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人体の各臓器や細胞の具体的なエネルギー源は何?2015年8月。
おはようございます。

人体の各臓器や細胞の具体的なエネルギー源は何なのか、大変興味深い問題ですので、復習を兼ねて検討してみます。

人体の主たるエネルギー源として

A)脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム
B)ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム

の2つのシステムがあります。

人体のほとんどの細胞が、A)B)をエネルギー源として利用しています。

A)B)以外の例外のエネルギー源として、
『グルタミン』と『短鎖脂肪酸』があります。

C)グルタミン
小腸はグルタミンが主たるエネルギー源です。
グルタミンが50~60%、ケトン体が15~20%、ブドウ糖は5~7%とごく少ないです。
グルタミンは血液など細胞外液に最も多く含まれている遊離アミノ酸です。
食事中のグルタミンは、小腸上皮細胞や腸管付属リンパ節細胞の、エネルギー源となります。
グルタミンは腎臓、肝臓、白血球、繊維芽細胞などでも、エネルギー源として利用されます。
グルタミンは、大豆製品、豚、かつお、アーモンド、チーズ、
カシューナッツ、鱈、ニワトリ、サケ、ヒラメ、鱧、
しらす干し、鯛、サワラ、アジ、エビ、鯖、クルミ、ブリ・・・などいろんな食材に含まれています。

D)短鎖脂肪酸(*)
大腸(大腸上皮細胞)は、短鎖脂肪酸しか、エネルギー源として使いません。
大腸は腸内細菌が、食物繊維を分解して作った短鎖脂肪酸をエネルギー源として利用しているのです。
余った短鎖脂肪酸は、全身の細胞のエネルギー源として利用されます。
そうすると、ヒトも牛や馬と同様に食物繊維を腸内細菌の力を借りてエネルギー源にできるということです。

「食べない生き方(サンマーク出版)2013年」の著者、森美智代さんの場合、腸内細菌の短鎖脂肪酸産生能力が極めて高いと考えられます。
彼女は一日150gの青汁とビタミンC、ビール酵母、藍藻サプリ、乾燥柿の葉のお茶(1.5~2リットル)だけで、19年間、普通に生きておられます。



さて、A)B)がエネルギー源となっているほとんどの細胞について整理してみます。

キーワードは、ミトコンドリアと血液脳関門(**)です。

ミトコンドリアは細胞内にあるエネルギー生産装置です。

ミトコンドリアがあると、TCAサイクルを回して、脂肪酸やケトン体をエネルギー源として利用することができるのです。
血液脳関門は、脳細胞の毛細血管にあり、脳細胞を物理的かつ化学的に守っています。

1)赤血球
 ミトコンドリアを持っていないので、「ブドウ糖」しかエネルギー源として利用できません。
人体でミトコンドリアを持っていないのは、赤血球だけです。

2)脳
 脳はミトコンドリアを持っているのですが、血液脳関門のため、脂肪酸は大きいので通過できません。
 従って、「ブドウ糖+ケトン体」をエネルギー源として、利用します。

3)筋肉・内臓・脂肪など、ほとんどの体組織
 ミトコンドリアを細胞内に有し、血液脳関門もないので、
「ブドウ糖+ケトン体+脂肪酸」をエネルギー源として 利用します。

4)肝臓
 肝細胞のなかで、ケトン体が生成されますが、肝細胞自らはケトン体を利用せず、
血中に送り込んで他の 組織に供給します。
 従って肝細胞は 「ブドウ糖+脂肪酸」をエネルギー源として利用します。


このように整理してみると、肝臓や腎臓で糖新生(アミノ酸、乳酸、グリセロールなどからブドウ糖を作ること)をして最低限の血糖値を確保しているのは、ひたすら赤血球のためということがわかります。

例えば脳は、ケトン体をいくらでもエネルギー源として利用できるのです。

そして小腸がグルタミンを主たるエネルギー源にしているのは、食べ物を消化吸収したとき、ブドウ糖や脂肪酸は、自分ではエネルギー源として利用せずに、他の臓器や筋肉に供給するためと思われます。

まあ、入口の小腸でブドウ糖や脂肪酸をエネルギー源として消費してしまったら、後に控える他の臓器や筋肉はエネルギー不足になってしまいますので、なかなかよくできたシステムと思います。

