2015年05月09日 (土)
こんにちは。
A)
2015年5月1日
日本動脈硬化学会が、
「食事で体内のコレステロール値は大きく変わらない」との声明を発表しました。
B)
厚生労働省は、5年おきに改定する「食事摂取基準」の2015年版で、科学的根拠が得られなかったとしてコレステロールの摂取基準を撤廃しました。
C)
米農務省は「コレステロールは過剰摂取を懸念すべき栄養素ではない」として、摂取量を1日300ミリグラム未満に抑えていた食事指針を2015年見直す方向です。
A)B)C)のいずれもコレステロール摂取基準撤廃です。
これらを考慮すると今まで、日米共に長い間、コレステロールの摂取基準を設定して、摂取制限を推奨してきたことが、無意味だったと認めたわけですね。
まあ、『過ちては改むるに憚ること勿れ』ですから、とても良いこととは思います。
しかし米国ではずっと
「1日あたりのコレスレテロール摂取量上限は300mg。棒状のバター1本、または小さい卵2個、ステーキ300グラムに含まれる量」
を推奨し続けていたのはいったい何だったのでしょうね?
日本の厚生労働省もこれまでは、
「18歳以上の男性は1日当たり750mgム未満、女性は600mg未満の摂取基準値」
を推奨でした。
過ちを改めるには、かなり遅きに失したと思うのは私だけでしょうか?
厚生労働省は「食事からのコレステロールは一部に過ぎず、食事から多く取れば、体内で作る量を減らすなどの調整する仕組みがある」と解説。
いやはや、こんなことは、何十年も前から判明していたことと思うのですが・・・
江部康二
☆☆☆
以下毎日新聞のサイトから、一部抜粋
http://mainichi.jp/select/news/20150502k0000m040167000c.html
【コレステロール値:「食事で変わらず」動脈硬化学会が声明
毎日新聞 2015年05月02日
日本人のコレステロール摂取
取りすぎると動脈硬化などを招くとして悪者扱いされてきたコレステロールについて、日本動脈硬化学会(佐藤靖史理事長)は1日、「食事で体内のコレステロール値は大きく変わらない」との声明を発表した。厚生労働省も今年、5年ぶりに改定された「食事摂取基準」で、コレステロールの基準を撤廃しており、これを容認した形だ。動脈硬化予防には食事だけでなく、生活習慣や運動など包括的な対策が大切だとしている。
コレステロールは脂質の一種で、食べ物からのほか肝臓でも作られる。動脈硬化学会は血中の「悪玉」のコレステロールが高いと心筋梗塞(こうそく)を起こしやすいとして警告する一方、日本脂質栄養学会は「数値が高い人はむしろ長生き」と主張し、論争が続いていた。
厚労省はこれまで、18歳以上の男性は1日当たり750ミリグラム未満、女性は600ミリグラム未満の摂取基準値を設けていた。しかし5年おきに改定する「食事摂取基準」の2015年版で、科学的根拠が得られなかったとして基準を撤廃。卵の摂取量と心筋梗塞の発症リスクとの関連を調べた日本人約10万人の研究で「関連なし」との結果が出たことなどを例示し「食事からのコレステロールは一部に過ぎず、食事から多く取れば、体内で作る量を減らすなどの調整する仕組みがある」と解説した。
米農務省も「コレステロールは過剰摂取を懸念すべき栄養素ではない」として、摂取量を1日300ミリグラム未満に抑えていた食事指針を今年見直す方向だ。
こうした中、動脈硬化学会は1日の声明で「食べるのを制限しても血中の値が低下する人と、しにくい人がいて、個人差が大きい」と基準の撤廃に賛同した。悪玉コレステロールの値が高い人はコレステロールの摂取制限が推奨されるとする一方、食事や運動、生活習慣を全体的に改善することが必要とした。食事についても脂質だけを減らすのではなく「食物繊維を多く含む大豆製品や海藻、野菜類を増やすことが大切」と訴えた。
生活習慣病に詳しいたちかわ総合健診センター(新潟県長岡市)の小田栄司センター長は「BMI(体格指数)が30を超える肥満の人は食事制限が心臓病予防に効果的だが、悪玉コレステロールが高くない人は、食事よりも運動の方が効果がある。指針などで一律に定めるのではなく、個々の状態に応じて考えることが大切だ」と話している。
下桐実雅子、永山悦子】
A)
2015年5月1日
日本動脈硬化学会が、
「食事で体内のコレステロール値は大きく変わらない」との声明を発表しました。
B)
厚生労働省は、5年おきに改定する「食事摂取基準」の2015年版で、科学的根拠が得られなかったとしてコレステロールの摂取基準を撤廃しました。
C)
米農務省は「コレステロールは過剰摂取を懸念すべき栄養素ではない」として、摂取量を1日300ミリグラム未満に抑えていた食事指針を2015年見直す方向です。
A)B)C)のいずれもコレステロール摂取基準撤廃です。
これらを考慮すると今まで、日米共に長い間、コレステロールの摂取基準を設定して、摂取制限を推奨してきたことが、無意味だったと認めたわけですね。
まあ、『過ちては改むるに憚ること勿れ』ですから、とても良いこととは思います。
しかし米国ではずっと
「1日あたりのコレスレテロール摂取量上限は300mg。棒状のバター1本、または小さい卵2個、ステーキ300グラムに含まれる量」
を推奨し続けていたのはいったい何だったのでしょうね?
