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慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版。糖尿病腎症と糖質制限食。
【15/10/12 HK

CKDについて

私自身はCKDが進んでももちろん糖質制限は工夫して行う必要があると思います。
ただ、CKD診療ガイド2013」において、「eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質制限の必要なしと明示されました。」という部分ををみつけだせませんでした。 また腎学会の「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」ではCKDステージ1,2でたんぱく質の過剰な摂取をしない、ステージ3aで0.8-1.0、ステージ3b以降で0.6-0.8g/kgとなってます。
CKDでは低糖質中蛋白質高脂肪でなんとかせねばと思います。】



こんばんは。

HKさんから、糖尿病腎症と糖質制限食に関してコメントを頂きました。
コメント・情報をありがとうございます。


日本腎臓病学会のサイト
http://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php
の中で、

<慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014 年版(日本腎臓病学会誌、56巻5号)>

<CKD診療ガイドライン2013>
をPDFファイルで閲覧することができます。

<慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014 年版>

表1 CKDステージによる食事療法基準

ステージ(GFR)         たんぱく質(g/kgBW/日)

ステージ1(GFR≧90)      過剰な摂取をしない
ステージ 2(GFR 60~89)     過剰な摂取をしない
ステージ 3a(GFR 45~59)     0.8~1.0
ステージ 3b(GFR 30~44)     0.6~0.8
ステージ 4(GFR 15~29)      0.6~0.8
ステージ 5(GFR<15)       0.6~0.8
     5D(透析療法中)      0.9~1.2



となっています。

透析になると、たんぱく摂取基準量が増えます。

CKDステージによる食事療法基準によれば、糖尿病腎症第3期で、蛋白尿が陽性の段階でもGFRが60ml/分以上あれば、過剰な摂取はしないという表現ですので、いわゆるたんぱく制限は必要ないわけです。

過剰を示す具体的な指示量としては、進行するリスクのある CKDにおいては 1.3 g/kg 標準体重/日を超えないことが 1 つの目安としてありますので透析中の人より、さらにたんぱく質摂取量が多くなっています。


エビデンスが相対的に少ない糖尿病性腎症においては、
ステージ G1~G2 では 1.0~1.2、
G3 では0.8~1.0、
G4~G5 では 0.6~0.8 g/kg 標準体重/日で指導してもよいとされています。

<CKD診療ガイドライン2013>
エビデンスに基づく
CKD診療ガイドライン2013 編集 日本腎臓病学会
29ペ-ジに、以下の記載があります。

『3.CKDと栄養

5.たんぱく質制限の適応

たんぱく質制限の適応は、主にステージ G3b より進行した CKD であるが、画一的な制限は不適切であり、個々の症例に応じた検討が必要である。

これまでに行われた RCT のほとんどは、対象の平均年齢が50~55歳で、主に顕性蛋白尿を呈している CKD ステージ G3b~5 であること、つまり末期腎不全のリスクが高い集団に対して行われている。

日本の CKD ステージ G3a に多くみられるような蛋白尿の少ない高齢者は末期腎不全に至るリスクが低く、腎機能低下速度自体の抑制効果は明らかでないことからも、たんぱく質制限をそのような対象に行う意義は乏しい。

また,現時点では早期 CKD における有効性は不明である。

個々の症例に対する適応や制限のレベルは、事前に予想される末期腎不全に至る可能性とたんぱく質制限の潜在的な危険性の両面を考慮して、リスクとベネフィットの観点から、実際の診療にあたる腎臓専門医が慎重に検討する必要がある。』


*GはGFRのことで、G1、G2、G3a、G3b、G4、G5と進行していきます。
G1はGFRが90ml/分以上です。
G2はGFRが60~89ml/分
G3aはGFRが45~59ml/分
G 3bはGFR が30~44ml/分 
G 4はGFR が15~29ml/分
G5はGFRが<15ml/分
5D(透析療法中)

CKD診療ガイドライン2013においても、画一的なたんぱく制限は不適切であり、個々の症例に応じた検討が必要としています。

また、たんぱく質制限の適応は主にステージ G3b(GFR45未満)より進行した CKD としています。

それでも、97頁で日本腎臓病学会は、一応たんぱく制限を推奨しています。

推奨グレード C1なので、エビデンスレベルは弱いです。

たんぱく質摂取制限は、糖尿病性腎症の進展を抑制するというエビデンスは十分ではないが、一定の腎症抑制効果が期待できる可能性があるため推奨する。ただし、たんぱく質の制限量は個々の病態、リスク、アドヒアランスなどを総合的に判断して設定されるべきである。」

98頁には
「たんぱく質摂取制限の腎症の進展抑制に対する効果は明らかではない(特に 2 型糖尿病)」という記載もあります。 

一方、98ページには

「非糖尿病慢性糸球体腎炎の腎不全(血清 Cr 6 mg/dL)症例を対象として、
超たんぱく質制限食(0.5 g/kg 標準体重/日未満)が腎機能低下を遅延させたことが報告されている。」

という記載もあります。

<米国糖尿病学会>

これに対して、米国糖尿病学会(ADA)は

Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版

において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。

『糖尿病腎症の所見のない糖尿病患者では、最適な血糖コントロール、あるいは、心血管疾患リスクの改善のための理想的な蛋白質摂取量に関しては、これを推奨するに足る十分なエビデンスは存在しない。したがって、目標は個別化されなければならない。C

糖尿病腎症(微量アルブミン尿、および、顕性蛋白尿)を有する糖尿病患者では、通常の摂取量以下に蛋白質摂取量を減量することは、血糖状態、心血管リスク、あるいは、糸球体ろ過率低下の経過に変化を与えないので、推奨されない。A』


糖尿病腎症のない糖尿病患者での理想的な蛋白質摂取量のエビデンスは、存在しないと断定しています。

さらに踏み込んで、糖尿病腎症を有する患者においても、「蛋白質制限は推奨しない」とランクAで断定しています。

根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。


<高雄病院の方針>

現時点で高雄病院では、糖尿病腎症でもeGFRが60ml/分以上の場合は、糖尿病コントロールのためにも糖質制限食を推奨しています。

糖尿病腎症で、腎機能悪化の最大のリスクは「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」と考えられるからです。

糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、個別に対応するようにしています。

万一スーパー糖質制限食でクレアチニン値の悪化傾向があれば、「超低たんぱく・低糖質・高脂肪食」・・・即ちケトン食も、腎不全に一考の余地ありと現在検討中です。

<結論>

1)GFRが60ml/分以上の場合は、タンパク質制限よりも血糖コントロールを優先して、
  糖尿病腎症でも、普通にスーパー糖質制限食を実践することを推奨する。 

2)GFRが60ml/分未満の場合は、よく相談して糖質制限食を実践するかどうか個別に対応する。

3)GFRが60ml/分未満で、スーパー糖質制限食を選択開始した場合、毎月腎機能検査を実施して、
 血清クレアチニン値を測定し、その結果でスーパー糖質制限食を継続するか否かを決める。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
CKDについて
 江部先生、早速取り上げていただきありがとうございました。
 CKDでは「画一的な制限は不適切であり、個々の症例に応じた検討が必要である。」というところが大事であり、また御検討いただいているように脂肪によるエネルギー比率の高い食事療法が期待されると思います。
2015/10/13(Tue) 07:05 | URL | HK | 【編集
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