食に食べるピーナッツに振り掛けたり(あまじょっぱい味が好きなのです…。。)
、アルコールに混ぜたり なんて使い方はどうでしょうか?
また、間食に使う場合の限度量あるのですか?
なにぶん初心者で、他にもお聞きしたい事があるのですが、
パルスイートゼロは調味料として、料理や珈琲等に入れ、何かに[混ぜる]使い方をしています。
それを、たとえば、間食に食べるピーナッツに振り掛けたり(あまじょっぱい味が好きなのです…。。)
、アルコールに混ぜたり なんて使い方はどうでしょうか?
また、間食に使う場合の限度量あるのですか?
2016/03/10(Thu) 16:42 | URL | にしべ | 【編集】
にしべ さん
パルスイートゼロなら、
血糖値の上昇はないので、好きにいろんな使い方をしていいと思います。
パルスイートゼロなら、
血糖値の上昇はないので、好きにいろんな使い方をしていいと思います。
2016/03/10(Thu) 18:48 | URL | ドクター江部 | 【編集】
おさるさん
自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病)では、
抗GAD抗体が陽性となることが5.8%くらいにみられたという報告があります。
対照群(非自己免疫性甲状腺疾患)は0.6%の陽性率なので、統計的に有意差がありました。
抗GAD抗体陽性になると1型糖尿病発症リスクとなりますので、主治医はそのことを仰っているのだと思います。
まずは抗GAD抗体を調べて見られては如何でしょう。
抗GAD抗体が陽性でも糖質制限食なら、発症を遅らせる可能性があります。
なお、空腹時血糖値99mgと110mgは、そのていどの変動はあっても、悪化とまで言えないと思います。
後日、再測定すれば、また99mgになるかもしれません。
自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病)では、
抗GAD抗体が陽性となることが5.8%くらいにみられたという報告があります。
対照群(非自己免疫性甲状腺疾患)は0.6%の陽性率なので、統計的に有意差がありました。
抗GAD抗体陽性になると1型糖尿病発症リスクとなりますので、主治医はそのことを仰っているのだと思います。
まずは抗GAD抗体を調べて見られては如何でしょう。
抗GAD抗体が陽性でも糖質制限食なら、発症を遅らせる可能性があります。
なお、空腹時血糖値99mgと110mgは、そのていどの変動はあっても、悪化とまで言えないと思います。
後日、再測定すれば、また99mgになるかもしれません。
2016/03/10(Thu) 18:51 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生
ピックアップしていただいて有難う御座いました。週末のワイン2杯のお許しを頂いて心より嬉しく思います。
飲酒すると膵臓が疲れインシュリン分泌の機能が低下するのかと勝手に推測しておりました。自分のタイプを知ることは大切ですね。
小生空腹時血糖値が1年の間に平均90からぎりぎり110程度まで悪化しました。急激な空腹時血糖値悪化に考えられる理由がありましたらご教示願います。(加齢といわれれば悲しいですが仕方ありません?40前半です) 改善策は当然「糖質制限」ですね!!
ありがとうございます。
ピックアップしていただいて有難う御座いました。週末のワイン2杯のお許しを頂いて心より嬉しく思います。
飲酒すると膵臓が疲れインシュリン分泌の機能が低下するのかと勝手に推測しておりました。自分のタイプを知ることは大切ですね。
小生空腹時血糖値が1年の間に平均90からぎりぎり110程度まで悪化しました。急激な空腹時血糖値悪化に考えられる理由がありましたらご教示願います。(加齢といわれれば悲しいですが仕方ありません?40前半です) 改善策は当然「糖質制限」ですね!!
