2015年01月31日 (土)
こんにちは。
インフルエンザが流行っています。
インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思います。
知っておいて欲しいことは、インフルエンザワクチンは万能ではないということです。
感染防御力は基本的になくて、重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。
以下の青字は厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、マスク等せきエチケットも忘れないでください。
インフルエンザにかかった人は、必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。
<インフルエンザワクチンの有効性>
インフルエンザワクチンは、季節性にも新型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを接種することによりIgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
下記は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」
(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには期待出来ると考えられています。」】
<院内感染>
例年と同様に2014年、2015年も全国各地の病院や施設で、職員や患者さんにインフルエンザの集団感染が起こっています。高齢の患者さんの死亡者も出ています。
これらの集団感染において、ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種していました。
このように、感染防御にはワクチンは、実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
そもそもインフルエンザワクチンは「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去10年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでした。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」
と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクを
して乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクを
する。その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、感染防御効果はないことをしっかり認識して、上記①~⑦を励行してくださいね。
これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二
インフルエンザが流行っています。
インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思います。
知っておいて欲しいことは、インフルエンザワクチンは万能ではないということです。
感染防御力は基本的になくて、重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。
以下の青字は厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、マスク等せきエチケットも忘れないでください。
インフルエンザにかかった人は、必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。
<インフルエンザワクチンの有効性>
インフルエンザワクチンは、季節性にも新型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを接種することによりIgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
下記は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」
(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには期待出来ると考えられています。」】
<院内感染>
例年と同様に2014年、2015年も全国各地の病院や施設で、職員や患者さんにインフルエンザの集団感染が起こっています。高齢の患者さんの死亡者も出ています。
これらの集団感染において、ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種していました。
このように、感染防御にはワクチンは、実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
そもそもインフルエンザワクチンは「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去10年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでした。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」
と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクを
して乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクを
する。その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、感染防御効果はないことをしっかり認識して、上記①~⑦を励行してくださいね。
これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二
ポリオワクチンはほぼ100%の効果があり、摂取しない者がいると流行が起きるとの懸念が報告されています
1961年の大流行時には、外国から1300万人分のポリオワクチンを緊急輸入して、ポリオの激減したことが報告されています
http://www.jspid.jp/journal/full/01902/019020189.pdf
1961年の大流行時には、外国から1300万人分のポリオワクチンを緊急輸入して、ポリオの激減したことが報告されています
http://www.jspid.jp/journal/full/01902/019020189.pdf
2015/01/31(Sat) 22:25 | URL | 精神科医師A | 【編集】
先生こんばんは。今日は名古屋での講義有難うございました。レベルの高い質疑応答で、私の簡単な質問が気がひけてできずに帰宅いたしました。ご質問なのですが、LDLコレステロールが高い場合、コレステロールの高い卵を1日何個まで食べても問題ないでしょうか。食事からのコレステロールはあまり関係なく
、体内で殆どが合成されると思いますが。
もちろん糖質制限しているので、HDLコレステロールも高いです。中性脂肪も低いです。
ですから悪いLDLコレステロールではなさそうですが、先生アドバイス宜しくお願い致します。
、体内で殆どが合成されると思いますが。
もちろん糖質制限しているので、HDLコレステロールも高いです。中性脂肪も低いです。
ですから悪いLDLコレステロールではなさそうですが、先生アドバイス宜しくお願い致します。
2015/02/01(Sun) 02:53 | URL | 加賀美 | 【編集】
記事と全く関係がなくて申し訳ありません。
先生の以前のチョコレートの記事を読ませて頂いて、質問させて頂きました。
チョコレートが大好きだったのですが、妊娠糖尿病発覚からずっと我慢してきました。
今は、甘い物を全く取らなくなり慣れてきたのか、チョコレート効果のカカオ86%を1日一粒たまに食べている程度です。
カカオを多く含んだ物であれば少量ずつとっても大丈夫ですか?
また、ゆるい糖質制限をしていて、夜は主食抜きです。しかし、調味料とかに含まれる糖質は大丈夫なのでしょうか?
たまに、唐揚げを食べたりしていますが、これだと夜の糖質抜きにはなっていないですよね?
一応夜の主食はなしにしています。
質問ばかりで申し訳ありません。
勉強不足で、知らない事が多く、大変申し訳ないのですが、教えて頂けたら有難いです。
先生の以前のチョコレートの記事を読ませて頂いて、質問させて頂きました。
チョコレートが大好きだったのですが、妊娠糖尿病発覚からずっと我慢してきました。
今は、甘い物を全く取らなくなり慣れてきたのか、チョコレート効果のカカオ86%を1日一粒たまに食べている程度です。
カカオを多く含んだ物であれば少量ずつとっても大丈夫ですか?