日本の厚生労働省もこれまでは、
「18歳以上の男性は1日当たり750mgム未満、女性は600mg未満の摂取基準値」
を推奨でした。
過ちを改めるには、かなり遅きに失したと思うのは私だけでしょうか?
厚生労働省は「食事からのコレステロールは一部に過ぎず、食事から多く取れば、体内で作る量を減らすなどの調整する仕組みがある」と解説。
いやはや、こんなことは、何十年も前から判明していたことと思うのですが・・・
江部康二
☆☆☆
以下毎日新聞のサイトから、一部抜粋
http://mainichi.jp/select/news/20150502k0000m040167000c.html
【コレステロール値:「食事で変わらず」動脈硬化学会が声明
毎日新聞 2015年05月02日
日本人のコレステロール摂取
取りすぎると動脈硬化などを招くとして悪者扱いされてきたコレステロールについて、日本動脈硬化学会(佐藤靖史理事長)は1日、「食事で体内のコレステロール値は大きく変わらない」との声明を発表した。厚生労働省も今年、5年ぶりに改定された「食事摂取基準」で、コレステロールの基準を撤廃しており、これを容認した形だ。動脈硬化予防には食事だけでなく、生活習慣や運動など包括的な対策が大切だとしている。
コレステロールは脂質の一種で、食べ物からのほか肝臓でも作られる。動脈硬化学会は血中の「悪玉」のコレステロールが高いと心筋梗塞(こうそく)を起こしやすいとして警告する一方、日本脂質栄養学会は「数値が高い人はむしろ長生き」と主張し、論争が続いていた。
厚労省はこれまで、18歳以上の男性は1日当たり750ミリグラム未満、女性は600ミリグラム未満の摂取基準値を設けていた。しかし5年おきに改定する「食事摂取基準」の2015年版で、科学的根拠が得られなかったとして基準を撤廃。卵の摂取量と心筋梗塞の発症リスクとの関連を調べた日本人約10万人の研究で「関連なし」との結果が出たことなどを例示し「食事からのコレステロールは一部に過ぎず、食事から多く取れば、体内で作る量を減らすなどの調整する仕組みがある」と解説した。
米農務省も「コレステロールは過剰摂取を懸念すべき栄養素ではない」として、摂取量を1日300ミリグラム未満に抑えていた食事指針を今年見直す方向だ。
こうした中、動脈硬化学会は1日の声明で「食べるのを制限しても血中の値が低下する人と、しにくい人がいて、個人差が大きい」と基準の撤廃に賛同した。悪玉コレステロールの値が高い人はコレステロールの摂取制限が推奨されるとする一方、食事や運動、生活習慣を全体的に改善することが必要とした。食事についても脂質だけを減らすのではなく「食物繊維を多く含む大豆製品や海藻、野菜類を増やすことが大切」と訴えた。
生活習慣病に詳しいたちかわ総合健診センター(新潟県長岡市)の小田栄司センター長は「BMI(体格指数)が30を超える肥満の人は食事制限が心臓病予防に効果的だが、悪玉コレステロールが高くない人は、食事よりも運動の方が効果がある。指針などで一律に定めるのではなく、個々の状態に応じて考えることが大切だ」と話している。
下桐実雅子、永山悦子】
江部先生
はじめまして。
お忙しいことと思いますが、もし可能でしたら教えていただきたいと思います。
私は、糖質制限を初めて2週間です。
先生の本を読んでしっかり勉強をして、スーパー糖質制限をスタートしました。
女性35歳で168センチ61kgから59kgになりました。
私は元々、白米が好きではないし、お肉が大好きなので、このダイエット法は自分にぴったりで、まったくストレスもなくとても気に入っています。
問題は10年ほど前に慢性膵炎と診断され、当時は薬など飲んでいたのですが、そのうち痛みもなくなり、薬も大量にストックがあったので、通院もせず普通に生活していました。(こんなにながらく病院にいっていないのは問題だと、今頃気づきましたが)
おそらく、まだ軽度だったのだと思います。
最近、糖質制限を初めて、お肉をバクバク食べていたら、少し膵臓に違和感を感じるようになりました。
久々の感覚でしたが、これは膵臓の違和感だとすぐにわかりました。
そして先日、懐かしいメンバーとの飲み会があり、楽しくなってハイボールをグビグビと飲んでしまいした。(普段は週1くらいしか飲みません。)
すると、翌日いよいよ本当に膵臓や胃腸がやられてしまいました。
病院に行きたいのですが急であったことと、今週の平日は仕事があるので、週末になるまで病院にいけそうにありません。
