2015年05月06日 (水)
【15/05/06 misako
私が糖尿病性ケトアシドーシスを起こして緊急入院した時は、医師から1型を疑われましたが、結局2型だろうという結論になりました。
ヘモグロビンA1cが15.0とかなり高い値であったこと、抗GAD抗体その他いくつかの検査の結果が陰性であったこと、家族歴(父と弟が2型)などから2型と診断されましたが、「レアケース」と言われました。
2型ではケトアシドーシスはまず起こらない、と書いてあるサイトもありますが、私のような場合もあるということで・・・
ちなみに、数日前から風邪の症状があったので、口当たりのいいアイスやヤクルトばかり摂取し、イオン飲料をがぶ呑みしていました。】
こんにちは。
misakoさんから、2型でも糖尿病性ケトアシドーシスになったというコメントをいただきました。
確かに「レアケース・・・まれなケース」と思いますので考察してみましょう。
大分暑くて汗ばむ季節となってきました。
私も、今日、自転車で初めて知人の家まで行ったらずっと登りで、かなりしんどくて、汗もたっぷりかきました。
自動車で行ってたときは、そんな登りとか、全く気がついてませんでした。(=_=;)
さて、暑くなってくるとペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと2型糖尿病であったり境界型糖尿病レベルの人が、液体の糖質(清涼飲料水)のような吸収されやすい糖質を、多量に毎日のように摂取していると、飲む度に血糖値が急上昇してインスリンが大量に追加分泌されます。
このようなペットボトル生活を、1~2週間から1ヶ月近く続けていると、ついには膵臓のβ細胞が疲弊してしまい、インスリンの生産が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。(*)
糖毒の悪循環が続けばインスリン作用は遂に欠落してしまい、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して生理的食塩水の点滴で脱水を補正し、インスリン注射をして、血糖値をコントロールします。
血糖がコントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、
インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
従って、退院後はもとの状態に戻るので、インスリン注射も勿論必要ありません。
清涼飲料水ケトーシスの特徴
①清涼飲料水を大量に摂取する(一日平均約2リットル)
②青年期から中年にかけての男性に多い
③発症時に肥満があるが肥満歴を有する人が大半
④血縁者に糖尿病患者がいるケースが半分以上
⑤患者に病識がないか乏しい
大量の液体の糖質を摂取することが、ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)の元凶です。
液体糖質大量摂取以外には起こりえない病態ですが、今でも時々見かけます。
2型糖尿病で、糖尿病ケトアシドーシスを発症する場合、ほとんどがペットボトル症候群です。
misakoさんのケースは、もともと糖尿病であったところに、風邪気味で数日間、大量の清涼飲料水を飲んでペットボトル症候群的な病態に陥った可能性がありますね。
液体糖質摂取によるペットボトル症候群は、日本人に多い病態で、欧米白人にはほとんど見られませんが、インスリン分泌能力の差が関係しているのかもしれません。
欧米白人は、インスリン分泌能力が高いので、清涼飲料水を大量に飲んでも、なかなか高血糖になりにくいにくいものと思われます。
そのかわり、インスリンを長期に大量に分泌し続ける能力により、150kgを超える巨大な肥満患者が多数存在することになります。
いずれにせよ、ブドウ糖や砂糖入りの清涼飲料水は、危険な飲み物という認識が必要と思います。
ちなみに米国飲料協会(ABA)は、公立小中学校でのエネルギー量(糖質)の多い清涼飲料水の発売を2009年、全面停止しています。
(*)糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。
インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
江部康二
私が糖尿病性ケトアシドーシスを起こして緊急入院した時は、医師から1型を疑われましたが、結局2型だろうという結論になりました。
ヘモグロビンA1cが15.0とかなり高い値であったこと、抗GAD抗体その他いくつかの検査の結果が陰性であったこと、家族歴(父と弟が2型)などから2型と診断されましたが、「レアケース」と言われました。
2型ではケトアシドーシスはまず起こらない、と書いてあるサイトもありますが、私のような場合もあるということで・・・
ちなみに、数日前から風邪の症状があったので、口当たりのいいアイスやヤクルトばかり摂取し、イオン飲料をがぶ呑みしていました。】
こんにちは。
misakoさんから、2型でも糖尿病性ケトアシドーシスになったというコメントをいただきました。
確かに「レアケース・・・まれなケース」と思いますので考察してみましょう。
大分暑くて汗ばむ季節となってきました。
私も、今日、自転車で初めて知人の家まで行ったらずっと登りで、かなりしんどくて、汗もたっぷりかきました。
自動車で行ってたときは、そんな登りとか、全く気がついてませんでした。(=_=;)
さて、暑くなってくるとペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと2型糖尿病であったり境界型糖尿病レベルの人が、液体の糖質(清涼飲料水)のような吸収されやすい糖質を、多量に毎日のように摂取していると、飲む度に血糖値が急上昇してインスリンが大量に追加分泌されます。
このようなペットボトル生活を、1~2週間から1ヶ月近く続けていると、ついには膵臓のβ細胞が疲弊してしまい、インスリンの生産が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。(*)
糖毒の悪循環が続けばインスリン作用は遂に欠落してしまい、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して生理的食塩水の点滴で脱水を補正し、インスリン注射をして、血糖値をコントロールします。
