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日本糖尿病学会及び糖尿病専門医の方々への提言。2015年9月。
おはようございます。

2013年以来2年ぶりの日本糖尿病学会への提言です。
糖尿病専門医方々への提言も加えました。


A)米国糖尿病学会(ADA)の見解
米国糖尿病学会(ADA)の患者教育用のテキストブックである
Life With Diabetes(2004年版)には、

「摂取後直接、血糖に影響を与えるのは糖質のみである。
炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有しているが、
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。」

と明記されています。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。


B)国際糖尿病連合の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
2007年と2011年の国際糖尿病連合(IDF)「食後血糖値の管理に関するガイドライン」により、食後高血糖が、がんや動脈硬化や糖尿病合併症を始めとして、様々な疾患のリスクとなることが明確となりました。


C)CGMで明確となった酸化ストレスリスク
またCGM(*)の普及により、酸化ストレスを最も生じるのは

①平均血糖変動幅の増大
②食後高血糖
③空腹時血糖値

という順番であることが明確となってきました。

酸化ストレスは、動脈硬化や老化やがん、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症にも深く関わっています。

糖尿病があると心筋梗塞・脳梗塞・がん・アルツハイマー病・認知症が増加することにはエビデンスがありますが、この酸化ストレスがおおいに関与していると考えられています。

勿論、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害などの糖尿病慢性合併症にも酸化ストレスは関与しています。

スーパー糖質制限食だと、「食後高血糖」「平均血糖変動幅」という最大の酸化ストレスリスクが、大幅に改善します。

カロリー制限食(高糖質食)だと、「食後高血糖」「平均血糖変動幅」という最大の酸化ストレスリスクが、必ず生じます。

従って、理論的には、カロリー制限食(高糖質食)で糖尿病合併症を防ぐことは、極めて困難です。


D)米国糖尿病学会(ADA)の『栄養療法に関する声明』2013年
米国糖尿病学会は、2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、
全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記しました。
これはそのまま、日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
そして、地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。


A)B)C)D)を踏まえた上で、日本糖尿病学会及び糖尿病専門医の方々に提言したいと思います。


<日本糖尿病学会への提言1 2015年9月>

1)カロリー制限食
カロリー制限食(高糖質食)は1969年の食品交換表(改訂第2版)以降、
日本で、糖尿病患者さんに推奨してきた唯一の食事療法で、長い臨床経験がある。
しかし、長期的安全性や有効性に関しては、エビデンスはない。
そして血糖値に直接影響を与えるのは糖質だけなので、
カロリー制限食(高糖質食)は、短期的には、
「平均血糖変動幅増大」と「食後高血糖」を生じる可能性が極めて高い。

2)糖質制限食
糖質制限食は、日本では1999年以降の新しい食事療法であり、臨床経験はまだ短い。
糖質制限食にも、長期的安全性と有効性のエビデンスはない。
一方、短期的には「平均血糖変動幅増大」と「食後高血糖」を生じない、唯一の食事療法である。

3)米国糖尿病学会『栄養療法に関する声明』
米国糖尿病学会は、2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、
地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
糖質制限食を正式に受容した。

4)平均血糖変動幅増大と食後高血糖

平均血糖変動幅増大と食後高血糖が酸化ストレスのリスクとなることにはエビデンスがある。

5)酸化ストレス
酸化ストレスは、動脈硬化や老化や癌、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症、糖尿病合併症にも深く関わっている。


