「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」ナツメ社。重版に。
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」

江部 康二 (著)
ナツメ社
2015年5月刊行




おはようございます。

「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」が重版となりました。

糖質制限のしくみ、食品の選び方・食べ方がこの本1冊でわかります。

糖質制限食がなぜ糖尿病によいのか、何を避けて何を食べればよいのか、また注意すべきことは何か。
この1冊で詳しく解説します。

この本は2010年に出版した
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。

旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。

旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。

新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。

江部康二


以下は、「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」のはじめにです。

はじめに

2013年以降、糖質制限食に関連して5つのうれしい変化がありました。

1つ目はアメリカで、糖尿病の食事療法の1つとして正式に認められたことです。これは、米国糖尿病学会が2013年10月に出した栄養療法に関する声明で発表されました。さらに同声明では「唯一無二の糖尿病食事療法はない」と明言しています。日本糖尿病学会の2013年3月の提言においては、「腎障害や脂質異常の有無に留意して・・・炭水化物の摂取比率が50%エネルギーを下回ることもありうる。」という記載もあります。しかし基本は相変わらず唯一無二のカロリー制限食(糖質50~60%)を推奨していますので、米国糖尿病学会の声明は日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。

また、日本腎臓病学会は「CKD治療ガイド2013」で、eGFRが60ml/分以上あれば、顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質制限の必要なしとしました。即ち糖尿病腎症第3期でも eGFRが60ml/分以上あればタンパク質制限の必要なしなので糖質制限食も実践しやすくなりました。eGFRが60ml/分未満の場合は個別に相談して糖質制限食を導入するか否かを相談することとなります。

さらに2012年度の厚生労働省の調査で、糖尿病の患者数の増加率が激減し、予備群は調査を開始して以来、初めて減少したことが、2013年に発表されました。その背景には、2008年から2010年の調査で97年以来13年ぶりに炭水化物摂取比率が減少(60.4%→59.4%)し、97年以来13年ぶりに脂質摂取比率が上昇(24.9%→25.9%)したことがあります。ここ数年糖質制限食が急速に広まってきたことが大きな要因であることは間違いないでしょう。

4つめとして、血中ケトン体高値の安全性が確立されました。日本病態栄養学会年次学術集会(2014)において宗田哲男先生が、胎盤絨毛のケトン体値は成人基準値の20~30倍であることを報告され、ケトン体への懸念は払拭されました。
5つめとして、2014年7月の日経メディカルアンケートにおいて、回答した2263名の医師の過半数が「糖質制限」支持であることがわかりました。 

こうした、糖質制限食への追い風ともいえる情報が、ここ数年続々と現れています。

この本は2010年に出版した「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。

旧版を出版した当時は、「糖質」という言葉も一般的ではありませんでしたが、近年「糖質制限食」は雑誌やテレビで糖尿病の治療としてよく取り上げられ、広く認知されています。ダイエット法や健康法としてもよく聞かれるようになりました。

また、糖質オフのビールやスイーツ、パンも開発が進み、コンビニやスーパーで手軽に手に入るようになりました。糖尿人にとっては、かなり過ごしやすい環境になったのではないでしょうか。

糖質制限食の方法としては、やはりスーパーが一番のお奨めです。特に糖尿人においては、食後高血糖を生じない唯一の食事療法が「スーパー糖質制限食」です。旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。

基本的に糖質制限食は安全な治療法ですが、進めていく上でトラブルが起きたり、まれに不快な症状が現れたりする人もいます。それに対する解決法も示しています。糖質制限食が広まったことで出てきた批判にも返答していますから、不安や心配を払しょくし、安心して糖質制限食に取り組んでいただけます。2015年2月現在の糖質制限食の最新情報を網羅していますから、旧版や既刊を購入いただいた方にも、今回の新版はお役に立つでしょう。

本書が、糖尿人ならびに糖質セイゲニストの豊かな生活と食事の一助となりますことを、心よりお祈りします。

2015年4月
高雄病院理事長  江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
初めてコメント致します
ネットで江部ドクターの存在を知り、書籍を複数購入させていただきました。
うすうす感じていたことが正しいのだと実感され、とても感謝しています。

わたしは政府管掌人間ドックでの中性脂肪値が、ここ十年ずっと高く、最高値で281ほどありました。
私はコレステロール値もずっと高かった(LDLだけで197程)ので、ここ五年のあいだ、試行錯誤でなんとか正常値に戻そうと本腰を入れ努力してきました。

その努力は、まさに旧来型の栄養指導に沿った、低脂肪・低カロリー・ほどほどたんぱく質・高コレステロール含有食品回避、といったもので、糖質制限にほど遠いものでした。
その間、メタボ検診にも当然のごとくひっかかり、二度ほど食事指導も受けました。