問題は、慢性膵炎の食事といったら糖質制限の真逆の食事を推奨されていること。脂質はNGでお粥などの糖質をメインに食べなさいというものですよね。しかも病院に行って、この事を話したら絶対に反対されるのだと思います。
糖質を消化するほうが脂質を消化するより大変なはずなのに、なんで膵炎の場合は糖質をとらなければいけないのか、わかりませんし、出来ればこのまま糖質制限を続けたいのです。お肉は少し量をへらさなければいけないと思いますが…
けれど、慢性膵炎の症状がでている以上、このまま糖質制限を続けていていいのか、心配なのです。
活動性膵炎の場合、糖質制限はやってはいけないとありますが、活動性膵炎を調べてもどういう膵炎なのかわかりませんでした。慢性膵炎とは違いますか?私はどうしたらいいのでしょうか。
はじめまして。
お忙しいことと思いますが、もし可能でしたら教えていただきたいと思います。
私は、糖質制限を初めて2週間です。
先生の本を読んでしっかり勉強をして、スーパー糖質制限をスタートしました。
女性35歳で168センチ61kgから59kgになりました。
私は元々、白米が好きではないし、お肉が大好きなので、このダイエット法は自分にぴったりで、まったくストレスもなくとても気に入っています。
問題は10年ほど前に慢性膵炎と診断され、当時は薬など飲んでいたのですが、そのうち痛みもなくなり、薬も大量にストックがあったので、通院もせず普通に生活していました。(こんなにながらく病院にいっていないのは問題だと、今頃気づきましたが)
おそらく、まだ軽度だったのだと思います。
最近、糖質制限を初めて、お肉をバクバク食べていたら、少し膵臓に違和感を感じるようになりました。
久々の感覚でしたが、これは膵臓の違和感だとすぐにわかりました。
そして先日、懐かしいメンバーとの飲み会があり、楽しくなってハイボールをグビグビと飲んでしまいした。(普段は週1くらいしか飲みません。)
すると、翌日いよいよ本当に膵臓や胃腸がやられてしまいました。
病院に行きたいのですが急であったことと、今週の平日は仕事があるので、週末になるまで病院にいけそうにありません。
問題は、慢性膵炎の食事といったら糖質制限の真逆の食事を推奨されていること。脂質はNGでお粥などの糖質をメインに食べなさいというものですよね。しかも病院に行って、この事を話したら絶対に反対されるのだと思います。
糖質を消化するほうが脂質を消化するより大変なはずなのに、なんで膵炎の場合は糖質をとらなければいけないのか、わかりませんし、出来ればこのまま糖質制限を続けたいのです。お肉は少し量をへらさなければいけないと思いますが…
けれど、慢性膵炎の症状がでている以上、このまま糖質制限を続けていていいのか、心配なのです。
活動性膵炎の場合、糖質制限はやってはいけないとありますが、活動性膵炎を調べてもどういう膵炎なのかわかりませんでした。慢性膵炎とは違いますか?私はどうしたらいいのでしょうか。
2015/05/10(Sun) 16:06 | URL | さいとう | 【編集】
さいとう さん
診断基準を満たす急性膵炎は、入院が必要な重症の病気です。
慢性膵炎の活動期は、腹痛があり、アミラーゼ・リパーゼ・白血球・CRPなどがかなり高値となります。
ただ、本格的に診断基準を満たしている慢性膵炎と
アミラーゼが軽度高値だけの膵臓に軽度炎症があるかもしれないというレベルとは違うと思います。
もともとが、診断基準を満たさないレベルの軽症の膵臓の炎症で、
現在、アミラーゼやリパーゼが少し高いだけで、他の検査が正常で、腹痛もなければ
糖質制限食はOKと思います。
しかしアルコールは、膵炎には良くないです。
2011年12月09日 (金)の本ブログ記事
糖質制限食と膵臓
2013年11月10日 (日)の本ブログ記事
「糖質制限食で膵炎所見が消滅」
もご参照いただけば幸いです。
診断基準を満たす急性膵炎は、入院が必要な重症の病気です。
慢性膵炎の活動期は、腹痛があり、アミラーゼ・リパーゼ・白血球・CRPなどがかなり高値となります。
ただ、本格的に診断基準を満たしている慢性膵炎と
アミラーゼが軽度高値だけの膵臓に軽度炎症があるかもしれないというレベルとは違うと思います。
もともとが、診断基準を満たさないレベルの軽症の膵臓の炎症で、
現在、アミラーゼやリパーゼが少し高いだけで、他の検査が正常で、腹痛もなければ
糖質制限食はOKと思います。
しかしアルコールは、膵炎には良くないです。
2011年12月09日 (金)の本ブログ記事
糖質制限食と膵臓
2013年11月10日 (日)の本ブログ記事
「糖質制限食で膵炎所見が消滅」
もご参照いただけば幸いです。
