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ブドウ糖錠剤と血糖自己測定器で、ミニ糖負荷試験。
【15/03/26 しらねのぞるば

年に1回 自分の耐糖能を測定しています

糖質制限食を継続している限りは,血糖値は安定しており,定期健診での採血検査結果や体調もいいのですが,時々「はて,自分の一日の(あるいは1食の)糖質摂取量はこれで最適なのだろうか? どこまでが安全ラインで,どこからが危険なのか?」と思う時があります.

というのも,自宅での食事は糖質量を把握しているからいいのですが,外食で他に選択の余地のない場合,『これはどうみても糖質50gくらい. どこまで食べられるのか?』などと思うことは,セイゲニストの皆様でも経験されるのではないでしょうか? 特に出張先などで,初めてみる料理は悩ましいです.

そこで,私は毎年1回,自分の耐糖能を自己測定しています. もちろん75gのブドウ糖などおそろしくて飲めませんから,G.ベッカー女史の著書【注1】を参考にして,市販のブドウ糖錠剤を使ったミニ糖負荷試験です.

【注1】グレッチェン・ベッカー 「糖尿病・最初の1年」 p.290
~あなたは自分のミニ耐糖能検査ができます~


方法は簡単で,空腹時に,市販ブドウ糖錠剤(これは正確に3gです)を少量の熱湯に溶かし,これを100ccほどのソーダ水で割って,一口で飲みきり,ストップウォッチをにらんで10,20,30,60,120分後の血糖値を測るというものです.

通常の糖負荷試験よりも初期の時間刻みが細かいのは,服用するブドウ糖の量が少ないので,血糖値のピーク時刻を見逃さないためです.

そして,ブドウ糖錠剤の個数を変えて,これを何度か繰り返しました.
測定開始はいずれも早朝空腹時です.

結果は下記の通り.

[ブドウ糖錠剤の個数と血糖値の変化]
     4個   6個  8個  10個
0分   93    95   101  97
10分  115   117   127 134
20分  127   140   164  169
30分  121   162   178  190
60分  100   124   165  158
120分  99   97    112  108
180分  98   94    103  101


この結果を見ると,私の安全ライン,つまりどの時点でも血糖値180を越えないというのは,ブドウ糖錠剤 8個でした.つまり 3g×8=24 gが,現在の耐糖能限界ということになります.

もちろんこれは吸収の速いブドウ糖を一気にのんだ場合であって,実際の食事中の糖質はブドウ糖ではなく砂糖や澱粉であり,さらに食物繊維・蛋白質・脂質などとも一緒に摂っているし,その消化・吸収に要する時間と,食事にかける時間も考えれば【注2】,食事中の糖質はこれほど急速には吸収されないので,1食あたりの糖質は,これより相当多くても大丈夫でしょう.よって1食あたり糖質24gが「絶対安全ライン」,そしてその2倍の50gくらいが「毎日でなければ多分大丈夫ライン」と判断しています.

このように,自分自身の体で確認した指標があれば,これこそ正真正銘の「エビデンス」なので安心です.

【注2】ただし,大盛りのざるそばを,たった数秒で食べきった人をみたことがあります.こんな食べ方は命を縮めてますね.

なお,以上は私の場合であって,正常人であれ,糖尿人であれ,この値は一人一人違うはずです. ぜひ皆様もご自分で確認されることをおすすめします.

この試験は今年で3回目ですが,毎年同じような結果です.

よく「糖質制限すると,耐糖能が低下する」などと言われる方がいますが,少なくとも私の場合はこの3年間悪化していません. それどころか,データを詳細にみると,やや改善傾向があるかな?とみえるのですが,これはまだデータ数(n)が少ないので,SMBG機器の測定誤差範囲に埋もれて判然としません. もう数年すればわかりそうですが.】