この食事指導で、糖質制限を指導されていたら、どんなに良かったかと思います。私は親から栄養士に向いているといわれ続け、その種の勉強も一時していましたので、受けた旧来の栄養指導はほとんど知っているものばかりでした。

それでも中性脂肪が落ちないのは、食生活か食の知識か、もしくは節約遺伝子かの、そのあたりに問題があるんだろうと感じ、まずオイルの質をエゴマ・アマニ・米・オリーブ・ココナッツ・バターに変え、水溶性食物繊維を積極的に摂るように努めました。結果、あんなに落ちなかった中性脂肪が98まで落ちたのです。病院のドクターは、どうしたらこんな数値になれたのかと、私に聞かれました。

しかし、LDLが思うように下がらず、血管をはじめとする循環器にダメージがあるんだろうなと思っていました。このあたりで、もしかしたら血管のダメージは油脂やコレステロールではなく、糖類にあるのではないかと思い始めました。そこでケーキなどのスイーツ断ちをいたところLDLが154程に下がったのです。197から154になるのに一年を要しました。

そんなタイミングで、先生の本と出合いました。
糖質制限という概念が、わたしがうすうす体感していた正しい方向にぴったりと合致し、糖質が血管にダメージを与えるという、私にとって納得の理論が、本当に染みわたるように私の頭に入ってきました。元旦から、私は糖質をかなり抑えた食生活に、家族ともども入りました。
長い試行錯誤でした。

今年の政府管掌人間ドックで、LDLが正常値に近いものになっていることを期待し、親戚にも先生の書籍を薦め、叔母たちにはアマゾンで私から手配いたしました。

糖質制限の教科書が在庫切れで、しかたなくそれは中古で(正価より高いです)買い求め送付しました。

ずっと習ってきたことが、むしろ間違いだったことに、早く気づけたらもっと早く体質が改善されたでしょうが、江部先生の存在に気付いた今からでも、まだまだ手遅れではなかったことにこころから感謝しています。

長くなりました。
サイレントマジョリティーの声としてお読みくださればとおもい書かせていただきました。
2016/02/03(Wed) 12:05 | URL | sugersoul | 【編集
Re: 初めてコメント致します
sugersoul さん

拙著の御購入ありがとうございます。

LDLコレステロール、HDLコレステロールについては
扉ページの「コレステロール」の項を
ご参照頂けば幸いです。
2016/02/03(Wed) 12:51 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限への糖尿病学会の無理解
今日、1月21日での横浜パシフィコ開催の日本糖尿病学会で、「過度な糖質制限食で起こしたケトアシドーシス」なる表題の発表がありました。
演者はケトン体値が高いというだけで、とんでもない悪さで重体と結論つけているのです。アシドーシスの方の検査値は出ていません。
 私は眼科外科医ですが、糖尿病性網膜症を多く診ることもあり、糖尿病学会の会員でもあります。今までの経験から、糖尿病専門医による治療が開始すると、糖尿病性網膜症が悪化することが多くて困り果てていました。
 この経験をもって、江部先生の糖質制限食を患者に進めることができるようになってから、非常に安定した糖尿病性網膜症の治療ができるようになっています。さらに、宗田先生のケトン体の安全性とエネルギーとしての有効性は、患者だけでなく、自分自身を被験者にして実感してきています。
 このような状況ですのに、地元横浜で行われた糖尿病学会では相変わらず、極端な糖質制限はケトアシドーシスを起こすので危険だ、と決めつけているのです。しかも、ケトン体値が高い事がイコールでケトアシドーシスと言っているのです。つまり、医学の基本を捻じ曲げているのです。高ケトン値はケトアシドーシスとは別物ですが、医学部時代に刷りこまれたケトン体悪玉説に何の疑問も持たないで、科学としての医学の面を無視しているのです。
 糖質制限を勧める眼科医の立場ですが、最近はますます従来の糖尿病治療で悪化して、糖尿病性網膜症が末期となり、網膜剥離を合併する患者の来院が、日本中から増えました。手術には難渋しますが、網膜復位手術後の網膜の安定化には、糖質制限が非常に有効であることを実感しております。
2017/01/21(Sat) 12:41 | URL | 深作秀春 | 【編集
Re: 糖質制限への糖尿病学会の無理解
深作秀春 先生

コメントをありがとうございます。

アシドーシスの検査なしで、「ケトアシドーシス」と決めつけるとは
科学的な態度とは言えません。

「インスリン作用が確保されている生理的なケトーシス」と
「インスリン作用が欠落していることが前提の糖尿病ケトアシドーシス」を
混同しているのでしょう。
勉強不足のひと言に尽きます。

糖尿病眼科合併症に関して、深作先生の説得力あるコメントが
われわれ糖質セイゲニストに勇気を与えてくれます。
重ねてありがとうございます。
2017/01/21(Sat) 19:09 | URL | ドクター江部 | 【編集
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