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1型糖尿病の講演会。糖質管理食の話はなし。
こんばんは。

先日、1型糖尿病の講演会があったので、参加しました。
1型糖尿病の講演会はめったにないので、貴重な経験でした。

前半は劇症1型糖尿病の話が中心でした。
劇症1型糖尿病は日本で5000~7000名程度の患者さんがいると推定されています。

私はまだ診察したことがありませんが、劇症1型糖尿病はその時点で診断をつけてインスリン治療を開始しないと数日で死亡してしまう重篤な疾患です。

数日前から感冒様症状、異常な口渇、全身倦怠などがあり、尿糖陽性、尿中ケトン体陽性なら劇症1型糖尿病を疑う必要があるそうです。

このとき血液検査をすれば、血糖値は異常高値を示しますが、HbA1cはそんなに高値ではないのです。(HbA1c8.7%未満)

あまりに急激な発症のために、過去1~2ヶ月の血糖の平均値をあらわすHbA1cは、上昇する暇がないのです。

劇症1型糖尿病診断基準(2012)
下記1~3のすべての項目を満たすものを劇症1型糖尿病と診断する。

糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る(初診時尿ケトン体陽性、血中ケトン体上昇のいずれかを認める。)

初診時の(随時)血糖値が288 mg/dl (16.0 mmol/l) 以上であり、かつHbA1c値 (NGSP)<8.7 %である。
発症時の尿中Cペプチド<10 µg/day、または、空腹時血清Cペプチド<0.3 ng/ml かつ グルカゴン負荷後(または食後2時間)血清Cペプチド<0.5 ng/ml である。


劇症1型糖尿病の患者さんが最初に受診するのは、一般開業医や救急外来ですので、当該の医師は「劇症1型糖尿病」という疾患があることを知っていないと見逃してしまう危険があるので注意が必要です。

私も講演会に参加して、「劇症1型糖尿病」の存在を肝に銘じることとします。

「1 型糖尿病」は、国内で年間約14000人が発症し、約 21 万人が治療を続けている決して珍しくない疾患です。

劇症1型糖尿病患者は日本で5000~7000名程度なので1型糖尿病全体の、2.4%~3.3%となります。


後半は、2型糖尿病も含めてのお話でしたが、食事療法の話はほとんど無かったので残念でした。

講演会終了後の懇親会で、演者の先生に、1型糖尿病患者に「糖質管理食」は導入しておられるか質問したのですが、驚くべきことに、ほとんど興味を示されませんでした。

1型糖尿病治療の専門家が、「糖質管理食(カーボカウント)」の指導もせずにインスリン注射を処方していることになるので、唖然としました。

これが日本の糖尿病専門医の現状なのだと思うと慄然としました。

カーボカウントもせずにインスリン注射をするということは、目をつむって車の運転をしているようなものです。

これでは血糖値の乱高下は必発です。

血糖値に直接影響を与えるのは、糖質だけです。

タンパク質・脂質は血糖値に直接影響を与えることはないのです。

つまり、カロリー計算では、食後血糖値の上昇程度を予測することは不可能であり、インスリンの単位をマッチングよく決めることもまた不可能なのです。

演者は、劇症1型糖尿病の患者さんが、経過中に血糖50mg/dl以下の低血糖を20~30回も生じたお話しをされました。

カーボカウントもせずにインスリン注射をして低血糖頻発というのは、私にはとうてい理解できません。

日本の糖尿病専門医の方々、インスリン注射をしておられる糖尿病患者さんには、せめて「糖質管理食(カーボカウント)」の指導をしてくださるようお願い申しあげます。

カロリー計算でインスリンを打てば、血糖値の乱高下は必発ですので、カーボカウントは絶対に必要なのです。

糖質制限食とはいいません。

せめて糖質管理食くらいは、患者さんの命を守るためにも導入して欲しいです。




江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
書籍、ご笑納いただければ幸いです。
いつも拝読しております!

