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グリコアルブミン(GA)とHbA1cを比較することの意味
こんにちは。

今日は、グリコアルブミン(GA)とHbA1cを比較することの意味を考えてみます。

<グリコアルブミン(GA)とHbA1cの値の乖離>

2014年9月の採血で
HbA1c(NGSP):5.8%(基準値4.6~6.2%)
グリコアルブミン(GA):13.4%(基準値11.8~16.0%)
というデータでした。

まあ日本糖尿病学会の目標値では、「合併症予防が7.0%未満」、「血糖正常化を目指す際は6.0%未満」ですから、HbA1cのコントロールは優秀です。

しかし基準値の上限の近くであり、メタボ健診の特定保健指導は5.6%以上なので、これには引っ掛ってしまいます。

一方、GAのデータは、もっともっと優秀で、基準値の下限に近いくらいです。

この時は、浅学にして、HbA1cとGAの値がなぜこれだけ乖離するのかよくわかりませんでした。

<GAとHbA1cのそれぞれの意義>
一般的知識では、

「HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため3ヵ月前から採血時まで」
「GAはアルブミンの半減期が17日であるため3週間前から採血時まで」

の平均血糖値を反映します。

しかし、この知識では、HbA1cTとGAの乖離の説明がつきません。

それで少し、ネットで調べてみました。

<GAとHbA1cの測定原理と食後高血糖の評価>

HbA1cとグリコアルブミン(GA)は、血液中のヘモグロビンとアルブミンが、それぞれ血糖と結合して変化したものの割合を示す検査値で、原理は同じです。

血液中のブドウ糖は、いろんなものにへばり付く性質があり、ヘモグロビン(赤血球の中にあるタンパク質)にくっついて変化したものがHbA1cで、アルブミンという血清中のタンパク質にくっついて変化したものが、グリコアルブミン(GA)ということです。

そして、同じ HbA1C値の糖尿病患者さんでも、食後高血糖が頻回にある患者さんの方が、グリコアルブミンが高くなりやすいことが分かりました。

アルブミンが血糖と結合してグリコアルブミンになるスピードは、ヘモグロビンが血糖と結合して HbA1Cになるスピードの9倍くらい速いと推測されています。

そのため、ごく短時間だけ現れる高血糖にも、グリコアルブミン値の方が HbA1C値より敏感に反応しやすいと考えられます。

ごく短時間だけ現れる高血糖は、通常は糖質摂取後の高血糖です。

これが、「グリコアルブミン検査は食後高血糖の評価に適している」とされる理由です。

<GA/HbA1cの比が大きいと食後高血糖が頻回>

食後高血糖の存在をよりはっきりとさせる方法として、グリコアルブミン値を HbA1C値で割って両者の比を計算する方法があります。

血糖コントロールが良いにしろ悪いにしろ、それが安定している場合、両者の比は、およそ3:1です。(但しHbA1cはJDS値)

つまりGA値が HbA1C(JDS)の約3倍です。

この約3倍というのは昔のHbA1c(JDS値)で計算したらぴったりですが、HbA1c(NGSP値)の場合は少し小さくずれます。

従って、GA/HbA1c比の計算をするときは、JDS値のHbA1cにするとよいです。

*JDS値+0.4=NGSP値
*NGSP値-0.4=JDS値

食後血糖値の変動が大きい糖尿人では、先ほど述べたようにグリコアルブミンの方が上昇しやすいため、GA/HbA1c比が大きくなります。

食後高血糖が頻回の場合は、GA/HbA1c比が4:1に近付いたり、それ以上に差が開くこともあるようです。

この差が大きいほど、合併症が進行しやすくなることを示した研究報告が最近増えてきました。

<糖質制限食なら、GA/HbA1cの比が小さい>
HbA1c(NGSP):5.8%(基準値4.6~6.2%) 
HbA1c(JDS):5.4%(基準値4.3~5.8%)
グリコアルブミン(GA):13.4%(基準値11.8~16.0%)

上記、江部康二の検査データだと、JDS値で計算して、GA/HbA1c比は、2.48:1とかなり低いです。

食後高血糖が極めて少ないことを示しています。

〔薬物療法+従来の糖尿病食(高糖質食)〕で
同じように
HbA1c5.8%(NGSP)
HbA1c5.4%(JDS)
であっても、食後高血糖があるので、GA/HbA1c比は、3:1以上の可能性が高いのです。