日本糖尿病学会は、A)D)や1)2)3)4)5)に関して、日本国民や一般の医師に広く知らせる義務があるので、速やかに広報して頂きたいと思います。

また1)に関して、「平均血糖変動幅増大」と「食後高血糖」を毎日生じるような食事療法を長期に続けて何か良いことがあるのなら、その根拠を示すべきだと思います。

根拠を示せないのなら、そのような食事療法を推奨することは倫理的に許されないと思います。

糖尿病学会として、科学的思考をされることを切に望むものです。


4)5)に関しては、医学会で既に認知されていると思います。

恣意的に隠蔽する意図がないならば、米国糖尿病学会の公式見解であるA)D)を、プレスリリースなどで速やかに広報して頂きたいと思います。


<糖尿病専門医の方々への提言 2015年9月>

1)2)3)4)5)を糖尿病患者さんにきっちり説明した上で、あなたは「カロリー制限食」と「糖質制限食」どちらを選択しますかというスタンスでの診療をお願いしたいと思います。

説明して選択肢を与えることなく、糖尿病専門医が一方的にカロリー制限食を患者さんに押しつけることは、倫理的に問題があるので、そのようなことが無いようにお願い申し上げます。

一方的にカロリー制限食を糖尿病患者さんに押しつけて、毎日、平均血糖変動幅増大と食後高血糖を起こして、将来合併症が発症して、透析や失明や足切断となった場合は、当該の糖尿病専門医は、責任をとり、患者さんに謝罪されるようお願い申し上げます。



江部康二



(*)
CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システム

ブドウ糖値を数日間連続的に測定できる持続血糖測定装置(CGMS)が、日本でも保険適応となり、日常臨床で使用できるようになりました。

ブドウ糖値の日内変動を24時間通して把握できるので、SMBG(血糖自己測定器)やHbA1cによるデータとは異なる情報を得ることができます。

5分ごとに測定して、24時間で288回のブドウ糖測定が可能です。
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
おはようございます
昨日、書店で小食を進める本を目にしました。
パラパラを通してみると、タモリさんやビートたけしさんは1日1食だとか。
先生も朝はコーヒーだけでしたね。
この著者は小食を勧める医師で、小食であれば若返り、生活習慣病も予防につながるようなことを書いていました。
その通りでしょう。
しかし、私的には食事は楽しいのです。
一般的な基準を作ることなく、自分の身体と相談しながら、食事の量を考えて、お腹が空いたり力が入らなかったりと、不具合がでなければ小食でも十分だと思います。
個人差があるのでしょうね。
私は食べる方なのですが、体重は痩せ気味の50㎏、身長165㎝、いわゆる細マッチョです。
ただ、結論は『糖質』だけは極力抑えれば問題ないというところに落ち着きました。
また、本の中で肉食は良くないともありましたが、糖質の弊害に比べれば問題にならないと思いました。
動物性たんぱく質よりも植物性たんぱく質の大豆の方が体には良いのでしょうか?
人の寿命の長さでそれほど差があるとも思えませんが、疑問に思いました。
2015/09/17(Thu) 09:03 | URL | クワトロ | 【編集
賛成
全くその通りだと思います。糖尿病専門医の方々の反論を聞きたいです。
2015/09/17(Thu) 13:11 | URL | HK | 【編集
スーパー糖質制限とアトピーの悪化
江部先生、こんにちは。 少々困った事態がありご相談させてください。 アトピー改善のためにスーパー糖質制限を始めまして、最初の2年間は魚介類、肉、卵を中心に食事をしていましてかなりのアトピーの改善がみられるようになり、糖質制限によるアトピー改善を実感したのですが、ここ数年は相対的にタンパク質をとりすぎていたのが原因か、スーパー糖質制限(タンパク質をかなり摂取しています)を実施し続けていると頭痛やアトピーが悪化する傾向が見られたため、スーパーをやめて、ゆるい糖質制限にやむなく変更しています。かかりつけの皮膚科の先生はアトピー患者は厳格に糖質制限を実施するとタンパク質の摂取量が増えかえって症状が悪化するのであまり糖質制限いけないと言っています。また、獣肉類、卵はアトピー患者は極力とらないようにとも言っています。これはつまり、相対的にタンパク質の摂取量が増えるので、相対的に増えたタンパク質への過剰反応が起こっているという事でしょうか?
大食漢なため1日かなりのタンパク質を昼・夜の2回摂取していますのでカロリー不足という事はありません。また、スーパー糖質制限により糖質をほとんど摂取しないと糖新生で赤血球を賄うだけの糖は再生産できても、肌が潤う分の糖質が不足してしまうという事でしょうか?
これは、スーパー糖質制限中に糖質をとると肌にうるおいが戻る事を何度か自分の中でのエビデンスとして確かに経験しています。
家系が糖尿病家系のため、できればスーパー糖質制限で糖尿病への予防を実践していきたいのですが、その前にアトピーの症状をコントロールする方が自分では現在優先順位が高いので、スーパー糖質制限を続けるべきか、ゆるい糖質制限にしてタンパク質の量を減らすべきかここにきて悩んでおります。

