2008年02月08日 (金)
こんばんは。
しばらくの間、本ブログで運動とエネルギー源について考えてみます。
ATP(アデノシン三リン酸)は、骨格筋の収縮に利用される唯一のエネルギー源です。このATPを供給するために、人体には、いろいろなシステムがあるわけです。
筋肉細胞のエネルギー供給システムは、人類の生理・代謝において根幹をなす大事なことなので、やや小難しいところもありますがお付き合いくださいね。m(_ _)m
まずは、最高強度の運動(非常時の運動)です。
1、最高強度の運動
最高強度の無酸素運動とは、例えば100m競争などですね。
最高強度の運動の時は、即エネルギ-源が必要なので、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPを使います。
しかし、このATPは1~2秒でなくなるので、直後にクレアチンリン酸を利用してADP(ATPの分解産物)からATPを再合成します。
このクレアチンリン酸の生み出すATPは、数秒で減少し、10秒で半減します。その代わりに、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が5秒で最大となり、20秒くらい持続します。
これらは、ほとんど全て嫌気的エネルギーで、供給速度が速いです。
最高強度の運動には、通常の脂質や糖質の酸化的リン酸化による好気的エネルギー供給では、速度が遅くて間にあわないので、非常用の嫌気的システムがあるのでしょう。
100m競争だと、嫌気的代謝が90%で好気的代謝が10%です。
なお、最高強度の運動というのは人類にとって、歴史的には非常時のときだけの数十秒のものということはお忘れなく。
江部康二
しばらくの間、本ブログで運動とエネルギー源について考えてみます。
ATP(アデノシン三リン酸)は、骨格筋の収縮に利用される唯一のエネルギー源です。このATPを供給するために、人体には、いろいろなシステムがあるわけです。
筋肉細胞のエネルギー供給システムは、人類の生理・代謝において根幹をなす大事なことなので、やや小難しいところもありますがお付き合いくださいね。m(_ _)m
まずは、最高強度の運動(非常時の運動)です。
1、最高強度の運動
最高強度の無酸素運動とは、例えば100m競争などですね。
最高強度の運動の時は、即エネルギ-源が必要なので、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPを使います。
しかし、このATPは1~2秒でなくなるので、直後にクレアチンリン酸を利用してADP(ATPの分解産物)からATPを再合成します。
このクレアチンリン酸の生み出すATPは、数秒で減少し、10秒で半減します。その代わりに、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が5秒で最大となり、20秒くらい持続します。
これらは、ほとんど全て嫌気的エネルギーで、供給速度が速いです。
最高強度の運動には、通常の脂質や糖質の酸化的リン酸化による好気的エネルギー供給では、速度が遅くて間にあわないので、非常用の嫌気的システムがあるのでしょう。
100m競争だと、嫌気的代謝が90%で好気的代謝が10%です。
なお、最高強度の運動というのは人類にとって、歴史的には非常時のときだけの数十秒のものということはお忘れなく。
江部康二
以前、ご質問させていただいた、あまいみかんです
無理難題課も知れませんが・・・・・
第一次生産業に従事する者として、どうしても見過ごせなく、投稿させていただきました
このような記事についてどうお考えでしょうか?
忌憚の無い意見をお聞かせ願えれば幸いです
http://natural.jp/kono/tonyo.htm
無理難題課も知れませんが・・・・・
第一次生産業に従事する者として、どうしても見過ごせなく、投稿させていただきました
このような記事についてどうお考えでしょうか?
忌憚の無い意見をお聞かせ願えれば幸いです
http://natural.jp/kono/tonyo.htm
2008/02/09(Sat) 12:09 | URL | あまいみかん | 【編集】
あまいみかんさん。
とりあえず「野菜が糖尿病をひきおこす!?」
アマゾンで購入して
読んでみます。
とりあえず「野菜が糖尿病をひきおこす!?」
アマゾンで購入して
読んでみます。
2008/02/09(Sat) 16:48 | URL | 江部康二 | 【編集】
江部先生、こんにちは!
毎日ブログを楽しみに読んでいます。
今日のテーマに関係なくて申し訳ないのですが、ケトンの測定について教えてください。
ケトスティックで自分がちゃんとケトンを作れているかを調べたいのですが、お勧めのメーカーなどはありますか?
また、江部先生のサイトや本に加えて最近
http://eatingacademy.com/
この先生のサイトやビデオでケトン食について学んでいるのですが、この先生はたしか「糖質制限は0か100という性質のものではない。それに対してケトンモードかどうかは二元的(binary)なものだ」と言っていた気がします。(今そのビデオを見つけられず、正確な記憶ではないのですが、、)つまりは、ケトンモードか、そうでないかの、どちらかしかないということですよね。
ケトンスティックの写真をみると、何段階かあるようですが、これはどのように考えれば良いのでしょうか。
毎日ブログを楽しみに読んでいます。
今日のテーマに関係なくて申し訳ないのですが、ケトンの測定について教えてください。
ケトスティックで自分がちゃんとケトンを作れているかを調べたいのですが、お勧めのメーカーなどはありますか?
