2015年12月26日 (土)
こんにちは。
米国糖尿病学会が、2015年10月8日 (木)、1型糖尿病の新分類を公表しました。
1型糖尿病をステージ1、ステージ2、ステージ3に分けるという画期的な分類です。
ステージ1:複数の膵島関連自己抗体が陽性の状態
ステージ2:ブドウ糖不耐症や高血糖状態
ステージ3:を症候性1型糖尿病
と規定するものです。
最近の研究において、ステージ1、2のほとんどがステージ3に進行することが明らかになっているそうです。
ステージ1は、自己抗体は陽性であるけれど、インスリン分泌は残存していて症状はない段階です。
ステージ2は、ブドウ糖不耐症や高血糖が出現する段階です。この時点でインスリン分泌能力は低下してきています。
ステージ3が、多飲多尿や体重減少などの症状が出る症候性の段階で、インスリン分泌能力はほとんどなくなっています。インスリン補充が必須の段階です。
ステージ1や2の段階で発見できれば、内因性インスリンがまだ残存しているので、治療的には意味が大きいのです。
しかし、米国では、1型糖尿病のほとんどが、ステージ3の段階で発見されています。
患者の3分の1は急性糖尿病性ケトアシドーシスで救急を受診した際に初めて、1型糖尿病と診断されるそうです。
日本の1型糖尿病の現状でも、小児の場合ほとんどがステージ3で初めて診断されるので、ほぼインスリン依存状態です。
ところが、日本では健康診断が浸透しているので、ステージ2の1型糖尿病がそこそこ発見されているのが現状です。
正確には、健診で糖尿病を指摘されて医療機関を受診して、念のために抗GAD抗体を調べたら陽性で、1型糖尿病ということが判明というケースです。
この場合、耐糖能は少し低下していますが、自分自身の内因性インスリンはまだ残存しています。
そしてステージ2の段階なら、血糖コントロール良好を保つことで、β細胞を休養・保護することができて、内因性インスリン分泌が長期間にわたり維持できる可能性があるのです。
実際、私が今までみてきた抗GAD抗体が陽性の1型の患者さんで、インスリンフリーの人が数名はおられます。
ステージ2の段階で、血糖コントロール良好が保たれないならば、高血糖によりβ細胞は障害されて、短期間でステージ3に陥ってしまいます。
ステージ2の段階で、血糖コントロール良好を保ちβ細胞を保護するには、スーパー糖質制限食が最適です。
スーパー糖質制限食なら薬なしで、血糖コントロール良好を保ち、無症候の状態を維持することも可能です。
内因性インスリン分泌が長期間にわたり保たれることが期待できます。
一方、糖質が多い従来の糖尿病食では、食後高血糖は必発であり、高血糖によりβ細胞は障害されていき早晩インスリン注射は不可欠となります。
インスリン注射で、血糖コントロール良好を厳格に保てなければ、その内ステージ3になっていきます。
江部康二
☆☆☆
以下、m3.com 臨床ダイジェストから、引用。
『m3.com 臨床ダイジェスト
https://www.m3.com/clinical/news/364670?portalId=mailmag&mmp=EX151223&mc.l=136342308&eml=66a125ab88e373cf62f07e138cff140d
臨床ニュース
「1型DMの新分類」学会が公表【米国糖尿病学会】
発症前段階をステージに加え、治験を容易に
米国学会短信2015年10月8日 (木)配信 一般内科疾患内分泌・代謝疾患
米国糖尿病学会(ADA)は9月24日、1型糖尿病(T1D)のステージングに発症前ステージを導入した新たな分類を若年性糖尿病研究財団(JDRF)と共同で発表した。米国臨床内分泌学会など3団体の支持を得て、Diabetes Care誌オンライン版に掲載されている。
新しい分類は、T1Dが症状出現前から始まり、インスリン補充が必須になる状態に進行するとの概念を取り入れ、ステージ1を複数の膵島関連自己抗体が陽性の状態、ステージ2をブドウ糖不耐症や高血糖状態、ステージ3を症候性T1Dと分類。最近の研究において、ステージ1、2のほとんどがステージ3に進行することが明らかになっている。患者によって各ステージ間の進行度は異なるが、進行リスクをそれぞれ定めることができるため、β細胞機能維持を目的とする治験が容易になる可能性があるという。
