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ケトン体は人類の日常的な主要なエネルギー源。
おはようございます。

今回の記事では、まずケトン体は、人類の日常的な主要なエネルギー源であることを強調したいと思います。

糖質を普通に食べている人においても、空腹時は「脂肪酸-ケトン体」が人体の主たるエネルギー源なのです。

インスリン作用が保たれている時の生理的ケトン体上昇は、安全です。

一方、糖質摂取には大きなリスクがあります。

現代の糖質摂取量状況は明らかに過剰であり、従来の糖尿病食は危険であるということを論証します。

1)「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」

スーパー糖質制限食では「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が主たるエネルギー源となります。

スーパー糖質制限食実践者において、エネルギー源としてタンパク質を利用することは、ほとんどありません。


2)ケトン体は人体の、極めて効率のよい主要なエネルギー源

糖質を普通に食べている人の、血中総ケトン体の基準値は、「26~122μM/L 」くらいです。

つまり、糖質を食べている人でも、日常的に24時間血中ケトン体は存在しているわけです。

糖質摂取開始後数時間くらいまでは心筋・骨格筋の主たるエネルギー源はブドウ糖です。

食事開始後から2時間くらいまでは、身体は食事由来のブドウ糖を利用します。

2時間経過すると肝臓のグリコーゲン分解で血糖値を保ちます。

糖質摂取開始後数時間くらい経過すると、肝臓の糖新生で血糖値を保つようになりますが、その頃には心筋・骨格筋など体細胞の主たるエネルギー源は<脂肪酸-ケトン体>に切り替わっていきます。

従って糖質を摂取している人においても、夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋・骨格筋などの主たるエネルギー源は、実はブドウ糖ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。

ケトン体は決して燃焼カスではなく、極めて効率のよい主要なエネルギー源なのです。

このことを多くの医師・栄養士がご存じないのは大変困ったもので、医療現場で混乱のもととなっています。

3)赤血球、脳、網膜など特殊な細胞は空腹時もブドウ糖がエネルギー源

夜間睡眠時や空腹時などにもブドウ糖をエネルギー源としているのは、赤血球、脳、網膜など特殊な細胞だけです。

夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋・骨格筋などの主たるエネルギー源は、ブドウ糖ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。

つまり糖質を普通に摂取している人においても、「脂肪酸-ケトン体」はごく日常的なエネルギー源として、全ての人類において利用されているというのが生理学的事実です。

4)食事中も「脂肪酸-ケトン体」がエネルギー源

スーパー糖質制限食実践者の場合は、食事中も「脂肪酸-ケトン体」がエネルギー源として利用されています。

つまりステーキを食べている最中にも脂肪は分解されて燃えているわけです。

このとき血中ケトン体濃度は、現行の基準値よりはるかに高値となりますが、インスリン作用が働いているので、生理的であり、全く安全です。

人類700万年間の狩猟・採集時代は糖質制限食なので、ご先祖は、日常生活の多くの場面で同様に「脂肪酸-ケトン体」をエネルギー源としていたと考えられます。

このことは、備蓄エネルギーの観点から考慮すると、体脂肪が10kgあれば、90000kcalとたっぷりあるのに対して、グリコーゲン250gなら、わずか1000kcalしかないことからもわかると思います。

すなわち

人類において身体の多くの細胞の主たるエネルギー源は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」

で、「ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム」は、緊急事態(闘争、逃走など激しい筋肉の収縮時)や運良く糖質を摂取できたときだけの予備システムであったということです。

5)インスリン作用があればケトン体上昇は生理的で安全

インスリン作用があるていど働いていれば、血中ケトン体が現行の基準値より高値でも生理的状態なので、何の問題もなく安全です。

ちなみに、胎児胎盤の絨毛間液のβヒドロキシ酪酸(ケトン体の一種)濃度は、1730μM/L で基準値「76μM/L 以下」より、20~30倍高値ですが、胎児においてはこちらが基準値(58検体の平均)なのです。

