2016年01月22日 (金)
こんばんは。
「白米が健康寿命を縮める」
最近の医学研究でわかった口内最近の恐怖
花田信弘著(光文社新書)2015年
という本を読みました。
「歯原性菌血症」という概念をはじめてトータルに理解することができました。
花田信弘先生、ありがとうございます。
歯原性菌血症って、歯医者さん以外にはあまり馴染みのない言葉ですね。
私も、医師として不勉強で、あまり知らなかったのですが、この本を読んで、衝撃を受けました。
「菌血症」とは、血液中に細菌が認められる状態を言います。
本来、血液の中に細菌がいては困るわけですが、抜糸の後に菌血症を生じて、細菌性心内膜炎というこわい病気(死亡例あり)を発症することがあるということは、医師として私も認識していました。
これは、歯科医師の医療行為に伴って発症するので、「医原性菌血症」といいますが、歯石除去や抜歯のあとに発症ということなので、頻度としては少ないです。
「白米が健康長寿を縮める」を読んで、衝撃を受けたのは、発症頻度が圧倒的に高い「日常的歯原性菌血症」の方です。
日常性歯原性菌血症は、プラークが多かったり、歯肉炎で出血したりしていると、口腔内の傷口から血管内に歯周病菌が侵入して発症します。傷口というのは、虫歯の穴と、歯周症のポケットの2カ所です。
虫歯や歯周症を放置すると噛むだけで歯周病菌が血中に入ります。歯周症患者は毎日歯源性菌血症を起こして、血管内などに慢性の感染症を起こしている可能性があるのです。
歯周病菌の出す毒素により血管壁を始めとして体内の様々な器官に慢性炎症が生じてきます。
この慢性炎症が、動脈硬化・高血圧・糖尿病・認知症・リウマチなどの原因となることがわかってきています。
東京医科歯科大学の調査で、下肢血管疾患の患者約200名を調べたところ、80%において動脈壁に歯周症菌を認めたとのことです。
またアルツハイマー型認知症で死亡した患者の脳を調べたところ、歯周病菌が4割くらいの頻度で検出されたという報告もあります。
慢性関節リウマチのような、自己免疫疾患で原因不明とされてきた疾患でも、歯周病菌のもつ「PPAD」という酵素が発症と慢性化に関与していることが明らかになりました。
実際、リウマチ患者の膝関節滑液からは、非リウマチ患者と比べると何倍もの歯周病菌が検出されるとのことです。
このように、放置した虫歯や歯周症と歯周病菌による「日常的歯原性菌血症」は、慢性炎症を生じて様々な疾患のリスクとなることが分かってきました。
がん、心筋梗塞、脳卒中にも「日常的歯原性菌血症」が関与しているようです。
「日常的歯原性菌血症」を予防するには、勿論、歯科治療も大切です。
ただ、歯科治療以前に、虫歯菌や歯周病菌の餌になるのは白米などの糖質食品であることを
肝に銘じなくてはなりません。白米をたくさん食べているような人は、虫歯や歯周症にとてもなりやすいのです。
そして、スーパー糖質制限食なら、虫歯菌や歯周病菌の餌になる糖質が極めて少ないので、虫歯や歯周症そのものが予防できます。
そうすると「日常的歯原性菌血症」も予防できます。
かういう私も、虫歯ゼロで歯周症もなく、66歳で歯は全部残っています。
きっと「日常的歯原性菌血症」もないと思います。
ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、「日常的歯原性菌血症」を予防していただけば幸いです。
江部康二
「白米が健康寿命を縮める」
最近の医学研究でわかった口内最近の恐怖
花田信弘著(光文社新書)2015年
という本を読みました。
「歯原性菌血症」という概念をはじめてトータルに理解することができました。
花田信弘先生、ありがとうございます。
歯原性菌血症って、歯医者さん以外にはあまり馴染みのない言葉ですね。
私も、医師として不勉強で、あまり知らなかったのですが、この本を読んで、衝撃を受けました。
「菌血症」とは、血液中に細菌が認められる状態を言います。
本来、血液の中に細菌がいては困るわけですが、抜糸の後に菌血症を生じて、細菌性心内膜炎というこわい病気(死亡例あり)を発症することがあるということは、医師として私も認識していました。
これは、歯科医師の医療行為に伴って発症するので、「医原性菌血症」といいますが、歯石除去や抜歯のあとに発症ということなので、頻度としては少ないです。
「白米が健康長寿を縮める」を読んで、衝撃を受けたのは、発症頻度が圧倒的に高い「日常的歯原性菌血症」の方です。
日常性歯原性菌血症は、プラークが多かったり、歯肉炎で出血したりしていると、口腔内の傷口から血管内に歯周病菌が侵入して発症します。傷口というのは、虫歯の穴と、歯周症のポケットの2カ所です。
虫歯や歯周症を放置すると噛むだけで歯周病菌が血中に入ります。歯周症患者は毎日歯源性菌血症を起こして、血管内などに慢性の感染症を起こしている可能性があるのです。