また、現状ではT1Dは多飲多尿や体重減少などの症状が出るまで診断されることが少なく、患者の3分の1は急性糖尿病性ケトアシドーシスで救急を受診した際に初めてT1Dと診断される。今回のステージングは、こうした進行してからの診断を防ぐと期待されている。
関連リンク
JDRF and the American Diabetes Association, in Collaboration with Multiple Diabetes Organizations Publish New Classification and Staging Approach for Presymptomatic Type 1 』
米国糖尿病学会が、2015年10月8日 (木)、1型糖尿病の新分類を公表しました。
1型糖尿病をステージ1、ステージ2、ステージ3に分けるという画期的な分類です。
ステージ1:複数の膵島関連自己抗体が陽性の状態
ステージ2:ブドウ糖不耐症や高血糖状態
ステージ3:を症候性1型糖尿病
と規定するものです。
最近の研究において、ステージ1、2のほとんどがステージ3に進行することが明らかになっているそうです。
ステージ1は、自己抗体は陽性であるけれど、インスリン分泌は残存していて症状はない段階です。
ステージ2は、ブドウ糖不耐症や高血糖が出現する段階です。この時点でインスリン分泌能力は低下してきています。
ステージ3が、多飲多尿や体重減少などの症状が出る症候性の段階で、インスリン分泌能力はほとんどなくなっています。インスリン補充が必須の段階です。
ステージ1や2の段階で発見できれば、内因性インスリンがまだ残存しているので、治療的には意味が大きいのです。
しかし、米国では、1型糖尿病のほとんどが、ステージ3の段階で発見されています。
患者の3分の1は急性糖尿病性ケトアシドーシスで救急を受診した際に初めて、1型糖尿病と診断されるそうです。
日本の1型糖尿病の現状でも、小児の場合ほとんどがステージ3で初めて診断されるので、ほぼインスリン依存状態です。
ところが、日本では健康診断が浸透しているので、ステージ2の1型糖尿病がそこそこ発見されているのが現状です。
正確には、健診で糖尿病を指摘されて医療機関を受診して、念のために抗GAD抗体を調べたら陽性で、1型糖尿病ということが判明というケースです。
この場合、耐糖能は少し低下していますが、自分自身の内因性インスリンはまだ残存しています。
そしてステージ2の段階なら、血糖コントロール良好を保つことで、β細胞を休養・保護することができて、内因性インスリン分泌が長期間にわたり維持できる可能性があるのです。
実際、私が今までみてきた抗GAD抗体が陽性の1型の患者さんで、インスリンフリーの人が数名はおられます。
ステージ2の段階で、血糖コントロール良好が保たれないならば、高血糖によりβ細胞は障害されて、短期間でステージ3に陥ってしまいます。
ステージ2の段階で、血糖コントロール良好を保ちβ細胞を保護するには、スーパー糖質制限食が最適です。
スーパー糖質制限食なら薬なしで、血糖コントロール良好を保ち、無症候の状態を維持することも可能です。
内因性インスリン分泌が長期間にわたり保たれることが期待できます。
一方、糖質が多い従来の糖尿病食では、食後高血糖は必発であり、高血糖によりβ細胞は障害されていき早晩インスリン注射は不可欠となります。
インスリン注射で、血糖コントロール良好を厳格に保てなければ、その内ステージ3になっていきます。
江部康二
☆☆☆
以下、m3.com 臨床ダイジェストから、引用。
『m3.com 臨床ダイジェスト
https://www.m3.com/clinical/news/364670?portalId=mailmag&mmp=EX151223&mc.l=136342308&eml=66a125ab88e373cf62f07e138cff140d
臨床ニュース
「1型DMの新分類」学会が公表【米国糖尿病学会】
発症前段階をステージに加え、治験を容易に
米国学会短信2015年10月8日 (木)配信 一般内科疾患内分泌・代謝疾患
米国糖尿病学会(ADA)は9月24日、1型糖尿病(T1D)のステージングに発症前ステージを導入した新たな分類を若年性糖尿病研究財団(JDRF)と共同で発表した。米国臨床内分泌学会など3団体の支持を得て、Diabetes Care誌オンライン版に掲載されている。
