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糖尿病と狭心症・心筋梗塞。再発を防ぐのは糖質制限食。
【16/02/21 たちば

狭心症について

初めましてたちばと申します。

かねてより糖質制限に興味があり、桐山様の本も買い、何度か糖質制限に挑戦しては途中で続かなくなって辞めてまた始めるということを繰り返しておりましたところ、昨年発作が起き、軽度の動脈硬化とカテーテル検査で冠動脈に2か所細い血管があると診断され、投薬治療中の身です。

私の経験から、きっちり糖質制限できなくて、中途半端だと、一番悪い結果を招くのではないか?と思ってます。

糖質制限をしておきながらつい、ご飯食べたり、麺食べたり、そして反省しまた始める。。その繰り返しが心臓の血管に負担をかける結果なのではないかと考えてます。

すでに狭心症と診断されている私のようなものにも糖質制限が有効とお考えでしょうか。ご教示お願いいたします。】


【16/02/21 コバタケ

糖尿病と突然死

心筋梗塞でからくも九死に一生を得たコバタケです。助けてくださった多くの方に感謝している毎日です。

糖尿病は大きい血管も微細な血管も侵し、動脈硬化、心筋梗塞のほか失明、腎不全、足の壊疽など全身に害が及ぶことを、江部先生のこのHPや書物などから知っていました。しかし、それが起きる順番が決まってないものの、いかにも微細な血管のほうが弱そうだから、毛細血管で構成されている部位から先に侵されるだろうと思い込んでました。検査した訳ではありませんが、そういう部位は正常だから、まさか突然心筋梗塞で倒れるなどとは思ってもいませんでした。

ところが、そうなったという厳しい現実。しかも、倒れたのは、糖質制限を始め、血糖値が正常値のほんのわずか上回る程度にまで下がって4年も経ってのことでした。おそらく桐山さんという方も、仮に意識があれば、予想違いにびっくりされたことと想像します。改めて、糖尿病は恐ろしいと思っております。】



おはようございます。

たちばさん、こばたけさんから狭心症、心筋梗塞の体験をコメント頂きました。
貴重な体験報告をありがとうございます。

糖尿病合併症には、細小血管によるものと大血管によるものがあります。

三大合併症といわれる、網膜症、腎症、神経障害は、細小血管の病変です。

狭心症や心筋梗塞は、大血管の合併症です。

大血管の合併症には、脳血管障害や糖尿病壊疽もあります。

たちばさん、こばたけさんに起こった、虚血性心疾患ですが、実は、糖尿病予備群といわれる境界型(食後高血糖タイプ・IGT)において、すでに、糖尿病とそれほど変わらないレベルで発症することがわかっています。

山形県舟形町研究では、1990年から1999年まで、計2651人で調査が行われました。正常2016人、境界型糖尿病382人、糖尿病136人で分類すると生存率は正常、境界型、糖尿病の順に低下しました。特に脳心血管疾患で大きな差が認められました。糖尿病は、虚血性心疾患や脳血管疾患のリスクを約3倍高めることが報告されました。

舟形町研究で注目されたのは、食後の血糖が上昇する境界型糖尿病(糖尿病予備群・IGT)の段階でも、脳心血管疾患のリスクが高い事が判明した事です。

これに対して空腹時血糖値が高いだけの糖尿病予備群(IFG)では、脳心血管疾患のリスクは正常人とほとんど差がありませんでした。

この研究により、食後高血糖が、脳心血管疾患のリスクとして極めて危険であることが明らかになりました。さらに近年、平均血糖変動幅増大(血糖値の乱高下)も合併症の大きなリスクであることが複数の研究により判明しました。

「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」は最大の酸化ストレスリスクとされ、糖尿病合併症の元凶です。

そして、これらを生じるのは糖質摂取のみで、たんぱく質・脂質摂取では生じません。

たちばさん、こばたけさんのように、すでに狭心症、心筋梗塞を発症された方において、再発を防ぐことができるのは、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を生じない糖質制限食だけです。

