「白米が健康寿命を縮める」花田信弘著(光文社新書)を読んで。

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こんばんは。



「白米が健康寿命を縮める」
最近の医学研究でわかった口内最近の恐怖
花田信弘著(光文社新書)2015年


という本を読みました。

「歯原性菌血症」という概念をはじめてトータルに理解することができました。
花田信弘先生、ありがとうございます。

歯原性菌血症って、歯医者さん以外にはあまり馴染みのない言葉ですね。

私も、医師として不勉強で、あまり知らなかったのですが、この本を読んで、衝撃を受けました。

「菌血症」とは、血液中に細菌が認められる状態を言います。

本来、血液の中に細菌がいては困るわけですが、抜糸の後に菌血症を生じて、細菌性心内膜炎というこわい病気(死亡例あり)を発症することがあるということは、医師として私も認識していました。

これは、歯科医師の医療行為に伴って発症するので、「医原性菌血症」といいますが、歯石除去や抜歯のあとに発症ということなので、頻度としては少ないです。

「白米が健康長寿を縮める」を読んで、衝撃を受けたのは、発症頻度が圧倒的に高い「日常的歯原性菌血症」の方です。

日常性歯原性菌血症は、プラークが多かったり、歯肉炎で出血したりしていると、口腔内の傷口から血管内に歯周病菌が侵入して発症します。傷口というのは、虫歯の穴と、歯周症のポケットの2カ所です。

虫歯や歯周症を放置すると噛むだけで歯周病菌が血中に入ります。歯周症患者は毎日歯源性菌血症を起こして、血管内などに慢性の感染症を起こしている可能性があるのです。

歯周病菌の出す毒素により血管壁を始めとして体内の様々な器官に慢性炎症が生じてきます。

この慢性炎症が、動脈硬化・高血圧・糖尿病・認知症・リウマチなどの原因となることがわかってきています。

東京医科歯科大学の調査で、下肢血管疾患の患者約200名を調べたところ、80%において動脈壁に歯周症菌を認めたとのことです。
 
またアルツハイマー型認知症で死亡した患者の脳を調べたところ、歯周病菌が4割くらいの頻度で検出されたという報告もあります。

慢性関節リウマチのような、自己免疫疾患で原因不明とされてきた疾患でも、歯周病菌のもつ「PPAD」という酵素が発症と慢性化に関与していることが明らかになりました。

実際、リウマチ患者の膝関節滑液からは、非リウマチ患者と比べると何倍もの歯周病菌が検出されるとのことです。

このように、放置した虫歯や歯周症と歯周病菌による「日常的歯原性菌血症」は、慢性炎症を生じて様々な疾患のリスクとなることが分かってきました。

がん、心筋梗塞、脳卒中にも「日常的歯原性菌血症」が関与しているようです。

「日常的歯原性菌血症」を予防するには、勿論、歯科治療も大切です。

ただ、歯科治療以前に、虫歯菌や歯周病菌の餌になるのは白米などの糖質食品であることを
肝に銘じなくてはなりません。白米をたくさん食べているような人は、虫歯や歯周症にとてもなりやすいのです。

そして、スーパー糖質制限食なら、虫歯菌や歯周病菌の餌になる糖質が極めて少ないので、虫歯や歯周症そのものが予防できます。

そうすると「日常的歯原性菌血症」も予防できます。

かういう私も、虫歯ゼロで歯周症もなく、66歳で歯は全部残っています。

きっと「日常的歯原性菌血症」もないと思います。

ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、「日常的歯原性菌血症」を予防していただけば幸いです。



江部康二

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