このたび糖質制限のマンガを製作させていただきまして、高雄病院さまの方にお送りさせていただきました!ご笑納いただければ幸いです。

当院でも糖質制限などの食事指導をさせていただいておりますが、多くの方が体重だけでなく気持ちも改善しております。

どうか今後ともよろしくお願いいたします。
2015/03/30(Mon) 21:01 | URL | 精神科医ゆうきゆう | 【編集
1型糖尿病の治療は依然…
こんばんは。福岡のIDDMランナーです。今年の「糖質セイゲニストin大分」、昨年の「同 in宮崎」では大変お世話になりました。その後も相変わらず「血糖値正常化」の追及に四苦八苦しながら毎日なんとか元気に過ごしております。

この度の先生のレポートを拝見すると、1型糖尿病の治療においては、私が発症した9年前と比べ、機器や薬剤の進歩はあるものの、肝心の食事療法については全くと言っていいほど進歩していないのが分かります。先生が仰るように、せめてカーボカウントを取り入れた指導が取り入れられればと思うのですが残念です。(カーボカウント≒血糖値とインスリンの相関関係の正確な理解、だと認識しています。)

それに加え血糖自己測定による血糖値の正確な把握が(1型に限らず)糖尿病治療には必須だと思うのですが、まだ多くの医師の間ではそこにすら到達していないというのが現状なのでしょうか。

糖尿病は医者に治してもらうのではなく、患者自身が医師のアドバイスを得て治療する病気だと思います。今や我々患者自身が血糖値を正確に把握する道具と技術=血糖自己測定を手にしているのですから、自己責任で血糖値正常化を図っていくことが現状、そしてこれからもベストな方法だと確信しています。

1型糖尿病患者は糖尿人の中でもマイノリティなので、なかなか正しく認識されないのは当然だと思います。私自身、そんな少数派1型糖尿人の代表として、日々血糖値正常化の達成に努力し、そのプロセスや成果を情報発信していきたいと思っていおります。

今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
2015/03/31(Tue) 01:14 | URL | IDDMランナー | 【編集
お久しぶりです。こんにちは。
なかなか厳しい現状ですね。
確かに、あ然とします。

お医者様の目覚めと、私達の実践。
その両輪で、進化していきたいですね。
「糖質制限がいいのは知ってるけど、それに成功した人を、あなた以外に知らない」と、よく言われます。
がんばりますね!
2015/03/31(Tue) 09:08 | URL | やさぐれ1人反省会 | 【編集
Re: 書籍、ご笑納いただければ幸いです。
精神科医ゆうきゆう 先生

糖質制限のマンガ、高雄病院に届いております。
ありがとうございます。

糖質制限食で血糖変動幅が、小さくなることで、気分の変動も少なくなる方が多いようですね。
こちらこそよろしくお願い申しあげます。
2015/03/31(Tue) 09:09 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 1型糖尿病の治療は依然…
IDDMランナー さん

同感です。

少なくとも1型糖尿病の人は、せめて「糖質管理食」を実践しないと危険です。
医師の側に、危機感がないのが、残念です。

勿論、糖質制限食ならインスリンの単位も減らせるし、さらに良いのですが、
糖質管理食もご存知ない医師に、糖質制限食といっても???でしょうね。
2015/03/31(Tue) 09:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
やさぐれ1人反省会 さん

糖質制限食成功者は、世界中に多くいます。

そうそう、大相撲の「逸ノ城」関も
体重が増えすぎないように、夕食は炭水化物抜きだそうですよ。
2015/03/31(Tue) 09:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
恐ろしい。。。
江部先生

> 1型糖尿病治療の専門家が、「糖質管理食(カーボカウント)」の指導もせずにインスリン注射を処方していることになるので、唖然としました。
>これが日本の糖尿病専門医の現状なのだと思うと慄然としました。

「JIN」の南方仁がタイムスリップしたときに感じたくらいの驚きでしょうか?(^^;

ケトアシドーシスは高血糖状態なのにケトン体モードな状態のときに起こる訳で、
糖質制限していればその一つ目の条件にはなるはずがないのだから、
糖質制限を行わないということは、車で例えると、
長い山道を下るときに、エンジンブレーキを使わずブレーキだけで何とかしようとする上に、実はアクセルも踏みっぱなしだったみたいな感じではないでしょうか?

