2008年03月19日 (水)
おはようございます。だいぶ春らしい暖かさとなってきました。
今朝は曇り空だったので、窓の光が足りず、少し寝過ごしてしまいました。
「春眠暁を覚えず」孟浩然「春暁」・・・ですかね。
さて、私が寝ている間も、肝臓はしっかり活動していて、五臓六腑のなかでも特に働き者の一つなのです。今回はcocoさんから、肝臓と糖新生について、コメント・質問をいただきました。
『いつも楽しみにしております。何回も更新されていないかぁ~と 覗いてしまいます!
わからない事があります。 糖新生とは肝臓にキープされているグリコーゲンを血中に放出する事ではなくて、脂肪や筋肉からケトンを作り出す事を言うのでしょうか? (どこかのサイトを覗いた時に、そのように書かれていました。)
その場合、肝臓もそのケトンをエネルギーとして使えるのでしょうか? (そのサイトには、作り出している肝臓自身は使えないと・・・ そうしたら肝臓はとっくに死んでしまうと思うんですが・・・)
糖が足らなくて作り続けていて、肝臓は疲れないのですか? (脂肪肝が解消する時には良いと思うのですが)
すごく無知な質問で恥ずかしいのですが、今一、頭の中で整理が付かなくて・・・。
近頃、起床時の血糖値が105と、だんだん糖代謝が悪くなってきているので、早めに対処したいと考えています。 やはり、糖の代謝が弱っているところに、ムチうって糖質を摂る事は好ましくないと思います。 よろしくお願いいたします。
早速、先生の本、注文しました。拝見するのが楽しみです。』
2008/03/14(金) 19:07:13 | URL | coco』
cocoさん。本の注文、そしてブログ覗いていただき、ありがとうございます。
肝臓における<糖新生>と<グリコーゲン分解>はご指摘の通り別の概念です。
摂食時には、消化管から吸収されたブドウ糖は、まず肝臓に約50%取り込まれて、それ以外が血液の大循環に回ります。
食物吸収が終わった直後は、血糖値を維持するために、肝臓のグリコーゲンが分解されてブドウ糖になり循環血液中に入ります。
一方、空腹時や絶食時など、数時間以上食事からのブドウ糖供給がない場合に、肝臓で乳酸やアミノ酸(タンパク質の分解物)やグリセロール(中性脂肪の分解産物)からブドウ糖が合成されますが、このことを糖新生と呼んでいます。
即ち、絶食時間が数時間以上になってくると、血糖値維持システムは、グリコーゲン分解から糖新生に置き換わるわけです。
糖新生とはブドウ糖を新しく作ることを指していますので、<脂肪酸-ケトン体>のエネルギーシステムとは違います。
このように肝臓はブドウ糖を取り込んだり、必要に応じてグリコーゲンを分解したり、ブドウ糖を新しく作ったり、放出したりと血糖調節システムにおいて、 大変重要な働きをしています。
それから、空腹時や安静時には骨格筋や心筋など多くの体細胞のエネルギー源は、血糖値維持のため、脂肪酸-ケトン体のエネルギーシステムが主となり、ブドウ糖はあまり使いません。
空腹時・安静時にもブドウ糖をエネルギー源として利用しているのは、脳や赤血球などです。赤血球はブドウ糖しか使えませんが、脳は脂肪酸の分解産物のケトン体をエネルギー源として使います。
空腹時・安静時は肝臓で中性脂肪を脂肪酸に分解しさらにケトン体に分解します。肝臓では一部脂肪酸を自分で利用しますがケトン体は利用せず他の組織のエネルギー源として供給します。
肝細胞はケトン体は利用しませんが、ブドウ糖も利用しますので、エネルギー源は確保しています。肝細胞はミトコンドリア(エネルギー生産工場)を豊富にもっていて、大変働き者の臓器ですがエネルギー生産能力も高いのです。
なお、人体のエネルギー源に関しては、本ブログのカテゴリー、「人体のエネルギーシステム」の5つのブログをご参照ください。
最後になりましたがcocoさん、起床時の血糖値が105mg/dlで正常範囲ですが、少し上昇傾向にあるのですね。仰有るとおり今の段階で糖質制限食的な食生活を心掛けておかれたら、将来の糖尿病発症が予防できると思いますよ。
江部康二
今朝は曇り空だったので、窓の光が足りず、少し寝過ごしてしまいました。
「春眠暁を覚えず」孟浩然「春暁」・・・ですかね。
さて、私が寝ている間も、肝臓はしっかり活動していて、五臓六腑のなかでも特に働き者の一つなのです。今回はcocoさんから、肝臓と糖新生について、コメント・質問をいただきました。
『いつも楽しみにしております。何回も更新されていないかぁ~と 覗いてしまいます!
