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運動とエネルギー源⑨ 糖質制限食と筋力トレーニング
こんばんは。

土曜日から断続的に降り続いていた雪が、やっと昼になってやみました。3日間、屋根に積もるほどの雪が降り続けたのは、18才で京都に来てから初めてかもしれません。

さて、しばらく途絶えていた運動とエネルギー源シリーズの9回目です。
糖質制限食と筋力トレーニングに関して、たかたろうさんから貴重な体験データをご教示いただきました。

『08/02/13 たかたろう
糖質制限食と筋力トレーニング
江部先生、はじめまして、たかたろう と申します。
先生の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を購入し、実践させてもらっています。
糖質制限食と筋力トレーニングについて話題になっていますが、私の経験をお知らせしますので、何かの参考にして頂ければ幸いです。

私は2型糖尿人ですが、ほぼ1日おきにジムに通って筋力トレーニングを行っています。トレーニングをはじめたきっかけは、糖質制限食で短期間での減量に成功したものの、周りの人には糖尿人であることを告げていないので、「見た目が貧相になった」とか「あいつはなんかの病気で激やせしたにちがいない」などと噂されるようになってしまい、なんとか体脂肪を増やさずに体重を増やしたいと思ったことでした。

ジムへは必ず夕食前に行きます。糖質制限食の本道からそれているかもしれませんが、私は筋力トレーニング後だけは糖質を制限していません。というのも、ある日偶然気が付いたのですが、筋力トレーニング後は普通に糖質を摂取しても(といっても90g程度ですが)食後血糖値が140mg/dl程度までにしか上がらないからです。ちなみにジムへ行かない日の夕食は、まさに1gの糖質が3mg/dl血糖値をあげる結果となってしまいますので、糖質制限食は欠かせません。
トレーニングをはじめて約1年になりますが、体組成計によると、体脂肪率(約14%)は維持したまま、筋肉が1kg弱増えました。私の場合、スタンダード糖質制限食ですが、「トレーニングしても全く筋肉が増えない」ということはないようです。

どこで読んだ覚えがあるのですが、筋グリコーゲンは筋肉だけで使われ、肝グリコーゲンのように血糖値の上昇に使われることはないそうですね。ならば、普段の生活だけで筋グリコーゲンが枯渇するということはないでしょうから、筋力トレーニング直後に糖質を補給し、筋グリコーゲンを満タンにしておけば、次回の筋力トレーニングに必要な筋グリコーゲンは温存されているのではないかと思います。そして、都合がよいことに、(少なくとも私の場合は)筋力トレーニング直後の糖質補給は血糖値をそれほど上げません。(このへんの科学的考察は、http://www.h4.dion.ne.jp/~jssf/text/doukousp/pdf/200610/0610_4246.pdf 「運動と骨格筋GLUT4」あたりが参考になりそうです)

自分以外の糖尿人の方が筋力トレーニングを行った場合にどうなるかは分かりませんが、私と同じような結果が得られるのであれば、筋力トレーニングを頑張った後は自分にスイーツのご褒美なんていうのもいいかもしれませんね。』


たかたろうさん、コメントそして「主食を抜けば糖尿病は良くなる」ご購入ありがとうございました。とても参考になるデータです。

ご教示頂いた、川中健太郎先生の<運動と骨格筋Glut4>という文献、ダウンロードして拝見しました。こちらも大変、勉強になりました。

『ジムへは必ず夕食前に行きます。糖質制限食の本道からそれているかもしれませんが、私は筋力トレーニング後だけは糖質を制限していません。というのも、ある日偶然気が付いたのですが、筋力トレーニング後は普通に糖質を摂取しても(といっても90g程度ですが)食後血糖値が140mg/dl程度までにしか上がらないからです。ちなみにジムへ行かない日の夕食は、まさに1gの糖質が3mg/dl血糖値をあげる結果となってしまいますので、糖質制限食は欠かせません。』

大変興味深い結果です。

川中先生の論文によれば、筋収縮によるインスリン非依存的なGlut4の細胞表面への移動は、2~3時間で消失するそうです。

ということは、運動後の筋における糖取り込みは2~3時間は持続するわけで、たかたろうさんの経験された好結果は、ほとんどの2型糖尿人にも当てはまる可能性が高いですね。

運動したあと、2~3時間以内であれば、少量の糖質を摂取しても食後高血糖が起こらないなら、糖尿人の食生活の幅がグンと広がってきます。

今までは、食事開始後30分に30分運動すれば、血糖値が60~80mg下がるというお話をしてきましたが、今後は、運動後の食事だと少量の糖質はOKという選択肢が出てきたので私も嬉しいです。(^o^)v