新しい分類は、T1Dが症状出現前から始まり、インスリン補充が必須になる状態に進行するとの概念を取り入れ、ステージ1を複数の膵島関連自己抗体が陽性の状態、ステージ2をブドウ糖不耐症や高血糖状態、ステージ3を症候性T1Dと分類。最近の研究において、ステージ1、2のほとんどがステージ3に進行することが明らかになっている。患者によって各ステージ間の進行度は異なるが、進行リスクをそれぞれ定めることができるため、β細胞機能維持を目的とする治験が容易になる可能性があるという。
また、現状ではT1Dは多飲多尿や体重減少などの症状が出るまで診断されることが少なく、患者の3分の1は急性糖尿病性ケトアシドーシスで救急を受診した際に初めてT1Dと診断される。今回のステージングは、こうした進行してからの診断を防ぐと期待されている。
関連リンク
JDRF and the American Diabetes Association, in Collaboration with Multiple Diabetes Organizations Publish New Classification and Staging Approach for Presymptomatic Type 1 』
江部先生、初めまして。
今から1年8ヶ月前に糖尿病が発覚しました。
バンコク出張から帰国直後より体調不良が2週間続き、病院にかかったところ血糖値が300を越えていていました。
GAD抗体は3.8でしたの1型の陽性でした。
それから藁にもすがる気持ちでネットで色々調べ先生のブログにたどり着きました。
もちろん先生の著書も購入しました。
これだ!と思い、スーパー糖質制限を1年8ヶ月続けています。
現在はGAD抗体は8まで上がりましたが、薬も飲んでいませんし、インシュリンフリーです。
HbA1cは5.5、空腹時の血糖値は116で移行しています。
どこまでインシュリンが温存出来るかわかりませんが、このままスーパー糖質制限を続けていこうと思っています。
今から1年8ヶ月前に糖尿病が発覚しました。
バンコク出張から帰国直後より体調不良が2週間続き、病院にかかったところ血糖値が300を越えていていました。
GAD抗体は3.8でしたの1型の陽性でした。
それから藁にもすがる気持ちでネットで色々調べ先生のブログにたどり着きました。
もちろん先生の著書も購入しました。
これだ!と思い、スーパー糖質制限を1年8ヶ月続けています。
現在はGAD抗体は8まで上がりましたが、薬も飲んでいませんし、インシュリンフリーです。
HbA1cは5.5、空腹時の血糖値は116で移行しています。
どこまでインシュリンが温存出来るかわかりませんが、このままスーパー糖質制限を続けていこうと思っています。
先生こんばんは。
いつも興味深くブログを読んでます。
さて、娘は中学校の尿検査で1型糖尿病が判明しました。
そして、先生のブログと偶然に出会い、現在は糖質セイゲニストとして6ヶ月目を迎えました。
暖かい頃は朝の空腹時血糖値が平均的に110を下回っていましたが、寒くなった現在では110〜140の間を推移していて、暁現象がみられます。
食後1時間は140を超えることはありません。
食後2時間は110を超えることはありません。
もちろんインスリンフリーの生活をしています。
心配なのは暁現象のみです。
先生の過去のブログには、軽い運動をすると良いと書いてあったのですが、中々実践出来ていません。
ところで、この暁現象は、日中の血糖値コントロールが良でも朝の空腹時血糖値が110以上だと合併症の心配があるのでしょうか。
今、娘は受験生で学校の部活も引退し、運動をする機会は学校の体育の授業程度です。
高校進学すれば、また運動部に入部する予定のようですが、それまで何も運動しないで暁現象が起こる毎日を送ることはリスクが高いのでしょうか。
どうぞ、ご教授ください。
いつも興味深くブログを読んでます。
さて、娘は中学校の尿検査で1型糖尿病が判明しました。
そして、先生のブログと偶然に出会い、現在は糖質セイゲニストとして6ヶ月目を迎えました。
暖かい頃は朝の空腹時血糖値が平均的に110を下回っていましたが、寒くなった現在では110〜140の間を推移していて、暁現象がみられます。
食後1時間は140を超えることはありません。
食後2時間は110を超えることはありません。
もちろんインスリンフリーの生活をしています。
心配なのは暁現象のみです。
先生の過去のブログには、軽い運動をすると良いと書いてあったのですが、中々実践出来ていません。
ところで、この暁現象は、日中の血糖値コントロールが良でも朝の空腹時血糖値が110以上だと合併症の心配があるのでしょうか。