同様に、生後4日目の新生児のβヒドロキシ酪酸濃度は240μM/Lで、やはり現行の基準値より高値ですが、新生児においてはこちらが基準値(312例の平均)なのです。

このように胎児、新生児において現行の基準値よりはるかに高値でも生理的で安全なケトン体が、成人においても危険なわけがないのです。

6)糖尿病ケトアシドーシスはインスリン作用が欠落しているときだけ発症

一方、インスリン作用が欠落しているときの、糖尿病ケトアシドーシスは重篤な病態であり危険です。

言い換えると、インスリン作用が欠乏していない限り、「糖尿病ケトアシドーシス」は絶対に生じないのです。

このように、「生理的ケトン体上昇」と「糖尿病ケトアシドーシス」とは、全くことなる状態であることを知る必要があります。

このことも多くの医師・栄養士がご存じないので、医療現場混乱のもととなっています。

7)炭水化物は現代の摂取状況では危険、必須糖質はない

炭水化物は、現代の摂取状況では危険な代物です。

例えば日本糖尿病学会が推奨する<糖質50~60%>という比率は、あきらかに糖質過剰摂取であり、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を必ず、引き起こします。

「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は酸化ストレスリスクであり、動脈硬化、がん、老化、アルツハイマー病などの元凶
となります。

そもそも炭水化物は、過去700万年の狩猟・採集時代は人類があまり摂取してこなかった栄養素なのです。

必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルは人類に絶対に必要ですが、必須糖質はないのです。

700万年間の狩猟・採集(糖質制限食)時代に形成された人類の消化管・栄養・生理・代謝などのシステムは、糖質制限食に適合するように特化しています。

摂取エネルギーの50~60%を糖質からとるような人類進化の歴史に反するとんでもないバランスの食事が、如何にヒトの身体に負担になるか、想像にかたくありません。

すなわち現代人の普通の食事は、全て炭水化物の頻回過剰摂取といっても過言ではありません。

生活習慣病の根本要因は、炭水化物の頻回過剰摂取とそれに伴うインスリンの頻回過剰分泌であると、私は考えています。

*炭水化物=糖質+食物繊維


8)厚生労働省のいう推定エネルギー必要量が目安

スーパー糖質制限食は、カロリー無制限というわけではありません。

糖尿病学会のいうような、カロリー制限食は必要ありませんが、厚生労働省のいう推定エネルギー必要量が目安となります。

「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

推定エネルギー必要量/日
              男性                  女性
15-17才        2500 2850 3150          2050 2300 2550kcal
18-29才        2300 2650  3050          1650  1950   2200
30-49才        2300 2650  3050            1750  2000  2300
50-69才        2100 2450  2800           1650  1900 2200 
70才          1850 2200  2500            1500  1750 2000

身体活動レベル    低い 普通 高い         低い  普通  高い

くらいが目安です。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
昨日本日の解説に思うこと!!
都内河北 鈴木です。

昨日本日の江部先生の解説に、21年間可能性無いカロリー制限理論により重症化する私は、糖質制限理論食生活で3ヶ月足らずで生還しました。
私はブログ拝読する度、安堵と共に選択肢さえ教えられなかった患者としては、日本糖尿病学会信者医者・信者病院には、生還3年近くの現在も粋道理が癒えません。

現状の糖尿病治療は幕末の開国論の様に思えます。

真理揺らがない江部先生の糖質制限理論を改善証明者として歯がゆい限りです。

敬具

都内河北 鈴木
2015/08/30(Sun) 21:30 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
まだ糖尿病ではないのですが
江部先生 はじめまして。
江部先生と作家の宮本輝さんの対談を読み、糖質制限の凄さを知りました。
私の父方は糖尿病家系です。糖尿病が多いのが遺伝的なのか食習慣によるのかは分かりませんが、何れにしても糖尿病が多いのです。
私も40代半ばに差し掛かり、糖尿病の予防をしなければと思っています。
人間ドックでは、今のところ問題はないのですが、予防としての糖質制限はどの程度必要だとお考えでしょうか。また教えて頂けると有り難いです。
私は、まず手始めにスタンダード糖質制限から試して、頑張ってみようと思っています。
2015/08/30(Sun) 21:31 | URL | ぼちぼち | 【編集
やっぱり糖質制限でもカロリーは多少気にしないといけないんですね。
先生の本ではじめて読んだのが、お腹いっぱいダイエットの本だったのですが、本当にたくさん食べても大丈夫なのかなとは思っていましたが。