従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を必ず生じるので、再発を防ぐことは理論的に困難です。

現実に、再発を繰り返して、1~2年ごとに冠動脈にステント(金属の管)を入れざるをえず、3本、4本の人もまれではありません。

たちばさん、こばたけさん、糖質制限食か従来の糖尿病食(高糖質食)か、是非、ご自分の頭で考えて、判断して、選択して身を守ってくださいね。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
なんで作家さんは亡くなったんですか?
糖質制限は有効だと書いてますが?
2016/02/21(Sun) 10:59 | URL | 運動好き糖尿病人 | 【編集
Re: タイトルなし
運動好き糖尿病人 さん

高血糖の記憶による心筋梗塞で死亡されました。

2016年02月14日 (日)の本ブログ記事
「過去の高血糖期間の消えない借金(高血糖の記憶)と心筋梗塞」


2016年02月15日 (月)の本ブログ記事
「ノンフィクション作家、桐山秀樹さん、心筋梗塞で急逝。」


をご参照いただけば幸いです。
2016/02/21(Sun) 11:16 | URL | ドクター江部 | 【編集
過去の高血糖患者は糖質制限をしても効果が期待できないということですか?
2016/02/21(Sun) 11:27 | URL | 運動好きの糖尿病さん | 【編集
高血糖の記憶があるかぎり、糖質制限してもいづれは再発してしまうってことですか?
2016/02/21(Sun) 12:06 | URL | 糖質大嫌い | 【編集
驚きました
今朝の投稿を早速、先生の本文に取り上げていただきありがとうございました。
さて、先生の最新記事で驚いたことは、山形県舟形町の研究で、食後の血糖値が上昇する境界型糖尿病(糖尿病予備軍)でも脳心血管疾患のリスクが高いことが判明したという箇所です。
ということは、若干血糖値が高めの人が死亡した場合、身内も、近所のよく診てもらう医者も真の原因(境界型糖尿病)に気づかない場合もあるだろうと思いました。江部先生の2月19日の記事で、厚労省平成17年調査で、心筋梗塞の死亡者47,189人のうち、およそ15,000~16,000人が糖尿病とありました。生意気な想像ですが、もっと多いかもしれません。平均寿命ぐらいの人が心不全で亡くなることがよくあり、周囲の受け止め方は「歳のせい」で簡単に考えるかもしれませんが、真の原因が糖尿病予備軍かもしれません。つまり、死因をもっと詳しく調べたら境界型糖尿病という場合があるのかも?素人の想像で失礼しました。

2016/02/21(Sun) 14:26 | URL | コバタケ | 【編集
Re: タイトルなし
運動好きの糖尿病さん

糖尿人が糖質制限食を実践すれば、血糖コントロール良好となるので
新たな合併症がでてきたり、心筋梗塞や狭心症の再発を防ぐことが可能です。
すでにある合併症の進行もとまると思います。

しかし、糖尿病で、数年間以上血糖コントロールがよくなかった人はその時点で
一定の動脈硬化を起こしてる可能性があります。
一旦高血糖のために生じた動脈硬化は、消えない借金(高血糖の記憶)として残ります。

従って、一番いいのは、糖質制限食実践開始時に
心臓や眼や脳や頸動脈などの検査をして、合併症(動脈硬化など)の有無を評価することです。

そして、糖尿人においては、糖質制限食を開始するのは、早ければ早いほど、合併症のリスクは減るわけです。
2016/02/21(Sun) 17:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
糖質大嫌い さん

高血糖の記憶により、何らかの合併症がある糖尿人は、今現在必要な治療を直ちに実施することが大切です。

例えば冠動脈狭窄があるなら、場合によりステントを入れるということです。

それで、今の危険な状態がしのげれば、糖質制限食で血糖コントロール良好を今後保っていけば
新たな冠動脈狭窄は予防できる可能性が高いです。
2016/02/21(Sun) 17:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 驚きました
コバタケ さん

食後高血糖タイプの糖尿病予備群(IGT)は、脳心血管疾患のリスクが高いことは
舟形町研究以外にも、
後に行われたヨーロッパの研究(DECODE研究)やアジアの研究(DECODA研究)でも同じ結果が示されました。

IGT(Impaired Glucose Tolerance):耐糖能異常・・・恐るべしですね。

IFG(Impaired fasting glycaemia):空腹時血糖異常・・・こちらのタイプの予備軍はリスクがあまりないのです。
2016/02/21(Sun) 17:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生

