2015年05月29日 (金)
【15/05/29 福助
血糖変動が冠動脈プラークの不安定性に影響
江部先生
これはスタチン使用に限定される問題とは限らないと思うのですが、 高血糖→低血糖の悪影響を示すエビデンスがまた一つ増えたようです。
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血糖変動が冠動脈プラークの不安定性に影響 2015年5月29日
コレステロール低下薬を服用している冠動脈疾患(CAD)患者では、血糖値の日内変動が冠動脈プラークの不安定性に影響する可能性が、神戸大学大学院医学研究科の黒田優氏らの研究で指摘された。「JACC: Cardiovascular Interventions」5月号に掲載された論文。
研究では、冠動脈インターベンション術(PCI)のため同大病院に紹介されてきたCAD患者のうち、スタチン服用下でLDLコレステロール120mg/dL未満、あるいはスタチン非服用下で同100 mg/dL未満の連続70例(うち糖尿病患者40例)を対象として、計165個の病変性状を評価。血糖値の日内変動が冠動脈プラークの性状に及ぼす影響を検討した。
その結果、プラークに占めるネクロティックコアの割合(%NC)は平均血糖変動幅(MAGE)に有意に相関することが分かった(r=0.490、P<0.001)。MAGEは%NCに最も強く影響する因子であり(係数β=0.080、P<0.001)、破綻しやすいthin-cap fibroatheromaの存在を示す唯一の独立した予測因子にもなっていた(オッズ比=1.037、95%信頼区間:1.010~1.065、P=0.007)。
黒田氏らはこの結果について、「血糖値の日内変動は、スタチン治療中のCAD患者における冠動脈プラークの不安定性に影響を及ぼすと考えられた。CAD患者に広くスタチンが投与されている現代においては、血糖変動の早期検出とコントロールの根拠についてさらなる研究が必要だ」と述べている。
記事原文 [2015年5月19日 HealthDayNews http://www.physiciansbriefing.com/Article.asp?AID=699510]
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こんばんは。
福助さんから「血糖変動が冠動脈プラークの不安定性に影響」という興味深い論文についてコメントいただきました。
ありがとうございます。
心筋梗塞などにつながっていく破綻しやすいプラークのことを、ネクロティックコアと呼びます。
つまりネクロティックコアが多いほど、心筋梗塞のリスクは高まるわけです。
そして、プラークに占めるネクロティックコアの割合(%NC)は、平均血糖変動幅(MAGE)に有意に相関することがわかったとのことです。
MAGEというのは平均血糖変動幅の指標であり、高値であるほど平均血糖変動幅の増大があることとなります。
結論としては、平均血糖変動幅増大があるほどネクロティックコアの割合が増えて、心筋梗塞のリスクが高まるということです。
そして、平均血糖変動幅増大を引き起こすのは、三大栄養素のうち、糖質だけです。
福助さんがご指摘のように、スタチンの使用の有無に関わらず、平均血糖変動幅増大はネクロティックコアの割合を増やし、心筋梗塞のリスクを高めると言えます。
糖質制限食なら平均血糖変動幅増大を予防できて、心筋梗塞のリスクを減らすことが可能です。
またまた糖質制限食には、大きな追い風が吹いたようです。
江部康二
血糖変動が冠動脈プラークの不安定性に影響
江部先生
これはスタチン使用に限定される問題とは限らないと思うのですが、 高血糖→低血糖の悪影響を示すエビデンスがまた一つ増えたようです。
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血糖変動が冠動脈プラークの不安定性に影響 2015年5月29日
コレステロール低下薬を服用している冠動脈疾患(CAD)患者では、血糖値の日内変動が冠動脈プラークの不安定性に影響する可能性が、神戸大学大学院医学研究科の黒田優氏らの研究で指摘された。「JACC: Cardiovascular Interventions」5月号に掲載された論文。
研究では、冠動脈インターベンション術(PCI)のため同大病院に紹介されてきたCAD患者のうち、スタチン服用下でLDLコレステロール120mg/dL未満、あるいはスタチン非服用下で同100 mg/dL未満の連続70例(うち糖尿病患者40例)を対象として、計165個の病変性状を評価。血糖値の日内変動が冠動脈プラークの性状に及ぼす影響を検討した。
その結果、プラークに占めるネクロティックコアの割合(%NC)は平均血糖変動幅(MAGE)に有意に相関することが分かった(r=0.490、P<0.001)。MAGEは%NCに最も強く影響する因子であり(係数β=0.080、P<0.001)、破綻しやすいthin-cap fibroatheromaの存在を示す唯一の独立した予測因子にもなっていた(オッズ比=1.037、95%信頼区間:1.010~1.065、P=0.007)。
黒田氏らはこの結果について、「血糖値の日内変動は、スタチン治療中のCAD患者における冠動脈プラークの不安定性に影響を及ぼすと考えられた。CAD患者に広くスタチンが投与されている現代においては、血糖変動の早期検出とコントロールの根拠についてさらなる研究が必要だ」と述べている。
記事原文 [2015年5月19日 HealthDayNews http://www.physiciansbriefing.com/Article.asp?AID=699510]
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こんばんは。
福助さんから「血糖変動が冠動脈プラークの不安定性に影響」という興味深い論文についてコメントいただきました。
ありがとうございます。
心筋梗塞などにつながっていく破綻しやすいプラークのことを、ネクロティックコアと呼びます。
つまりネクロティックコアが多いほど、心筋梗塞のリスクは高まるわけです。
そして、プラークに占めるネクロティックコアの割合(%NC)は、平均血糖変動幅(MAGE)に有意に相関することがわかったとのことです。
MAGEというのは平均血糖変動幅の指標であり、高値であるほど平均血糖変動幅の増大があることとなります。
結論としては、平均血糖変動幅増大があるほどネクロティックコアの割合が増えて、心筋梗塞のリスクが高まるということです。
そして、平均血糖変動幅増大を引き起こすのは、三大栄養素のうち、糖質だけです。
福助さんがご指摘のように、スタチンの使用の有無に関わらず、平均血糖変動幅増大はネクロティックコアの割合を増やし、心筋梗塞のリスクを高めると言えます。
糖質制限食なら平均血糖変動幅増大を予防できて、心筋梗塞のリスクを減らすことが可能です。
またまた糖質制限食には、大きな追い風が吹いたようです。
江部康二
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