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境界型糖尿病と耐糖能改善。糖質制限食。従来の糖尿病食。
【15/05/10 ゆう

疑問です

境界型で糖質制限していた方が今まではご飯を1膳たべたりすると食後2時間で150とかあったのが、 日本糖尿病学会が推奨する糖質多め《ご飯、いもなど》、たんぱく質控えめに変えたら、食後2時間で110くらいに改善したとネットでみかけました。

炭水化物がおおめなため2時間にはさがりきっているからということが考えられますか?

いきなり日本糖尿病学会の通りの食生活で改善。とネットでみたので気になりました。】



ゆうさん
コメントありがとうございます。

<糖質制限食と耐糖能>
<従来の糖尿病食と耐糖能>

に関してですが、個々人において、それぞれ違うようです。

ゆうさんが見たそのネットの人は、そういうデータだったのでしょう。

しかしながら個人的体験データというのは、その人においては意味はあると思いますが、その個人的体験データを一般化して皆に当てはめることには無理があります。

なので、

「75gブドウ糖負荷試験で境界型と診断された人を一定の数、集めて、
<糖質制限食 VS 従来の糖尿病食>
<糖質制限食 VS 日本人の普通食>
を一定期間継続して摂取して然る後に、もう1回75g経口ブドウ糖負荷試験をして、改善効果を確かめる。」


といったデザインの研究を行えば、その結果は、一般化しても問題は少ないと考えられます。

まあ、だからこそ、面倒ではありますが、エビデンスレベルを高めるには、一定の人数を集めた研究が必要となるわけです。

従来の糖尿病食というのは、そもそも日本人の平均的な糖質・タンパク質・脂質の摂取比率が目安になっています。

例えば、従来の糖尿病食(日本糖尿病学会)の糖質摂取比率は50~60%ですが、日本人の平均糖質摂取比率は、最近の30年間は57.4~61.5%程度です。

平均的な日本人の食事の、バランスはここ30年間「糖質60%、脂質25%、タンパク質15%」です。

もともと、日本糖尿病学会のいう「糖質60%、脂質25%以下、タンパク質15%」とほぼ、一緒ですね。

さて境界型糖尿病と糖質制限食に関しては、すでに研究論文が発表されています。

新潟労災病院消化器内科部長前川智先生が書かれた

「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」

と題した英文論文が2014年6月、PubMedに掲載されました。

Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
というニュージーランドの英文雑誌です。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/  → ここで全文が閲覧可能です。

75g経口ブドウ糖負荷試験で診断された境界型72名を
「糖質120g/日の糖質制限食群36人」
「食事指導なしの普通食群36人」
に分けて、1年間経過を追った研究です。

『糖質制限食が境界型糖尿病において、血糖コントロール及び2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。』

という糖質セイゲニストにとって大変喜ばしい研究結果となりました。

『糖質制限症群の69.4%において、血糖値は12ヶ月で正常化し、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)において2時間の血漿グルコースレベルは、33mg/dl減少した。』


糖質制限食実践により、境界型糖尿病の耐糖能が改善して、69.4%(36名中25名)が正常型になっていて、素晴らしい成果です。残りの11名は境界型のまま不変で、悪化して糖尿病型になった人はなしでした。


これに対して、通常食群36名においては、3名が正常型に、28名は不変で、5名は悪化して糖尿病型になっていました。

<糖質制限食群 VS 日本人の普通食群>
効果の差は明白ですね。

前川智先生は、新潟労災病院において糖質制限食をダイエットなどに導入しておられ、今回の研究は、2007年4月から2012年3月までの期間で行われました。

日本の研究者による糖質制限食の英文論文が、どんどん発表されていくといいですね。

前川智先生、貴重な研究報告をありがとうございます。


江部康二




☆☆☆
Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3

「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」

要約

背景
近年では、耐糖能障害(IGT)を有する人の数は世界中で着実に増加している。糖尿病の予防は、公衆衛生、医療、経済学の観点から重要であることは明らかである。近年、低炭水化物食(LCD)は、体重​​減少及び血糖コントロール​​に有用であることが報告されたが、LCDのIGTへの効果についての情報は存在しない。私たちは、IGTに対するLCDに焦点を当てた7日間の院内教育プログラムを計画した。

