2015年12月28日 (月)
『緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2012) 日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/modules/study/index.php?content_id=17
【必須項目】
1.経過のどこかの時点でグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体もしくは膵島細胞抗体(ICA)が陽性である。a)
2.糖尿病の発症(もしくは診断)時、ケトーシスもしくはケトアシドーシスはなく、ただちには高血糖是正のためインスリン療法が必要とならない。b)
判定:上記1、2を満たす場合、「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)」と診断する。
a)Insulinoma-associated antigen-2(IA-2)抗体,インスリン自己抗体(IAA)もしくは亜鉛輸送担体8(ZnT8)抗体に関するエビデンスは不十分であるため現段階では診断基準に含まない。
b)ソフトドリンクケトーシス(ケトアシドーシス)で発症した場合はこの限りではない。
【参考項目】
1)経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し、糖尿病の発症(もしくは診断)後3ヶ月を過ぎてからインスリン療法が必要になり、高頻度にインスリン依存状態となる。
なお小児科領域では、糖尿病と診断された時点で、ただちに少量(0.5単位/kg体重以下)のインスリン投与を開始することがある。
内科領域でもGAD抗体陽性が判明すると、インスリン分泌低下阻止を考慮してインスリン治療がただちに開始されることがある。
2)GAD抗体やICAは多くの例で経過とともに陰性化する。
3)GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、
発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。
詳細は、糖尿病 2013;56(8):590-597 を参照して下さい。』
こんばんは。
上記は、日本糖尿病学会の「緩徐進行型1型糖尿病」の診断基準です。
「1)経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し、糖尿病の発症(もしくは診断)後3ヶ月を過ぎてからインスリン療法が必要になり、高頻度にインスリン依存状態となる。」
ということですので、ひろさんやオハナさんの娘さんが、インスリンフリーであることは、なかなか素晴らしいです。
「2)GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、
発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。」
食後高血糖を必ず生じる従来の糖尿病食でも、まれに10年以上インスリンフリーな緩徐進行1型糖尿人がおられるということですので、食後高血糖を生じないスーパー糖質制限食なら、もっと長期にわたり、インスリンフリーを達成できる可能性があります。
ひろさんもオハナさんの娘さんも、長期インスリンフリーを目指してくださいね。
【米国糖尿病学会「1型DMの新分類」2015年10月
ステージ1:複数の膵島関連自己抗体が陽性の状態
ステージ2:ブドウ糖不耐症や高血糖状態
ステージ3:症候性1型糖尿病、インスリン補充が必須】
米国の新分類と照らし合わせると、日本の緩徐進行型1型糖尿病は、米国の新分類ではステージ2に相当すると思います。
江部康二
いつもブログ拝読したおります。
看護師をしており、患者様の血糖値を測る時についでに自分の血糖値を測ってみましたら食後1時間で200を超えており、それから先生の著書を購入し糖質制限食を行っております。緩い制限で約半年経ちましたが数値が改善せず、初めて質問させて頂きます。
食前血糖値86
HbA1c 6.0→5.7
インスリン 2.8→1.4
グリコアルブミン15.6→17.1
HOMAβを計算すると21.9
HOMA-Rが0.3とかなり低値になります。
内服を開始した方がよいでしょうか?
現在48歳、瘦せ型です。
お忙しい中恐縮ですが、お時間ある時にアドバイス頂けると嬉しいです。
看護師をしており、患者様の血糖値を測る時についでに自分の血糖値を測ってみましたら食後1時間で200を超えており、それから先生の著書を購入し糖質制限食を行っております。緩い制限で約半年経ちましたが数値が改善せず、初めて質問させて頂きます。
食前血糖値86
HbA1c 6.0→5.7
インスリン 2.8→1.4
グリコアルブミン15.6→17.1
HOMAβを計算すると21.9
HOMA-Rが0.3とかなり低値になります。
内服を開始した方がよいでしょうか?
現在48歳、瘦せ型です。
お忙しい中恐縮ですが、お時間ある時にアドバイス頂けると嬉しいです。
2015/12/28(Mon) 20:47 | URL | ゆみ | 【編集】
先生こんばんは。
1型糖尿病に関する有益な情報が得られて感謝しております。
あまり皆様に知られていない1型糖尿病患者が、スーパー糖質制限食によって健常人と同等の生活が出来るように、食事のサポートにより努力をしていく所存です。
ところで、個人的に最近気づいたことがあります。
食事のメニューに、数日に一度目安でレバーや牡蠣を少量取り入れると、朝の空腹時血糖値は111以上にはなりません。
確かに他の食材も取り入れているのでとてもエビデンスレベルではありません。
試しに一週間全くレバーや牡蠣をメニューに取り入れなかったときは朝の空腹時血糖値が130程度という結果でした。
何か関係があるのではないかと期待しております。
ご存知の事がありましたら、ご教授ください。
1型糖尿病に関する有益な情報が得られて感謝しております。
あまり皆様に知られていない1型糖尿病患者が、スーパー糖質制限食によって健常人と同等の生活が出来るように、食事のサポートにより努力をしていく所存です。
ところで、個人的に最近気づいたことがあります。
食事のメニューに、数日に一度目安でレバーや牡蠣を少量取り入れると、朝の空腹時血糖値は111以上にはなりません。
確かに他の食材も取り入れているのでとてもエビデンスレベルではありません。
試しに一週間全くレバーや牡蠣をメニューに取り入れなかったときは朝の空腹時血糖値が130程度という結果でした。
何か関係があるのではないかと期待しております。
ご存知の事がありましたら、ご教授ください。
オハナ さん
「食事のメニューに、数日に一度目安でレバーや牡蠣を少量取り入れると、朝の空腹時血糖値は111以上にはなりません。」
これは、初耳学ですね。
「食事のメニューに、数日に一度目安でレバーや牡蠣を少量取り入れると、朝の空腹時血糖値は111以上にはなりません。」
これは、初耳学ですね。
2015/12/30(Wed) 17:03 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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