ありがとうございます。
コアラ さん
血糖値は、食事以外に、不眠やイライラや悩み事などのストレス、多忙、感冒、ある種の内服薬などでも上昇しますので
90から110に上昇したと決めつけることはないと思いますよ。
血糖値は、食事以外に、不眠やイライラや悩み事などのストレス、多忙、感冒、ある種の内服薬などでも上昇しますので
90から110に上昇したと決めつけることはないと思いますよ。
2016/03/11(Fri) 21:26 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、ご多忙の中、コメントありがとうございました。
ゆるいものではありますが糖質制限食で生活してきたところに、糖尿病発症するかも?というようなことを主治医にいわれ、これ以上どうすれば?と困惑していました。(主治医のことは信頼尊敬しています。)
先生にコメント頂いてから数日ですが、基本的に三食糖質制限食にしました。
朝は納豆、卵、チーズ、ココナッツオイル入りコーヒーもちろん無糖です。すると時間がたっても強い空腹感がなく集中力も続きます。
数年前から我が家は糖質制限食で、子供たちも基本は糖質制限食です。いたって健康で、体も大きく、風邪、インフルエンザ流行しても皆勤賞です。まわりからは強靭な肉体のキョウダイといわれてます。
もしかしたら1型糖尿病になってしまうかも、と落ち込んでいましたが、糖質制限食があるさ!と思えるようになりました。
江部先生、本当にありがとうございました。
ゆるいものではありますが糖質制限食で生活してきたところに、糖尿病発症するかも?というようなことを主治医にいわれ、これ以上どうすれば?と困惑していました。(主治医のことは信頼尊敬しています。)
先生にコメント頂いてから数日ですが、基本的に三食糖質制限食にしました。
朝は納豆、卵、チーズ、ココナッツオイル入りコーヒーもちろん無糖です。すると時間がたっても強い空腹感がなく集中力も続きます。
数年前から我が家は糖質制限食で、子供たちも基本は糖質制限食です。いたって健康で、体も大きく、風邪、インフルエンザ流行しても皆勤賞です。まわりからは強靭な肉体のキョウダイといわれてます。
もしかしたら1型糖尿病になってしまうかも、と落ち込んでいましたが、糖質制限食があるさ!と思えるようになりました。
江部先生、本当にありがとうございました。
2016/03/13(Sun) 02:18 | URL | おさる | 【編集】
糖質制限食をしていると しばしば経験するのですが,アルコール(=ウィスキー;オンザロック)を飲みながら食事をとると,食後血糖値がまったく上がらないことがあります.
そこで,実際にまったく同じ食事(カツ丼. ご飯抜きで代わりに100gのキャベツ;衣ははずしていないので,糖質量は約30gと推定)でアルコール有/無の場合の血糖値を測ってみました.
結果は下記の通りで;
[アルコール無]
食前 92
1hr.後 157
2hr.後 118
4hr.後 99
[アルコール有]
食前 84
1hr.後 80
2hr.後 125
4hr.後 87
食後1時間の血糖値ピークが消失しています.
「アルコールは肝臓での糖新生を抑制する」とは従来言われていることですが,そうだとしても食物由来の糖質による血糖値上昇は どこに消えてしまったのでしょうか?
考えられることは,
(1) 食後血糖値の上昇は,すべて肝臓の糖新生によるものである.
(2) アルコールが,小腸での糖吸収を完全にブロックした.
(3) アルコールが,体内各組織での糖取り込みを促進した.
(4) アルコールが,膵β細胞のインスリン分泌を促進した.
なのですが,(1)(2)は考えにくく,だとすれば(3)(4)のどちらだとしても,上記の結果を見る限り,アルコールは下手な糖尿病薬よりも,よほど食後高血糖抑制効果があることになります.
そこで
"Alcohol" & "Postprandial Glucose" & "Insulin"
をキーワードにして文献を調べてみたところ;
Am. J. Clin. Nutr.,2007;85:1545–51
(健康人の,アルコール摂取が血糖値・インスリン分泌に及ぼす影響)
Diabetes Care, 2007;30:3011-6
(2型糖尿病で,アルコール摂取が血糖値・インスリン分泌に及ぼす影響)
Diabetes Care, 2004;27:1369-74
(2型糖尿病で,アルコール摂取が血糖値・インスリン分泌に及ぼす影響)
Diabetic Medicine, 1999;16:400–407
(純エタノール摂取下での糖負荷試験)
などあるのですが,結論は一致していません.ただ最後の文献で,「アルコール摂取により,インスリン分泌の総量は変わらないが,インスリンの第2相分泌応答が改善した」とあるので,上記の結果はこれが原因かもしれません.
