2015年11月18日 (水)
■ 糖尿病あるいは境界型、早期発見のために
糖尿病早期発見の流れにおいて大切な二つの概念について、考えてみます。
・IFG(Impaired fasting glucose): 空腹時血糖異常
・IGT(Impaired Glucose Tolerance): 耐糖能異常
IFGとIGTは、糖尿病を発症する前段階です。
この段階で発見できれば、とても好ましいです。
<75g経口ブドウ糖負荷試験 (75gOGTT) および、
空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)>
A) 正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ
120分後血糖値が140mg/dl未満」を満たせば正常型。
B) 境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合を言う。
具体的にはWHO分類のIGT、IFG、IFG/IGTがある。
1) 2時間値が140-199mg/dlとなる耐糖能異常であるIGT (Impaired Glucose Tolerance)
IGT単独なら早朝空腹時血糖値は110mg/dl未満で正常である。
2) 空腹時血糖値が110-125mg/dlとなるIFG (Impaired fasting glycaemia)
IFG単独なら75gOGTTにて2時間値は140mg/dl未満で正常である。
3) 両者の合併であるIFG/IGT
の3つのパターンがある。
C) 糖尿病型
①「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
② 随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型
③ HbA1c≧6.5%は糖尿病型
<糖尿病の診断>
1) ①②の糖尿病型(血糖値が糖尿病型)を、異なる日に2回確認できたら糖尿病と診断。
2) <「①或いは②」+③>は糖尿病と診断
3) ③単独の場合、再検査で血糖値が糖尿病型なら、糖尿病と診断
4) 血糖値が糖尿病型で糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)があるか
糖尿病網膜症があれば糖尿病と診断
*糖尿病の診断には血糖検査は必須であり、HbA1cだけでは診断できない。
<境界型段階で発見するには>
早朝空腹時血糖値は、健康診断で検査するので、IFG(Impaired fasting glucose: 空腹時血糖異常)があれば、発見できるでしょう。
これに対して、IGT(Impaired Glucose Tolerance: 耐糖能異常)、いわゆる食後高血糖タイプは、会社の健康診断では空腹時しか検査しないので、見過ごされます。
IGTのほうがIFGより、確率的には多いので、現行の健康診断のシステムには、問題があります。
判定基準では、摂取後2時間血糖値の測定ですが、糖尿病の家族歴がある人が身を守るには、食事開始1時間後の血糖値を測定してみるとよいでしょう。
早期の段階では1時間値の方が高値となりやすいのです。
例えば朝8時に糖質ありの食事を開始したら、午前9時に採血です。
180mg/dlを超えているなら、将来糖尿病になりやすいのです。
病院に行くのが面倒くさい人は、午前8時に糖質ありの食事を開始して、午前9時30分に検尿です。
市販の検尿試験紙でOKです。
食後の尿糖が陽性なら、ピークの血糖値が170~180mg/dlを超えていた可能性が高いので、今度は食後1時間血糖値とグリコアルブミン(GA)を測定しましょう。グリコアルブミンは、食後高血糖を鋭敏に反映します。
なお献血に行くと、GAを無料で検査して貰えます。
残念ながら血糖値の検査はありません。
以下は献血時の無料採血の項目です。
1)血液型検査
2)赤血球・白血球・血小板など血球計数検査
3)生化学検査:グリコアルブミン、GPT、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、
コレステロール、アルブミン対グロブリン比、コレステロール
江部康二
糖尿病早期発見の流れにおいて大切な二つの概念について、考えてみます。
・IFG(Impaired fasting glucose): 空腹時血糖異常
・IGT(Impaired Glucose Tolerance): 耐糖能異常
IFGとIGTは、糖尿病を発症する前段階です。
この段階で発見できれば、とても好ましいです。
<75g経口ブドウ糖負荷試験 (75gOGTT) および、
空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)>
A) 正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ
120分後血糖値が140mg/dl未満」を満たせば正常型。
B) 境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合を言う。
具体的にはWHO分類のIGT、IFG、IFG/IGTがある。
1) 2時間値が140-199mg/dlとなる耐糖能異常であるIGT (Impaired Glucose Tolerance)
IGT単独なら早朝空腹時血糖値は110mg/dl未満で正常である。
2) 空腹時血糖値が110-125mg/dlとなるIFG (Impaired fasting glycaemia)
