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耐糖能と糖質制限食
こんばんは。
大分、日が沈むのがゆっくりになってきました。今日は午後5時半でもまだ明るさが残ってました。ほんの一週間前は、午後5時半ってもう真っ暗でしたよね。季節は巡ります。春、啓蟄まであと一ヶ月、待ち遠しいですね。

さて今回は、みみいさんから、コメント・質問をいただきましたので検討してみます。

『08/02/02 みみい
質問です
はじめまして

病院に行く前に(結果が届いたらそれを持っていく予定です)少しでもよくなればとネットで検索し、先生のページにたどり着きました。

早速「糖尿病がよくなるごちそうレシピ」も購入し、糖質制限をしていますが、ネットで「糖質制限をしていると耐糖性がなくなり糖質を取ると以前より血糖値があがりやすくなるため一生つづけなければならない」という意見を見かけました。

糖質を制限するとこのような弊害は実際あるのでしょうか?検診で尿糖が出て現在結果待ちです。』


みみいさん。いろんな意見があるのは、まあ仕方ないでしょう。私も自分の意見を発信していますが、押しつけるつもりはありません。

理解し共感していただける方が、 糖質制限食を実践して糖尿病がよくなってもらえれば嬉しいなと思ってブログを書いています。

ご質問の「糖質制限をしていると耐糖能が低下する」という説ですが、高雄病院の経験ではそのような事実はありません。

糖尿病になった人は、インスリンの作用不足があります。より正確にはインスリン分泌不足とインスリン抵抗性が合わさってインスリン作用不足となり糖尿病を発症します。日本人の場合はインスリン分泌不足が主となることが多いとされています。

糖質制限食を実践することで、疲弊してインスリン分泌不足となっていた膵臓は休養できますから、インスリン分泌能の回復が期待できます。インスリンの分泌が回復すれば、当然耐糖能も改善します。

高雄病院では1999年から糖質制限食を始めて、もう足かけ9年ですね。300人以上の糖尿病入院患者さんで、確認済みですが、糖質制限食により食後血糖値も空腹時血糖値も改善します。空腹時血糖値が改善するということはインスリン基礎分泌もあるていど回復したということですね。

一方、糖尿人が糖質を摂取して食後高血糖が生じると
① 高血糖により膵臓のβ細胞(インスリンを分泌)が直接ダメージを受ける。
② 高血糖により、インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性の増大)
①②により高血糖→「インスリン分泌低下+インスリン抵抗性増大」→高血糖
という繰り返しを生じますが、この悪循環のことを糖毒といい、糖尿病悪化の大きな要因となっています。

血糖値を上昇させるのは<糖質・脂質・タンパク質>のうち、ほとんど糖質だけです。従って糖尿人が糖質を摂取すれば、わざわざ糖毒状態を引き起こし、糖尿病が悪化し、長引けば膵臓のβ細胞も回復不能で死滅していくのです。

糖質制限食を実践すれば、速やかに高血糖が改善し、きっちりこの糖毒を断ち切ることができるので、糖尿病がめきめき改善するのです。
 
最後になりますが、人類が穀物を主食とし始めて定着したのは400万年の歴史の中で、わずか4000年ていどですから1/1000の期間です。糖質制限食は穀物を常食とする以前(999/1000の期間)の人類の食生活に戻るだけです。

たとえばイヌイットの人々は、生肉・生魚が主食です。まさにスーパー 糖質制限食を数千年食べ続けたわけですが、糖尿病や心筋梗塞やアレルギー疾患が極めて少ないことが知られていますね。

江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
No title
なるほど…最近、ネットの掲示板に「糖質制限食を続けていると耐糖能が低下し、たまに糖分を摂取したときに急激に血糖値が跳ね上がるのでよくない」と書きこむ人がよく見受けられるのでちょっと気になっていました。
たとえばずーっとまじめにスーパー糖質制限食を続けていて、グルコースチャレンジテストを受けても異常に高い値が出たりすることはないのでしょうか?(もしそうなったとしても、その場合HbA1cは低い値になりそうですね)
2008/10/19(Sun) 21:01 | URL | リュカ | 【編集
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