歯周病菌の出す毒素により血管壁を始めとして体内の様々な器官に慢性炎症が生じてきます。
この慢性炎症が、動脈硬化・高血圧・糖尿病・認知症・リウマチなどの原因となることがわかってきています。
東京医科歯科大学の調査で、下肢血管疾患の患者約200名を調べたところ、80%において動脈壁に歯周症菌を認めたとのことです。
またアルツハイマー型認知症で死亡した患者の脳を調べたところ、歯周病菌が4割くらいの頻度で検出されたという報告もあります。
慢性関節リウマチのような、自己免疫疾患で原因不明とされてきた疾患でも、歯周病菌のもつ「PPAD」という酵素が発症と慢性化に関与していることが明らかになりました。
実際、リウマチ患者の膝関節滑液からは、非リウマチ患者と比べると何倍もの歯周病菌が検出されるとのことです。
このように、放置した虫歯や歯周症と歯周病菌による「日常的歯原性菌血症」は、慢性炎症を生じて様々な疾患のリスクとなることが分かってきました。
がん、心筋梗塞、脳卒中にも「日常的歯原性菌血症」が関与しているようです。
「日常的歯原性菌血症」を予防するには、勿論、歯科治療も大切です。
ただ、歯科治療以前に、虫歯菌や歯周病菌の餌になるのは白米などの糖質食品であることを
肝に銘じなくてはなりません。白米をたくさん食べているような人は、虫歯や歯周症にとてもなりやすいのです。
そして、スーパー糖質制限食なら、虫歯菌や歯周病菌の餌になる糖質が極めて少ないので、虫歯や歯周症そのものが予防できます。
そうすると「日常的歯原性菌血症」も予防できます。
かういう私も、虫歯ゼロで歯周症もなく、66歳で歯は全部残っています。
きっと「日常的歯原性菌血症」もないと思います。
ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、「日常的歯原性菌血症」を予防していただけば幸いです。
江部康二
江部先生、はじめましてこんにちは。
境界型糖尿病と診断されて以来、先生のblogを拝見して勉強しております。
さっそく糖質制限を始めたところ、HbA1cが、一ヶ月半で6.6から5.4に下がりほっとしています(*^^*)
糖質制限を調べていると、いろんな方のダイエットblogにたどり着き、そこからまた七号食ダイエットという記事も目にしました。
七号食を調べてみると、玄米だけを十日間食べるというもので、それにより糖尿病も克服できるとありました。
糖質制限をしている身としては、玄米だけで過ごすことは、血糖値上昇に繋がるのではないかと疑問です。
先生の見解をおうかがいしたくコメントさせていただきました。
境界型糖尿病と診断されて以来、先生のblogを拝見して勉強しております。
さっそく糖質制限を始めたところ、HbA1cが、一ヶ月半で6.6から5.4に下がりほっとしています(*^^*)
糖質制限を調べていると、いろんな方のダイエットblogにたどり着き、そこからまた七号食ダイエットという記事も目にしました。
七号食を調べてみると、玄米だけを十日間食べるというもので、それにより糖尿病も克服できるとありました。
糖質制限をしている身としては、玄米だけで過ごすことは、血糖値上昇に繋がるのではないかと疑問です。
先生の見解をおうかがいしたくコメントさせていただきました。
2016/01/23(Sat) 10:23 | URL | カナ | 【編集】
心筋梗塞のコバタケです。
ご専門外のことで恐縮ですが、答えられる範囲でけっこうですから江部先生のご見解をお願いしたいと思っております。
問いは、腹八分目すなわち少食ということは健康的でしょうか?
ある、数名の医師が登場する健康番組を見ておりましたら、多くの女性は善玉コレステロール値が高く、血中の古びたコレステロールを肝臓へ回収するから血液は新鮮で健康的であるが、多くの男性は善玉コレステロールが悪玉コレステロールの半分以下であり、十分回収できてないから悪玉コレステロール値を下げるよう努力しなければならないと説いてました。善玉コレステロール値は生まれつきだから増加しようがない。だから、できることは悪玉の減少しかないということでした。
これを聞いて私の解釈は腹八分目の食事を心がけることと思いました。
もちろん、糖質制限をした上での話です。
少食にすると内臓脂肪が減り、したがって腹回りが細くなり、心肺やその他の内臓、足腰の負担軽減にもつながると思います。
長生きの現役医師の日野原医師は少食と聞きました。一般的に長生きの人、特に女性は長生きです。
先ほどの善玉や悪玉のコレステロールのことはよく分からないですが、糖質制限プラス腹八分目が長生きにつながる可能性が高いのではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか?