今、娘は受験生で学校の部活も引退し、運動をする機会は学校の体育の授業程度です。
高校進学すれば、また運動部に入部する予定のようですが、それまで何も運動しないで暁現象が起こる毎日を送ることはリスクが高いのでしょうか。
どうぞ、ご教授ください。
さてわが町から今頃、平成26年6月の健康診断結果でのお知らせが送られてきました。
最高・最低血圧が116.90mmhg、LDLが182、
中性脂肪49、HDLが76、Hba1c5.0、BMI19、4を以てして、今後十年での同年代との比較で糖尿病の発症リスクが4,3倍、心血管病のリスクが1,6と出ています。
根拠は公益社団法人久山生活習慣病の研究
成果だそうです。
もう十年以上も東地津制限はしていますが。。。
ちなみに27年の7月にも受けていますが。。。
これってなんか変に思うのはオイラだけでしょうか???
最高・最低血圧が116.90mmhg、LDLが182、
中性脂肪49、HDLが76、Hba1c5.0、BMI19、4を以てして、今後十年での同年代との比較で糖尿病の発症リスクが4,3倍、心血管病のリスクが1,6と出ています。
根拠は公益社団法人久山生活習慣病の研究
成果だそうです。
もう十年以上も東地津制限はしていますが。。。
ちなみに27年の7月にも受けていますが。。。
これってなんか変に思うのはオイラだけでしょうか???
2015/12/27(Sun) 08:29 | URL | あまいみかん | 【編集】
あまいみかん さん
最高・最低血圧が116.90mmhg、LDLが182、
中性脂肪49、HDLが76、Hba1c5.0、
このデータなら、LDLコレステロールも善玉です。
悪玉の小粒子LDLや酸化LDLは、ごく少ないので、長生きパターンです。
糖質制限食をっせ実践されてますので
糖尿病発症リスクも、心血管病発症リスクも極めて少ないです。
安心していいと思いますよ。
最高・最低血圧が116.90mmhg、LDLが182、
中性脂肪49、HDLが76、Hba1c5.0、
このデータなら、LDLコレステロールも善玉です。
悪玉の小粒子LDLや酸化LDLは、ごく少ないので、長生きパターンです。
糖質制限食をっせ実践されてますので
糖尿病発症リスクも、心血管病発症リスクも極めて少ないです。
安心していいと思いますよ。
2015/12/27(Sun) 18:56 | URL | ドクター江部 | 【編集】
Diabetes Care の2016年1月増刊号が、12月22日に公表されました。
Medical Nutritional Therapy は下記です
http://care.diabetesjournals.org/content/39/Supplement_1/S23.full#sec-10
Medical Nutritional Therapy は下記です
http://care.diabetesjournals.org/content/39/Supplement_1/S23.full#sec-10
2015/12/30(Wed) 21:38 | URL | 精神科医師A | 【編集】
精神科医師A さん
最新情報をありがとうございます。
2013年10月の栄養勧告とほとんど差はないようですね。
ただ、飲酒には厳しくなっているようです。
低血糖注意などのため、女性1杯/日、男性2杯/日までが推奨ですね。
「no more than one drink per day for adult women and no more than two drinks per day for adult men」
最新情報をありがとうございます。
2013年10月の栄養勧告とほとんど差はないようですね。
ただ、飲酒には厳しくなっているようです。
低血糖注意などのため、女性1杯/日、男性2杯/日までが推奨ですね。
「no more than one drink per day for adult women and no more than two drinks per day for adult men」
2015/12/31(Thu) 12:37 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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