2015/05/10(Sun) 18:49 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生
はじめてコメントを書かせていただきます。いつも大変参考にさせていただいております。
どちらでご相談すればいいかわからず、該当の記事部分に書かせていただきました。場違いでしたら申し訳ありません。
冬の健診で、HbA1cが5.6であり、体重も減らしたかったため、先生のご本を参考に、2月より糖質制限を開始しました。一食の糖質を20g位で押さえ、4月まで2カ月続けたところ、体重は1キロ減り、HbA1cが5.4まで下がり、ほっとしたのですが、元々高かったコレステロールが上がってしまい、精密検査と言われてしまいました。
先生の記事を拝読しても、一時的に上がることはあるとのことで、中性脂肪が高くなければ大丈夫、ともあったので、大丈夫かなと思うのですが、元々高めであり、親も高いため、このまま続けて大丈夫だろうかと少し不安に思っております。(今までの値は、総コレステロールが220~230位でした)
先生のお考えをお聞かせいただけますと幸いです。
当方は女性36歳、身長161体重52キロ、検査結果は、冬:総コレステロール239(中性脂肪40/HDL61/LDL168)→春:274(中性脂肪38/HDL86/LDL186)です。
御忙しいなか恐縮ですが、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
はじめてコメントを書かせていただきます。いつも大変参考にさせていただいております。
どちらでご相談すればいいかわからず、該当の記事部分に書かせていただきました。場違いでしたら申し訳ありません。
冬の健診で、HbA1cが5.6であり、体重も減らしたかったため、先生のご本を参考に、2月より糖質制限を開始しました。一食の糖質を20g位で押さえ、4月まで2カ月続けたところ、体重は1キロ減り、HbA1cが5.4まで下がり、ほっとしたのですが、元々高かったコレステロールが上がってしまい、精密検査と言われてしまいました。
先生の記事を拝読しても、一時的に上がることはあるとのことで、中性脂肪が高くなければ大丈夫、ともあったので、大丈夫かなと思うのですが、元々高めであり、親も高いため、このまま続けて大丈夫だろうかと少し不安に思っております。(今までの値は、総コレステロールが220~230位でした)
先生のお考えをお聞かせいただけますと幸いです。
当方は女性36歳、身長161体重52キロ、検査結果は、冬:総コレステロール239(中性脂肪40/HDL61/LDL168)→春:274(中性脂肪38/HDL86/LDL186)です。
御忙しいなか恐縮ですが、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
なな さん
HDLコレステロールがかなり増加していて、好ましい変化です。
HDLコレステロールが高値で、中性脂肪が正常低値の場合は、
よいLDLコレステロールが多いです。
小粒子LDLや酸化LDLといった悪いLDLは少ないので問題ないです。
扉ページの「コレステロール」の項を、たくさんの記事がありますが
じっくり読んでみてください。
HDLコレステロールがかなり増加していて、好ましい変化です。
HDLコレステロールが高値で、中性脂肪が正常低値の場合は、
よいLDLコレステロールが多いです。
小粒子LDLや酸化LDLといった悪いLDLは少ないので問題ないです。
扉ページの「コレステロール」の項を、たくさんの記事がありますが
じっくり読んでみてください。
2015/06/03(Wed) 20:11 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生
御忙しいなか御答えくださいまして、ありがとうございました。HDLコレステロールは、たしかにずっと数値が変わらなかったのが、いきなり増加していて驚きました。
問題ないと言っていただけてほっとしました。
不安に思わず、糖質制限を続けていこうと思います。ありがとうございました。
御忙しいなか御答えくださいまして、ありがとうございました。HDLコレステロールは、たしかにずっと数値が変わらなかったのが、いきなり増加していて驚きました。
問題ないと言っていただけてほっとしました。
不安に思わず、糖質制限を続けていこうと思います。ありがとうございました。
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