『トレーニングをはじめて約1年になりますが、体組成計によると、体脂肪率(約14%)は維持したまま、筋肉が1kg弱増えました。私の場合、スタンダード糖質制限食ですが、「トレーニングしても全く筋肉が増えない」ということはないようです。』

仰有る通りです。

私は、今までは糖質制限食で筋肉量を増やすのは難しいかなと思っていましたが、たかたろうさんの体験データを拝見し、折り合いがつくのだと考え直しました。

筋力トレーニングをしたあとに糖質を適量(食後血糖値が140~180mg未満で収まる量)摂取し、それ以外の食事は糖質制限食とすることで糖尿病のコントロールと筋肉量アップの両立が可能なのですね。たかたろうさん、ありがとうございます。(^∀^)

『筋グリコーゲンは筋肉だけで使われ、肝グリコーゲンのように血糖値の上昇に使われることはないそうですね。ならば、普段の生活だけで筋グリコーゲンが枯渇するということはないでしょうから、筋力トレーニング直後に糖質を補給し、筋グリコーゲンを満タンにしておけば、次回の筋力トレーニングに必要な筋グリコーゲンは温存されているのではないかと思います。』

その通りです。

糖質制限食実践中の糖尿人で、あるていど筋肉量を増やしたい方は、理論と体験に裏付けられた、たかたろうさんの方式を採用してみては如何でしょうか?

江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
江部先生、こんにちは、たかたろうです。
私の体験を記事に取り上げて頂きまして、ありがとうございます。皆様の参考になればとてもうれしいです。
少し補足させて頂きます。
「筋力トレーニング直後の糖質補給は血糖値をそれほど上げません」と申し上げましたが、この効果は高負荷(数十キロの負荷を数回繰り返す)トレーニングの方が顕著で、低負荷(数キロの負荷を数十回繰り返す)トレーニングの場合は高負荷時ほどの効果はありません。どうやら、無酸素運動の方が食後のピーク血糖値を押さえるのに有効なようです。グリコーゲン消費量と関係しているのかもしれませんね。
ちなみに、筋力トレーニング直後以外の食事で意図せずに糖質を摂りすぎてしまったときなどは、食事開始後30~60分頃に30分程ウォーキングをして血糖値を下げるようにしていてますが、加減が難しいと感じています。私の場合、200mg前後の血糖値が30分のウォーキングで100mg前後まで下がりますが、ウォーキング終了後30分後にはまた200mg位まで上がってしまっていることがあります。つまり、血糖値の乱高下が起こることがあるのです。私の勝手な思いこみですが、
1.遅れて分泌されたインスリンと運動の効果と相まって一気に血糖値が下がる
2.一気に血糖値が下がると、それ以上下がらないようインスリンの分泌が止まる
3.インスリンの分泌は止まったが、食べたものの消化吸収は続いているので、再び血糖値が上昇する
といったことがおきているのではないかと思っています。
もっとも、しっかり糖質制限していればこんな乱高下が起きることはありませんね。これからも、先生の著書やブログを参考にさせて頂いて、糖質制限食を中心とした血糖コントロールを行っていこうと思っています。
2008/03/01(Sat) 01:41 | URL | たかたろう | 【編集
そもそも、糖質の性質を考えたら…
食後の運動、特に全力域での高負荷の筋トレは当然、血糖値のコントーロールに寄与するのはむしろ当然ではないかと思います。

逆に、有酸素運動は私の経験上、百害あって一利なしです。

湯酸素運動を長時間続けることで、確かに急激に血糖値を下げることが30分間位は維持可能です。
その後は急激に血糖値が上がることを確認しています。

なので、血糖値コントロールとして有酸素運動はむしろ禁忌であると言って良いともいます。

食前の運動についても、おそらく筋肉の成長にインスリン分泌が必要になるはずなので、コレも有益に働く可能性があります。


…などと素人ながら考えています。

が、運動の前後に関して糖質の摂取はそれほど問題にはならないと思いますし。私の場合、筋肉量が増えたこともあります。
2015/04/21(Tue) 23:51 | URL | AWC34 | 【編集
Re: そもそも、糖質の性質を考えたら…
AWC34 さん

運動と血糖値に関しては、個人差が大きいと思います。

改訂第5版糖尿病専門医研修ガイドブックの113ページによれば

2型糖尿病と食後の運動に関しては、有効とする論文はあります。

また身体トレーニングは、加齢に伴う「インスリン作用の低下」「耐糖能低下」を改善させます。

2013年5月13日の本ブログ記事
「運動と筋肉と血糖取り込み」
をご参照いただけば、幸いです。
2015/04/22(Wed) 13:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
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