何かよきアドバイスを頂ければ幸いです。
2015/09/17(Thu) 15:56 | URL | ハレルヤ | 【編集
完治した人の人数を示すべきだと思います。
初めまして。先生の著書やブログ、FBの糖質制限グループなどで勉強しております。

今回の提言に関連して、わたくしが日頃感じていることをお伝えしたくコメントいたします。それは、従来、日本糖尿病学会が推奨している「カロリー制限食」でどれだけの(何名の)患者さんが「完治」したかを、学会はきちんと公表していただきたいということです。

わたくしの友人でも二十年以上前に2型を発症して、当時はカロリー制限だけしか治療法が知られていなかったことから、一向に改善せず、ついには全身性エリテマトーデスに罹患した友人がおります。それ以外でもわたくしの周りで多くの糖尿病、あるいは、予備軍の方がおられるのですが、従来の「カロリー制限食」を指導されても一向に改善した人は見受けられません

もし「カロリー制限食」で糖尿病が完治する=投薬をやめて、食後血糖値のコントロールができる、というなら、日本糖尿病学会は統計を取るなりなんなりして、糖尿病が完治した人の人数なりパーセンテージなりを示すことが、「カロリー制限食」の有効性を示すことになると思います。

これからも、ブログを拝見して勉強させていただきます。
2015/09/17(Thu) 17:27 | URL | omasico | 【編集
Re: おはようございます
クワトロ さん

私も半年くらい1日1食にしましたが、やはり食事の楽しみが半減するので、2食に戻しました。

動物性蛋白質の方が、植物性蛋白質より
血清アルブミンを増やす効果があります。
動物性蛋白質の方が身体によいと思います。

103歳現役医師の日野原重明先生は、週2-3回ステーキです。
2015/09/17(Thu) 18:17 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: スーパー糖質制限とアトピーの悪化
ハレルヤ さん

通常は糖質制限食で、全身の血流・代謝がよくなるので、お肌しっとりとなりますので
アトピー性皮膚炎もほとんどの人で改善します。

糖質制限食ですので、蛋白質ばかり摂取するのではなく脂質も充分量摂取しましょう。
脂質が不足すると肌によくないです。

「必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、微量元素、食物繊維」
が人体には必要です。

動物性脂肪や糖質の少ない野菜も充分量摂取すれば、皮脂もビタミンも足りて、皮膚も潤ってくると思います。

肌の潤いは皮脂によりますので、ブドウ糖は関係ないです。
2015/09/17(Thu) 18:42 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございました
イヌイットの例もありますから、私も動物性かな・・・と、心細く思っていました。
より一層の自信につながりました。
2015/09/17(Thu) 20:00 | URL | クワトロ | 【編集
学会誌よりの提言
1) 糖尿病41(10)885-890, 1998
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo1958/41/10/41_10_885/_article/-char/ja/

肥満インスリン非依存型糖尿病患者に対する減量食成分比と糖脂質代謝変動―低糖質食の有用性―
東邦大学医学部付属佐倉病院内科

2) 日本内科学会英文誌 Internal Medicine 53(1)13-19, 2014
https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/53/1/53_53.0861/_article

