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「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」。2015/5/18刊行。
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」

江部 康二 (著)
ナツメ社
2015年5月18日刊行




こんにちは。

新刊のご案内です。

糖質制限のしくみ、食品の選び方・食べ方がこの本1冊でわかります。

糖質制限食がなぜ糖尿病によいのか、何を避けて何を食べればよいのか、また注意すべきことは何か。
この1冊で詳しく解説します。

この本は2010年に出版した「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。

旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。

旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。

新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。

江部康二

以下は、「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」のはじめにです。

はじめに

2013年以降、糖質制限食に関連して5つのうれしい変化がありました。

1つ目はアメリカで、糖尿病の食事療法の1つとして正式に認められたことです。これは、米国糖尿病学会が2013年10月に出した栄養療法に関する声明で発表されました。さらに同声明では「唯一無二の糖尿病食事療法はない」と明言しています。日本糖尿病学会の2013年3月の提言においては、「腎障害や脂質異常の有無に留意して・・・炭水化物の摂取比率が50%エネルギーを下回ることもありうる。」という記載もあります。しかし基本は相変わらず唯一無二のカロリー制限食(糖質50~60%)を推奨していますので、米国糖尿病学会の声明は日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。

また、日本腎臓病学会は「CKD治療ガイド2013」で、eGFRが60ml/分以上あれば、顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質制限の必要なしとしました。即ち糖尿病腎症第3期でも eGFRが60ml/分以上あればタンパク質制限の必要なしなので糖質制限食も実践しやすくなりました。eGFRが60ml/分未満の場合は個別に相談して糖質制限食を導入するか否かを相談することとなります。

さらに2012年度の厚生労働省の調査で、糖尿病の患者数の増加率が激減し、予備群は調査を開始して以来、初めて減少したことが、2013年に発表されました。その背景には、2008年から2010年の調査で97年以来13年ぶりに炭水化物摂取比率が減少(60.4%→59.4%)し、97年以来13年ぶりに脂質摂取比率が上昇(24.9%→25.9%)したことがあります。ここ数年糖質制限食が急速に広まってきたことが大きな要因であることは間違いないでしょう。

4つめとして、血中ケトン体高値の安全性が確立されました。日本病態栄養学会年次学術集会(2014)において宗田哲男先生が、胎盤絨毛のケトン体値は成人基準値の20~30倍であることを報告され、ケトン体への懸念は払拭されました。
5つめとして、2014年7月の日経メディカルアンケートにおいて、回答した2263名の医師の過半数が「糖質制限」支持であることがわかりました。 

こうした、糖質制限食への追い風ともいえる情報が、ここ数年続々と現れています。

この本は2010年に出版した「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。

旧版を出版した当時は、「糖質」という言葉も一般的ではありませんでしたが、近年「糖質制限食」は雑誌やテレビで糖尿病の治療としてよく取り上げられ、広く認知されています。ダイエット法や健康法としてもよく聞かれるようになりました。

また、糖質オフのビールやスイーツ、パンも開発が進み、コンビニやスーパーで手軽に手に入るようになりました。糖尿人にとっては、かなり過ごしやすい環境になったのではないでしょうか。

糖質制限食の方法としては、やはりスーパーが一番のお奨めです。特に糖尿人においては、食後高血糖を生じない唯一の食事療法が「スーパー糖質制限食」です。旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。

基本的に糖質制限食は安全な治療法ですが、進めていく上でトラブルが起きたり、まれに不快な症状が現れたりする人もいます。それに対する解決法も示しています。糖質制限食が広まったことで出てきた批判にも返答していますから、不安や心配を払しょくし、安心して糖質制限食に取り組んでいただけます。2015年2月現在の糖質制限食の最新情報を網羅していますから、旧版や既刊を購入いただいた方にも、今回の新版はお役に立つでしょう。

本書が、糖尿人ならびに糖質セイゲニストの豊かな生活と食事の一助となりますことを、心よりお祈りします。

2015年4月
高雄病院理事長  江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
食後一時間の年齢別血糖値
いつも勉強させていただいています。

当方アラフォー女性です。
機能性低血糖と食後高血糖を患い、先生のブログに出会って、糖質制限を始めました。
一年たち、機能性低血糖については快方に向かい、仕事も始められるようになりました。

しかし、主食を抜くにあたって、食べる量を適量に抑えることが出来ず、消化器系全体を痛めてしまいました。(糖質制限は素晴らしい方法だと思っています。ただただ、元来過食傾向にあり、抑えることができなかった自分に問題がありです)。

ですので、食事の最後に分づき米をお茶碗少なめ一杯食べるようにしています。
不眠もあるので、その日によって変わるのですが、その食べ方で一時間値が120〜140です(指先測定)。

主人が「年齢的に、ご飯一杯を食べたら、140におさまらない人も増えてるんじゃないの?あまり神経質にならない方がいいよ」というのですが、
年代別による食後一時間値の推移的なデータはあるのでしょうか?