また、ゆるい糖質制限をしていて、夜は主食抜きです。しかし、調味料とかに含まれる糖質は大丈夫なのでしょうか?
たまに、唐揚げを食べたりしていますが、これだと夜の糖質抜きにはなっていないですよね?
一応夜の主食はなしにしています。
質問ばかりで申し訳ありません。
勉強不足で、知らない事が多く、大変申し訳ないのですが、教えて頂けたら有難いです。
2015/02/01(Sun) 09:03 | URL | のろのろ | 【編集】
精神科医師Aさん
コメントありがとうございます。
平成24年9月1日から、ポリオの予防接種が、
口から飲む生ポリオワクチンから注射による不活化ポリオワクチンに変更となり、
医療機関での接種になりました。
生ワクチンしかなかった頃は、予防接種を原因とするポリオ麻痺の患者が少数ですがでていました。
日本も欧米にかなり遅れましたが、不活化ワクチンの時代になりました。
不活化ワクチンなら、接種後のポリオ感染はありません。
コメントありがとうございます。
平成24年9月1日から、ポリオの予防接種が、
口から飲む生ポリオワクチンから注射による不活化ポリオワクチンに変更となり、
医療機関での接種になりました。
生ワクチンしかなかった頃は、予防接種を原因とするポリオ麻痺の患者が少数ですがでていました。
日本も欧米にかなり遅れましたが、不活化ワクチンの時代になりました。
不活化ワクチンなら、接種後のポリオ感染はありません。
2015/02/01(Sun) 12:19 | URL | ドクター江部 | 【編集】
加賀美 さん
朝日カルチャー名古屋教室講座へのご参加、ありがとうございます。
「もちろん糖質制限しているので、HDLコレステロールも高いです。中性脂肪も低いです。 」
これなら好きなだけ卵を食べても大丈夫と思います。
ただ魚、肉、卵、葉野菜、海藻、茸、大豆製品、乳製品・・・OK食材は
いろいろありますので、万遍なく食べて、
必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、微量元素、食物繊維も確保しましょう。
万遍なく食べれば、卵ばかりということにはならないと思いますが・・・。
朝日カルチャー名古屋教室講座へのご参加、ありがとうございます。
「もちろん糖質制限しているので、HDLコレステロールも高いです。中性脂肪も低いです。 」
これなら好きなだけ卵を食べても大丈夫と思います。
ただ魚、肉、卵、葉野菜、海藻、茸、大豆製品、乳製品・・・OK食材は
いろいろありますので、万遍なく食べて、
必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、微量元素、食物繊維も確保しましょう。
万遍なく食べれば、卵ばかりということにはならないと思いますが・・・。
2015/02/01(Sun) 12:27 | URL | ドクター江部 | 【編集】
のろのろ さん
一食の食事の糖質量を、10~20g以下にするのが、スーパー糖質制限食です。
緩やかな糖質制限食なら、30~40gまではOKとなります。
その範囲で、唐揚げや豚カツや天ぷらも食べればいいです。
私もチョコレートは好きですので、糖質制限食OKのチョコレートを食べています。
一食の食事の糖質量を、10~20g以下にするのが、スーパー糖質制限食です。
緩やかな糖質制限食なら、30~40gまではOKとなります。
その範囲で、唐揚げや豚カツや天ぷらも食べればいいです。
私もチョコレートは好きですので、糖質制限食OKのチョコレートを食べています。
2015/02/01(Sun) 12:32 | URL | ドクター江部 | 【編集】
昨日の朝日カルチャーでの講演会に参加させて頂きました久野です。
とてもレベルが高く、情報量たっぷりの内容で、今でも頭の中が熱く活性化しております!
インフルエンザ脳症発症のメカニズムについても様々なことが言われています。
インフルエンザワクチンの添付文書にもあるように、ワクチン接種での脳症の可能性(「重篤な副反応」に「脳炎・脳症・脊髄炎」が追記されています)、その他にも、抗インフルエンザ薬による脳症の可能性、解熱鎮痛薬による脳症の可能性、などいろいろな原因が考え
られます。
またワクチン接種や他の薬剤の使用がなくても脳症を発症するケースも当然あります。
現在のところ、インフルエンザ脳症を発症した症例の間でワクチン接種の有無に関する有意差はなく、インフルエンザワクチンによる脳症の予防・脳症重症化の予防について、明らかな証拠は見つかっていないということですが、江部先生の脳症発症に関するお考えを教えていただけますでしょうか?