こんにちは。

しらねのぞるば さんから、ブドウ糖錠剤と血糖自己測定器で、ミニ糖負荷試験をした結果をコメントいただきました。

しらねのぞるばさん、ありがとうございます。

確かに、75gブドウ糖負荷試験は、糖尿人には怖くてやれません。

しらねのぞるばさんの場合は、ほとんどの場合、ブドウ糖錠内服後30分値が、血糖値のピークですね。

外食時に糖質をやむを得ず摂取したときには、今後は食後30分値を測定するだけで充分ですね。

4錠(12g)・・・1gの糖質がピーク2.83mg血糖値上昇
6錠(18g)・・・1gの糖質がピーク3.72mg血糖値上昇
8錠(24g)・・・1gの糖質がピーク3.21mg血糖値上昇
10錠(30g)・・・1gの糖質がピーク3.1mg血糖値上昇

バーンスタイン先生の、「体重64kgの2型糖尿人で1gの糖質が血糖値を約3mg上昇させる」という法則ですが、摂取量が少ないとバラつくようです。30gのブドウ糖なら、ほぼぴったりです。


『1食あたり糖質24gが「絶対安全ライン」,そしてその2倍の50gくらいが「毎日でなければ多分大丈夫ライン」と判断しています。』

しらねのぞるばさんにおいては、仰る通りと思います。

血糖自己測定器を持っている糖尿人は、しらねのぞるばさんのように、ミニ糖負荷試験をして、各個人の安全圏を確かめるのもいいですね。0分、30分、60分、120分、180分くらいの測定でもOKと思います。

なお各糖尿人によって、負荷後血糖値のピークは、30分、60分、120分とそれぞれ違うと思います。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
低糖食の危険について
江部先生

先生の信者(?)になった者です(笑)。
今、コマーシャルを盛んにしているスポーツジムに入り、そこで低糖食を知りました。
あれこれ調べていくうちに、先生のことを知り、先生が書かれた本をかなり読みました。

低糖食を始めてちょうど1ヶ月になります。
効果は、
①減量
②睡眠の質の向上
③集中力アップ
④体脂肪率ダウン
です。
⑤血圧低下

そこで、先生にお聞きしたいことがございます。
上記効果の他に、γーGTPの数値が正常化したのですが、低糖食をはじめて、ほぼ毎日のように焼酎の炭酸割りは飲んでいました。が、昨日の血液検査では、それまで高かったγーGTPの数値が下がり、正常になりました。なぜ、低糖食でこの数値が下がるのでしょうか?

次に、長期的に低糖食を続けると、外から入ってくる糖がないため、肝臓では糖を作らなければならず、その結果肝臓を酷使することになるとのことを、http://www.sairem-iberica.com/tyouki.html で読みました。先生のご意見をお聞きしたく、こちらに書かせて頂きました。

お忙しい中、恐縮ですがご意見頂戴できれば幸いです。


2015/03/28(Sat) 17:28 | URL | 本田 | 【編集
24歳女性です。
江部先生、初めてコメントさせて頂きます。
私は15歳の時に、2型糖尿病を発症し現在に至ります。体格も肥満です。発症後数年間は安定していましたが、年頃だった事もあり、周りの友達と自分を比べずっと自分自身と向き合えずに来ました。
通院もしなくなったり、担当の先生にたくさん心配をかけても、結局ダイエットも続かず自暴自棄になり、病気を放置してしまったり…
このままでは合併症で、明るい未来はない!と思い立った時に、先生の本に出会いました。なぜ今まで向き合えなかったのだろう、せめて健康という事を頭の片隅に少しでもあったなら…友達とラーメンや飲みに行く事は、私の人生で命よりも大切な事だったのか?やっと向き合えました。
先生、先生の糖質制限ダイエットの考えに出会い、私今では減量もしっかりして血糖値は100付近をキープ出来るようになってきて、担当の先生ともインスリン注射を辞める段階まで話せています。
6年程、高血糖があった時があり、もしかしたら合併症は間逃れないかもしれません。考えるだけで毎日恐いのですが、これから長い人生しっかり向き合い続け、血糖値を安定させて行けば、私にも子供を授かったり、豊かな人生を送れるでしょうか?
自業自得なのは、百も承知です。
今は毎日毎日…前向きに病気と向き合い、自分を考える事が出来ませんが、
この気持ちだけは、変わりません。