すなわち、食後高血糖のない質の良いHbA1cと、食後高血糖のある質の悪いHbA1cとを、GA/HbA1c比によって、区別し評価できるということになります。

GAとHbA1cは同じ月には保険請求できませんので、やや安価なHbA1cのほうを実費で保険外で調べればいいと思います。

私費で、HbA1cは¥500-くらいと思います。

グリコアルブミン検査は今後、普及していくと思います。

それによりグリコアルブミンと合併症の関係がさらに明確になることでしょう。




江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
山田悟先生の講演
8月18日に「糖尿病に関わる医療従事者のための低糖質食セミナー」(追加公演)開催―サラヤ

http://www.yakuji.co.jp/entry44684.html
2015/07/08(Wed) 18:45 | URL | 精神科医師A | 【編集
江部先生、はじめまして。初書き込みです。
私の旦那さまのHbA1cの数値が高かったのをきっかけにネットで検索し始めて、3月に江部先生のブログに辿り着きました。

今日の江部先生のエントリを読んで、GAについて詳しく書いてある2015年7月7日の過去記事も読んできました。

「GAとHbA1cは同じ月には保険請求できませんので、やや安価なHbA1cのほうを実費で保険外で調べれば」と江部先生が書いてくれていました。

私、他にも検索してみたのですけれども、GAを実費にするほうが患者側としては安いのかもしれません?

正しくはどうなのでしょう。

よくわからなくて困っています。


では、以下、Yahoo!知恵袋から転載致します。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1065835260

質問:

医療事務を勉強中で、グリコアルブミンとHBA1Cを同時に調べた場合、主たる物1つ月一回算定と言うのはわかります。
しかしグリコアルブミンは55点 HBA1C、50点でした。
主たる物という事なので一番点数が高い方を算定すると思うのですが、答えはHBA1Cの50点の方で算定されていました。
これは、どういう事なんでしょうか。グリコアルブミンの方が5点高いのに。

ベストアンサー:

「主たるものを選ぶ」ということは、検査料+判断料が高点になる方を選ぶと言うことです。

>1.5AG HbA1c UA BUN Cre β2-マイクログロブリン

HbA1c・50点・判断料(血)125点
UA BUN Cre ・各11×3=33点・1.5AG・80点・判断料(生Ⅰ)144点
β2-マイクログロブリン・115点・判断料(免)144点

HbA1c・1.5AGは主たる1項目を月1回のみ算定


■HbA1cを選んだ場合

HbA1c・50点・判断料(血)125点
UA BUN Cre ・各11×3=33点・判断料(生Ⅰ)144点
β2-マイクログロブリン・115点・判断料(免)144点
合計611点

■1.5AGを選んだ場合

UA BUN Cre ・各11×3=33点・1.5AG・80点・判断料(生Ⅰ)144点
β2-マイクログロブリン・115点・判断料(免)144点
合計516点


HbA1cを選んだ方が高点になるのでこちらを選んでいるのです。

2016/05/06(Fri) 15:23 | URL | まりこ | 【編集
Re: タイトルなし
まりこ さん

医療事務の保険点数のことは、私も詳しくは知りません。

「肝機能、貧血、脂質など一般的な検査」+グリコアルブミン(GA)


GOOT、GPT、コレステロール、赤血球・・・それぞれ点数が決まっていて、何項目以上はまるめとかなっています。
それに判断料(生Ⅰ)や判断料(血)などが別途かかります。

HbA1cとGAはどちらか一つしか、保険内では算定できません。

従って、実費となるならば、患者さんの利益的には、
HbA1cなら¥500-
GAなら¥550-

HbA1cののほうが50円安いことになります。
健康保険で3割負担なら、HbA1cは¥150-、GAは¥165-
なので実費でHbA1cがやや安いといっても、¥35-の差です。

なお、1.5AGは糖質制限食中は生理的に低値となり、意味がないので、検査しません。

2014年10月17日 (金)の本ブログ記事
「血中1,5-AG値の意義。糖質制限食と血中1,5-AG値。」
もご参照いただけば幸いです。
2016/05/06(Fri) 17:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
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