ご専門外のことで恐縮ですが、答えられる範囲でけっこうですから江部先生のご見解をお願いしたいと思っております。
問いは、腹八分目すなわち少食ということは健康的でしょうか?
ある、数名の医師が登場する健康番組を見ておりましたら、多くの女性は善玉コレステロール値が高く、血中の古びたコレステロールを肝臓へ回収するから血液は新鮮で健康的であるが、多くの男性は善玉コレステロールが悪玉コレステロールの半分以下であり、十分回収できてないから悪玉コレステロール値を下げるよう努力しなければならないと説いてました。善玉コレステロール値は生まれつきだから増加しようがない。だから、できることは悪玉の減少しかないということでした。
これを聞いて私の解釈は腹八分目の食事を心がけることと思いました。
もちろん、糖質制限をした上での話です。
少食にすると内臓脂肪が減り、したがって腹回りが細くなり、心肺やその他の内臓、足腰の負担軽減にもつながると思います。
長生きの現役医師の日野原医師は少食と聞きました。一般的に長生きの人、特に女性は長生きです。
先ほどの善玉や悪玉のコレステロールのことはよく分からないですが、糖質制限プラス腹八分目が長生きにつながる可能性が高いのではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか?
2016/01/23(Sat) 14:23 | URL | コバタケ | 【編集】
カナ さん
「玄米だけを十日間食べるというもので、それにより糖尿病も克服できる」
糖尿人が玄米を摂取すれば、必ず高血糖となります。
玄米を食べて糖尿病が克服できるということはあり得ません。
ちなみに、私は34才から玄米魚菜食を実践して、52歳で糖尿病を発症しました。
「玄米だけを十日間食べるというもので、それにより糖尿病も克服できる」
糖尿人が玄米を摂取すれば、必ず高血糖となります。
玄米を食べて糖尿病が克服できるということはあり得ません。
ちなみに、私は34才から玄米魚菜食を実践して、52歳で糖尿病を発症しました。
2016/01/23(Sat) 16:30 | URL | ドクター江部 | 【編集】
コバタケ さん
少食が長生きによいという研究は、マウスのレベルまではあります。
しかしアカゲザルの研究では、少食で長生きになるという結論はでませんでした。
まして、人間ではわかりませんね。
なお、糖質制限食実践で、HDLコレステロールは増加します。
少食が長生きによいという研究は、マウスのレベルまではあります。
しかしアカゲザルの研究では、少食で長生きになるという結論はでませんでした。
まして、人間ではわかりませんね。
なお、糖質制限食実践で、HDLコレステロールは増加します。
2016/01/23(Sat) 16:38 | URL | ドクター江部 | 【編集】
腹八分目、少食についてご質問したコバタケです。実験結果を示しながらのご回答に感服しました。糖質制限食実践でHDLコレステロール増加との重要な「オマケ」のご回答までいただいて、ますます糖質制限食に強い決意をもって臨んでいきたいと思っております。
2016/01/23(Sat) 18:50 | URL | コバタケ | 【編集】
ご返答ありがとうございます!
やはりそうですよね。
疑問が解決してすっきりいたしました。
ありがとうございます!!
やはりそうですよね。
疑問が解決してすっきりいたしました。
ありがとうございます!!
2016/01/25(Mon) 14:22 | URL | カナ | 【編集】
こんにちは。
スーパー糖質制限を開始して、早くも1年近くになります。
今回の記事に関連して、私事ですが、先日、数か月に1度受診している歯医者で
「プラークも歯石もほとんどない。歯茎もきれいなピンクでしっかりしている。歯周ポケットもないに等しい。ここ最近は本当に良い口内状況です」
と、お褒めの言葉をいただきました。
糖質を食べていた頃、どんなに磨いても歯がぐらぐらするし、歯茎から出血も多かったのが、嘘のようです。
糖質制限のメインは糖尿病治療だと思いますが、歯周病・虫歯の予防にも良いと改めて実感致しました。
スーパー糖質制限を開始して、早くも1年近くになります。
今回の記事に関連して、私事ですが、先日、数か月に1度受診している歯医者で
「プラークも歯石もほとんどない。歯茎もきれいなピンクでしっかりしている。歯周ポケットもないに等しい。ここ最近は本当に良い口内状況です」
と、お褒めの言葉をいただきました。
糖質を食べていた頃、どんなに磨いても歯がぐらぐらするし、歯茎から出血も多かったのが、嘘のようです。
糖質制限のメインは糖尿病治療だと思いますが、歯周病・虫歯の予防にも良いと改めて実感致しました。
2016/01/25(Mon) 14:47 | URL | たなか | 【編集】
たなか さん
それは良かったです。
歯周症菌や虫歯菌の餌は糖質だけですから、
糖質制限食で予防できると思います。
それは良かったです。
歯周症菌や虫歯菌の餌は糖質だけですから、
糖質制限食で予防できると思います。
2016/01/25(Mon) 18:34 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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