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糖質制限で生理が止まる?それはカロリー制限のし過ぎです。
こんにちは。

糖質制限食実践中に生じる好ましくない症状・変化についてですが、実際にはカロリー制限のし過ぎからくるものが、多いと思います。

つまり、本質は摂取エネルギー不足が原因で起こった症状を、糖質制限食で起こったと誤解するというパターンです。

生理が止まるとか不順になるのも、典型的なカロリー不足の症状です。

例えば、国立スポーツ科学センター(JISS)において、国内トップレベルの女性アスリート683名を対象に実施したアンケート調査結果(2014年)では、無月経を含む月経周期異常のあるアスリートは約40%であり、その主たる要因は、相対的な摂取エネルギー不足、体重・体脂肪の減少、ストレスなどでした。

糖質制限食を実践して標準必要エネルギーが確保されていれば、生理が止まるということはありません。

しかし、現実に、一念発起して、糖尿病治療やダイエット目的で糖質制限食を開始したときに、長年の習慣で脂質まで制限してしまう方が、時々おられます。

この場合「糖質制限+脂質制限となりますので、実際に食べているものは、鶏のササミや白身魚などの脂肪の少ない動物性たんぱく質と大豆製品(豆腐、納豆・・・)など植物たんぱく質、そして葉野菜や海藻・茸の類いなど、低カロリー食材ばかりです。

こうなると、本人は気がつかないまま、摂取エネルギーはかなり少なくなり、厚生労働省のいう「標準必要エネルギー」を大幅に下回り、様々な症状と検査データの変化が生じます。


摂取エネルギー不足により生じる様々な症状を以下にまとめてみました。

<摂取エネルギー不足によって生じうる症状>
 
全身倦怠、筋力低下、無気力、髪がぬける、生理が止まる、生理不順、体重減りすぎ、低体温、冷え、色素性痒疹・・・、

これらの症状は、甲状腺機能低下症でも見られるので、区別がつきにくいかもしれませんね。

ただ甲状腺機能低下症では、体重が増加することが多い(約6割)ので参考になると思います。

また、甲状腺機能低下症は橋本病(慢性甲状腺炎)など原疾患が無い限り、そんなに簡単に発症することはありません。

気になれば、甲状腺機能検査をすれば明白になります。

遊離T3(FT3)基準値:2.1 - 3.8 pg/mL
遊離T4(FT4)基準値:0.82 - 1.63 ng/dL
甲状腺刺激ホルモン(TSH)基準値:0.38 - 4.31 μU/mL

この中で、FT4、TSHが正常なら、甲状腺機能は正常と考えていいです。

FT3だけが低値で、FT4、TSHとも正常な病態を「Low T3 syndrome」といい、摂取エネルギー不足や低栄養のとき見られます。

低T3症候群(Low T3 syndrome)は、甲状腺機能低下症ではないので甲状腺ホルモンを内服しても意味がありません。

摂取エネルギー不足や低栄養を改善することが本質的治療となります。

ネットで「糖質制限をしたら、甲状腺機能低下症になった。」というような書き込みをたまに見ますが、全て摂取カロリー不足による低T3症候群(Low T3 syndrome)と思われます。

本物の甲状腺機能低下症が、何らかの食事療法を開始して、3ヶ月や半年で発症するようなことは、まずありえません。


<摂取エネルギー不足によって生じうる検査データの変化>

1)低T3症候群
FT3が低値で、FT4、TSHとも正常な病態を「Low T3 syndrome」と言います。
コントロール不良の糖尿病など慢性消耗性の疾患で低栄養のとき、時々見かけます。
例えば神経性食思不振症などでの摂取エネルギー不足でも見られます。
これらは、見かけ上T3が低値なだけで、本当の甲状腺機能低下症では、ありません。

2)高尿酸血症

3)低ChE(コリンエステラーゼ)血症
肝機能検査の一つですが、摂取エネルギー不足で低下します。

4)血清アルブミン値の低下
人体の大事なたんぱく質です。摂取エネルギー不足で血清アルブミン値が低下します。
基準値は「3.8~5.3g/dL」ですが、4.3g/dl以上は確保しないと健康度が維持できません。