また、江部先生のサイトや本に加えて最近
http://eatingacademy.com/
この先生のサイトやビデオでケトン食について学んでいるのですが、この先生はたしか「糖質制限は0か100という性質のものではない。それに対してケトンモードかどうかは二元的(binary)なものだ」と言っていた気がします。(今そのビデオを見つけられず、正確な記憶ではないのですが、、)つまりは、ケトンモードか、そうでないかの、どちらかしかないということですよね。
ケトンスティックの写真をみると、何段階かあるようですが、これはどのように考えれば良いのでしょうか。
2015/05/02(Sat) 01:56 | URL | くろ | 【編集】
くろ さん
食事療法を開始して初期の段階で、尿中にケトン体が陽性なら、血中ケトン体は基準値より大分高値です。
血中ケトン体が高値となるレベルの糖質制限食が
ケトジェニック ダイエットと呼ばれています。
個人差がありますが、1回の食事の糖質量が10~20g以下なら
血中ケトン体が高値(ケトジェニック)になることが多いです。
ケトンの尿の試験紙は陽性かどうかはわかりますが
正確には血中ケトン体を測定するほうがいいです。
食事療法を開始して初期の段階で、尿中にケトン体が陽性なら、血中ケトン体は基準値より大分高値です。
血中ケトン体が高値となるレベルの糖質制限食が
ケトジェニック ダイエットと呼ばれています。
個人差がありますが、1回の食事の糖質量が10~20g以下なら
血中ケトン体が高値(ケトジェニック)になることが多いです。
ケトンの尿の試験紙は陽性かどうかはわかりますが
正確には血中ケトン体を測定するほうがいいです。
2015/05/02(Sat) 15:17 | URL | ドクター江部 | 【編集】
先生、お返事ありがとうございました。
(気づいたら、テーマに関係ない上に、間違えてずいぶん昔の記事にコメントしてしまったようで、申し訳ありません。)
ケトン値について、また尿中より血中ケトンを測定した方が正確なことを教えて頂き、ありがとうございます。
血中ケトン値は、自己測定できる機械がネットでは入手が難しいようです。
食事内容と比較したいので、できれば自己測定のほうが便利だとは思うのですが、みなさんどちらで購入されているのでしょうか。
また購入が無理な場合、内科に行けば計ってもらえますか?(ケトン値測定、地名、の検索では出てきませんでした。)
お忙しいところ色々質問してしまって、申し訳ありません。もしお時間があったらで結構ですので、よろしくお願い致します。
(気づいたら、テーマに関係ない上に、間違えてずいぶん昔の記事にコメントしてしまったようで、申し訳ありません。)
ケトン値について、また尿中より血中ケトンを測定した方が正確なことを教えて頂き、ありがとうございます。
血中ケトン値は、自己測定できる機械がネットでは入手が難しいようです。
食事内容と比較したいので、できれば自己測定のほうが便利だとは思うのですが、みなさんどちらで購入されているのでしょうか。
また購入が無理な場合、内科に行けば計ってもらえますか?(ケトン値測定、地名、の検索では出てきませんでした。)
お忙しいところ色々質問してしまって、申し訳ありません。もしお時間があったらで結構ですので、よろしくお願い致します。
2015/05/04(Mon) 00:04 | URL | くろ | 【編集】
くろ さん
血中ケトン体測定器は、血糖自己測定器に比べて、かなり高価です。
またセンサーも高価です。それぞれ、血糖測定の数倍以上はします。
医院や病院では、「血中ケトン体分画」として検査すればいいです。
どこでも健康保険でできます。
糖尿病、発熱、下痢、嘔吐、飢餓などの病名が必要です。
保険外でも比較的安価です。
実施料 59点 判断料 生化学的検査(Ⅰ)(144点)
合わせて、203点ですから、2030円です。
http://www.falco.co.jp/rinsyo/detail/060158.html
総ケトン体 :28~120
アセト酢酸 :14~ 68
3-ヒドロキシ酪酸: 0~ 74
μmol/L
血中ケトン体測定器は、血糖自己測定器に比べて、かなり高価です。
またセンサーも高価です。それぞれ、血糖測定の数倍以上はします。
医院や病院では、「血中ケトン体分画」として検査すればいいです。
どこでも健康保険でできます。
糖尿病、発熱、下痢、嘔吐、飢餓などの病名が必要です。
保険外でも比較的安価です。
実施料 59点 判断料 生化学的検査(Ⅰ)(144点)
合わせて、203点ですから、2030円です。
http://www.falco.co.jp/rinsyo/detail/060158.html
総ケトン体 :28~120
アセト酢酸 :14~ 68
3-ヒドロキシ酪酸: 0~ 74
μmol/L
2015/05/04(Mon) 17:07 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、
お休みの所ご回答いただき、ありがとうございます。
近所の病院でお願いしてみます。
お休みの所ご回答いただき、ありがとうございます。
近所の病院でお願いしてみます。
2015/05/05(Tue) 01:23 | URL | くろ | 【編集】
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