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「糖質制限食でHbA1cとBMIが改善」第58回日本糖尿病学会。下関。
おはようございます。

2015年5月21日~24日、下関で開催されている、第58回日本糖尿病学会年次学術集会において

「糖質制限食でHbA1cとBMIが改善」

というとても興味深い研究が発表されました。

素晴らしい信頼度の高い研究発表と思います。

順天堂大学代謝内分泌内科学の佐藤淳子氏の発表です。

順天堂大学ということでは、何と言っても、医師の年間講演料ランキング一位(4747万円)の河盛隆造氏が有名です。

順天堂大学特任教授で糖尿病医、超守旧派の河盛隆造氏ですが、お膝元で反乱?でしょうか。

HbA1c値が7.5%以上とコントロール不良で、
BMI:23以上の成人2型糖尿病患者66人を
エネルギー制限食群(33人)と糖質制限食群(33人)に分割
エネルギー制限食群は理想体重×28kcal/日が基本
糖質制限食群は1日の糖質摂取を約130gが基本
試験期間は6ヶ月間のRCT


試験開始時と終了時で改善度合いを見た結果、「糖質制限食群」の方が「エネルギー制限食群」と比べ、HbA1cとBMIが有意に改善していました。

6カ月間の試験終了時、糖質制限食群でHbA1cとBMIは有意に改善し、試験期間中に約87g/日の炭水化物が減少。
平均エネルギー摂取量も約400kcal/日減りました。
糖尿病薬を減薬することができた患者が6人ました。
インスリン投与量が減少した患者もいました。
今回の検討では腎機能や脂質の悪化は認められませんでした。

エネルギー制限食群で糖尿病薬を減量できたのは、たった1人でした。

「糖質制限食群」VS「エネルギー制限食群」

信頼度の高いRCTの結果において、糖質制限食の圧勝と言えます。

平均エネルギー摂取量が、約400kcal/日減少したことも、糖質制限食では、満腹度・満足度が高いので、我慢することなく自然に摂取エネルギーが減ったことを示唆しています。

このことは、食事療法の継続という意味で、ひもじくてつらい「エネルギー制限食」に対しておおきなアドバンテージと言えます。

イスラエルの有名なRCT論文DIRECT(Dietary Intervention Randomized Controlled Trial)でも、糖質制限食群で同様の摂取エネルギー減少があったのも記憶に新しいところです。

イスラエルの322人(男性86%)
(1)低脂肪食(カロリー制限あり)
(2)オリーブ油の地中海食(カロリー制限あり)
(3)低炭水化物食(カロリー制限なし)
3グループの食事法を2年間
低炭水化物食が最も体重減少。HDL-Cも増加。
カロリー制限ありとなしのハンディがあったが、
結果として、3群とも同一摂取カロリーとなった。
低炭水化物食群では、我慢することなる自然に摂取エネルギーが減ったと考えられる。
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359.NO.3 229-241



【これらの結果から佐藤氏らは、「血糖コントロール不良の2型糖尿病患者に対し、糖質制限食は短期的には減量のための手段として有効なことが明らかになった」と発表。ただし、低血糖症状が現れた患者がいたこと、試験終了までに中断した患者数は糖質制限食群で多かったことに触れ、「低血糖のリスクに加え、患者によってはエネルギー制限食に比べて続けられない人がいる可能性もある。そのため、対象患者は十分に選ぶ必要があると考えられる。また、今回は短期的な検討結果であったため、今後は長期的継続の問題点を検討する必要がある」とまとめた。】

糖質制限食実践で、リアルタイムに食後高血糖が改善するので、薬やインスリンが同量のままなら、当然低血糖のリスクが生じます。

4人の患者さんで低血糖が生じたのは、医療側の問題であり、油断は禁物と思います。

高雄病院では、スーパー糖質制限食なら、食前のインスリンは1/3以下にし、SU剤やグリニド剤は中止します。

これなら低血糖のリスクは回避できます。


江部康二



以下
日経メディカル
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/flash/jds2015/201505/542218.html
から、抜粋

【学会フラッシュ:第58回日本糖尿病学会
2015年5月21日~24日 下関
糖質制限食でHbA1cとBMIが改善
低血糖リスクや継続可否を考慮し対象者の選定を

2015/5/23日本糖尿病学会取材班

順天堂大学代謝内分泌内科学の佐藤淳子氏

 エネルギー制限食を続けられない2型糖尿病患者は多く、こうした患者を中心に糖質制限食が注目されている。血糖コントロール不良の2型糖尿病患者を対象に、糖質制限食の有効性と安全性を検討する目的で前向きランダム化比較試験を実施した結果、糖質制限食を摂取した群でHbA1cとBMIの改善を認めたことが明らかになった。順天堂大学代謝内分泌内科学の佐藤淳子氏らが第58回日本糖尿病学会(5月21~24日、下関開催)で発表した。

 対象は、エネルギー制限食による栄養指導を2回以上受けるものの継続できず、HbA1c値が7.5%以上とコントロール不良で、BMI23kg/m2以上の成人2型糖尿病患者66人。尿定性検査で持続的に蛋白が陽性を示したり、血清クレアチニンが2.0mg/dL以上といった腎症の患者、重篤な合併症を持つ患者は除外した。