<結論>

糖質制限食開始後にみられる好ましくない症状(全身倦怠、筋力低下、無気力、無月経、生理不順・・・)のほとんどが摂取エネルギー不足からきています。

甲状腺機能低下症といきなり飛躍したりせずに、普通に摂取エネルギー不足を考慮してみてくださいね。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
糖質制限4ヶ月目
江部先生こんばんは。
6月に1型糖尿病と診断された娘を持つ母です。
私も娘と一緒に糖質制限をしています。
私は糖質制限を始めるまでは生理不順で、ときに3ヶ月に一度しか生理がこないときがありました。
体調は常にだるく、カロリーを摂取してもカロリーを摂取しても気持ちよく1日を過ごす日など皆無でした。
後から分析してみると、私の食生活は大部分が糖質にたよったものでした。
ところが、糖質制限を始めて2ヶ月目で最初の生理が来て、次の月も、今月も順調に来るようになりました。
経血はサラサラ。
ドロドロ経血ではありません。
多少の睡眠不足があっても規則正しく毎月生理がきます。
毎日起きてすぐに食事が作れて、頭はすっきり。
体も軽くて、考え方も前向きに改善されました。
疲れにくくて、活動的な毎日を過ごしています。
肌の吹き出物も無くなり、キメの整った肌に落ち着いています。
糖質制限で学んだことは、そもそも人間にとって必要な栄養が糖質制限食によって満たされているということ。
必要なのは薬局で買える薬ではありませんでした。
長年悩まされていた口内炎も全く出来なくなりました。
口の中を噛んでしまい、傷がついても次の日には回復傾向にあります。
きっと、細胞の再生に必要なタンパク質の摂取が足りなすぎていたのではないかと思います。
生理不順も、次の月までに生理が始まることの出来る体になるための栄養が足りなすぎていたのではないかと思います。
糖質制限食は、炭水化物を大幅に減少させ、その足りない部分の摂取エネルギーを補うため、タンパク質や脂質やミネラルの摂取が増えるので、必然と本来、人間が必要としている量のタンパク質や脂質やミネラルが満たされていき、体の機能が正常に戻っていくのではないかと思いました。偉そうなこと言って申し訳ありません。
糖質制限食でカロリー計算をしていくと、こんなに食べるのか!と思う程、満腹な食事メニューです。
また、糖質制限食により、改めて、体は食事によって作られることを実感いたしました。
先生には感謝してもしきれません。
こんなに短期間で効果を実感出来る食事療法は他には無いのではないかと思うくらいです。

2015/10/14(Wed) 00:10 | URL | オハナ | 【編集
Re: 糖質制限4ヶ月目
オハナ さん

糖質制限食で体調良好、良かったです。

仰有るとおり、糖質制限食なら、
「必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、微量元素、食物繊維」
すべて充分量摂取できます。

糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食です。

1型糖尿病の娘さんも、スーパー糖質制限食なら、インスリンの単位が必要最低限ですむので
身体に優しいと思います。
2015/10/14(Wed) 11:08 | URL | ドクター江部 | 【編集
全く痩せません
はじめまして。
全く痩せずに悩んでおります。

身長151cm 体重52.5キロの42歳女性です。
ダイエット目的で糖質制限をしています。
2年ほど前より糖質制限を始め、2ヶ月ほどで4キロ程減量し、そのまま維持しておりました。今年の7月に甘いものを食べたら止まらなくなり・・・体重が一気に3キロ増量。あわてて8月よりスーパー糖質制限を再開しました(糖質制限しなかったのは1ヶ月弱ほど)

糖質制限を始めて、1ヶ月ほどは、便秘。頭痛。足の重い感じ。倦怠感などの症状(甲状腺機能低下症?と思わせるような症状です)がありましたが、現在はありません。
体重は、減るどころか増加・・・糖質制限を始めてから1キロ増量しました。そして、生理も今月はありませんでした(排卵がありません)