また、どうしても小さいお子さんで高熱にて熱性けいれんを起こしやすいケースでは、熱による影響を少しでも避けるために、ワクチンは接種しておかなければ(感染を防げないと分かっていても仕方なく)と考えると思います。
私が調べたかぎりでは、脳症を発症してしまうケースでは、通常
ではATP代謝サイクルに問題がないが、高熱状態になると異常に代謝サイクルの活性が落ちる人がいるという説があり(これにより⇒血液脳関門の破綻⇒インフルエンザ脳症の発症)、これには関与が想定される遺伝子異常が複数指摘されていて、いくつか異常が重なると発症することが示唆されているそうです。
私自身はもしかしたら熱性けいれんはこういったメカニズムの軽いタイプなのかな?と考えたりしています。江部先生は熱性けいれんとインフルエンザ脳症の関係についてはどう思われますでしょうか?
お時間のある時で結構ですので、どうかよろしくお願いいたします。
久野 淳
追伸:先生にサインして頂いた本は私のバイブルとして大切にします。これからも興味深いブログ記事や著書で勉強させて頂きます。
とてもレベルが高く、情報量たっぷりの内容で、今でも頭の中が熱く活性化しております!
インフルエンザ脳症発症のメカニズムについても様々なことが言われています。
インフルエンザワクチンの添付文書にもあるように、ワクチン接種での脳症の可能性(「重篤な副反応」に「脳炎・脳症・脊髄炎」が追記されています)、その他にも、抗インフルエンザ薬による脳症の可能性、解熱鎮痛薬による脳症の可能性、などいろいろな原因が考え
られます。
またワクチン接種や他の薬剤の使用がなくても脳症を発症するケースも当然あります。
現在のところ、インフルエンザ脳症を発症した症例の間でワクチン接種の有無に関する有意差はなく、インフルエンザワクチンによる脳症の予防・脳症重症化の予防について、明らかな証拠は見つかっていないということですが、江部先生の脳症発症に関するお考えを教えていただけますでしょうか?
また、どうしても小さいお子さんで高熱にて熱性けいれんを起こしやすいケースでは、熱による影響を少しでも避けるために、ワクチンは接種しておかなければ(感染を防げないと分かっていても仕方なく)と考えると思います。
私が調べたかぎりでは、脳症を発症してしまうケースでは、通常
ではATP代謝サイクルに問題がないが、高熱状態になると異常に代謝サイクルの活性が落ちる人がいるという説があり(これにより⇒血液脳関門の破綻⇒インフルエンザ脳症の発症)、これには関与が想定される遺伝子異常が複数指摘されていて、いくつか異常が重なると発症することが示唆されているそうです。
私自身はもしかしたら熱性けいれんはこういったメカニズムの軽いタイプなのかな?と考えたりしています。江部先生は熱性けいれんとインフルエンザ脳症の関係についてはどう思われますでしょうか?
お時間のある時で結構ですので、どうかよろしくお願いいたします。
久野 淳
追伸:先生にサインして頂いた本は私のバイブルとして大切にします。これからも興味深いブログ記事や著書で勉強させて頂きます。
2015/02/01(Sun) 16:51 | URL | 久野 淳 | 【編集】
久野 淳 先生
朝日カルチャー名古屋へのご参加、そして拙著のご購入ありがとうございます。
なかなかに中身の濃い「糖質制限講座」でしたね。
インフルエンザ脳症ですが、ご指摘通り、まだ良くわかっていないことが多いようです。
その中で「サイトカインストーム」説が、一番有力のように思います。
本日のブログ記事で、インフルエンザ脳症と解熱剤について、整理してみました。
朝日カルチャー名古屋へのご参加、そして拙著のご購入ありがとうございます。
なかなかに中身の濃い「糖質制限講座」でしたね。
インフルエンザ脳症ですが、ご指摘通り、まだ良くわかっていないことが多いようです。
その中で「サイトカインストーム」説が、一番有力のように思います。
本日のブログ記事で、インフルエンザ脳症と解熱剤について、整理してみました。
2015/02/01(Sun) 17:24 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、お忙しい中早速お返事頂きありがとうございました!
本日のブログ「インフルエンザ脳症と解熱剤」拝見いたしました。
サイトカインストームと解熱剤の関係、自己免疫疾患の関与など、大変勉強になりました。原因がハッキリと解明されるまではもう少しかかりそうですね。
私もアンテナを広げて柔軟な頭で学んでいきたいと思います!
本日のブログ「インフルエンザ脳症と解熱剤」拝見いたしました。
サイトカインストームと解熱剤の関係、自己免疫疾患の関与など、大変勉強になりました。原因がハッキリと解明されるまではもう少しかかりそうですね。
私もアンテナを広げて柔軟な頭で学んでいきたいと思います!