先生、私に病気と向き合える機会をくれてありがとうございました。
2015/03/28(Sat) 19:51 | URL | ayumimi | 【編集
Re: 24歳女性です。
ayumimi さん

拙著のご購入、ありがとうございます。
減量成功、血糖コントロール良好、良かったです。

6年間の高血糖で、確かに「高血糖の記憶」ということがあり得ますが、
24才とお若いので、まず合併症はないと思います。

ただ、念のために、糖尿病網膜症の検査と頸動脈エコーをしておきましょう。

血中Cペプチドを測定して、内因性インスリンの分泌があるていど残っているなら
インスリンの離脱も可能と思いますので、主治医とよくご相談ください。
蓄尿して、一日尿中のCペプチドを調べる検査もあります。

糖尿病があっての、「糖尿病妊娠」でも、スーパー糖質制限食なら
インスリンなしで、血糖コントロール良好を保てる可能性が高いです。
スーパー糖質制限食なら妊娠中の体重コントロールも容易で、母子共に健康で、安産になることが多いです。

しっかり糖尿病と向き合い受け入れておられる今なら、
このまま血糖コントロール良好を保てば、未来はとても明るいです。
豊かな人生に向けて、充分間に合ったと思います。

私の本がきっかけで、このような素晴らしい決断をされたのなら
とても嬉しいです。

これからも美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続けくださいね。




2015/03/29(Sun) 11:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
スーパー糖質制限
江部先生、私3年ほど前より体重を落としたくて、たまたま先生の本に出会い、スーパー糖質制限をして、60キロの体重を落とし現在51キロになりました。すこぶる体調もよく、お洒落を楽しんでいました。ところが、先日市町村の健康診断を受け、空腹時の血糖が123と高く、ブドウ糖負荷検査を受けることになり、結果空腹時100,30分後213,60分後258, 90分後215,120分後147と高く、HbA1c5,2と恐ろしい結果が出ました。糖尿病になるとはびっくりです。このまま糖質制限を続けて良いものなのでしょうか?とても不安で、たまりません。宜しくご指導お願いいたします。
2015/04/04(Sat) 12:11 | URL | 初糖尿人 | 【編集
Re: スーパー糖質制限
初糖尿人さん

120分後147mg/dlですから、境界型ですね。

家族歴で糖尿病の方はおられるでしょうか?

ともあれ、一人前の糖質を摂取するとピークの食後血糖値が200mg/dlを超える可能性が高いので
今後も糖質制限食を続けるのがいいです。

糖質制限食なら、食後血糖値のピークが140mg/dlを超えることはありません。

今後、ブドウ糖負荷試験をする意味はないと思います。
スーパー糖質制限食(人類本来の食事であり人類の健康食)を続ける限りは健康体です。


2015/04/04(Sat) 17:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生回答ありがとうございます
先生回答ありがとうございました。糖質制限を続けて糖尿病とは無縁と思っていました。これからも糖質制限続けていきます。本当にアドバイスありがとうございました。
2015/04/04(Sat) 19:17 | URL | 初糖尿人 | 【編集
薬について
昨日に続き大変すみません。境界型糖尿病と言われ、昨日先生からの質問で、家族の糖尿病は?と有りましたが、両親は、糖尿病ではありません。ただ母親の兄が、長年糖尿病で、昨年89才でなくなりました。それを見ていましたので、糖尿病にはなりたくないと思い3年ほど前よりスーパー糖質制限をしてきました。私の場合インスリン抵抗性というものなんでしょうか?全く知識が有りません。そして100%近く、糖尿病になると医師に言われ、薬も飲んだ方が良いということでした。江部先生いかがなものでしょうか。ちなみに、現在56才です。27年前に流産がきっかけで、パニックしようという持病があります。病院で、血圧を計るときも、脈拍が、100を超えてしまいます。その様な神経の私が、糖尿病と言われ、何も食べる気がなくなりました。薬は服用するべきでしょうか。どうかアドバイス宜しくお願いいたします。
2015/04/05(Sun) 10:03 | URL | 初糖尿人 | 【編集
Re: 薬について
初糖尿人 さん