なお,上記の「食後血糖値上昇消失」現象は,高糖質の食事をしていた頃には見られず,糖質制限食により,糖質摂取量が少量になってから気づいたものです. このブログを読んでおられる皆様で,同様のことを経験した方はおられるでしょうか?
そこで,実際にまったく同じ食事(カツ丼. ご飯抜きで代わりに100gのキャベツ;衣ははずしていないので,糖質量は約30gと推定)でアルコール有/無の場合の血糖値を測ってみました.
結果は下記の通りで;
[アルコール無]
食前 92
1hr.後 157
2hr.後 118
4hr.後 99
[アルコール有]
食前 84
1hr.後 80
2hr.後 125
4hr.後 87
食後1時間の血糖値ピークが消失しています.
「アルコールは肝臓での糖新生を抑制する」とは従来言われていることですが,そうだとしても食物由来の糖質による血糖値上昇は どこに消えてしまったのでしょうか?
考えられることは,
(1) 食後血糖値の上昇は,すべて肝臓の糖新生によるものである.
(2) アルコールが,小腸での糖吸収を完全にブロックした.
(3) アルコールが,体内各組織での糖取り込みを促進した.
(4) アルコールが,膵β細胞のインスリン分泌を促進した.
なのですが,(1)(2)は考えにくく,だとすれば(3)(4)のどちらだとしても,上記の結果を見る限り,アルコールは下手な糖尿病薬よりも,よほど食後高血糖抑制効果があることになります.
そこで
"Alcohol" & "Postprandial Glucose" & "Insulin"
をキーワードにして文献を調べてみたところ;
Am. J. Clin. Nutr.,2007;85:1545–51
(健康人の,アルコール摂取が血糖値・インスリン分泌に及ぼす影響)
Diabetes Care, 2007;30:3011-6
(2型糖尿病で,アルコール摂取が血糖値・インスリン分泌に及ぼす影響)
Diabetes Care, 2004;27:1369-74
(2型糖尿病で,アルコール摂取が血糖値・インスリン分泌に及ぼす影響)
Diabetic Medicine, 1999;16:400–407
(純エタノール摂取下での糖負荷試験)
などあるのですが,結論は一致していません.ただ最後の文献で,「アルコール摂取により,インスリン分泌の総量は変わらないが,インスリンの第2相分泌応答が改善した」とあるので,上記の結果はこれが原因かもしれません.
なお,上記の「食後血糖値上昇消失」現象は,高糖質の食事をしていた頃には見られず,糖質制限食により,糖質摂取量が少量になってから気づいたものです. このブログを読んでおられる皆様で,同様のことを経験した方はおられるでしょうか?
2016/06/05(Sun) 14:50 | URL | しらねのぞるば | 【編集】
しらねのぞるばさん
詳細な情報をありがとうございます。
1)アルコールなしで、ピーク1時間値で65mg上昇・・・1gの糖質で2.17mg血糖上昇
2)アルコールありで、ピーク2時間値で41mg上昇・・・1gの糖質で1.37mg血糖上昇
確かに1時間値がアルコール摂取でまったく上昇してないのは、糖新生抑制だけでは説明しにくいですね。
また食後血糖値のピークが、アルコール摂取で、1時間から2時間に移行したのも不思議です。
詳細な情報をありがとうございます。
1)アルコールなしで、ピーク1時間値で65mg上昇・・・1gの糖質で2.17mg血糖上昇
2)アルコールありで、ピーク2時間値で41mg上昇・・・1gの糖質で1.37mg血糖上昇
確かに1時間値がアルコール摂取でまったく上昇してないのは、糖新生抑制だけでは説明しにくいですね。
また食後血糖値のピークが、アルコール摂取で、1時間から2時間に移行したのも不思議です。
2016/06/05(Sun) 20:22 | URL | ドクター江部 | 【編集】
【ウィスキーを飲みながら食事をすると,全く血糖値が上がらない】という現象をしばしば体験することを報告しましたが,学術論文でもこれは確認されていたようです.