毒を喰わせておいて薬を投与するみたいな恐ろしさを感じずにはいられません。。。
2015/03/31(Tue) 17:14 | URL | 福助 | 【編集
Re: 恐ろしい。。。
福助 さん

医師の良心を信じたいですね。

患者さんの立場にたてば、カーボカウントもせずに
インスリンを注射するような暴挙はできないと思います。
2015/03/31(Tue) 19:43 | URL | ドクター江部 | 【編集
教えて下さい
江部先生、初めまして。

42歳女性 163㎝ 83キロです。

2週間前に頭痛外来(片頭痛が酷いため)を受診した際、糖尿病が発覚しました。

その時の数値です
HbA1c 12.1
血糖値390
小さいロールパンを2つとブラックコーヒーを飲食して1時間後でした。

検査結果を聞いて、翌日眼底検査をしました。幸いにも異常はありませんでした。

糖尿病と知った同日に、江部先生のブログと出会い、すぐに本屋さんに行き
【糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食】を購入し、勉強、実践しております。

頭痛外来で、糖尿病専門医を紹介して頂き、翌日に受診し血液検査をしました。
その時処方されたのは【トラゼンタ25】
2週間後の今日、再受診しました。

2週間にした血液検査結果は
空腹時血糖250
クレアチニンは0.70

ですが抗GAD抗体が2.1で陽性
C-ペプチド 2.5
となっておりました。

先生はインスリンは出ているけど、近い内に1型糖尿病に移行すると言われました。

このタイプは早い内にインスリン注射すると血糖コントロールがしやすいと言われました。

今日、名前は忘れてしまいましたが保健が効かないがサービスでもうひとつ専門的な事を調べましょう。と言われました。
その結果次第で注射のタイミングを決めますとの事で、本日【メトグルコ500】2週間分処方がありました。

その先生は、糖質制限はしないでね。日本の糖尿病学会では認められてないから。と言う先生なので、江部先生に感銘を受けた私にとって、あまり信頼が持てません。

江部先生、私の症状はどうなのでしょうか。
また、1型糖尿病は確定で、一生涯インスリン注射が必要なのでしょうか。

糖質制限食を実践しても、やはり注射は打ち続けなくてはいけないのでしょうか。。

お忙しい事は重々承知ですが、信頼の出来る江部先生のご意見をお聞かせください。

糖質制限食を初めてまだ13日目ですが、これからも楽しく続けて行きます。

長文、散文でしたが 読んで頂き、ありがとうございました。

※携帯の調子が悪く、同じコメントがupされていましたらごめんなさい。


2015/03/31(Tue) 20:56 | URL | みぃ | 【編集
Re: 教えて下さい
みぃ さん

拙著のご購入ありがとうございます。

「トラゼンタとメトグルコ」そして「糖質制限食」
で、2ヶ月くらい、経過をみられて良いと思います。

この組み合わせなら、低血糖の心配はないです。

抗GAD抗体が2.1で陽性 ですので、確かにその先生が仰有るように
将来1型糖尿病発症の可能性はあります。

しかし、抗GAD抗体が2.1と陽性でも低いので
糖質制限食で血糖コントロール良好を維持することで、
年余に渡り、インスリンなしでいける可能性もあります。

C-ペプチド 2.5ですので、内因性インスリンも正常に分泌されています。
糖質制限食でコントロール良好まで持っていって、経過をみましょう。
2015/04/01(Wed) 13:43 | URL | ドクター江部 | 【編集
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