糖質制限断食について、ご回答頂きましてありがとうございます。

ところで、最近のニュースについて、『批判している人は糖質制限経験者ではない』『自分の頭で考え判断していないからニュースに流される』『自ら調べ勉強することが大事』だと思います。先生がよくおっしゃっていることですよね。
私は糖質制限一年間行い自ら体験しましたので、このような記事を見ても、微動だに気持ちは動きません。周りからも大丈夫かと言われますが、言っている人は、糖質制限の本質は知りませんし、記事だけで流されて言ってきます。

糖質制限をしたから亡くなったのではなく、糖質制限をしたからここまで生きられた、という見方もあると思います。

私の周りにも糖質制限をして失敗している人がいます。それは、糖質制限が悪いのではなく、間違った糖質制限食を続けているのが原因です。例えば、食べたらダメなものはわかっても、何と何を組み合わせればよいのか、これはお料理をしない人には難しい面がありますから、毎日挽肉だけをメインに食べていたり。それは体を壊すと思います。『何でも極端は良くない』これも先生のお言葉ですよね。その通りだと思います。

誹謗中傷する記事やコメントも多いと思いますが、先生、頑張って頂きたいと思います!
2016/02/21(Sun) 17:41 | URL | ほんだ | 【編集
IFG
いつも 江部先生のblogで勉強させてもらっている医療従事者で 糖質制限歴6年になります。

桐山氏の急死は残念でしたが その報道を聞いた時「あぁ この方は 糖質制限をしたおかげで6年間もアクティブに活動でき 死ぬ直前まで病院のベットにお世話になることもなく理想的なコロッ」を実現できたんだなー って思いました。もう少し長く生きたかっただろうことは無念の一言です。もっと早く糖質制限に出会っていれば…と残念に思います。

ところで IFGタイプの方が脳心血管リスクが少ないと言われるのは やはり肥満によるインスリン抵抗性の問題であって 血糖値の変動幅はそんなに悪くないのであろうな と推察されました。
そのような方々の問題は 高インスリン血症によって引き起こされる様々な別の病気なのだろうとも思います。
どっちにしても 糖質の過剰摂取が原因であることは 自分の経験も踏まえて 明白なので 疑問の余地なく一生 継続していきます。

もし その先 病気になって倒れても それは 不摂生からくるものではなく 運命だと思えます(^^)

生き物は 平等にいつか必ず 死ぬ運命ですからね。
2016/02/21(Sun) 20:00 | URL | wako | 【編集
高血糖の記憶とは
先生こんばんは。勉強させていただきました。
高血糖によって血液が酸性に傾いたことにより血管内皮が傷付き、それを修復するためにコレステロールが付着し盛り上がりコブのようになる。結果、血管の内側が狭くなり、詰まり、死ぬ。
糖質制限により血糖値が安定し、なおかつ新しい細胞は正常に作られても、過去に傷つきコレステロールによって修復された血管内皮のこぶのようなものはなくならない。こういうことですね。
これって、幼少期に大怪我したときの傷跡が、成人しても残っていることと似てますね。
少し勉強したら、やはりシンプルで理解の出来るものです。
こうして、インターネットでも医学や栄養学について学べることはとても恵まれていて、誰にでも正しい理論を習得出来るのだと思います。
そして、江部先生や糖質制限にたどり着く方々はわたしも含め、出来れば薬に頼らず、健康的な生活を末長く送れて、楽しく辛くない食生活を望んでいらっしゃるのではないかと推察します。
わたしは江部先生のブログに救われ、今現在も糖質制限を実行しています。幸い今のところは血糖値も安定しております。糖質制限も様々な食材があり、組み合わせがあり、皆同じではありません。結果も同じにはなりません。ですから、もし、この先病状が悪化しようとも先生や糖質制限を推奨してきた方々を批判することはありません。なぜなら、自分で選んだ方法だからです。
とてもシンプルで理論的で唯一納得のいく方法と思っています。
このせっかく習得した素晴らしい理論を、皆それぞれが更に試行錯誤を重ね、勉強し、正しい一筋の光を手繰り当てていくことこそ意義があるのだと感じています。
生意気な発言で恐縮ですが、先生の益々のご活躍を願っております。
2016/02/21(Sun) 21:12 | URL | オハナ | 【編集
つぶやきなのでお返事不要 
最近の報道をハラハラと見守っていました。
フジテレビの朝の情報番組では糖質制限で体調を崩したという女性医師が自ら『野菜なども控えてしまった』と言いつつも失敗した経験を話していました。
間違ったやり方をした人が『体を壊した』と言う体験談を話せば正しい糖質制限を知らない視聴者は『糖質制限は危ない』と思っても無理はありません。
糖質を極端に制限をしても全然危険では無く(野菜なども糖質があるのですから糖質をゼロにするなんて無理ですよね)危険なのは『間違った糖質制限をする事』なのにテレビなどではそういう風に報道してくれません。(フジテレビは批判も無く比較的中立でしたが)
『あれを食べると健康になる』的な番組はその食品が売れて経済も回るし毎日のようにテレビでやっていますが『これは食べない方が良い』という話はスポンサーの関係やお米の国日本ということもあり色々都合が悪いのかあまり取り上げられない事が残念です。
2016/02/21(Sun) 23:22 | URL | なおこ | 【編集
希望をもちたい
いつもブログ更新ありがとうございます。