方法
被験者は2007年4月から2012年3月までに登録され、12カ月間追跡したIGTの72人の患者(LCD群が36、対照群が36)であった。我々は、LCD群と対照群を後ろ向き調査により比較した。

結果
LCD群の69.4%において、血糖値は12ヶ月で正常化し、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)において2時間の血漿グルコースレベルは、33mg/dl減少した。また、糖尿病の発生率は、12ヶ月目に対照群よりLCD群において有意に低かった(0%対13.9%、P = 0.02)。LCD群は12ヶ月後に、HbA1c、空腹時血糖値、HOMA-R、体重、血清トリグリセリド(TG)の有意な減少を示した。一方HDLコレステロール値は有意な増加を示した。

結論
LCDは、IGTを有する患者において、血糖値を正常化し、2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
突然の質問をお許しください。

以前から逆流性食道炎もしくは機能性胃腸症と思われるげっぷや咳に悩まされており、今も不眠状態です。
医者からはPPIと食生活の改善を言い渡され、カロリーコントロールによるダイエットをしております。
しかし、江部先生の糖質制限による糖尿克服を見て、考えが揺らぎました。
糖質こそが胃の大敵なのでしょうか?
これからの治療について、異なる意見の間で疑問が絶えず、質問に至りました。
お忙しいとは思いますが、ご回答頂けると幸いです。
また、立川の講演にも参加したいのですが、参加方法はどこを見れば良いのですか?
2015/05/11(Mon) 02:16 | URL | サムライ | 【編集
江部先生こんにちは。

《糖質制限食実践により、境界型糖尿病の耐糖能が改善して、69.4%(36名中25名)が正常型になっていて、素晴らしい成果です。残りの11名は境界型のまま不変で、悪化して糖尿病型になった人はなしでした。》

これは、糖質制限食によって、健常人と同じように、糖質制限食でない食事をしても血糖値が正常であるまでに改善した、、ということでしょうか?
2015/05/11(Mon) 03:34 | URL | toy1210 | 【編集
Re: タイトルなし
サムライ さん

自分自身の患者さんで20名以上、
ブログコメントをいれたら50人以上の人において
逆流性食道炎であれば、スーパー糖質制限食で9割以上の改善率です。

スーパー糖質制限食を始めたその食事から改善しますので
ともかく試してみてください。
即座に効果がでるので、すぐにわかります。


朝日カルチャーセンター立川教室

講座

『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』

講師名 高雄病院理事長 江部 康二

講座内容
血糖値を良好に保ち、糖尿病病合併症を予防できる唯一の食事療法が「糖質制限食」です。
日本人の四大死因(がん、心疾患、肺炎、脳血管疾患)にも炭水化物の過剰摂取が関与しており、糖質制限食で予防可能です。

■日時:5/30(土)15:00-17:00
■受講料:会員は、3,024円。一般は 3,672円。
■お申し込み・問い合わせ先:042-527-6511
色付きの文字
2015/05/11(Mon) 07:55 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
toy1210 さん

75g経口ブドウ糖負荷試験をした結果、
69.4%(36名中25名)が、境界型から正常型に改善したということです。

すなわち、
「糖質制限食によって、健常人と同じように、糖質制限食でない食事をしても血糖値が正常であるまでに改善した」ということです。
2015/05/11(Mon) 07:58 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生
こんばんは。
妊娠中に妊娠糖尿病になりました。産後も
ogtt負荷検査の2時間値が200越えており
糖尿病と言われました。そのため糖質制限の食事を取り入れましたが、体重が減っていまでは159cm40キロまで落ちました。完全母乳で育てています。間食でチーズやナッツなども食べています。どうしたら良いでしょうか?お忙しい戸思いますが、またご返答宜しくお願いいたします。
2015/05/12(Tue) 23:35 | URL | のん | 【編集
Re: タイトルなし
のん さん

単純に摂取エネルギー不足です。

母乳中は、赤ちゃんの分と自分の分と、エネルギー摂取の必要があります。

脂質とタンパク質をしっかり充分量摂取して、エネルギー不足を解消しましょう。
少食の人は、果物を適量摂取するのもいいです。

2015/05/13(Wed) 14:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
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