IFG単独なら75gOGTTにて2時間値は140mg/dl未満で正常である。
3) 両者の合併であるIFG/IGT
の3つのパターンがある。
C) 糖尿病型
①「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
② 随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型
③ HbA1c≧6.5%は糖尿病型
<糖尿病の診断>
1) ①②の糖尿病型(血糖値が糖尿病型)を、異なる日に2回確認できたら糖尿病と診断。
2) <「①或いは②」+③>は糖尿病と診断
3) ③単独の場合、再検査で血糖値が糖尿病型なら、糖尿病と診断
4) 血糖値が糖尿病型で糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)があるか
糖尿病網膜症があれば糖尿病と診断
*糖尿病の診断には血糖検査は必須であり、HbA1cだけでは診断できない。
<境界型段階で発見するには>
早朝空腹時血糖値は、健康診断で検査するので、IFG(Impaired fasting glucose: 空腹時血糖異常)があれば、発見できるでしょう。
これに対して、IGT(Impaired Glucose Tolerance: 耐糖能異常)、いわゆる食後高血糖タイプは、会社の健康診断では空腹時しか検査しないので、見過ごされます。
IGTのほうがIFGより、確率的には多いので、現行の健康診断のシステムには、問題があります。
判定基準では、摂取後2時間血糖値の測定ですが、糖尿病の家族歴がある人が身を守るには、食事開始1時間後の血糖値を測定してみるとよいでしょう。
早期の段階では1時間値の方が高値となりやすいのです。
例えば朝8時に糖質ありの食事を開始したら、午前9時に採血です。
180mg/dlを超えているなら、将来糖尿病になりやすいのです。
病院に行くのが面倒くさい人は、午前8時に糖質ありの食事を開始して、午前9時30分に検尿です。
市販の検尿試験紙でOKです。
食後の尿糖が陽性なら、ピークの血糖値が170~180mg/dlを超えていた可能性が高いので、今度は食後1時間血糖値とグリコアルブミン(GA)を測定しましょう。グリコアルブミンは、食後高血糖を鋭敏に反映します。
なお献血に行くと、GAを無料で検査して貰えます。
残念ながら血糖値の検査はありません。
以下は献血時の無料採血の項目です。
1)血液型検査
2)赤血球・白血球・血小板など血球計数検査
3)生化学検査:グリコアルブミン、GPT、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、
コレステロール、アルブミン対グロブリン比、コレステロール
江部康二
2015/11/18(Wed) 21:02 | URL | | 【編集】
沢山の情報と先生のわかりやすい説明 いつも勉強になります。献血についてお聞きします。成分献血をしました。すると、それまで落ち着いていた体と脳が糖質を欲し、過食衝動と戦いました。クッキーやソフトクリームを食べてしまい、心身共に落ち着くまで2wかかりました。生理が近かったからだけなのか、献血の影響が何か体に反応していたのか、次回の献血のタイミングを考えて行けるといいかなと思って質問させていただきました。
あま党さん
私も経験がないお話です。
それで単なる意見としては、献血よりも生理前のほうが関与しているように思います。
私も経験がないお話です。
それで単なる意見としては、献血よりも生理前のほうが関与しているように思います。
2015/11/19(Thu) 18:50 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生
ステロイド糖尿病がきっかで境界型に突入したもようで、糖質制限開始しまいした。かれこれ6年になります。
最近TRUE2goを購入し、今や血糖値測定マニアと化してます。
逐次測定する中でよくわからないのがアルコール摂取後の血糖値です。
80~90と低いのです。
糖質制限実施中なので飲む場合は蒸留酒か赤ワインですが、試しに糖質の多いビールでも試してみましたところ結果は変わりません。
何故このようなことが起こるのでしょうか?
コメント頂戴できますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
ステロイド糖尿病がきっかで境界型に突入したもようで、糖質制限開始しまいした。かれこれ6年になります。
最近TRUE2goを購入し、今や血糖値測定マニアと化してます。
逐次測定する中でよくわからないのがアルコール摂取後の血糖値です。
80~90と低いのです。
糖質制限実施中なので飲む場合は蒸留酒か赤ワインですが、試しに糖質の多いビールでも試してみましたところ結果は変わりません。
何故このようなことが起こるのでしょうか?
コメント頂戴できますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
WOO さん
アルコールが体内に残っていると、肝臓の糖新生が抑制されます。
それで飲酒後の血糖値が低めとなります。
アルコールが体内に残っていると、肝臓の糖新生が抑制されます。
それで飲酒後の血糖値が低めとなります。
2015/11/23(Mon) 09:05 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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