わからない事があります。 糖新生とは肝臓にキープされているグリコーゲンを血中に放出する事ではなくて、脂肪や筋肉からケトンを作り出す事を言うのでしょうか? (どこかのサイトを覗いた時に、そのように書かれていました。)
その場合、肝臓もそのケトンをエネルギーとして使えるのでしょうか? (そのサイトには、作り出している肝臓自身は使えないと・・・ そうしたら肝臓はとっくに死んでしまうと思うんですが・・・)
糖が足らなくて作り続けていて、肝臓は疲れないのですか? (脂肪肝が解消する時には良いと思うのですが)
すごく無知な質問で恥ずかしいのですが、今一、頭の中で整理が付かなくて・・・。
近頃、起床時の血糖値が105と、だんだん糖代謝が悪くなってきているので、早めに対処したいと考えています。 やはり、糖の代謝が弱っているところに、ムチうって糖質を摂る事は好ましくないと思います。 よろしくお願いいたします。
早速、先生の本、注文しました。拝見するのが楽しみです。』
2008/03/14(金) 19:07:13 | URL | coco』
cocoさん。本の注文、そしてブログ覗いていただき、ありがとうございます。
肝臓における<糖新生>と<グリコーゲン分解>はご指摘の通り別の概念です。
摂食時には、消化管から吸収されたブドウ糖は、まず肝臓に約50%取り込まれて、それ以外が血液の大循環に回ります。
食物吸収が終わった直後は、血糖値を維持するために、肝臓のグリコーゲンが分解されてブドウ糖になり循環血液中に入ります。
一方、空腹時や絶食時など、数時間以上食事からのブドウ糖供給がない場合に、肝臓で乳酸やアミノ酸(タンパク質の分解物)やグリセロール(中性脂肪の分解産物)からブドウ糖が合成されますが、このことを糖新生と呼んでいます。
即ち、絶食時間が数時間以上になってくると、血糖値維持システムは、グリコーゲン分解から糖新生に置き換わるわけです。
糖新生とはブドウ糖を新しく作ることを指していますので、<脂肪酸-ケトン体>のエネルギーシステムとは違います。
このように肝臓はブドウ糖を取り込んだり、必要に応じてグリコーゲンを分解したり、ブドウ糖を新しく作ったり、放出したりと血糖調節システムにおいて、 大変重要な働きをしています。
それから、空腹時や安静時には骨格筋や心筋など多くの体細胞のエネルギー源は、血糖値維持のため、脂肪酸-ケトン体のエネルギーシステムが主となり、ブドウ糖はあまり使いません。
空腹時・安静時にもブドウ糖をエネルギー源として利用しているのは、脳や赤血球などです。赤血球はブドウ糖しか使えませんが、脳は脂肪酸の分解産物のケトン体をエネルギー源として使います。
空腹時・安静時は肝臓で中性脂肪を脂肪酸に分解しさらにケトン体に分解します。肝臓では一部脂肪酸を自分で利用しますがケトン体は利用せず他の組織のエネルギー源として供給します。
肝細胞はケトン体は利用しませんが、ブドウ糖も利用しますので、エネルギー源は確保しています。肝細胞はミトコンドリア(エネルギー生産工場)を豊富にもっていて、大変働き者の臓器ですがエネルギー生産能力も高いのです。
なお、人体のエネルギー源に関しては、本ブログのカテゴリー、「人体のエネルギーシステム」の5つのブログをご参照ください。
最後になりましたがcocoさん、起床時の血糖値が105mg/dlで正常範囲ですが、少し上昇傾向にあるのですね。仰有るとおり今の段階で糖質制限食的な食生活を心掛けておかれたら、将来の糖尿病発症が予防できると思いますよ。
江部康二
初めてお便りします。ターザンで釜池先生が紹介された記事を読んで、本屋に行き、同時に江部先生の本を見つけてお二人の本を購入しました!自分は今、肝炎になっており、その原因の一つとして甘党の自分は糖質の取り過ぎからきた脂肪肝ではないか?と担当の医者に言われました。(ちなみに自分は現在42歳で体脂肪率は20%程度です)ですから脂肪肝を治すために、さらにダイエットをしようと思い、先生の本を参考に糖質制限食をしようと思うのですが、肝炎になっている場合、ダイエット効果が高いスーパー糖質制限食は腎機能の低下してる場合以外にも、肝臓にとって負担が掛かるので控えた方がいいのでしょうか?どうか教えて下さい!
2008/04/25(Fri) 20:17 | URL | 刈谷の整体士 | 【編集】
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