本日の血糖(実は糖質を摂ってるのでは?と思い測定してみました)
昼食前 68←低くはないですか?
昼食後1h 92
昼食後2h 76 でした。
尿ケトン体は、2+です。食前3時間には、ココナッツコーヒーを飲んでいます。たんぱく質。脂質摂ってます。

7月以前は、48.5キロ前後で体の調子もよかったのですが、今は体が重たいです。体調は悪くなくです。

なぜ痩せないのか?
摂取エネルギー不足?なのでしょうか?
何が間違っているのか?わかりません。
お忙しい中、申し訳ありません。

2015/10/30(Fri) 15:30 | URL |  | 【編集
Re: 全く痩せません
夏 さん

身長151cm 体重52.5キロ
ならBMI23.0です。

尿ケトン体は、2+ なら脂肪はよく燃えていますので、
体調が良くなるまで
気長に糖質制限食を続けて行きましょう。
脂肪が燃えているのに、1kg増えたのは、生理のないことと合わせてホルモンの関係で
水分が貯留した可能性もありえます。

もっともBMI23.0なので、体重はあまり減らないかもしれませんが
体調の改善を目指してください。

昼前血糖値68mg/dlは心配ないです。

2015/10/30(Fri) 16:17 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます
先生。お忙しい中、返信ありがとうございます。
ずっと、悩んでいたのですが、先生からコメントを頂いて、とてもスッキリしました。気長に糖質制限を続けていきます。
ありがとうございました
2015/10/30(Fri) 16:32 | URL |  | 【編集
お礼とご報告
以前、機能性低血糖の記事にコメントした者です。その節は丁寧なご返答をいただき、ありがとうございました。また、新刊も愛読中です。


今回、嬉しい報告があります。
なので関連のあるこの記事にコメントさせていただきました。
糖質制限をして良かったと思える変化として、月経前のイライラ感や怠さの症状、生理痛が明らかに軽減されたこと
経血が減ったこと、周期がぴったり28日になったこと、です。

そういえば以前、
糖質制限という言葉を知らない時期に清涼飲料水断ちをした時も、
今回ほどではないにしろ月経がラクになった覚えがあります。
過剰な糖質は女性ホルモンにも影響を与えていたのでしょうか。

もともとBMIが18台なので、
カロリーを十分に摂る糖質制限食により、体重は少しずつ増えていますが、
見た目は引き締まっていきました!
顎から首、ウエストから下っ腹が細くなったので嬉しい限りです!

体重なんて言わなきゃわかんないし、見た目のが大事!体重にとらわれずにこれからも糖質制限食を続けます。

2016/04/15(Fri) 06:50 | URL | loco | 【編集
Re: お礼とご報告
loco さん

拙著のご購入、ありがとうございます。

体調良好で、ウェストが引き締まり、良かったです。

糖質摂取過剰とそれに伴うインスリンの過剰分泌が、さまざまな症状や生活習慣病の元凶となっています。
2016/04/15(Fri) 20:01 | URL | ドクター江部 | 【編集
AGE
江部先生
初めまして、糖質制限をぼちぼちやっている勤務医です。
AGE advanced glycation end-productsはどう思われますか?この本を読みますと焦げはAGEが高く老化が進みやすいと書いています。
糖質は控えるべきという意見は納得できますが、食べ方で違うようです。
2016/06/18(Sat) 20:21 | URL | どらごん | 【編集
Re: AGE
どらごん さん

「AGEs」に関しては諸説あります。

1)
体内の血糖により産生された「AGEs」は、動脈硬化や老化や糖尿病合併症などのリスクとなる。

2)
食事由来の「AGEs」は、動脈硬化や老化や糖尿病合併症などのリスクにはならない。


諸説ありますが、私は、このように考えています。

根拠としては、アバウトですが、以下の如くです。

火を使うことで、食事からの「AGEs」摂取は劇的に増加しました。
しかし、火を使い始めて人類の寿命が縮んだという話は聞いたことがありません。



2016/06/19(Sun) 18:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
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