血縁のある叔父さんが糖尿病なので、初糖尿人 さんも糖尿病の素質はあると思います。

普通に糖質を摂取する食生活なら、今後1.2年~数年以内に、糖尿病を発症する可能性が高いです。

一方、スーパー糖質制限食なら、今後生涯にわたって、糖尿病になることはありません。
2015/04/05(Sun) 11:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
先生ありがとうございました
昨日に続きコメントありがとうございました。先生の糖質量の書かれたハンドブックも購入しました。生涯糖尿病と縁が無くなるように、糖質制限頑張って行きます。先生の御言葉で、目の前が明るくなりました。本当にありがとうございます。
2015/04/05(Sun) 12:15 | URL | 初糖尿人 | 【編集
健康診断の採血時間
>空腹時血糖値が123
初糖尿人さんのコメントも拝見させていただきました。

実際の健康診断で採血する時間が分からないのですが、
朝食2時間後位だと朝食抜きで採血しても起床時の血糖値より高くなることがあります。

私の場合、検査当日起床時85~95でも検査結果ではいつも110超えて医者に注意されます。
測定方法の誤差もあるとは思うのですが。

江部先生はその点も指摘した方がよいと思います。

ちなみに私は夕食のみに糖質制限をかけております。朝食では一般並みに糖質を摂りますが、グルコーススパイクを起こすのは月に1、2回程度です。
2015/04/06(Mon) 00:50 | URL | むーみん顔 | 【編集
Re: 健康診断の採血時間
むーみん顔 さん

2015年01月03日 (土)の本ブログ記事
「暁現象と糖新生とメトグルコ」
をご参照いただけば幸いです。

糖尿人においては、起床約1時間前から起床後2~3時間
インスリン作用が弱まり、肝臓の糖新生が抑制できず、空腹時血糖値が高値となりやすいです。
これを暁現象といいます。
2015/04/07(Tue) 09:44 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖尿病患者腕にセンサー
初めて投稿します。
出所は、11/27の日経新聞の記事です。早く実現してもらいたいと思います。

血糖値測定 採血いらず 糖尿病患者腕にセンサー 米大手が日本で承認申請

米医療機器大手のアボットは、指に針を刺して血液を採らなくても自分で血糖値を測れる製品の承認取得を日本の厚生労働省へ申請した。腕につけたセンサーで体液を分析し、測定する。痛みをほとんど伴わないうえ、長時間継続して測定できるのが特徴。増加する糖尿病患者向けに売り込む考えだ。

 実際に使用する場合は、医師の診断を受けたうえで、患者が購入する。

 承認取得を申請したのは「フラッシュ血糖測定器」。五百円玉サイズで表面に突起がついたセンサーを、上腕につけて使う。間質液という人の細胞間を満たしている体液から血糖値を割り出す。欧州8カ国では既に2万円弱で販売している。ジャレッド・ワトキン副社長は「ほぼ無痛で測定できる」と話す。

 長時間装着し続けられるため、血糖値が上がりやすい時間帯を把握できる。食事のタイミングなどを調整しやすい。

 米眼科製品大手のアルコンも同様の機器を開発している。米グーグルのノウハウを利用してコンタクトレンズ型機器の実用化を目指しており、日本での販売も検討中だ。レンズの内部に埋め込んだセンサーが、涙に含まれるブドウ糖から血糖値を測定する。

 厚生労働省によれば、2012年に国内で「糖尿病が強く疑われる者」は950万人おり、07年比で7%増えた。
2015/11/27(Fri) 18:29 | URL | ごとう | 【編集
Re: 糖尿病患者腕にセンサー
ごとう さん

情報をありがとうございます。

高雄病院でも、
アボット社のMRさんに、「フラッシュ血糖測定器」の説明会をして貰いましたが
とても便利と思いました。

発売されたら購入しようと思っています。
2015/11/28(Sat) 07:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
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