血糖がコントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、
インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
従って、退院後はもとの状態に戻るので、インスリン注射も勿論必要ありません。
清涼飲料水ケトーシスの特徴
①清涼飲料水を大量に摂取する(一日平均約2リットル)
②青年期から中年にかけての男性に多い
③発症時に肥満があるが肥満歴を有する人が大半
④血縁者に糖尿病患者がいるケースが半分以上
⑤患者に病識がないか乏しい
大量の液体の糖質を摂取することが、ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)の元凶です。
液体糖質大量摂取以外には起こりえない病態ですが、今でも時々見かけます。
2型糖尿病で、糖尿病ケトアシドーシスを発症する場合、ほとんどがペットボトル症候群です。
misakoさんのケースは、もともと糖尿病であったところに、風邪気味で数日間、大量の清涼飲料水を飲んでペットボトル症候群的な病態に陥った可能性がありますね。
液体糖質摂取によるペットボトル症候群は、日本人に多い病態で、欧米白人にはほとんど見られませんが、インスリン分泌能力の差が関係しているのかもしれません。
欧米白人は、インスリン分泌能力が高いので、清涼飲料水を大量に飲んでも、なかなか高血糖になりにくいにくいものと思われます。
そのかわり、インスリンを長期に大量に分泌し続ける能力により、150kgを超える巨大な肥満患者が多数存在することになります。
いずれにせよ、ブドウ糖や砂糖入りの清涼飲料水は、危険な飲み物という認識が必要と思います。
ちなみに米国飲料協会(ABA)は、公立小中学校でのエネルギー量(糖質)の多い清涼飲料水の発売を2009年、全面停止しています。
(*)糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。
インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
江部康二
先生、記事にしていただいてどうもありがとうございました。
わたしは過去に妊娠糖尿病になり、産後の糖負荷試験で正常だったのでそのまま放置してしまい、専業主婦なので検査の機会もなく、いつの間にか2型糖尿病を発症していたのだろうと思います(ちなみに、玄米魚菜食でした。1年ぐらい前から多飲多尿はありました)
ケトアシドーシスを起こす2~3か月ほど前から、なぜかはまってしまった缶詰のフルーツ、ヤクルトなどがダメ押しになったのでしょうね。
ヘモグロビンA1cは15.0→6.5まで落ちました。
食後血糖値はいつ測っても空腹時プラス15程度しか上がりませんが、空腹時血糖値をもう少し下げることが今後の目標です。
子供の習い事などで、まだ幼稚園にも行っていないような小さな子供が自動販売機の前で泣くからと言ってアイスやジュースをすぐに買い与えている親が目につくので、ちょっと心配です。
わたしは過去に妊娠糖尿病になり、産後の糖負荷試験で正常だったのでそのまま放置してしまい、専業主婦なので検査の機会もなく、いつの間にか2型糖尿病を発症していたのだろうと思います(ちなみに、玄米魚菜食でした。1年ぐらい前から多飲多尿はありました)
ケトアシドーシスを起こす2~3か月ほど前から、なぜかはまってしまった缶詰のフルーツ、ヤクルトなどがダメ押しになったのでしょうね。
ヘモグロビンA1cは15.0→6.5まで落ちました。
食後血糖値はいつ測っても空腹時プラス15程度しか上がりませんが、空腹時血糖値をもう少し下げることが今後の目標です。
子供の習い事などで、まだ幼稚園にも行っていないような小さな子供が自動販売機の前で泣くからと言ってアイスやジュースをすぐに買い与えている親が目につくので、ちょっと心配です。
2015/05/06(Wed) 17:46 | URL | misako | 【編集】
misako さん
私も、34才から「玄米魚菜食」を実践し、脂は極力控えて、週に2回テニスをして・・・
健康にはかなり気を使っていたつもりでしたが、
52才で、糖尿病とメタボと高血圧になりました。
私も、34才から「玄米魚菜食」を実践し、脂は極力控えて、週に2回テニスをして・・・
健康にはかなり気を使っていたつもりでしたが、
52才で、糖尿病とメタボと高血圧になりました。
2015/05/06(Wed) 20:06 | URL | ドクター江部 | 【編集】
週刊新潮最新号で「腸内フローラ」特集が組まれています。週刊新潮記者4名の全4名が腸内フローラが「いつ大腸がんになっても不思議は無い!」と断言されるヒドさでした。例によってオリゴ糖の摂取のお薦めなどで締めくくられております。
さて、私らこの経験からは
◎糖質制限食にしてから、便秘&下痢が治った
が実体験です。オリゴ糖は勿論摂取しておりません><
◎糖質制限食により腸内フローラは良くなる?
これが明解になると、糖質制限食実施者が抜群に増える予感がします。
江部先生、どうかご教示下さいませ。
さて、私らこの経験からは
◎糖質制限食にしてから、便秘&下痢が治った
が実体験です。オリゴ糖は勿論摂取しておりません><
◎糖質制限食により腸内フローラは良くなる?
これが明解になると、糖質制限食実施者が抜群に増える予感がします。
江部先生、どうかご教示下さいませ。
2015/05/06(Wed) 20:53 | URL | らこ | 【編集】
らこ さん
糖質制限食は、狩猟・採集時代の700万年間の食事で人類本来の食事です。
すなわち人類の健康食と言えます。
それで、腸内フローラも良くなるとは思うのですが、
あくまでも仮説であり、エビデンスはないですね。
糖質制限食は、狩猟・採集時代の700万年間の食事で人類本来の食事です。
すなわち人類の健康食と言えます。
それで、腸内フローラも良くなるとは思うのですが、
あくまでも仮説であり、エビデンスはないですね。
2015/05/07(Thu) 17:24 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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