A Non-calorie-restricted Low-carbohydrate Diet is Effective as an Alternative Therapy for Patients with Type 2 Diabetes
Diabetes Center, Kitasato Institute Hospital, Japan

3) 日本内科学会雑誌 103(10)2609-2612, 2014
http://www.wound-treatment.jp/new_2015-01.htm#0105-06:00-8

糖質制限が著効した肥満の症例
板東 浩
2015/09/17(Thu) 21:30 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 学会誌よりの提言
精神科医師A さん


東邦大学医学部付属佐倉病院内科
1998年に低糖質食の論文とはすごいですね。
2015/09/18(Fri) 17:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: スーパー糖質制限とアトピーの悪化
江部先生、ご回答どうもありがとうございます。

私も江部先生と同じように自分の身体でいろいろな食べ物実験をしてその後の症状を観察していまして(笑)、一体どんな食事内容だとアトピーが悪化するのかをここ数年身を持って体験してきました。

本当に、江部先生のおっしゃる通りですよね。
糖質制限ですから、糖質以外はバランス良く食べないとダメなのですよね。

以前、唐沢寿明氏がステーキとブロッコリーだけの糖質制限をされていると先生のブログで紹介されていましたので、”ありゃりゃ、その食事内容で大丈夫なのかい?”と自分も2週間位続けていたのですが、自分の予想とは裏腹に先述しました頭痛やアトピー悪化が現れたのであきらめた次第です。
ステーキにオリーブオイルをたっぷりかけていましたので脂質は取れていると思うのですが、このステーキとブロッコリを食べ続けた場合は具体的にはどの食品群が不足してしまうのでしょうか?

先生のブログで8月29日にご紹介されていました清水健一郎氏の栄養療法に強くなるを購入しまして読みましたところ、大腸の唯一のエネルギー源である短鎖脂肪酸が生成されるのは食物繊維と書かれていましたので、具体的には食物繊維不足という事になりますでしょうか?
ブロッコリーだけでは食物繊維やビタミンやミネラルでは足りていないという事になりますでしょうか?

今も唐沢氏がこの食事を続けていらっしゃるのかは不明ですが、ステーキとブロッコリーだけで、アトピーでない方は大丈夫なものなのか、また、どなたかアトピー患者でこの食事を実践されている方がいるのかとても興味深いです。

もし、ステーキとブロッコリーの他に何かを足す事によりスーパー糖質制限を実践してアトピーが悪化しないのであれば、もう一度、自分の身体で実験してみようと思います。

江部先生の一言一句は私の家族の幸福のみならず、今や日本国民全体の健康をも左右していますので、ご助言頂けただけで有難いです。
2015/09/25(Fri) 17:27 | URL | ハレルヤ | 【編集
Re: Re: スーパー糖質制限とアトピーの悪化
ハレルヤ さん

ステーキとブロッコリーだけでは、
EPAとDHAが不足します。
ビタミンCと食物繊維も不足の可能性が高いです。

ヒトは
<必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、微量元素、食物繊維>
を食材から摂る必要があります。

ステーキで必須アミノ酸は足りてますが、必須脂肪酸のαリノレン酸が足りないと思います。
2015/09/26(Sat) 18:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: Re: スーパー糖質制限とアトピーの悪化
江部先生、具体的にご指摘いただきましてどうもありがとうございます。

スーパー糖質制限を実践していても、食物繊維やビタミン、良質の脂肪酸が圧倒的に不足していたメニューを選択していた事がアトピー悪化の原因のようです。

これからはタンパク質ばかりとらずに糖質以外は万遍なくほどほどに摂取します。
また、糖質制限を実践している友人達にも糖質以外万遍なくとるようにと伝えます。

やはり私のアトピーにとって、スーパー糖質制限は最強の治療法です。

どうもありがとうございました。


2015/09/28(Mon) 17:03 | URL | ハレルヤ | 【編集
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