Kido et al. (2016), PeerJ, DOI 10.7717/peerj.1853
Acute effects of traditional Japanese alcohol beverages on blood glucose and polysomnography levels in healthy subjects.
https://peerj.com/articles/1853/
同じアルコール量(=40g)・同じ容量(=1000ml)に揃えた,ビール(バドワイザー),日本酒(山田錦),焼酎(薩摩白波),及び対照群としてミネラルウォーターを飲みながら,標準食を6人の健康な男女に食べてもらったところ,焼酎だけが,食後血糖値に上昇がなかった,という報告です.
酒に弱くて規定量を飲めなかった1名の女性を除いて,5名の結果を分析したところ,焼酎だけが,食後血糖値はほとんど食前から上昇せず(食前~90 → 1hr.~99 → 2hr.~100mg/dl),インスリン分泌も低く(同; 10→25→23 μU/ml),これはビールや日本酒,そして水を飲んだ場合のいずれよりも低かったという結果でした.
食事の内容は,全 709kcal;P/F/Cカロリー比 = 15/22/63 (炭水化物は448kcalなので糖質は110g程度か)という病院食ですが,100g以上も糖質をとりながら,焼酎を飲むと食後血糖値がほとんど上昇しないというのは驚きです. そしてこれは私がよく経験することとまったく同じです.
論文では,「アルコールがインスリン感受性を高めるのかもしれない」とあるだけで,この現象のくわしい機序までは述べていませんが,蒸留酒に食後高血糖を完全抑制する効果があるのは確実なようです.
また,この現象が一般的なものなら,あまり知られていないのは不思議です.
それにしても,病院食を肴にして一杯飲った被験者にも敬意を払いますが,ミネラルウォーター1リットルで病院食を流し込んだ方はご苦労様でしたね.
Kido et al. (2016), PeerJ, DOI 10.7717/peerj.1853
Acute effects of traditional Japanese alcohol beverages on blood glucose and polysomnography levels in healthy subjects.
https://peerj.com/articles/1853/
同じアルコール量(=40g)・同じ容量(=1000ml)に揃えた,ビール(バドワイザー),日本酒(山田錦),焼酎(薩摩白波),及び対照群としてミネラルウォーターを飲みながら,標準食を6人の健康な男女に食べてもらったところ,焼酎だけが,食後血糖値に上昇がなかった,という報告です.
酒に弱くて規定量を飲めなかった1名の女性を除いて,5名の結果を分析したところ,焼酎だけが,食後血糖値はほとんど食前から上昇せず(食前~90 → 1hr.~99 → 2hr.~100mg/dl),インスリン分泌も低く(同; 10→25→23 μU/ml),これはビールや日本酒,そして水を飲んだ場合のいずれよりも低かったという結果でした.
食事の内容は,全 709kcal;P/F/Cカロリー比 = 15/22/63 (炭水化物は448kcalなので糖質は110g程度か)という病院食ですが,100g以上も糖質をとりながら,焼酎を飲むと食後血糖値がほとんど上昇しないというのは驚きです. そしてこれは私がよく経験することとまったく同じです.
論文では,「アルコールがインスリン感受性を高めるのかもしれない」とあるだけで,この現象のくわしい機序までは述べていませんが,蒸留酒に食後高血糖を完全抑制する効果があるのは確実なようです.
また,この現象が一般的なものなら,あまり知られていないのは不思議です.
それにしても,病院食を肴にして一杯飲った被験者にも敬意を払いますが,ミネラルウォーター1リットルで病院食を流し込んだ方はご苦労様でしたね.
2016/06/13(Mon) 15:19 | URL | しらねのぞるば | 【編集】
しらねのぞるば さん
興味深い情報をありがとうございます。
アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。
このことがアルコールの血糖降下作用の本質と思います。
2011年03月19日 (土)の本ブログ記事
アルコールと糖新生2011年3月
をご参照頂けば幸いです。
興味深い情報をありがとうございます。
アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。
このことがアルコールの血糖降下作用の本質と思います。
2011年03月19日 (土)の本ブログ記事
アルコールと糖新生2011年3月
をご参照頂けば幸いです。
2016/06/13(Mon) 21:31 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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