「虚血性脳心血管疾患が、糖尿病予備群といわれる境界型(食後高血糖タイプ・IGT)でも発症」ということ、身にしみています。

先生が2013年02月19日 (火)のブログで紹介された国際糖尿病連合の「食後血糖値の管理に関するガイドライン(2011)」を調べてみました。

http://www.idf.org/sites/default/files/2011_Postmeal_glucose_JP.pdf

そしたら日本語訳もあり、「食後高血糖は有害か?」の問いに対して、エビデンスレベル1+で大血管疾患が最初に挙げられているのをみて、衝撃を受けたのを覚えています。これはもう国際的にも常識なんですね。

それなのに、日本では定期健診で空腹時血糖と平均血糖値(HbA1c)しか診ていないことも多く、私も食後高血糖を10年以上放置して頸動脈プラークを育てて(笑)しまいました。

でも、糖質制限を実行して中性脂肪を下げ、HDLを上げてLDL/HDL比をできるだけ下げれば「プラーク退縮」もあることを知りました。これからは希望をもって毎日を過ごしていきたいと思います。
2016/02/22(Mon) 15:57 | URL | SHUKAN | 【編集
Re: 希望をもちたい
SHUKAN さん

「日本では定期健診で空腹時血糖と平均血糖値(HbA1c)しか診ていないことも多く」

これが大変問題でして
食後血糖値あるいは、グリコアルブミン(GA)を調べて
食後高血糖の有無をチェックするのがいいです。
2016/02/22(Mon) 19:31 | URL | ドクター江部 | 【編集
はじめまして
認知症を発症した母をきっかけに糖質制限を学び始めた者です。
インスリンがどれほど体に影響があるのか、母を見ていてひしひしと感じています。
疑問なんですが、糖尿病患者や認知症患者への食事制限(おもに糖質)ってなんでこんなに普及してないのでしょうか?
血糖値の観点から見ると、100歩譲って食べ順ダイエットでもアプローチできそうなものですけども…。
話は変わりますが離れて暮らしている母にはヘルパーさんが入ってもらってます。
派遣されたヘルパーさん一人一人を見ると、対応はプロなんですが、糖質制限に対する知識がない人も多く、食事もお米メインになってしまっていたりします。
これはご飯の代わりになるエネルギーになるようなものが無かったため母が痩せてしまったからなのですが、どうもお米を再開してからというもの、病気の進行が早くなった気がします。

その過程を見る限り、高齢者問題を抱えているのに経費削減ばかり唱えて、病気やその進行を防ぐ視点があまりにもなさすぎる気がしてならないのです。
もっと糖質制限を含めた色々な病気のメカニズムが広まって、個人個人が考えて生活できるようになれば、色々な病気が無くなるのではないかと思います。
「お米がメイン」という考えがどれほど危険なものか、実感しては遅いのですから。
2016/02/24(Wed) 10:06 | URL | 焼酎 | 【編集
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