糖尿病が認知症発症のハイリスク要因 最新の久山町コホート研究
日刊薬業の記事

糖尿病が認知症発症のハイリスク要因
久山町コホート研究 ( 2015年10月9日 )

認知症の有病率はここ30年で増加しており、特にアルツハイマー病(AD)が急増していることが、九州大大学院医学研究院付属総合コホートセンターの二宮利治氏らが実施した福岡県久山町でのコホート研究で分かった。
耐糖能異常があるとADの発症リスクは2倍となり、糖尿病が認知症発症の大きなリスク因子になることも明らかになった。
厚生労働省調査でも同様の傾向にあることが分かっており、久山町研究でも糖尿病が認知症のリスクになることが裏付けられた。

久山町では1985年から6~7年ごとに、65歳以上を対象に認知症の有病率調査(前向きコホート研究)を行っている。
調査結果によると、85年の認知症有病率は6.7%だったが、2012年には約18%と65歳以上高齢者の6人に1人が認知症と診断された。
糖尿病の有病率については、88年に男性の15.3%だったのが02年に24.0%に増加。

男性の4人に1人が糖尿病の有病者で、糖尿病予備群である耐糖能異常や空腹時血糖異常を含むと、男性の6割、女性の4割が何らかの糖代謝異常を有していた。

耐糖能レベル別に認知症の発症リスクを見ると、60歳以上の男女1022例では、正常群に比べてADの発症リスクが2.1倍だった。

これらのデータから日本国内での認知症患者の将来推計を行ったところ、2025年に675万人、40年には800万人に達すると見通した。

糖尿病が40年までに20%増加するとの仮説で推計すると、認知症患者は25年に730万人、50年には1000万人を超えるまで増加すると指摘。

二宮氏は人口の1割が認知症になるとして、予防対策の重要性を強調した。

今月4日に開かれた日本認知症学会で二宮氏が報告した。 』



こんばんは。

じょんさんから、久山町コホート研究の最新情報をコメントいただきました。
ありがとうございます。

日刊薬業に掲載された記事で、九州大大学院医学研究院付属総合コホートセンターの二宮利治氏らが2015年10月4日に開かれた日本認知症学会で発表したものです。

短い記事でしたが、全文を手に入れることができました。

久山町研究においても、厚生労働省調査においても耐糖能異常があるとAD(アルツハイマー病)の発症リスクは2倍となり、糖尿病が認知症発症の大きなリスク因子になることも明らかとなりました。

久山町では、1985年の認知症有病率は6.7%でしたが、2012年には約18%と65歳以上高齢者の6人に1人が認知症と診断されています。

6人に1人というか、5.5人に1人ですね。

これは、第一感、多いと思います。

ちなみに日本全体を調べて見ると、日本の認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されています。

日本の65歳以上の高齢者人口は、2012年度で約3000万人超ですから、認知症比率は、15.4%です。

やはり、久山町の方が多いですね。

ベースのリスクとなる糖尿病罹病率も、1988年以来14年間にわたり、糖尿病発症を予防する目的で14年間九州大学と中村学園大学栄養科学部が徹底した食事指導・運動指導にも関わらず、結果は大失敗で、2012年の調査で糖尿病は激増してしまいました。
2002年の時点で久山町の糖尿病罹患率は、は日本全体より突出して多いです。

2007年7月27日(金)毎日新聞朝刊 において研究責任者の九州大学・清原裕教授は

「88年以後、運動や食事指導など手を尽くしたのに糖尿病は増える一方。どうすれば減るのか、最初からやり直したい」

とのコメントを述べておられます。


実際14年間の努力にも関わらず、糖尿病の確定診断がついた人が
男性15.0→23.6%
女性9.9→13.4%
と著明に増加しています。

また男性では、40歳以上の久山町住人の約6割が、予備軍を含めた耐糖能異常という、とんでもない数字に増えています。

厚生労働省の国民・健康栄養調査によれば

2002年の40才以上の日本男性の15.6%が糖尿病
2002年の40才以上の日本女性の8.1%が糖尿病

でした。

運動療法が糖尿病発症予防に悪影響を与える可能性はないので、残るのは徹底的に指導された

日本糖尿病学会推奨の「カロリー制限・高糖質食」

が、糖尿病患者および耐糖能異常患者を激増させたという結論になります。

まあ、私達糖質セイゲニストにしてみれば「高糖質食が、糖尿病患者と耐糖能異常患者を増やす」というのは、自明の理なのですが・・・。

何せ、摂取後血糖に直接影響を与え、血糖値を上げるの糖質だけであり、たんぱく質・脂質は上げないのですから、「高糖質食を食べれば高血糖になり、糖尿になりやすい」というのは、小学生にでもわかる理屈と思うのですが・・・。

