fc2ブログ
HbA1cとGAが乖離している場合。
【15/12/28 ゆみ

いつもブログ拝読したおります。

看護師をしており、患者様の血糖値を測る時についでに自分の血糖値を測ってみましたら食後1時間で200を超えており、それから先生の著書を購入し糖質制限食を行っております。緩い制限で約半年経ちましたが数値が改善せず、初めて質問させて頂きます。

食前血糖値86
HbA1c 6.0→5.7
インスリン 2.8→1.4
グリコアルブミン15.6→17.1

HOMAβを計算すると21.9
HOMA-Rが0.3とかなり低値になります。
内服を開始した方がよいでしょうか?
現在48歳、瘦せ型です。
お忙しい中恐縮ですが、お時間ある時にアドバイス頂けると嬉しいです。】



ゆみさん。
拙著のご購入、ありがとうございます。

食後1時間の血糖値が200mg/dlを超えていたのなら、将来糖尿病になりやすいので、糖質制限食を開始されたのは正解と思います。

<緩い糖質制限食開始後、半年目のデータ>
食前血糖値86mg/dl  (基準値60~110mg/dl未満
HbA1c 6.0→5.7 % (基準値:6.2未満)
インスリン 2.8→1.4 μU/ml 
グリコアルブミン(GA)15.6→17.1%  (基準値:11.8~16.0)


HbA1cは改善していますが、GAが少し悪化しています。

もっとも、GAのコントロール良好目標値は、20.0未満なのでコントロール良好ではあります。

インスリン基礎分泌の基準値は、検査機関により差がありますが、3~15μU/mlとか、5〜10μU/mL とかですので、ゆみさんは、やや低めでしょうか。

ただ、空腹時インスリン値が1.4 μU/ml と低値なのに空腹時血糖値は86mg/dlととてもよいデータです。

ということは、少ないインスリンの量で空腹時血糖値は正常に保たれているので、とても好ましい状態と言えます。

インスリンは人体に絶対に必要ですが、少量で済めば済むほど、人体には優しいのです。

実は、高インスリン血症には、発がんやアルツハイマー病のリスクがあるのです。

HbA1cが基準値内に入っているのに対して、GAが基準値を超えているのは、食後高血糖を反映していると考えられます。

緩い糖質制限食なら、1回の糖質量が、40gくらいあるので、食後1時間血糖値は、180~200mgを超えている可能性があります。

その後、食後2時間値が140mg/dl未満なら正常型です。

食後1~2時間だけの高血糖(180mg/dl以上)を、GAは鋭敏に反映しますが、HbA1cはほとんんど反映しません。
ゆみさんの場合、その差がでたものと考えられます。

私の最近のHbA1cは5.7%で、GAは13.2%です。

私は、スーパー糖質制限食なので、1回の食事の糖質量は、10~20g以下です。

それで食後高血糖が全くないので、GA値が、非常に良いのだと考えられます。

ゆみさんも、スーパー糖質制限食なら、内服薬なしでGAも基準値になると思いますよ。

HOMAβが21.9(40~60)と低値なので、インスリン分泌能はやや低下しています。
HOMAβは、負荷後2時間のインスリン分泌能と相関するとされています。

HOMA-Rは0.3(1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があり。)ですので、インスリン抵抗性は全く無くて正常です。


インスリン分泌指標
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
インスリン使用中の患者には使えない。


インスリン抵抗性指標
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。




江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可