 基準を満たした患者66人をエネルギー制限食群(33人)と糖質制限食群(33人)に割り付け、採血、採尿、体重測定、外来診療に加え、0、1、2、4、6カ月目に栄養指導(3日間の食事記録を基に)を実施した。この際、エネルギー制限食群には理想体重×28kcal/日を基本とするよう指導し、糖質制限食群には1日の糖質摂取を約130gにし、摂取する食品に制限は設けないが脂質は飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸を多く摂取するように指導した。

 試験開始時の患者背景および臨床背景は、エネルギー制限食群と脂質制限食群で男性比、年齢、BMI、HbA1c、糖尿病歴、TG、HDL-C、カロリー摂取量などで有意な差は認めなかった。

 試験開始時と終了時で改善度合いを見た結果、糖質制限食群の方がエネルギー制限食群と比べ、HbA1cとBMIが有意に改善した(それぞれP=0.008、P=0.03)。具体的な数値は、HbA1cは糖質制限食群が-0.65%(-1.53~-0.1)、エネルギー制限食群が0%(-0.68~0.4)。BMIは糖質制限食群が-0.58kg/m2(-1.51~-0.16)だったのに対し、エネルギー制限食群は-0.22kg/m2(-0.58~0.24) だった。

 食事内容について、試験終了時と開始時との差を両群で比較したところ、糖質制限食群で摂取カロリーと炭水化物量が有意に改善していた。カロリー摂取量は、糖質制限食群は-406kcal/日(-587~-44)となり、エネルギー制限食群の-14kcal/日(-449~-177)と比べて有意に減少していた(P=0.01)。炭水化物量も、糖質制限食群は-87g/日(-116~-40)で、エネルギー制限食群の-3g/日(-54~30)と比べて有意に減少した(P<0.01)。また、わずかではあるもののタンパク質や脂質についても糖質制限食の方が減少する傾向にあった。

 糖尿病薬の増減については、エネルギー制限食群で糖尿病薬を減量したのは1人(メトホルミン・αグルコシダーゼ阻害薬)のみだったのに対し、糖質制限食群では6人が糖尿病薬を減薬できていた(SU薬4人、αグルコシダーゼ阻害薬2人、メトホルミン1人)。このうち2人は開始時から薬剤を減量していた。また、4人(1人は疑い例)の患者で低血糖症状が認め、その後インスリン投与量を減らした患者もいた。

 なお、試験開始後に中断した患者数は、エネルギー制限食群は1人(他疾患で手術を行うため)。糖質制限食群では3人となった。糖質制限食群で中断した患者の内訳は、1人は自己中断、1人はプロトコール非遵守、1人は他疾患悪化が原因だった。

 以前に通常の栄養指導を受けても血糖がうまくコントロールできなかった患者が対象ではあるものの、6カ月間の試験終了時、糖質制限食群でHbA1cとBMIは有意に改善し、試験期間中に約87g/日の炭水化物が減少。平均エネルギー摂取量も約400kcal/日減った。糖尿病薬を減薬することができた患者もいたほか、今回の検討では腎機能や脂質の悪化は認められなかった。

 これらの結果から佐藤氏らは、「血糖コントロール不良の2型糖尿病患者に対し、糖質制限食は短期的には減量のための手段として有効なことが明らかになった」と発表。ただし、低血糖症状が現れた患者がいたこと、試験終了までに中断した患者数は糖質制限食群で多かったことに触れ、「低血糖のリスクに加え、患者によってはエネルギー制限食に比べて続けられない人がいる可能性もある。そのため、対象患者は十分に選ぶ必要があると考えられる。また、今回は短期的な検討結果であったため、今後は長期的継続の問題点を検討する必要がある」とまとめた。】


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
先生お疲れ様です。エネルギー制限食を継続できない人を2群に分けて検討したんだから、エネルギー制限食グループの方が中断が少ないのが不思議です。もともとエネルギー制限食を継続するのは困難なのに。
2015/05/26(Tue) 12:34 | URL | HK | 【編集
Re: タイトルなし
HK さん

中断は
「33人中3人」と
「33人中1人」ですので

両群とも、よく食事療法を継続していると言えます。


2015/05/26(Tue) 15:17 | URL | ドクター江部 | 【編集
血糖値測定の進化
痛みなし・使い捨て可能!皮膚に貼るだけで血糖値を測定する“ウェアラブルタトゥ”が画期的

早く製品化され、安価に流通・普及させて欲しい!

http://getnews.jp/archives/972438
2015/05/27(Wed) 06:21 | URL | 元気な中高年 | 【編集
最近のニュース
サッポロビールが実施した
「食習慣と糖に関する20~60代男女1000人の実態調査」

http://www.sapporobeer.jp/news_release/0000021083/pdf/20150518NBT.pdf


「断糖」「糖質制限」の名医が断言!明日からできる―食べ方を変えるだけで「消化力」が高まる

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43386
2015/05/27(Wed) 13:46 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 血糖値測定の進化
元気な中高年 さん

これはいいですね。

早く商品化して欲しいです。
2015/05/27(Wed) 22:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 最近のニュース
精神科医師A さん

興味深い情報をありがとうございます。
2015/05/27(Wed) 22:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
最近のニュース(2)
「断糖」の名医に教わる 後編
コンビニ弁当だって食べ方次第で「消化力」をアップする!

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43463
2015/05/28(Thu) 21:50 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 最近のニュース(2)
精神科医師A さん

情報をありがとうございます。
2015/05/29(Fri) 19:49 | URL | ドクター江部 | 【編集
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