このパターンは、肝臓が、自身が生産した最も効率のよいエネルギー源であるケトン体を、自らは使用せずに他の臓器や筋肉に供給するのと同じことと思います。

人体の各臓器や各細胞のエネルギー源、かなり整理整頓できたと思います。 (^^)

今回の記事に関しては、清水健一郎先生の2冊のご著書がとても参考になりました。


治療に活かす!
栄養療法 はじめの一歩
清水健一郎 著
羊土社 2011年2月

モヤモヤ解消! 栄養療法にもっと強くなる
〜病状に合わせて効果的に続けるためのおいしい話
清水 健一郎  著
羊土社  2014年3月



江部康二


(*)
短鎖脂肪酸
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%AD%E9%8E%96%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8

短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん、英: SCFA)は脂肪酸の一部で、炭素数6以下のものを指す。具体的には酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸を指す。

反芻動物における役割

摂取した飼料が反芻胃内で微生物の発酵を受ける反芻動物においては、この発酵の際に生じる短鎖脂肪酸(主に酢酸、プロピオン酸、酪酸)が主なエネルギー源となる。 反すう胃内で生成した酪酸の多くは反すう胃粘膜でβ-ヒドロキシ酪酸に換されるため、肝門脈に現れるのはおよそ10分の1となる。このとき生成されるβ–ヒドロキシ酪酸も反すう家畜にとってはエネルギー源となる。 また、プロピオン酸の多くは肝臓で糖新生に利用され、反芻動物の糖要求の多くはプロピオン酸からの糖新生によってまかなわれる。



(**)
血液脳関門
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%80%E6%B6%B2%E8%84%B3%E9%96%A2%E9%96%80

<血液脳関門>

血液脳関門(けつえきのうかんもん、英語: blood-brain barrier, BBB)とは、血液と脳(そして脊髄を含む中枢神経系)の組織液との間の物質交換を制限する機構である。これは実質的に「血液と脳脊髄液との間の物質交換を制限する機構」=血液髄液関門 (blood-CSF barrier) でもあることになる。ただし、血液脳関門は脳室周囲器官(松果体、脳下垂体、最後野など)には存在しない。これは、これらの組織が分泌するホルモンなどの物質を全身に運ぶ必要があるためである。

<構造>

血液脳関門は、毛細血管の内皮細胞の間隔が極めて狭いことによる物理的な障壁であるが、これに加え、中枢神経組織の毛細血管内皮細胞自体が有する特殊な生理的機能、すなわち、グルコースをはじめとする必須内因性物質の取り込みと異物を排出する積極的なメカニズムが関与している。脂肪酸は脳関門を通れないため、脳は通常、脳関門を通過できるグルコースをエネルギー源としている[1]。グルコースが枯渇した場合、アセチルCoAから生成されたケトン体も脳関門を通過でき[2]、脳関門通過後に再度アセチルCoAに戻されて脳細胞のミトコンドリアのTCAサイクルでエネルギーとして利用される[1]。血液脳関門の働きにより、中枢神経系の生化学的な恒常性は極めて高度に維持されている。

その一方で、アルコール、カフェイン、ニコチン、抗うつ薬は、脳内へ通過できる[3]。かつては分子量500を超える分子(多くの蛋白質など)や、脂溶性が低い荷電したイオンは脂質二重膜を透過できず、血液循環から中枢神経系の中に入ることができないとされていた(分子量閾値説)が[4]、近年の研究により、脳毛細血管内皮細胞の細胞膜に存在するタンパク質が、脳内から血管へ物質を積極的に排出していることが明らかにされている[5]。

こうした毛細血管内皮細胞の機能はリンパ球やマクロファージや神経膠細胞から放出されるサイトカインによってコントロールされ得る。このため、脳炎や髄膜炎のときは血液脳関門の機能は低下する。また、膿瘍その他の感染巣形成や腫瘍といった、よりマクロなレベルの破壊を起こす疾患の存在によっても、血液脳関門は破綻する。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
食べない生き方
森美智代氏について、とても本当の事を書くような人と思えないんですが江部先生としてはいかがでしょうか?