「久山町のデータをもとに日本国内での認知症患者の将来推計を行ったところ、2025年に675万人、40年には800万人に達すると見通しであり、糖尿病が40年までに20%増加するとの仮説で推計すると、認知症患者は25年に730万人、50年には1000万人を超えるまで増加する」と、二宮氏が指摘したとのことです。

しかしながら、久山町は、日本でも最も糖尿病罹患率が多い町であり、「カロリー制限・高糖質食」を指導されているのですから、久山町のデータを日本全体にあてはめることはできません。

現実に日本全体では、

2008年→2010年 
97年以来13年ぶりに炭水化物比率が減少  60.4%→59.4% 
97年以来13年ぶりに脂質比率が上昇    24.9%→25.9% 
2007年→2012年 糖尿病の増加が急減しました。
2002年から2007年は150万人の増加に対して、
2007年kara2012年は、60万人の増加だったのです。

さらに糖尿病予備軍は、約1100万人で、2007年から約220万人減少しており、国民健康・栄養調査が始まって以来の快挙です。

炭水化物の摂取比率が減少したことが、快挙の要因と考えられます。

このことは、日本全体に「糖質制限食」が認知されてきたことが関与しているように思われます。

というか、それ以外に炭水化物摂取比率が1%減少する理由が考えられないのです。

結論です。
久山町研究により
「カロリー制限・高糖質食」が、糖尿病・認知症発症予防に失敗したという
信頼度の高い証拠があることとなります。

すなわち「カロリー制限・高糖質食」では、糖尿病・認知症発症予防は、不可能です。

糖尿病・認知症発症予防には、糖質制限食以外にはありません。


江部康二



【15/10/17 じょん

久山町コホート研究の追加報告

江部先生、

おはようございます。
インターネットで検索していたら、2015年10月9日の日刊薬業に久山町のコホート研究の結果が報告されていました。

糖尿病が認知症発症のハイリスク要因  久山町コホート研究( 2015年10月9日 )

認知症の有病率はここ30年で増加しており、特にアルツハイマー病(AD)が急増していることが、九州大大学院医学研究院付属総合コホートセンターの二宮利治氏らが実施した福岡県久山町でのコホート研究で分かった。耐糖能異常があるとADの発症リスクは2倍となり、糖尿病が認知症発症の大きなリスク因子になることも明らかになった。厚生労働省調査でも同様の傾向にあることが分かっており、久山町研究でも糖尿病が認知症のリスクになることが裏付けられた。

続きを読むためには、ログインの必要があるため、読むことができませんが、糖質主体の食事では、糖尿病やそれを原因とする認知症までが増えることが明らかとなったのですね。

ますます糖質制限食の意義が証明されたように思いました。】



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
確かに糖尿病が減っているのは良いことですが、私の感覚では2008年のメタボ検診やそれに伴ってのランニングブームなど健康志向のうねりでの減少ではとの感想です。
三食ご飯を食べていた人が朝飯を食べなくなった程度の炭水化物の減少の様に思います。
その健康志向の先に糖質制限が注目されたとの印象です。
ですので、いまだに国や大手企業は穀物至上主義でセイゲニストは異教徒扱いの印象です。
ただし、明らかに、糖質制限によって、糖尿病、癌、てんかん、虫歯、体の柔軟性、高血圧、アレルギー、などには相関関係がありその研究と証明をして社会の方向性が変わってもらいたいものです。