2015/02/01(Sun) 23:28 | URL | 久野 淳 | 【編集】
江部先生、
ワクチンと血糖値の関係を調べている時に先生のサイトにめぐり合いました。私は50歳女性で2015年の初めからアメリカでPre-diabeticと診断され、食事制限と運動を実行し朝の食事前は70mg/dl食事後は120-130mg/dlに抑えることに成功してきました。2週間ほど前(2015年12月13日)にアメリカでTdap(Adacel製)の接種を受けました。発熱が10日ほど続き、接種した側の背中、腰、足なども1週間ほど痛み、右の卵巣(左摘出済み)も痛みました。ワクチンを打った次の日から食事前の血糖値が85になり、その次の日は92、それ以来110代から下がらなくなりました。食後の血糖値も一日を通して30mg/dl高くなり150代になり下がりません。ワクチンを打ってもらったクリニックへ戻っても「風邪にかかっただけ」と言われとりあってもらえません。Tdapの影響であることは明らかなのですが、Tdapがどの臓器にどのような悪影響を与えてしまったのかがわからないのでどう次の手を打てばいいかわかりません。文献を調べると百日咳きのワクチンは低血糖や、子供の間にType 1Diabetesの可能性を高める、ねずみの膵臓が腫れたぐらいのものしか見当たりません。科学的実験結果に基づいていなくてもかまいません。こうではないだろうかという予想でも結構ですのでご教授いただけませんでしょうか。今まで頑張って血糖値を管理してきただけに、今回の結果がとても残念で仕方ありません。よろしくお願いいたします。
ワクチンと血糖値の関係を調べている時に先生のサイトにめぐり合いました。私は50歳女性で2015年の初めからアメリカでPre-diabeticと診断され、食事制限と運動を実行し朝の食事前は70mg/dl食事後は120-130mg/dlに抑えることに成功してきました。2週間ほど前(2015年12月13日)にアメリカでTdap(Adacel製)の接種を受けました。発熱が10日ほど続き、接種した側の背中、腰、足なども1週間ほど痛み、右の卵巣(左摘出済み)も痛みました。ワクチンを打った次の日から食事前の血糖値が85になり、その次の日は92、それ以来110代から下がらなくなりました。食後の血糖値も一日を通して30mg/dl高くなり150代になり下がりません。ワクチンを打ってもらったクリニックへ戻っても「風邪にかかっただけ」と言われとりあってもらえません。Tdapの影響であることは明らかなのですが、Tdapがどの臓器にどのような悪影響を与えてしまったのかがわからないのでどう次の手を打てばいいかわかりません。文献を調べると百日咳きのワクチンは低血糖や、子供の間にType 1Diabetesの可能性を高める、ねずみの膵臓が腫れたぐらいのものしか見当たりません。科学的実験結果に基づいていなくてもかまいません。こうではないだろうかという予想でも結構ですのでご教授いただけませんでしょうか。今まで頑張って血糖値を管理してきただけに、今回の結果がとても残念で仕方ありません。よろしくお願いいたします。
今西 さん
Tdapは、
T:破傷風トキソイド
d:ジフテリアトキソイド
ap:非細胞性百日咳ワクチン
3種類の抗原を、1本のワクチン製剤にまとめた”3種混合ワクチン”です。
Tdapは、思春期以後(成人を含む)を対処とした
ジフテリア・百日咳・破傷風 3種混合ワクチンです。
私には、Tdapに関して、上記知識くらいです。
Tdapの副作用に関しては、添付文書をみていただけばよいと思います。
ワクチン接種後
「発熱が10日ほど続き、接種した側の背中、腰、足なども1週間ほど痛み、右の卵巣(左摘出済み)も痛みました。」
これだけの症状がでたのですから、いわゆる「sick day」による血糖値上昇の可能性が高いと思います。
「sick day」ならば、発熱などの症状が改善してから1週間くらいで元に戻ると思います。
Tdapは、
T:破傷風トキソイド
d:ジフテリアトキソイド
ap:非細胞性百日咳ワクチン
3種類の抗原を、1本のワクチン製剤にまとめた”3種混合ワクチン”です。
Tdapは、思春期以後(成人を含む)を対処とした
ジフテリア・百日咳・破傷風 3種混合ワクチンです。
私には、Tdapに関して、上記知識くらいです。
Tdapの副作用に関しては、添付文書をみていただけばよいと思います。
ワクチン接種後
「発熱が10日ほど続き、接種した側の背中、腰、足なども1週間ほど痛み、右の卵巣(左摘出済み)も痛みました。」
これだけの症状がでたのですから、いわゆる「sick day」による血糖値上昇の可能性が高いと思います。
「sick day」ならば、発熱などの症状が改善してから1週間くらいで元に戻ると思います。
2015/12/27(Sun) 11:22 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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