「ありがとうを言う」と超健康になる
http://www.amazon.co.jp/%EF%BD%A2%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%8C%E3%81%A8%E3%81%86%E3%82%92%E8%A8%80%E3%81%86%EF%BD%A3%E3%81%A8%E8%B6%85%E5%81%A5%E5%BA%B7%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B-%E7%94%BA%E7%94%B0-%E5%AE%97%E9%B3%B3/dp/4837671586/ref=sr_1_5/378-7116298-8377932?s=books&ie=UTF8&qid=1440832073&sr=1-5

船瀬俊介氏と講演した事もあるようです。
http://www.kenkoumura21.com/26sougou.html
2015/08/29(Sat) 16:13 | URL | 田中鈴木佐藤 | 【編集
ブドウ糖負荷試験しようかな…
こんにちは、江部先生。いつもブログ見させていただいています!

42歳、BMI18の女性です。
毎年の検診で空腹血糖時は80台ですが、食後高血糖気味のため、6月から約3カ月間ほぼ毎日3食主食を抜いています。
自己血糖測定機を購入し、糖質制限してから1カ月の時点で、朝食時45gの糖質で90mg血糖値が上昇、1時間のピーク時には血糖値172mgでした。2ヶ月目のある日には、ごはん半膳、かぼちゃの天ぷら2切れ、梨4分の1カットで1時間値200mg/dlでした。(1時間値しか測っていません)

職場の昼食は給食なのですが、こそこそと隠れるように食べて…。
先月、お盆の主人の実家への帰省でも隠すように減らしながら食べて…。
ダイエット目的ではないのに、主食を食べないのはやせたいの?と思われることもあって…。
食べる事は好きなのに、残念ながら自宅以外での食事の時間が煩わしく感じてきます。
そんなこんなで、今後の事を考えると、この状況をいつまでも続けられないな?と感じている今日この頃です。

境界域または負荷試験をしたら200㎎/dlを超えるのではと思いながらも、糖質制限を継続し続ければいいのかな、と思っていたのですが、周りの目を気にしながら、今のやり方を続けるのは難しいのです。
昼食後、運動することにして、それに見合った量の糖質を昼食に摂ろうかと。3食のうち1食ののみカーボカウントのような事をとりいれるようかと思っています。食後高血糖さえ起きなければ、一日の糖質量はあまり気にしなくていいのかな?と思いますが。

そんなこんなで、様々思う中、相談できる医師を求め、最近、2軒の糖尿病専門医のクリニックを受診しました。どちらも穏やかそうな先生です。
お医者さんには、糖質制限をしている事と糖尿病に準じた診察(治療、経過観察)をしてほしいことなどをお話しました。
1人目の先生は、糖質制限はすすめない。バランスの良い食事しましょう、とブドウ糖負荷試験を勧められました。負荷試験前3日前からの150g以上の糖質摂取についての説明は全くなく、看護師さんに、急に負荷試験をしたら数値が跳ね上がらないか聞いても、気にしなくていいとのことでした。(この日の血液検査はなし)
2人目の先生も同じく糖質制限は勧めません。血液検査の結果は、空腹時血糖値91 A1c5.1 総コレステロール260 HDL104 中性脂肪31 でした。食後の血糖はだれでも上がるから、過度に気にしないで。ブドウ糖負荷試験も必要ない、とのこと。

ブドウ糖負荷試験は不要と思っていたのですが、糖尿病の事を相談するためにお医者さんに通うには、やはりそのクリニックの先生の診断(検査結果)がないと受け入れてもらえないんだ…と現実の壁にぶち当たります。

そこで、今回が人生最初で最後のブドウ糖負荷試験かなと考え始めました。やはり負荷試験前3日間150gをとった方がいいでしょうか? せめて1日1食主食ありくらいでブドウ糖負荷試験に臨みたいと思っていますが…。糖質制限3か月もがんばってきて、4日間も高糖質の食事をして大丈夫なものでしょうか?

江部先生にこんな患者もいると聞いてほしくてコメントしました。また、何かアドバイスがありましたらよろしくお願いいたします!
2015/08/29(Sat) 16:35 | URL | ゆうげつ | 【編集
Re: 食べない生き方
田中鈴木佐藤 さん


森美智代さんは、「脊髄小脳変性症」という進行性の不治の難病からも生還されています。

故甲田光雄先生の指導をうけて、断食療法や生菜食を実践されて、難病克服です。
故甲田光雄先生は私の尊敬する医師のお一人です。

その後、生菜食800kcal/日くらいでも、体重増加するので、徐々に摂取カロリーを減らして50kcal/日になったようです。
この間、理化学研究所、順天堂大学病院、大阪市立大学などで、科学的に徹底的に検査を受けておられます。