2015/10/18(Sun) 21:05 | URL | セイゲニスト | 【編集
Re: タイトルなし
セイゲニスト さん

2007年→2012年
糖尿病の増加率が急減して、糖尿病予備群が初めて減少しました。

炭水化物の摂取比率、13年ぶりの減少ですから
わずか1%、されど1%という気がします。

運動で、よほどしっかりしない限り、糖尿病発症予防は困難と思います。
健康志向はジョギングブームやウオーキングブームなど大分前からありましたが
糖尿病予備群や糖尿病は増え続けていました。
2015/10/19(Mon) 07:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
おはようございます
先生の講演で初めて知った『久山町の悲劇』
まさに小さな親切大きなお世話の格言通りのことが起きてしまってますね。
従順な人柄がなおさら輪をかけて悲劇をもたらしたのでしょうか。

とある記事では、悪玉のように言われている糖質制限ですが、かの徳川家康も麦ごはんを食べたりして・・・と、炭水化物の食物繊維を強調しているものがありました。
このすり替えには恐れ入りました。
まことしやかに響いてくるので、悪寒を感じます。
1日の食事でたった1度、糖質制限すれば、ものすごい結果になるでしょうね。
ただ、本当に良い結果を求めるには継続しかないですが・・。
私の父が緩い糖質制限を始めて半年。
眼の下のクマがなくなり、爪がピンク色にきれいになってきました。
年齢も69歳なのですが、良い結果に本人も口にはしないですが、うれしそうです。
もう少し本格的に行ってくれればと思っておりますが、無理強いはできませんし、本人の選択ですからね。
では、また。
2015/10/19(Mon) 08:44 | URL | クワトロ | 【編集
久山研究
1988~2002年にかけ,糖尿病は男性14.6%→20.8%,女性9.1%→11.2%と有意に増加

http://www.epi-c.jp/entry/e001_0_0242.html
2015/10/19(Mon) 10:13 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: おはようございます
クワトロ さん

お父上、良かったですね。

緩い糖質制限食でも、随分いいと思います。

普通に糖質を、<100g×3回/日>食べる食生活から脱却して
<30~40g×3回/日>でも、全然違うと思います。
2015/10/19(Mon) 18:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 久山研究
精神科医師Aさん

貴重な情報をありがとうございます。
清原先生の以下の論文と、2014年の向氏らの論文と数値が違いますね。
これは意図的な改ざん?
よくわかりませんね。



清原裕,危険因子としての糖尿病
分子脳血管病 vol.6 no.1 2007 19-24
(清原裕教授 九州大学大学院医学研究院環境医学)


男性
        1988         2002
糖尿病    15.0        23.6%
IGT    19.2        21.6%
IFG     8.0        14.7%
合計      42.2        59.9%


女性 
        1988         2002
糖尿病      9.9         13.4%
IGT      18.8         21.3%
IFG       4.9          6.6%
合計       33.6         41.3%
2015/10/19(Mon) 18:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
原論文を読もう
Trends in the prevalence of type 2 diabetes and prediabetes in community‐dwelling Japanese subjects: The Hisayama Study

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4023579/

 Another possible explanation is that higher intake of animal fat is related to the rise in the prevalence of type 2 diabetes [1].

 Our previous study reported that the percentage of energy intake from fat among Hisayama residents was unchanged at approximately 25% between 1985 and 2004, but the proportion of animal fat to total fat intake tended to increase from 42.3 to 47.5% during this period [30].

文献30 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006405565

 中村学園論文(2007)の表3を読むと、確かに1985→2004年に、動物性脂質比は42.3→47.5% にふえており、これが糖尿病が増えた理由としている。

 ところが表4を読むと、砂糖類の摂取量が21.1→35.8g と急上昇している。これが糖尿病増加の本当の原因であろう。すべて日本語で書かれた論文を英語医学論文の引用文献にしても、何の意味もない。
2015/10/19(Mon) 21:45 | URL | 精神科医師A | 【編集
ありがとうございます
ご丁寧に回答ありがとうございました。
私もなるべく接して経過を観察してみたいと思います。
2015/10/19(Mon) 23:06 | URL | クワトロ | 【編集
Re: 原論文を読もう
精神科医師A さん

情報をありがとうございます。

砂糖類の摂取量が21.1→35.8g と急上昇

これはすごい上昇ですね。
2015/10/20(Tue) 09:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
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