もしご存知でしたら、ご教示いただけませんでしょうか?
2015/05/17(Sun) 11:08 | URL | たく | 【編集
明日「新刊買います」
はじめまして、大阪の下町淡路にて食堂をしてるものです。明日58歳になります。2012年5月に15年ぶりに健康診断を受けたところHbA1c9,5で6月1日に糖尿病外来にいくようになって、6月6日に知人(医者)ガ「糖尿病がどんどん良くなる糖質制限食」をとどけてくれました。何度も読ませていただき著書の題名通りどんどん良くなりました。
2015/05/17(Sun) 14:16 | URL | 薮内 真生夫 | 【編集
糖質制限と肝臓・心臓疾患
江部先生こんにちは。

以下、もし同じような状況で悩んでいる人の参考になれば、と思い投稿します。

※先生に診察して頂いている訳ではないので、ここでお話するのが適切でない、回答できない、という事でしたらご連絡下さい。場合によっては高雄病院で診察して頂く事も検討します。


5年ほど前に空腹時血糖200超えから糖質制限で正常に戻りました。
が、昨年11月に風邪による脱水症状が発端となり、狭心症の手術を受けステントを留置されました。

退院後、コレステロールが高い、ということでクレストールを処方されて1ヶ月くらいでγ-GPTが、800まで上がってしまい2月からアトルバスタチンに変更しました。
現在、230位に落ちましたがそこから下がら無い状態です。(アルコールは1ヶ月に1回程度))
医師からは薬剤性の肝障害の為、改善には時間がかかると言われています。

また最近のブログ記事にもあった様に、アトルバスタチンに変更後、HbA1cが、6.3から6.7に悪化。
緩やかな糖質制限を始めていますが下がる気配ありません。
しかし強烈な動悸に襲われる事が何度かあった為、一時的に服用を止めています。

スーパー糖質制限食を再開したいのですが、肝臓の数値を見る限りどうすべき迷っています。
ちなみにステントが入っている為、抗血小板薬(プラビックス、バイアスピリン)を服用しています。現在、LDL=136、HDL=50 ですが高脂血症の薬をどうするかも悩みの種です。

大変不躾ですが、先生から助言を頂けると助かります。
よろしくお願い致します。
2015/05/18(Mon) 02:37 | URL | りっと | 【編集
Re: 食後一時間の年齢別血糖値
たく さん

年代別、血糖値のデータは、私は持っていません。
しかし、40代、50代になると
ご飯一膳食べて1時間後血糖値が、140mgを超える人は沢山いると思います。

「食事の最後に分づき米をお茶碗少なめ一杯食べるようにしています。
不眠もあるので、その日によって変わるのですが、その食べ方で一時間値が120〜140です」


それなら、まず無害です。
それで、低機能性血糖が生じないなら問題ないと思います。
2015/05/18(Mon) 16:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 明日「新刊買います」
薮内 真生夫 さん

拙著を読んでいただき、また新刊ご購入予定とのこと
ありがとうございます。

データの改善良かったです。

これからも美味しく楽しく糖質制限食をお続けくださいね。
2015/05/18(Mon) 16:31 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質制限と肝臓・心臓疾患
りっと さん

「薬剤性肝障害で、現在呉ストールを中止して、切り替えたアトルバスタチンも動悸のため一時的に中止。」

という経過なら、スーパー糖質制限食実践は問題ないと思います。
γ-GTPもスーパー糖質制限食で改善する可能性があります。

スタチンには、医師の間でも賛否両論ありますが、
りっとさんの場合、2種類のスタチンでともに副作用がでたのですから
普通に考えて中止するのが安全と思います。

スタチンをやめても、スーパー糖質制限食なら、心筋梗塞と脳梗塞の予防になりますし、
プラビックス、バイアスピリンも内服しておられるので心配は少ないと思います。


2015/05/18(Mon) 16:40 | URL | ドクター江部 | 【編集
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