森美智代さんは、科学的・医学的に検証された本物の超少食と私は思います。




2015/08/29(Sat) 18:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ブドウ糖負荷試験しようかな…
ゆうげつ さん

「昼食後、運動することにして、それに見合った量の糖質を昼食に摂ろうかと。3食のうち1食ののみカーボカウントのような事をとりいれるようかと思っています。食後高血糖さえ起きなければ、一日の糖質量はあまり気にしなくていいのかな?と思いますが。」


それでいいと思いますよ。
従いまして、ブドウ糖負荷試験もいらないし、定期的に病院に通う必要もないと思います。
一度、運動して自分で血糖自己測定器で、<食前、1時間後、2時間後>の血糖を測定してみては如何でしょう。

それに、自分で75gの糖質を摂取して、<食前、1時間後、2時間後>を測定すれば
簡易ながら75g経口ブドウ糖負荷試験になりますね。

あとは、年に1回の会社の健康診断でOKと思います。
2015/08/29(Sat) 18:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
基礎代謝の上昇
こんばんは。糖質制限をして、5ヶ月が経ちました。

今にいたるまで、体の変化を常に記録してきました。

そこで、気づいた事があり、また書き込みさせていただいております。

私は、極端なカロリー制限を長く続け、肌も髪の毛もボロボロになり、それでもカロリー制限にこだわってきました。体力が落ち、常に食べ物に飢えていて、夢にまで食べ物が出てくる生活でした。

そして、段々年齢を経てカロリー制限だけでは体重が維持出来なくなり、結果糖尿病になりかけました。

糖質制限を始めるにあたっても、長年洗脳されていたカロリー制限が抜けず、最初の一ヶ月はカロリー制限も交えた糖質制限でしたが、先生のブログで生活強度が低くても1700キロカロリーは必要とありましたので、不安を抱えながらそれでも勇気を出して続けてきました。

お陰さまで、体重は72キロから60キロになり(4月から8月末で)体脂肪は、37%から32%まで減りました。

元々、長い間摂食障害でしたが、食べられる安心感で、食べる事の恐怖感が薄れ今では、お腹が満腹になるまで食べています。こんなに食べて、それでも適性体重になっていくのは本当に素晴らしいです。

そして、最近は生活強度が低い私は1700キロカロリーの摂取を心がけていましたが、やたらとお腹が空くようになり、摂取カロリーの見直しをしています。少しずつ、摂取カロリーを上げて体重の変化を観察中です。

10日毎に、100キロカロリーを増やし、それでも穏やかに体重は減っていきます。今の摂取エネルギーは2000キロカロリーです。48才で女性の私には、若干多い数値ですがそれでも緩やかに体重が減っていきます。

これは、先日の先生のブログに書かれていたように、肝臓が基礎代謝量が多い事と尚且つ、血流の改善で摂取した食べ物のエネルギーや栄養が充分に体を巡っているのだな。と思いました。

そして、タンパク質や脂質の摂取が体温を上げるようで、長年苦しんだ冷え性も治り、いまでは家族が寒いと言っていても、私だけ暑がってます。

辛かったカロリー制限は、今となっては手痛い目にはあいましたが、私にとっては勉強だったんだと思い、今は体に合う糖質制限を長く続け美味しく楽しくいこうと思います。

それと、ウエストが1メートルありましたが、今朝測ったら74センチでした。数年ぶりに、くびれが出来ました(^-^)

もう、摂取障害との苦しみもなく、精神まで救われました。ありがとうございました。
2015/08/30(Sun) 02:50 | URL | かんたん | 【編集
Re: 基礎代謝の上昇
かんたん さん

体重減少、体調良好、良かったです。

体重が減っているなら、2000kcal/日でOKと思います。

「ウエストが1メートルありましたが、今朝測ったら74センチでした。」
これは素晴らしいですね。
2015/08/30(Sun) 09:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生、ありがとうございました!
受診したお二人のDr.とも糖質制限食はNG派で、身近に相談できる医師を見つけられないのは少し残念ですが、江部先生のブログを通し、また、たくさんの方々のコメントを通して勉強させていただきながら、自分のやり方に自信と責任を持ちたいものだ、と改めて思いました。今朝の糖尿病徒然日記も大変興味深かったです!
ありがとうございました。
2015/08/30(Sun) 10:49 | URL | ゆうげつ | 【編集
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