自分はついつい間食でナッツ類をたくさん食べてしまうのでなかなか体重もお腹周りも減りません。
(175cm 80kg 体脂肪率25%くらい 腹回り95cmくらいでなかなか80kg台を割れません)
糖質制限で中性脂肪や血圧が下がったりして、コレステロール以外は標準範囲内になって効果を感じているので
気長に出来るだけ食べる量を減らして痩せていきたいと思います。
2015/08/30(Sun) 22:53 | URL | こう | 【編集
Re: 昨日本日の解説に思うこと!!
都内河北 鈴木 さん

糖質制限食賛成派の医師も確実に増えています。

糖尿病合併症の患者さんを少しでも減らすために、医師仲間をさらに増やしていきたいと思います。

現在、幸い、北海道から沖縄まで、糖質制限食賛成の医師がおられる時代となっています。
2015/08/31(Mon) 10:16 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: まだ糖尿病ではないのですが
ぼちぼち さん

予防としての糖質制限食は、
「スタンダード」でも「プチ」でもよいと思います。
1回の食事の糖質摂取は、少なめにするほうが無難です。

また、1回の食事の糖質量を40gくらいに抑えて、1日3食という「緩やかな糖質制限食」でも
糖尿病発症予防効果はあると思います。


2015/08/31(Mon) 10:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
こう さん

厚生労働省のいう推定エネルギー必要量が目安としていただけば、幸いです。
2015/08/31(Mon) 10:22 | URL | ドクター江部 | 【編集
脳のエネルギー源
日頃より先生のブログを拝見させていただき、糖尿病人ではありませんが健康のために自分でも緩くトライしている者でございます。
このたび、お伺いしたくて勇気を出してメールしました。

お聞きしたいのは、2013年6月22日の内容で、「脳はケトン体をエネルギー源として利用できる」の記載がありますが、昨日8月30日の(3)では、脳のエネルギー源は空腹時でもブドウ糖とありますが、この両記事の違いはどのように理解したらよろしいでしょうか?
私の理解不足であれば済みません。宜しくお願いいたします
2015/08/31(Mon) 11:01 | URL | ポンズ | 【編集
Re: 脳のエネルギー源
ポンズ さん

脳は、GLUT1(糖輸送体1)を持っていて、血流さえあれば、血糖(ブドウ糖)をいつでもゲットできます。
GLUT1(糖輸送体1)は細胞の表面にあっていつでもブドウ糖を取り入れることができます。

従って、普通の食事をしている人においては、血中ケトン体値は低めなので
空腹時も血流さえあれば脳はブドウ糖をエネルギー源としています。

一方、断食中やケトン食中などは、血中ケトン体が高値になるので、
脳のエネルギー源は空腹時もケトン食中も、かなりの割合でケトン体です。

スーパー糖質制限食実践中の脳は、空腹時もあるていどケトン体をエネルギー源としているし、
ブドウ糖も使っていると思います。
2015/08/31(Mon) 15:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
質問
はじめまして
現在糖質制限に関して勉強中です
ちょっと疑問に思ったので質問させて下さい

糖尿病ケトアシドーシスはインスリ作用が欠落しているときだけ発症

このインスリン作用とはどの程度の能力でしょうか?
C-ペプチドの正常範囲内など目安はありますか?


2015/09/01(Tue) 11:07 | URL | みさき | 【編集
Re: 質問
みさき さん

血中のインスリンやC-ペプチドが測定できるレベルなら
基準値よりかなり少なくても「糖尿病ケトアシドーシス」にはなりません。

インスリン作用欠落というのは、血中のインスリンやC-ペプチドが測定できないゼロレベルか
ゼロに近いレベルのことを指します。

それで、
1)1型糖尿病で、いきなりインスリンを中止した時とか
2)ペットボトル症候群で、大量の清涼飲料水を毎日1~2週間飲み続けて
  β細胞が疲弊しきってインスリンを分泌できなくなった時とか
3)劇症1型糖尿病とか
特殊例以外では、「糖尿病ケトアシドーシス」は発症しません。
2015/09/01(Tue) 11:16 | URL | ドクター江部 | 【編集
返答ありがとうございます
明確な返答ありがとうございました。
このままスーパー糖質制限を続けていきたいと思います。



2015/09/01(Tue) 12:56 | URL | みさき | 【編集
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